- 作成日 : 2026年7月16日
個別契約書とは?基本契約書との違い・労働者派遣個別契約書についても解説
個別契約書とは、基本契約書を前提に案件ごとの業務内容・金額・納期などを定める契約書です。
- 基本契約書は共通ルール、個別契約書は案件別条件
- 派遣では法令に基づく記載項目が必要
- 関連書類は派遣終了日から3年保管が目安
Q. 個別契約書と基本契約書の違いは?
A. 基本契約書が継続取引全体の共通ルールを定めるのに対し、個別契約書は発注ごとの業務内容・金額・納期などの具体条件を定めます。
個別契約書とは、基本契約で定めた共通ルールを前提に、個々の取引内容や業務条件を定める契約書です。継続取引や人材派遣などで使われ、案件ごとの数量、納期、契約期間などを明確にする役割があります。
本記事では、個別契約書とは何か、基本契約書との違い、記載事項などを解説します。
目次
個別契約書とは?
個別契約書とは、特定の取引や案件ごとの条件を明文化する契約書です。基本契約書が継続取引全体の共通ルールを定めるのに対し、個別契約書は実際に発生する一つひとつの取引条件を定めます。
個別契約書は案件ごとの条件を明確にする契約書
個別契約書は、個々の案件について「何を、いつまでに、いくらで、どのように提供するか」を定める書類です。システム開発であれば開発範囲、納期、検収方法、報酬額などを記載します。
個別契約書を作成する理由は、当事者間の認識違いを防ぐためです。口頭やメールだけで条件を決めると、後から「どこまでが業務範囲だったのか」「追加費用は発生するのか」といった争いが起こりやすくなります。個別契約書に条件を残しておけば、契約内容を客観的に確認できます。
継続取引や反復取引で使われる
個別契約書は、同じ相手と継続して取引する場合に使われることが多い契約書です。基本契約書で共通ルールを定めたうえで、案件ごとの条件を個別契約書で補う形です。
たとえば、毎月商品を発注する取引、継続的な業務委託、派遣社員の受け入れ、制作物の発注、保守運用業務などで利用されます。共通条件と案件別条件を分けることで、契約管理の負担を抑えながら、取引ごとの条件を正確に残せます。
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個別契約書と基本契約書の違いは?
個別契約書と基本契約書の違いは、定める範囲にあります。基本契約書は継続取引全体に共通するルールを定め、個別契約書は個々の発注や案件の条件を定めます。
両者は対立する契約書ではなく、組み合わせて使う書類です。継続取引では両方を使い分ける設計がよく採られます。
基本契約書は共通ルールを定める契約書
基本契約書は、継続的な取引に共通して適用される条件を定める契約書です。秘密保持、支払条件、損害賠償、契約解除、反社会的勢力の排除、知的財産権、管轄裁判所など、毎回変わりにくい条項をまとめて定めます。
基本契約書を締結しておくと、個々の取引で同じ条項を繰り返し確認する手間を減らせます。ただし、基本契約書だけでは、案件ごとの金額、納期、数量、作業内容などを十分に定められない場合があります。
個別契約書は取引ごとの具体条件を定める契約書
個別契約書は、基本契約書を前提に、実際の発注や案件の詳細条件を定める契約書です。納品物、作業期間、報酬、納品日、検収期限、担当範囲などを記載します。
個別契約書の内容が曖昧だと、基本契約書があっても実際の取引内容を判断しにくくなります。案件単位で争点になりやすい条件は、個別契約書に落とし込むことが大切です。
個別契約書の記載事項は?
個別契約書には、案件ごとの取引条件を具体的に記載します。主な記載項目は以下のとおりです。
- 契約当事者: 法人名、所在地、代表者名、担当部署などを記載し、誰と誰の契約かを明確にします。
- 対象となる取引や案件: どの案件に関する契約かを示します。基本契約書がある場合は、契約名や締結日も記載します。
- 業務内容や納品物:作業内容、成果物、納品形式、納品期限、修正対応の範囲などを具体的に定めます。
- 契約期間: 開始日、終了日、更新の有無、中途解約の扱いを記載します。
- 報酬と支払条件: 報酬額、支払期限、支払方法、消費税の扱いを明記します。
- 追加費用の扱い: 仕様変更、追加修正、出張費などが発生する場合の請求条件を定めます。
労働者派遣の個別契約書とは?
