• 更新日 : 2025年12月11日

合同会社設立時の領収書は払込証明書として使える!宛名の書き方や設立後のルールも解説

合同会社領収書には、設立時に法務局へ提出する「出資金の払込証明書」と、設立後に経費精算で使う一般的な「領収書」の2種類があります。特に設立時の払込証明書は一般的な領収書とは異なり 、資本金が払い込まれたことの証明として設立登記に必要な書類です。

この記事では、合同会社設立時に法務局へ提出する出資金の払込証明書の作成方法から、日常業務で扱う領収書の正しい宛名の書き方、印鑑や収入印紙のルールまで詳しく解説します。

合同会社の領収書は設立時と設立後で意味が異なる

合同会社の領収書という言葉は、使われる場面によって主に二つの異なる書類を指します。

  1. 設立時の領収書:出資金の払込証明書
    資本金が払い込まれたことを証明する書類です。一般的な領収書とは異なり、合同会社の設立登記のために法務局へ提出します。
  2. 設立後の領収書:日々の経費・売上の領収書
    日々の事業活動において、経費を支払った際に受け取るもの、または売上代金を受け取った際に発行する、一般的な領収書を指します。これらは、決算時に貸借対照表損益計算書といった会計帳簿を作成する上で重要な証憑です。
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合同会社設立時の領収書(=出資金の払込証明書)とは?

合同会社設立時に「領収書」と呼ばれるのは、正確には「出資金の払込証明書」という書類です。これは、社員(出資者)が資本金を確かに払い込んだことを証明するもので、設立登記のために法務局へ提出する必須書類の一つです。

会社設立時には、まだ合同会社の法人口座は存在しません。そのため、代表社員個人の銀行口座に各社員が出資金を振り込み、振り込まれた事実を証明するために、代表社員が払込証明書を作成します。

一般的な領収書と払込証明書の違いは?

払込証明書は資本金を証明する書類、一般的な領収書は経費や売上を証明する書類であり、目的・発行者・提出先が異なります。

領収書は「商品やサービスの対価として金銭を受領した」証明であるのに対し、払込証明書は「会社の資本金(出資金)として金銭を預かった」証明です。

項目一般的な領収書出資金の払込証明書
目的経費精算、取引の証明設立登記
(資本金が払い込まれた証明)
発行者商品・サービスの提供者(取引先)合同会社の代表社員
提出先自社(経理)、税務調査法務局
金銭の性質経費、売上出資金(資本)
印紙5万円(税抜)以上で必要不要

合同会社設立時の払込証明書を作成する流れは?

払込証明書は、必要事項を記載した文書と、出資金の入金が確認できる通帳コピーを合綴して作成します。法律で定められた決まった書式はありませんが、テンプレートを参考にすると簡単に作成できます。

  1. 代表社員個人の銀行口座を準備する
    法人口座はまだないため、発起人となる代表社員の個人口座を使います。
  2. 出資金を払い込む
    全社員が出資額を振り込みます。
    ※必ず振込や預入の履歴が記帳されることが重要です。単なる残高証明では認められません。
  3. 通帳のコピーを取る
    銀行名・支店名・口座番号・口座名義人がわかるページ(通帳の表紙裏など)と、入金履歴が記帳されたページをコピーします。
  4. 払込証明書を作成する
    テンプレートを参考に、Word(ワード)などで文書を作成します。
  5. 製本し、押印する
    「払込証明書(本書)」「通帳の表紙裏コピー」「通帳の入金履歴ページコピー」の順に重ねてホチキスで左側を2箇所留めます。そして、全ページの見開き(綴じ目)にまたがるように、合同会社の印鑑(法務局に登録する「会社実印」)で契印を押します。

合同会社設立時の払込証明書の書き方・記載例は?

以下のリンクから、合同会社設立時の払込証明書の記載例をダウンロードできます。ご自身の会社情報に書き換えてご使用ください。

合同会社設立後に領収書を受け取る場合の確認事項は?

