• 更新日 : 2025年11月13日

発注書をワード(Word)で作成するには?テンプレートと作成法を解説

Excel(エクセル)とは異なり、Word(ワード)で発注書を作成すると、レイアウトの自由度が高く、印刷やPDF化が簡単という特徴があります。特に自動計算機能が不要な場合や、見た目を重視したい場合に適しています。

この記事では、Wordを使った発注書の作成方法や必須項目、テンプレートの活用まで、実務に役立つ情報をわかりやすく解説します。

Wordの発注書を使うメリットは?

Word(ワード)で発注書を利用する主な理由は、多くの人が操作に慣れており、レイアウトの調整が直感的にできる点にあります。

Excel(エクセル)のようにセルの結合や幅調整に悩まされることが少なく、会社ロゴ(画像)の挿入や、社印を押すスペースの調整、ヘッダーやフッター機能を使った共通情報(会社名や住所 など)の管理が簡単に行えます。

また、作成した文書は意図したとおりのレイアウトで印刷しやすく、PDF形式への変換も容易なため、取引先への送付にも適しています。

明細の品目数が少なく、複雑な自動計算を必要としない「簡易な発注書」であれば、Word(ワード)のテンプレートを活用するのが便利でしょう。

Excel(エクセル)テンプレートとの違いは?

発注書テンプレートにはWord(ワード)のほかに、Excel(エクセル)で作成したものも多くあります。どちらを選ぶかは、発注する内容によって判断しましょう。

Word(ワード)はデザイン性やレイアウトの自由度を重視する場合に適しています。一方、Excel(エクセル)は計算機能が強みです。品目が多く、数量と単価から自動で合計金額 を算出したい場合にはExcel(エクセル)が適しています。

Word(ワード)とExcel(エクセル)の比較

比較点Word(ワード)Excel(エクセル)
得意なことレイアウト調整、文章作成自動計算(SUM関数など)
操作感直感的、ワープロ感覚セル単位、表計算感覚
適した場面品目が少ない、デザイン重視品目が多い、金額計算必須

発注書(注文書)に必須の項目は?

発注書(注文書)には、取引の証拠として法的に求められる項目や、実務上トラブルを避けるために必要な記載事項があります。

特に「誰が」「誰に」「いつ」「何を」「いくらで」発注したかを明確に示す情報が不可欠です。

必ず記載すべき基本項目

発注書は、実質的に契約の申し込みを示す重要な書類です。また、消費税法上、発注書を仕入税額控除の要件を満たす「請求書等」として扱おうとする場合、以下の5項目が必要となります。

  1. 書類作成者の氏名または名称:発行者(自社)の会社名や屋号
  2. 取引年月日:発行日
  3. 取引内容:発注する商品名やサービス内容(品目、件名 など)
  4. 取引金額:合計金額 (税抜または税込を明記)
  5. 書類の受領者の氏名または名称:宛先(取引先)の会社名

参照:No.6625 適格請求書等の記載事項|国税庁

ただし、上記項目は適格請求書等(インボイス)の要記載事項であり、通常の発注書には直接の記載義務はありません。

発注書はあくまで買い手側が申込みの際に送付するのが原則であり、買手起票に適格請求書等(インボイス)の記載が必要となる特例(仕入明細書等)については別の論点となることには留意が必要です。

実務上必要な項目

上記の法的な要件に加え、実務上のやり取りをスムーズにし、トラブルを防ぐために以下の項目も盛り込みましょう。

  • タイトル:「発注書」 または「注文書」 であることを明確にします。
  • 発注番号 (No.):過去の取引と区別し、管理しやすくします。
  • 納期(納品予定日):いつまでに納品してほしいかを明記します。
  • 納品場所:どこに納品すべきかを指定します。
  • 支払条件:(例:翌月末締め、翌々月10日払い)など、支払いサイトを双方で確認します。
  • 明細:品目ごとの数量、単位、単価、合計金額を記載します。
  • 備考欄:その他、伝達事項があれば記載します。

Wordで発注書(注文書)を作る方法は?

