• 更新日 : 2026年7月14日

PDCAのやり方とは?うまく回らない原因や対策も解説

Point PDCAをうまく回すコツは?

PDCAは1周で終えず、繰り返すことで成果が積み上がります。

  • 目標:数値と期限を明文化する
  • 検証:結果と狙いの差を必ず確認する
  • 改善:次の計画に行動として落とし込む

各フェーズの「質」と継続性が業務改善の精度を高めます。

PDCAは各フェーズの質とサイクルの継続で成果が変わる手法です。中小企業の経営者や業務改善を任されたバックオフィス担当者に向けて、4フェーズの役割や、うまく回らない原因と対策、現場での活用例まで解説します。

PDCAの仕組みとは?やり方の基本を押さえる

PDCAサイクルは、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(検証)→ Action(改善)の4フェーズを繰り返して業務を改善する枠組みです。品質管理の現場から広まった考え方で、現在では業種や規模を問わず経営改善や業務効率化に活用されています。

PDCAのやり方を押さえるには、まず各フェーズがどんな役割を担っているかを整理しておくと理解が早まります。

4つのフェーズの役割を整理する

各フェーズには、目標達成に至るまでの段階ごとの役割があります。

フェーズ 目的 主なアクション
Plan(計画) 目標と達成手段を決める 数値目標の設定、スケジュール策定
Do(実行) 計画に沿って行動する タスクの実施、記録の蓄積
Check(検証) 結果と計画のギャップを分析する 数値の比較、原因の特定
Action(改善) 次のサイクルに改善策を反映する 手順の修正、新たな目標設定

ここで押さえておきたいのは、PDCAは「一度回して終わり」ではないという点です。1回目のサイクルで得た学びを2回目のPlanに反映することで、繰り返すたびに精度が高まっていきます。

改善の「繰り返し」が成果を生む

サイクルが1周で止まると、PDCAは効果につながりません。

たとえば、営業チームが「月間売上10%増」を目標にPlanを立て、Doで新規顧客へのアプローチを実行したとします。Checkで「実際の増加率は3%だった」とわかっても、次のActionやPlanにつながらなければ改善は進みません。2周目で「アプローチ先の業種を変更する」「提案資料を改良する」といった修正を加え、3周目でさらに検証することで、目標達成に近づきやすくなります。

成果に差が出るのは、サイクルの回数と各フェーズの「質」にかかっています。1周あたりの期間を短めに設定し、素早く検証と改善を繰り返すと効果が出やすいでしょう。

どのような場面でPDCAが活躍するか

PDCAは数値で振り返れる業務であれば、テーマを問わず取り入れやすい手法です。

中小企業基盤整備機構の経営ハンドブックでも、PDCAは生産性向上や継続的な改善に欠かせない取り組みとして紹介されています。中小企業の現場でPDCAが活用されているシーンには、以下のようなものがあります。

  • 売上・利益の改善:営業活動や販促施策の見直し
  • 業務効率化・コスト削減:定型業務の手順見直し、経費の圧縮
  • 品質管理・サービス改善:製造工程や接客対応の標準化
  • 採用・人材育成:研修プログラムや評価制度の改善
  • 新規事業・商品開発:仮説検証の繰り返しによる磨き上げ

いずれの場面でも、目標を数値で測れる形にして、サイクルを回し続けることが成果を引き出すコツです。次章からは、4つのフェーズで何をどこまでやればよいかを順に見ていきましょう。

参照:PDCAサイクルを回すことで生産性を高める|中小企業基盤整備機構 J-Net21

PDCAのやり方を4ステップで押さえる

PDCAを実務で回すには、各フェーズで何をどこまでやるかを明文化しておくことが、サイクル継続の分かれ目になります。フェーズごとの行動があいまいだと、サイクルが途中で止まりやすくなるためです。ここでは「請求書処理の時間短縮」という共通テーマで、4つのフェーズがどのように進むかを順に見ていきましょう。

Plan:数値目標と期限を設定する

Planで意識したいのは、目標を「定量的」に設定することです。

「売上を伸ばす」「コストを下げる」だけでは、後のCheckフェーズで達成度を測れません。目標設定には、以下の要素を盛り込みましょう。

  • 数値目標:「月間売上を前月比15%増にする」「経費を月5万円削減する」など
  • 達成期限:「3か月後まで」「今期末まで」と明確な期日を設ける
  • 行動計画:目標達成のために、誰が・いつ・何をするかを決める
  • KPI(Key Performance Indicator:最終目標までの進捗を測る中間指標):途中経過を測る指標を決めておく

たとえば、バックオフィスで毎月20時間かかっている請求書処理を「月10時間に短縮する」と設定したケースを考えてみましょう。KPIとして「1件あたりの処理時間を現状の15分から10分に短縮」「3か月以内に達成」と定めておくと、進捗を追いやすくなります。

Do:計画どおりに実行し記録を残す

Doで意識したいのは、計画への忠実さと記録を残すことです。

計画を立てたものの、実行段階でアレンジを加えすぎるケースがあります。こうなると後のCheckで「計画が悪かったのか、実行がずれたのか」の判断がつきません。まずはPlanどおりに動き、結果を数字で残しましょう。記録の取り方として、以下のような方法が挙げられます。

