- 更新日 : 2025年6月23日
ポテンシャルとは?意味や使い方、高い人の特徴、高めるコツをわかりやすく解説
「ポテンシャル」という言葉は、社員の自己実現と人事労務を起点とする企業利益拡大にチャンスをもたらすキーワードです。本記事ではポテンシャルの正確な意味とポテンシャル人材の特徴、採用・育成のコツをわかりやすく解説します。
目次
ポテンシャルとは?
「あの人のポテンシャルは高い」「彼のポテンシャルを引き出せれば」など、「ポテンシャル」という言葉を私たちは自然に使っています。しかし、そもそも「ポテンシャル」という言葉には本来どのような意味が込められているのでしょうか。あらためて考えてみます。
ポテンシャルの意味
ポテンシャル(potential)とは、英語で「潜在能力」を指します。つまり、現時点ではなく将来発揮・開花する能力のことです。ある人の適性・スキルが学習・訓練・経験を経ることにより高い実践的能力に達する可能性を意味しています。潜在能力の開発により本人は自己実現の幸福をかなえ、社会はその人の高い生産性・創造性の成果を享受することができます。
ポテンシャルの使い方
ポテンシャルという言葉には一般的にどのような使い方があるでしょうか。
「ポテンシャルを引き出す」「ポテンシャルを発揮する」「ポテンシャルが問われる」「ポテンシャルは未知数」など、日本語に応用されて様々な表現のバリエーションがあります。
これらの表現を用いる際、以下のような思考の流れが共通して見られます。
- これまでは高い能力の発揮を見ていない
- まだ明らかになっていない本当の能力があるはず
- 高い能力の発揮を期待する
ポテンシャルを使った例文
さらに具体的な例文のかたちで使い方を挙げてみます。
- 「君にポテンシャルがあるのはわかるが、何も実績を残せていないではないか」
- 「彼女がこんなことをやり遂げるとは、まったくポテンシャルを見くびっていた」
- 「彼はそこそこ有能だが、ポテンシャル以上に過大評価されている」
1.の例文では、本来高い能力を発揮できるはずなのに現状は満足できる成果を挙げていないという「がっかり感」が表明されています。現状と期待との格差に対する落胆です。
2.の例文は、想定外の高い能力を見届けて「意外性への賞賛」がされる場合です。過小評価と現実の「良い格差」に感嘆しています。
3.の例文は、本来の能力以上の現実の待遇に「違和感」が表明される場合です。自分が抱く能力の認識と第三者が抱く認識に格差を見出し、不平が述べられています。
すべてに共通して、一人の人間のなかに見られる能力の「格差」が述べられています。「ポテンシャル」という言葉を使うとき、私たちは1つの単純な能力ではなく「本来の能力」と「現実に評価されている能力」の2つの能力を同時に想定しているのです。
ポテンシャルとモチベーションの違い
ポテンシャルに似た言葉に「モチベーション」があります。
「あの新人はポテンシャルが高くて見込みがある」「あの新人はモチベーションが高くて見込みがある」など、どちらも人の将来性を評価するときに使うことがあります。将来の能力発揮が期待できるという観点では同様ですが、どういった部分に違いがあるのでしょうか。
端的にいえば、ポテンシャルは「潜在能力」、モチベーションは「動機づけ」に紐づくものです。潜在能力はまだ姿を見せていないものの、本人に秘められた客観的な能力です。それに対して動機づけとは、行動を促す力、特に行動を自発的に引き起こす力を指しています。「やる気」「意欲」といった主観的に形成されたエネルギーともいえるでしょう。したがって、刺激を受けて能力が高まる人材(ポテンシャル)と、自発的に能力を高めていける人材(モチベーション)という違いがあるのです。
- ポテンシャルが高い人:刺激を受けて能力が高まる人
- モチベーションが高い人:自発的に能力を高める人
ポテンシャルが高い人の特徴
どの企業もポテンシャルが高い人材が欲しいものです。ポテンシャルが高い人の特徴をつかむことができれば企業は将来性のある社員を発掘するヒントに、社員にとっては自己研鑽のヒントになるでしょう。ここではポテンシャルが高い人の特徴を考えます。
ポテンシャルが高い人は成長意欲が高い
ポテンシャルが高い人は成長意欲が高い傾向にあります。自分の能力をより高めたいというひたむきさが原動力になっています。そのために人以上に多くの経験をし多くを学び、新しいことに挑戦したいと考えるのです。また、成長意欲の高い人に対しては周囲も多くのチャンスを与えます。一方、成長意欲が乏しい人は与えられた仕事を日々無難にこなすことで満足してしまいます。それに対して成長意欲が高い人は、仕事を確実に覚えたらもっと仕事の幅を広げたいと考えるのです。その熱心な態度が実際にチャンスを引き寄せます。
ポテンシャルが高い人は自己分析をしている
ポテンシャルが高い人はただがむしゃらに前進する人ではありません。自己分析をして現在の自分のできること・できないこと、得意・不得意を把握する力があります。自己分析により、何に取り組めば効果的に自分を成長させられるかを理解しているのです。自分を分析して方向性を定められる冷静さが、成長の意欲とあいまって高い将来性を担保しています。
ポテンシャルが高い人は自己肯定感が高い
ポテンシャルが高い人が持っているのは高い自己肯定感です。ありのままの自分を認められる安定したメンタルがあります。精神的な安定感を持ち、失敗の不安に怯えることなく冷静沈着に目標に向かっていくのです。自分を認められる人の穏やかさは多くの他者から好感を持たれます。自己肯定感が低い人とは仕事の安定感が異なるのです。
例えとして、人を牽引していくような場面を考えると分かりやすいかもしれません。少々のリスクがある場面でも、自己肯定感が高い人は自信を持って指示を出します。そうすると指示を受けた人も自信をもって冷静に行動でき業務の完遂につながるのです。他方で自分に不安のある人からの指示は受ける方にも不安を与え、業務への集中が妨げられてしまいます。
ビジネスシーンでのポテンシャルの使われ方
ビジネスシーンで「ポテンシャル」が目立って使われるのは、人事評価や採用活動など人事関連の事柄が中心でしょう。「ポテンシャルが高い」と社員を形容するとき、また「ポテンシャル採用」という表現が登場するときの「ポテンシャル」の意味合いや利用シーンを探ります。
社員のポテンシャルが高いとは?
