- 更新日 : 2025年3月3日
個人事業主のETC料金は経費になる?注意点や仕訳について解説
法人向けのETCカードがあれば、業務で有料道路を利用する際に便利です。しかし、個人事業主の方にとっては「ETC料金を経費として計上できるのか」「開業後すぐにカードを作成できるのか」といった点が気になるかもしれません。
本記事では、個人事業主がETC料金を経費として計上できるのか、事業用ETCカードを利用するメリット、開業直後でも作成できるのか、利用時の注意点、料金の仕訳例などについて詳しく解説します。
目次
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個人事業主はETC料金を経費として計上できる?
ETC料金として支払った金額のうち、事業・業務に関連した目的で高速道路を利用したものに関しては、経費として計上できます。たとえば、出張や営業などで高速道路を使用した際などです。もちろん、もしも事業・業務に関連せずにプライベートで支払ったETC料金であれば、経費にはできません。
個人事業主が経費として計上できるものの詳細は、以下の記事も参考にしてください。
個人事業主が事業用のETCカードを持つメリット
プライベートでETCカードを利用している個人事業主であっても、それとは別に事業用としてETCカードを作成することで、多くのメリットを得られます。
個人用ETCカードと事業用ETCカードの基本的な機能や使い方は同じですが、受けられるサービスに違いがあります。ここでは、事業用ETCカードを持つメリットについて解説します。
割引制度が適用される
事業用ETCカードを「ETCマイレージサービス」に登録すると、曜日や時間帯に応じた割引を受けられます。個人用ETCカードよりも高い割引率が適用されるため、コスト削減につながります。
たとえば、以下のような割引制度が一般的です。
- 平日朝夕割引:平日の指定時間帯にETCを利用すると、最大50%の割引が適用
- ETCマイレージサービスのポイント還元:利用金額に応じてポイントが貯まり、料金に充当可能
- 大口・多頻度割引:月額3万円以上の利用で、最大30%OFF
ただし「ETCマイレージサービス」と「大口・多頻度割引」は併用できません。利用頻度や金額に応じて、どちらの割引制度を利用するのが得かを判断しましょう。
交通費の管理がしやすくなる
事業用のETCカードを持つことで、交通費の管理がしやすくなります。
たとえば、クレジットカード機能付きの事業用ETCカードを利用すれば、立替精算の手間が不要です。事業用のクレジットカードを紐づけておけば、利用した分が自動的に決済され、経費管理が簡単になります。
また、クレジットカードの利用明細を活用することで、以下のような情報を可視化できるのもメリットです。
- 利用した日時
- 通行料金
- 利用区間
このようなデータを活用することで、経理処理がスムーズになり、交通費の計上や確定申告の際にも役立ちます。
経費として計上しやすい
個人用ETCカードと事業用ETCカードを分けておけば、事業に関わる経費とプライベートの支出を明確に区別できます。
- 個人用ETCカード:プライベートの移動に利用
- 事業用ETCカード:業務に関係する移動に利用
事業用ETCカードの利用履歴をもとにすれば、交通費の経費計上がスムーズになるでしょう。特に、確定申告の際に経費の按分計算をする手間が省けるため、個人事業主にとっては大きなメリットです。
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開業まもない個人事業主でもETCカードを作成できる?
ETCカードのメリットがわかり、活用したいと思っても、実際に個人事業主が事業用のETCカードを利用できるのかが不安になるものです。開業まもない個人事業主ならば、なおさら不安になるでしょう。
結論からいえば、開業まもない個人事業主でも事業用のETCカードを利用できます。「事業用ETCカード」や「法人用ETCカード」と呼ばれていますが、法人名義だけではなく個人事業主名義で契約できる点が特徴です。
事業用のETCカードのなかには、クレジット機能がついていないETC専用カードや、クレジット付帯でも個人事業主への審査がゆるいカードもあります。これらのETCカードを活用すれば、事業用のETCカードを入手しやすくなるでしょう。
個人事業主でも作成できるETCカードの種類
個人事業主でも作成できる事業用のETCカードには、以下のように3つの種類があります。
<法人カード付帯のETCカード>
法人用のクレジットカード(ビジネスカード)の付帯サービスとして発行するETCカードです。法人カードと一緒にETCカードを申し込んで審査を受けます。個人事業主の場合は審査を受ける際に事業主本人の本人確認書類が必要です。
法人カード付帯のETCカードは、ETCカードでの支払いを法人カードにまとめられます。さらに、法人カードに付帯したサービスとして低いコストで発行できる点もメリットです。
<法人ETCカード>
ETC協同組合や高速情報協同組合などが発行しているETCカードです。クレジットカード機能はなく、口座振替で支払います。対象の組合への加入が必要で、カード発行手数料や年会費以外に毎月の走行料金の5~8%にあたる手数料がかかります。
法人ETCカードは、利用車両が限定されず、レンタカーなどでも利用できる点がメリットです。クレジット機能がないこと、その分審査がないこともメリットだといえるでしょう。
<ETCコーポレートカード>