  • Googleスプレッドシート(Excel)にタスクの実施日・所要時間・成果を記入する
  • プロジェクト管理ツール(Backlog、Asanaなど)でタスクの進捗を可視化する
  • 日報やチャットツールで、実施内容と気づきを共有する

先ほどの請求書処理のケースでいえば、1件ごとに「処理日時・所要時間・取引先区分・つまずいた点」を日次でスプレッドシートに残しておくと、Check時に「どの工程に時間がかかっているか」を分析しやすくなります。記録が残っていないと、サイクルが止まる要因になりやすいでしょう。

Check:数値で計画と結果のギャップを分析する

Checkは、Planで設定した数値目標と実績を突き合わせるフェーズです。

PDCAのなかで最も形骸化しやすいフェーズでもあるため、意識的に時間を確保しましょう。検証の際に確認したい項目は以下のとおりです。

  • 目標と実績の差異:「目標15%増に対し、実績は8%増だった」など
  • 差異の原因:外部要因(市場変動、季節性)か、内部要因(実行漏れ、リソース不足)か
  • うまくいった施策と、効果が薄かった施策の切り分け

請求書処理の例を続けると、1か月後の実績が「合計15時間」だった場合、目標との差は5時間です。Doで残した記録を確認すると「新規顧客の請求書だけ平均20分かかっている」と判明すれば、原因の所在が見えてきます。差異の原因が特定できれば、次のActionで的を絞った改善策に進めるでしょう。

Action:改善策を次のPlanに反映する

Actionでは、Checkの結果をふまえて「次のサイクルで何を変えるか」を決めます。

改善策は、以下のようなパターンに分けて考えられます。

  • 継続:効果があった施策はそのまま次のサイクルでも続ける
  • 修正:一定の効果はあったが、やり方を微調整して精度を上げる
  • 中止・変更:効果が薄かった施策を止め、別のアプローチに切り替える

請求書処理の例では、Checkで見つかった「新規顧客の処理時間が長い」という課題に対して、「新規顧客用の請求書テンプレートを別途用意する」のような修正パターンの改善策を立て、次のPlanに組み込みます。Actionで決めた改善策をそのまま次のサイクルに反映することで、改善が積み重なっていきます。Actionを「感想を述べて終わり」にすると、次のサイクルで同じ失敗を繰り返しやすくなるため、行動レベルまで落とし込んでおきたいところです。

参照:中小企業白書 第2章 生産性向上の鍵となる業務プロセスの見直し|経済産業省 中小企業庁

PDCAのやり方でつまずく原因と対策は?

PDCAが形骸化する一因は、計画のあいまいさと検証の省略にあります。中小企業基盤整備機構の経営ハンドブックでも、中小企業ではPDCAサイクルが機能していないケースが多いと指摘されています。よくある失敗パターンと対策を見ていきましょう。

計画があいまいだと検証できない

抽象的な目標で始めたPDCAは、Checkの段階で達成度を判定できなくなります。

「顧客満足度を上げる」「業務を効率化する」のような抽象度の高い目標でPDCAを始めたケースでは、結局、達成できたのかどうかわからないという状況に陥りがちです。

たとえば、業務効率化を目標にPDCAを導入したものの、何をもって効率化とするかを定義しておらず、「なんとなく良くなった気がする」という感想で終わってしまうケースです。このような場合、うまくいかなかった原因は数値目標が設定されていなかった点にあります。「月間残業時間を20時間削減」のように測定可能な指標を設定し直せば、検証と改善のサイクルが回り始めやすくなるでしょう。

Planで設定する目標は、必ず数値化・期限付きにしたいところです。数値化が難しい場合は、「5段階評価のアンケートで平均4.0以上」のように定量化する工夫が役立ちます。

Doで止まりCheckに進まない

サイクルが止まる代表的なパターンは、日々の業務に追われてCheckを後回しにしてしまうことです。

対策として取り入れたいのは、Checkの日時をあらかじめスケジュールに組み込んでおく方法です。

  • 週1回15分の振り返りミーティングをカレンダーに登録する
  • 月末に30分間のCheck・Action会議を固定で設定する
  • Googleスプレッドシートにチェック項目をテンプレート化し、入力の手間を減らす

検証のタイミングを「いつかやろう」ではなく「毎週金曜15時」のように固定すると、Checkが習慣化しやすくなるでしょう。

Actionが「反省」で終わってしまう

Actionで精神論にとどまると、次のサイクルでも同じ問題が繰り返されます。

Checkまでは実施できても、Actionフェーズで「次は頑張ろう」「気をつけよう」という精神論に流れるケースは少なくありません。Actionでは、改善策を「行動レベル」まで落とし込むのがコツです。

NG例(精神論) OK例(行動レベル)
報告をこまめにする 毎日17時にチャットで進捗を報告する
コスト意識を持つ 月末に経費を科目別に集計して前月と比較する
顧客対応を改善する 問い合わせ対応のテンプレートを3パターン作成する