「ポテンシャルが高い人」とは、現在秘められた能力が将来的に開花することが見込まれる人のことでした。
では、これをビジネスシーンにあてはめてみましょう。「ポテンシャルが高い社員」とは、成長により現時点での成果と比べて格段に高い生産性で将来業務を行い企業に大きな利益をもたらしうる社員ということになります。
「ポテンシャルが高い」と言うとき、その言葉は若手の社員に向けられていることが多いでしょう。中堅・ベテランの社員であれば経験は長く、潜在能力があったならばすでに現実の生産性として明らかになり利益のかたちで企業に貢献しているはずだからです。
ポテンシャル採用
採用活動の場面でしばしば「ポテンシャル採用」という言葉が使われます。
ポテンシャル採用とは即戦力としての能力ではなく成長して将来発揮される能力、つまり素質を見込み採用することです。主に新卒・第二新卒採用における考え方で、やはり若手に向けられています。逆に通常の中途採用では即戦力や経験が重視されることが多いです。
日本の新卒採用では、長期の職業教育を受けた有資格者といった初めから即戦力となる新人を採用しようとする傾向が少ないといえます。本人の高いポテンシャルと社内教育との組み合わせで中長期的に高い生産性を上げる人材を獲得しようとする志向が強いのです。
社員のポテンシャルを引き出す方法やコツ
すべての企業にとって、社員のポテンシャルを確実に引き出して最大限の能力を発揮させることが理想です。社員のポテンシャルを引き出すのにはさまざまな方法やコツがありますが、ここでは特に重要な目標設定と教育研修に関して紹介します。
明確な目標設定をさせる
ポテンシャルを引き出すためには明確な目標を設定させることが大切です。ポテンシャルとはまさに「潜在的」なもので、いまだ形をなしていません。そのままでは将来何ができあがってくるのかが見えていないのです。ポテンシャルを内実のある実務能力に育てるには、自分が最終的に獲得すべき能力のイメージを明確にする必要があります。そこまでのプロセスも明らかにできるよう短期・中期の目標も定めていくこともまた望ましいでしょう。
適性を活かした教育研修を行う
ポテンシャルを引き出すためには教育研修による支援が重要です。ポテンシャルのある社員は自覚的に自己研鑽をします。しかし短い期間で高い実務能力を獲得させるためには、すでに企業が蓄積している業務ノウハウを積極的に提示して効率的に支援することが有効です。
また早い段階で当該社員の適性を見きわめて強みの部分を重点的に向上させていくことがポテンシャルの効率的な引き出し方といえます。
採用、面接時でのポテンシャルの確認方法
採用活動で応募者のポテンシャルを見抜ければ、未完の大器として貴重な人材を迎え入れることができます。ポテンシャルは応募書類に書かれた一般的なスペックでは計り知れないものです。採用面接時に応募者のポテンシャルをどのようにして確認すればよいでしょうか。
成長意欲を確認するには
ポテンシャルの重要要素である成長意欲を確認するためには、事業や業務の内容をよく理解しているか、またそれを前提にした自分の将来像・将来設計が描けているかについて質問するとよいでしょう。なぜなら成長意欲のある人は自分の成長像への思いが強く、成長像を組み立てるために応募する会社・部門の事業・業務に対し、強い関心を持っているはずだからです。「当社の事業領域」「3年後の自分」に関する質問などから探ります。
自己分析能力を確認するには
現時点の自分を客観的に理解できているかどうかを丁寧に聞いていくことが必要です。自己分析能力は「長所・短所」の質問や「周囲の人から見たあなた」に関する質問などに対し、明確で一貫しなるほどと思わせる答えが返ってくるかどうかで知ることができます。
安定した人格面を確認するには
自己肯定感に裏打ちされた安定した人格もポテンシャルの大切な要素になります。人格の安定性を確認するためには、まずコミュニケーション能力を確かめることが有効です。人格の安定した人はどことなく余裕があり、友好的なコミュニケーションに長けています。周囲への配慮ができ、社会人としてのマナーも付け焼き刃ではない自然さを感じさせるものです。単なる積極性にとどまらない余裕のあるコミュニケーション能力、まごころのあるマナーがあるかどうかを面接全体の過程から確かめます。
ポテンシャルの宝探しをしよう
人材育成や新人採用の場面でポテンシャルある人物を見出すことは宝探しに似ています。その後には粗削りな宝石を磨くわくわくするプロセスが待っています。眠っている能力に日の目を見させることは、企業の収益機会の創出であり社員にとっては人としての自己実現です。ポテンシャルある人物は人事の鑑識眼次第で発掘できます。ポテンシャル人材の特徴を知り採用・育成することは人事労務の腕の見せ所といえるでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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