合同会社が設立され事業が始まると、日々の経費精算のために領収書を受け取る機会が増えます。その際、税務調査などで「私的な支出ではないか」と疑われないよう 、領収書の「宛名」と「但し書き」を正しく記載してもらうことが重要です。

宛名の書き方

合同会社が経費として計上するために受け取る領収書は、宛名を「合同会社〇〇」と正式名称で記載してもらうことが原則です。

設立が完了し事業が始まると、日々経費としての領収書を受け取ることになります。宛名が「上様」や「代表社員の個人名」、あるいは「空欄」の場合、税務調査で「会社の経費ではなく、個人の私的な支出ではないか?」と疑われる原因になります。会社の経費であることを明確にするため、必ず正しい法人名を記載してもらいましょう。

  • 良い例:「合同会社〇〇 様」
  • 悪い例:「上様」、「〇〇 〇〇(個人名)様」、「空欄」

なお、小売業、飲食店、タクシーなど不特定多数を相手にする業種から受け取るレシート(インボイス制度下では「適格簡易請求書」)は、宛名の記載がなくても問題ありません。

但し書きの書き方

但し書きは「お品代として」を避け、「消耗品費として」「会議費(飲食代)として」など、支出の目的が具体的にわかる内容を記載してもらいます。

「お品代」では何を購入したのか分からず、経理処理(勘定科目の仕分け)ができません。税務調査でも使途不明金として扱われるリスクがあります。もし「お品代」としか書かれなかった場合は、領収書の余白に自分で「(例)〇〇社様進物代」「(例)事務用ボールペン代」などと具体的に追記しておきましょう。

合同会社設立後に領収書を発行する場合のルールは?

次に、自社(合同会社)がお客様へ領収書を発行する側のルールを解説します。

収入印紙(印紙税)

合同会社が売上代金として領収書を発行する場合、税抜5万円以上の取引であれば「収入印紙」の貼付と消印が義務付けられています。

領収書に「〇〇円(うち消費税額〇円)」のように消費税額が明記されていれば、「税抜金額」で5万円以上かを判断します。例えば、税抜4万8千円(税込5万2800円)の場合は、税抜金額が5万円未満なので印紙は不要です。

金額ごとの印紙税額
  • 5万円未満:非課税(印紙不要)
  • 5万円以上 100万円以下:200円
  • 100万円超 200万円以下:400円

領収書に「〇〇円(うち消費税額〇円)」と消費税額が明記されていれば、「税抜金額」で5万円以上かを判断します。例えば、税抜4万8千円(税込5万2800円)の場合は、印紙は不要です。

貼り付けた印紙と領収書の台紙にまたがるように、印鑑(会社の角印や代表社員の認印)または署名で押します。これを忘れると印紙税を納めたことになりません。

参考:No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁

印鑑(角印)の役割

領収書に押す会社の角印は、その領収書が確かに自社によって正式に発行されたことを証明する慣習上の役割を持ちます。

法律(税法)上の必須要件ではありませんが、日本のビジネスでは角印が押されていることで領収書の信頼性が高まります。社内の経理規定などで自社のルールとして定めておくと良いでしょう。

合同会社設立後に領収書を保存する上でのルールは?

受け取った領収書や、発行した領収書の控えは、法律で定められた期間、適切に保存する義務があります。

保存期間は原則7年間

法人税法上、領収書や請求書などの帳簿書類は、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存する必要があります。

欠損金(赤字)が生じた事業年度は、保存期間が10年間に延長される場合があります。

参考:No.5930 帳簿書類等の保存期間|国税庁

電子帳簿保存法への対応が必要

近年は、電子帳簿保存法への対応がすべての事業者に求められています。

  • 電子取引:メールやWebサイト経由で受け取ったPDFの領収書など、電子データで受領した取引情報は、紙に印刷して保存するのではなく、電子データのまま所定の要件(検索要件の確保など)を満たして保存しなければなりません。
  • スキャナ保存:紙で受け取った領収書も、一定の要件を満たせば、スキャンして電子データとして保存することが認められています(紙の原本を破棄することも可能になります)。

参考:電子帳簿保存法とは?2024年からの改正内容・対象書類を簡単に解説

合同会社の払込証明書や領収書について正しく理解しよう

合同会社の領収書には、設立時に法務局へ提出する「払込証明書」と、設立後の日々の業務で扱う「経費・売上の領収書」の二つの側面があります。

設立時の払込証明書は、通帳コピーと合綴し、会社実印で契印を押すという特殊なルールがあります。

設立後の日常業務では、税務申告の根拠となる重要な書類です。経費として受け取る際は宛名を「合同会社〇〇」と正しく記載してもらい 、売上として発行する際は税抜5万円以上で収入印紙を貼付・消印するルール  を守ることが重要です。

また、受け取った領収書は原則7年間の保存義務があり、電子帳簿保存法に則った管理も求められます。本記事の内容を参考に、設立時から設立後まで、領収書の適切な処理と管理を徹底してください。


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