労働者派遣の個別契約書とは、派遣元事業主と派遣先企業が、個々の派遣就業について条件を定める契約書です。派遣社員を受け入れる際の業務内容、就業場所、派遣期間、指揮命令者などを明確にします。
一般的な個別契約書と異なり、労働者派遣では労働者派遣法などの関連法令を踏まえた記載が必要です。
労働者派遣個別契約書は派遣就業の条件を定める
労働者派遣個別契約書は、派遣元と派遣先の間で、派遣される業務の内容や就業条件を定める契約書です。業務内容、就業場所、組織単位、指揮命令者、派遣期間、就業日、就業時間、休憩時間、苦情処理体制などを記載します。
派遣契約では、派遣先が派遣社員に業務上の指揮命令を行います。そのため、誰が指揮命令者になるのか、どの部署でどの業務を行うのかを明確にする必要があります。
参考:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律|e-GOV
労働者派遣個別契約書は誰が・いつ作成する?
労働者派遣個別契約書は、派遣元事業主と派遣先企業が、派遣就業ごとの条件を確認するために作成する契約書です。一般的には派遣会社が作成し、派遣先企業が内容を確認したうえで、派遣就業が始まる前に締結します。
一般的に派遣会社が作成する
労働者派遣個別契約書は、一般的には派遣元である人材派遣会社が作成します。派遣契約は、派遣会社と派遣先企業の間で結ばれる契約であり、派遣社員本人と派遣先企業が直接契約するものではありません。
ただし、派遣会社だけで内容を決められるわけではありません。派遣先企業は、業務内容、就業場所、就業日、就業時間、指揮命令者、派遣先責任者、受け入れ部署などの情報を派遣会社へ伝える必要があります。派遣会社はその情報をもとに、法令上必要な項目を整理して個別契約書を作成します。
派遣就業開始前に作成する
労働者派遣個別契約書は、派遣社員が実際に就業を始める前に作成・締結します。就業開始後に契約内容を整える運用では、業務内容や勤務条件が曖昧なまま派遣社員を受け入れることになり、契約外業務の依頼や労働時間管理の不備につながるおそれがあります。
派遣先企業は、受け入れ開始前に記載内容を確認し、実際の勤務実態とずれがないかを見ておくことが大切です。契約書上の業務内容と現場で依頼する業務が異なる場合、契約書の修正や派遣会社との再確認が必要になります。
労働者派遣個別契約書の記載事項は?
労働者派遣個別契約書には、派遣就業ごとの業務内容や就業条件を記載します。主な記載項目は以下のとおりです。
- 派遣期間: 派遣就業の開始日と終了日を記載します。契約更新の有無や更新時の確認方法も整理します。
- 就業場所: 派遣社員が実際に勤務する事業所、部署、所在地などを記載します。
- 業務内容: 担当する業務の内容を具体的に記載します。契約外の業務を依頼しないよう、範囲を明確にします。
- 就業日・就業時間・休憩時間: 勤務する曜日、始業・終業時刻、休憩時間を記載します。残業や休日勤務の扱いも確認します。
- 組織単位:派遣社員を受け入れる部署や課など、派遣期間制限の管理に関わる単位を記載します。
- 派遣先責任者・指揮命令者:派遣先で契約管理を行う責任者と、日常業務の指示を出す担当者を明記します。
- 苦情申し出先:派遣社員からの相談や苦情に対応する派遣先・派遣元の担当窓口を記載します。
- 派遣人数: 受け入れる派遣社員の人数を記載します。個人名を記載する書類ではない点に注意します。
労働者派遣個別契約書と抵触日の通知書はどう違う?
労働者派遣個別契約書と抵触日の通知書は、作成者と目的が異なります。個別契約書は派遣就業の条件を定める契約書で、抵触日の通知書は派遣先企業が派遣可能期間の制限に関する日付を派遣会社へ知らせる書類です。
【労働者派遣個別契約書】派遣会社と派遣先企業の契約内容を定める書類
労働者派遣個別契約書は、派遣元である人材派遣会社と派遣先企業が、個々の派遣就業について条件を確認するための書類です。主に、派遣期間、就業場所、業務内容、就業日・就業時間、指揮命令者、派遣先責任者、苦情申し出先、派遣人数などを記載します。
一般的には人材派遣会社が作成し、派遣先企業が内容を確認します。派遣社員本人と派遣先企業が直接結ぶ契約書ではないため、派遣社員を個人名で指定する書類ではありません。
【抵触日の通知書】派遣先企業が派遣会社へ通知する書類
抵触日の通知書は、派遣先企業が人材派遣会社に対して、事業所単位の派遣可能期間に抵触する日を知らせるための書類です。厚生労働省の資料でも、派遣可能期間の制限に抵触する最初の日を派遣元に通知せずに、労働者派遣契約を締結してはならないとされています。
通知する内容は、主に事業所名、事業所所在地、事業所抵触日です。通知方法は、書面交付、FAX、電子メールなどが想定され、口頭だけで済ませる運用は避けるべきです。
両者は派遣受け入れ前にそろえて確認する
労働者派遣個別契約書と抵触日の通知書は、どちらも派遣社員の受け入れ前に確認する書類です。個別契約書は就業条件を明確にし、抵触日の通知書は派遣可能期間の管理に使います。
派遣先企業は、抵触日の通知書を作成して派遣会社へ通知したうえで、個別契約書の内容が実際の受け入れ条件と合っているかを確認します。契約内容と派遣期間の管理を分けて整理することで、契約外業務や期間制限の見落としを防ぎやすくなります。
労働者派遣個別契約書を作成する際の注意点・保管期間は?