東日本・中日本・西日本高速道路株式会社が発行するカードです。通行料金や各種手数料の支払いは口座振替で行います。
クレジット機能がないため、万一の紛失・盗難のときに安心です。高速道路の利用頻度が高い事業者に向いたカードだといわれています。ただし、ETCコーポレートカードで登録した車両以外には利用できない点に注意が必要です。
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個人事業主が事業用のETCカードを利用する際の注意点
個人事業主が事業用のETCカードを利用する際には、領収書の代わりに利用明細を発行することに気をつける必要があります。事業用のETCカードを利用する際にどのように注意すべきなのか、詳しく確認していきましょう。
なお、先述したように登録車両以外は利用できないカードがある点にも注意してください。
領収書の代わりに利用明細を発行する
高速道路料金を経費として計上したいのならば、事業関連で利用したとわかる証明を残しておく必要があります。
高速道路料金を現金で支払うと領収書を受け取れますが、ETCカードで料金を支払うと基本的に領収書の発行がないため、不安に感じる方がいるかもしれません。しかし、利用明細書があれば経費として計上可能です。
クレジットカード会社発行のETCカードで料金を支払った際の利用の証明書類を管理したいときは、郵送で届く紙媒体の利用明細を残しておくとよいでしょう。Web明細での確認にしている場合は、会員専用のマイページから利用明細を印刷します。
そのほか、ETC利用照会サービスやETC利用履歴発行プリンターを利用して、利用明細を確認・発行する方法もあります。これらのうち、ETC利用照会サービスの利用にはユーザー登録が必要です。
ETC利用履歴発行プリンターを利用する場合には、高速道路の主要なパーキングエリアやサービスエリアで利用履歴を発行します。ただしこの場合、サービスエリア・パーキングエリアでETC利用履歴発行プリンターを利用しているときの走行分は、利用明細を出力できません。
ETC料金の仕訳
最後に、利用したETC料金の仕訳の仕方を解説します。ETC料金の仕訳で用いる勘定科目や仕訳例を確認しておきましょう。
仕訳に使う勘定科目
一般的に、ETC料金の仕訳で用いるのは「旅費交通費」です。企業によっては、「車両費」で仕訳するケースもあります。
旅費交通費とは、日々の業務でかかる交通費や出張の際の宿泊費などの費用に関する勘定科目です。旅費交通費とすることで、移動関連の支出をはっきりとさせられます。
一方、車両費とは自動車の維持・管理を目的とした経費に関する勘定科目です。車両費とすることで、ETC料金やガソリン代などをまとめて管理できます。ただし、車関係の経費の内容によっては消費税区分が異なるケースがあることに注意が必要です。
仕訳例
実際に経費として処理する際の仕訳例は、以下のとおりです。
<旅費交通費として計上した場合>
ETC利用時の仕訳例
| 借方 | 貸方 | 摘要 | |||
|---|---|---|---|---|---|
| 旅費交通費 | 5,000円 | 未払金 | 5,000円 | ETC利用分 | |
ETC利用分が口座から引き落とされた際の仕訳例
| 借方 | 貸方 | 摘要 | |||
|---|---|---|---|---|---|
| 未払金 | 5,000円 | 普通預金 | 5,000円 | ETC利用分の支払い | |
<車両費として計上した場合>
ETC利用時の仕訳例
| 借方 | 貸方 | 摘要 | |||
|---|---|---|---|---|---|
| 車両費 | 5,000円 | 未払金 | 5,000円 | ETC利用分 | |
ETC利用分が口座から引き落とされた際の仕訳例
| 借方 | 貸方 | 摘要 | |||
|---|---|---|---|---|---|
| 未払金 | 5,000円 | 普通預金 | 5,000円 | ETC利用分の支払い | |
このように、ETC料金を経費として仕訳する際には、ETCを利用してすぐの分と、その利用分が口座から引き落とされた際の2つのお金の動きがあります。これら2つのお金の動きがあったときに、それぞれ上記のように処理しましょう。
個人事業主も事業用ETCカードを活用しよう
プライベートでETCカードを利用している方も、事業用に別途ETCカードを作成するメリットがあります。
事業用のETCカードは、「ETCマイレージサービス」に登録して割引制度を受けられるようにすれば、個人用ETCカードで高速道路を利用するよりも高い割引率を適用可能です。また、ETCマイレージサービスでは、ポイントを利用して利用金額への充当や割引の適用ができます。開業してから間もない個人事業主であっても作れるタイプの事業用ETCカードがあるため、うまく利用するとよいでしょう。
今回ご紹介したメリットやETCカードの種類、注意点、経費精算のときの仕訳例などを参考にして、事業用ETCカードを活用してください。
マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例
データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。
ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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