「いつ・誰が・何をする」まで明確にしてから、次のPlanに書き込んでサイクルを回し始めましょう。行動が明確であれば、次のCheckでも「やったかやらなかったか」をすぐに判定できます。

参照:無駄な業務をなくして効率化を図るには|中小企業基盤整備機構 J-Net21

PDCAサイクルの活用例

PDCAは、経費削減や業務フロー見直しなど、経営課題から日常業務まで幅広く適用できます。中小企業庁の事例集でも、目標設定と検証の積み重ねによってコスト削減や業務改善につなげた事例が紹介されています。現場での活用パターンを3つの切り口で見ていきましょう。

経費削減にPDCAを適用する

経費削減はPDCAと相性の良いテーマです。

数値で管理しやすく、比較的短期間で効果を確認できるためです。たとえば、通信費の見直しにPDCAを適用する場合の流れは以下のとおりです。

  1. Plan:現在の通信費を洗い出し、「3か月で月額2万円削減」と目標を設定する
  2. Do:不要な回線の解約、料金プランの変更、法人向け割引の申し込みを実施する
  3. Check:3か月後に通信費の明細を確認し、削減額を計算する
  4. Action:目標未達の場合はさらに見直し可能な項目を洗い出し、次のPlanに反映する

同様の手順で、消耗品費・外注費・広告費なども一項目ずつPDCAを回せば、積み重ねによって経費の圧縮につなげていけるでしょう。クラウド会計サービスや経費精算ツールを併用すると、Check時のデータ集計の負担も軽くなります。

バックオフィス業務の時間短縮に活かす

経理・人事・総務の定型作業は、PDCAで時間短縮を狙いやすい領域です。

繰り返し発生する作業は、サイクルごとの改善が成果に表れやすいためです。たとえば、毎月の請求書作成に担当者2名で合計20時間かかっているケースを想定し、PDCAで改善を進める流れを示します。

サイクル 改善内容 想定される成果
1周目 請求書テンプレートをExcelで統一 20時間→16時間
2周目 顧客情報の入力をマスターデータから自動取得に変更 16時間→12時間
3周目 クラウド請求書サービスを導入し手入力を削減 12時間→8時間

1回のサイクルで劇的に改善するのではなく、小さな改善を積み重ねて工数を圧縮していくイメージです。浮いた時間は分析業務や戦略立案など、付加価値の高い業務に振り向けられます。

営業活動の改善にPDCAを活用する

営業活動は、数値での振り返りがしやすくPDCAと親和性が高いテーマです。

月次や週次で結果が把握できるため、サイクルを短く回しやすいことが背景にあります。たとえば、新規顧客獲得に向けたPDCAの流れは以下のとおりです。

  1. Plan:「月間アポイント20件・商談化10件」と目標を設定し、KPIとしてチャネル別の目標件数を決める
  2. Do:架電・メール・SNS・紹介などチャネルごとの活動件数と成果をCRMやスプレッドシートに記録する
  3. Check:月末にチャネル別の獲得効率(アポ転換率・商談化率)を比較し、差が出た原因を分析する
  4. Action:効率の高いチャネルに比重を移し、低いチャネルはアプローチ内容を見直して次のPlanに反映する

各担当者が自分の活動を数値で振り返れる仕組みを整えると、属人的になりがちな営業ノウハウの共有も進めやすくなります。週次の短いサイクルから始めると、改善のスピード感を維持しやすいでしょう。

PDCAを定着させるチェックリスト

PDCAのやり方を理解しても、日常業務のなかで継続するには仕組みが必要です。

サイクルが途切れないよう、以下のチェックリストを活用してみてはいかがでしょうか。

  • 目標を数値と期限付きで設定し、チームで共有する
  • Doの記録フォーマット(スプレッドシートや管理ツール)を用意する
  • Checkの日時を週次・月次でカレンダーに登録する
  • Actionの改善策を「いつ・誰が・何をする」の形で言語化する
  • 改善策を次のPlanに反映してからサイクルを再スタートする
  • 3サイクル以上回してから効果を総合評価する

PDCAは特別なスキルや高額なツールがなくても始められる改善手法です。まずは身近なテーマ、たとえば「会議時間の短縮」や「月次経費の見直し」などから1サイクル回してみると、感覚がつかめるでしょう。サイクルの質と継続こそが、業務改善の成果を引き出すポイントです。

参照:事例から学ぶ!「コスト削減」|経済産業省 中小企業庁 ミラサポplus

PDCAは4フェーズの質と継続で業務改善の精度を高める

PDCAのやり方は、Plan・Do・Check・Actionの各フェーズを数値目標と記録で支えながら繰り返すことで、業務改善の精度が上がっていきます。サイクルが止まる一因は目標のあいまいさとCheckの省略にあるため、振り返りの日時をあらかじめ固定しておくと継続しやすくなるでしょう。

回数を重ねるたびに改善が蓄積される仕組みを活かし、まずは短いサイクルで一周回してみると、感覚がつかめます。

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