労働者派遣個別契約書を作成する際は、契約書の内容と実際の就業実態を一致させる必要があります。記載内容が曖昧なまま派遣社員を受け入れると、契約外業務、指揮命令系統の混乱、派遣期間の管理漏れにつながるおそれがあります。
業務内容や就業場所を曖昧にしない
労働者派遣個別契約書では、派遣社員に任せる業務内容や就業場所を具体的に記載します。「事務業務全般」「関連業務」などの広い表現だけでは、どこまで依頼できるのかが分かりにくくなります。
実際の勤務場所、所属部署、担当業務、使用するシステムなどを整理し、契約書上の内容と現場での指示がずれないようにします。
指揮命令者や派遣先責任者を明確にする
労働者派遣では、派遣先が日常業務の指示を行います。誰が指揮命令者なのか、誰が派遣先責任者なのかを明確に記載します。
担当者が曖昧だと、派遣社員への指示系統が乱れたり、苦情やトラブル発生時の対応が遅れたりします。異動や組織変更がある場合は、契約内容の見直しも必要です。
労働者派遣個別契約書は契約期間中、関連書類は3年間を目安に保管
労働者派遣個別契約書そのものは、法律で「何年間保管しなければならない」と明確に定められているわけではありません。ただし、契約内容を確認するため、少なくとも契約期間中は保管しておくべきです。
また、派遣先管理台帳は、派遣就業が終了した日から3年間の保存が必要です。個別契約書も、派遣先管理台帳、抵触日の通知書、就業条件に関する書類などと一緒に確認する場面があるため、実務上は派遣終了日から3年間を目安に保管すると管理しやすくなります。
紙で保管する場合は派遣先・派遣期間ごとに整理し、電子データで保管する場合は契約名、派遣期間、派遣先名で検索できる状態にしておきます。
労働者派遣個別契約書に押印・収入印紙は必要?
労働者派遣個別契約は、押印がなくても双方の合意があれば契約として成立します。ただし、合意の証拠を残すため、実務では押印または電子署名で締結する運用が一般的です。収入印紙については、労働者派遣契約書は請負契約書などの課税文書に該当しないため、通常は貼付不要とされています。
押印は必須ではないが、合意の証拠として残す
契約は当事者の合意で成立するため、労働者派遣個別契約書に押印がないだけで直ちに無効になるわけではありません。ただし、派遣会社と派遣先企業が条件に合意した証拠として、押印や電子署名を残す運用が安全です。
電子契約でも締結できる
労働者派遣個別契約書は、電子契約で締結することも可能です。電子署名を使えば、締結日、契約当事者、契約内容を記録しやすくなります。紙で締結する場合も電子契約の場合も、契約書、派遣先管理台帳、抵触日の通知書などを後から確認できますが、電子契約のほうが検索の容易性の点などで優れているといえます。
収入印紙は通常貼付しない
労働者派遣個別契約書には、通常、収入印紙を貼る必要はありません。印紙税では請負契約書などが課税文書になりますが、労働者派遣契約は請負ではなく、派遣元が労働者を派遣し、派遣先が指揮命令する契約です。国税庁は継続的取引の基本となる契約書の範囲を示していますが、労働者派遣契約は通常これに当たりません。
個別契約書を正しく使い、取引条件を明確に
個別契約書とは、案件ごとの取引条件を定める契約書です。基本契約書が継続取引全体の共通ルールを定めるのに対し、個別契約書は業務内容、金額、納期、契約期間、責任範囲などを明確にします。労働者派遣、売買など、契約類型によって記載すべき内容は異なります。基本契約書との矛盾を避け、電子契約や保管方法も含めて整備すれば、取引トラブルの予防につながります。
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