Word(ワード)で発注書を作る方法は、主に「既存のテンプレートをダウンロードする」方法と「Wordの機能で自作する」方法の2つがあります。

ゼロから作るのは手間がかかるため、まずは無料テンプレートを探し、それを自社用にカスタマイズするのが最も効率的ではないでしょうか。

無料テンプレートをダウンロードする方法

Web上で「発注書 テンプレート Word 無料」や「注文書テンプレート 簡易」といったキーワードで検索すると、多くのビジネス文書サイトが見つかります。

これらのサイトから自社の業種や発注内容に合った雛形をダウンロードし、Word(ワード)で開いて会社名 や住所、連絡先 などを入力・修正します。

Word(ワード)でゼロから作成する手順方法

もし既存のテンプレートで合うものがない場合は、Word(ワード)の機能を使って自作も可能です。

  1. 新規文書とページ設定
    Word(ワード)を開き、「白紙の文書」を選択します。「レイアウト」タブで、用紙サイズ(通常はA4)と余白を設定しましょう。
  2. ヘッダーの配置
    「挿入」タブから「ヘッダー」を選び、自社のロゴや会社名、住所、電話番号 などを入力します。ヘッダーに入れると、2ページ目以降にも自動で表示されます。
  3. 宛先の入力
    本文の左上に、取引先の会社名 と部署名 などを記載し、末尾に「御中」 をつけます。
  4. タイトルの挿入
    中央または右上に、大きなフォントで「注文書」 または「発注書」 と明確に記載します。
  5. 基本情報(発行日・番号)
    タイトルの下に、発行日 や発注No. を記載する欄を設けます。右揃えにすると収まりが良いでしょう。
  6. 件名・合計金額
    取引内容を簡潔に示す「件名」 や、最終的な「合計金額」 を記載する欄を設けます。
  7. 挨拶文と納品条件
    「以下のとおり発注いたします。」 といった定型文を入れます。その下に、「表の挿入」機能を使って、納品予定日、納品場所、支払条件 などをまとめた表を作成します。
  8. 明細表の作成
    「挿入」タブの「表」機能を使い、発注内容の詳細(商品コード、品目、数量、単位、単価、合計 など)を記載する表を作成します。
  9. 備考欄と発行者情報
    表の下に「備考」 欄を設け、特記事項があれば記載できるようにします。最後に、文書の発行者として、再度自社の住所、会社名、担当部署名 などを記載し、捺印スペースを確保します。

発注書(注文書)テンプレート利用時の注意点は?

発注書テンプレートを使用する際は、必須項目が漏れていないかの確認、Wordのバージョン互換性、そして法的な有効性に注意する必要があります。

テンプレートはあくまで雛形であり、自社の取引実態に合わせて修正しないと、後でトラブルの原因になる可能性があります。

印紙は必要ですか?

発注書(注文書)は、基本的に印紙税法上の課税文書には該当しないため、収入印紙を貼る必要はありません。

ただし、例外もあります。例えば、工事請負契約や物品加工の注文書などで、発注書と請書が揃って契約成立が証明されるような場合、その発注書(または注文請書)が「請負に関する契約書」(第2号文書)とみなされ、記載金額に応じて印紙が必要になるケースがあります。

判断に迷う場合は、税務署や税理士に確認するのが確実です。

参照:No.7102 請負についての契約書|国税庁

Wordファイルのまま送ってもよいですか?

Wordファイル(.docx形式)のままメール添付などで送付することは、避けた方がよいでしょう。

理由は、相手方が使用しているWord(ワード)のバージョンや設定、OS(WindowsやMac)の違いによって、レイアウトが崩れて表示される可能性があるためです。また、受け取った側が内容を簡単に編集できてしまうため、改ざんのリスクも伴います。

Word(ワード)で発注書を作成したら、「名前を付けて保存」または「エクスポート」機能を使って、PDF形式に変換してから送付するのがビジネスマナーです。

発注請書(注文請書)との関係

発注書は、自社(買い手)から取引先(売り手)への「購入の申し込み」の意思表示です。

これに対し、取引先が内容に合意したことを示すために発行するのが「発注請書(注文請書)」です。この請書が買い手に届いた時点で、双方の合意がなされたとみなされ、法的な契約が成立します。

発注書は送りっぱなしにせず、必要に応じて請書を返送してもらうようにしましょう。

Word以外に良いテンプレートはありますか?

Word(ワード)以外では、計算機能に優れたExcel(エクセル)テンプレートや、クラウドサービス上で利用できるテンプレートがあります。

取引の頻度、品目の多さ、管理の手間をふまえて、自社に最適なツールを選ぶことが業務効率化につながります。

クラウド型サービス(請求書発行システム)

マネーフォワード クラウドなどのクラウド型会計ソフトや請求書発行サービスにも、発注書(注文書)の作成機能が含まれていることがあります。

これらのサービスでは、一度作成した見積書から発注書へ、さらに納品書・請求書へとデータを連携できるため、転記ミスがなくなり業務全体が効率化されます。外出先からスマートフォンで作成・承認・送付が完結できる点も魅力です。

参照:「発注書」は、作成できますか?|マネーフォワード クラウド請求書(FAQ)

GoogleスプレッドシートやGoogleドキュメント

Googleが提供する無料のGoogle Docsでも発注書に使えるテンプレートがあります。

GoogleスプレッドシートはExcel(エクセル)に似た操作感です。

最大のメリットは、クラウド上で作成・保存されるため、PCが壊れてもデータが消えず、複数の担当者で共有・同時編集が可能な点です。

テンプレートを選ぶ際のポイント

無料テンプレートを選ぶ際は、以下の点を確認しましょう。

  1. 項目の過不足
    自社の取引に必要な項目(納期、支払条件、発注No. など)が揃っているか。逆に、不要な項目が多すぎないか。
  2. レイアウト
    自社のロゴや社印を押すスペースが十分にあるか。明細欄 の行数は足りているか。
  3. 汎用性
    特定の業種に特化しすぎていないか(「シンプル」「簡易」なものがカスタマイズしやすいです)。

Word(ワード)テンプレート活用で発注書作成を効率化

Word(ワード)の発注書テンプレートは、操作の容易さとレイアウトの自由度、印刷やPDF変換のしやすさが魅力です。無料テンプレートを活用し、自社のロゴや必要な項目を追加するだけで、見やすい発注書をすばやく作成できます。

Excel(エクセル)の計算機能が不要な場合や、デザインを重視したい場合に特に適しているでしょう。作成したWordファイルは、改ざん防止とレイアウト崩れを防ぐため、PDFに変換してから取引先に送付するのがビジネスマナーです。自社の業務フローに合ったテンプレートを選び、日々のバックオフィス業務を効率化しましょう。


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