- 更新日 : 2025年9月19日
業務委託の個人事業主必見!インボイス制度の仕組み・影響・取引先別対応法を解説
インボイス制度は、消費税の仕入税額控除を正しく行うために2023年10月から始まった新しい仕組みであり、業務委託を受ける・発注する個人事業主にとって取引条件や収益に大きく影響します。
本記事では、インボイス制度が業務委託契約を行う個人事業主に与える影響を、受注側・発注側の両視点から解説します。
目次
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インボイス制度の概要と個人事業主への影響
インボイス制度は、消費税の仕入税額控除を正確に行うための新しい仕組みで、個人事業主にも大きな影響があります。制度の正式名称は「適格請求書等保存方式」で、取引ごとに所定の要件を満たした適格請求書(インボイス)を発行・保存することが求められます。
インボイス制度の仕組み
インボイスには、インボイス発行事業者の氏名又は名称と登録番号、取引年月日、取引の内容、適用税率ごとの合計金額と適用税率、適用税率ごとの消費税額、インボイス受領者の氏名又は名称の記載が義務付けられています。インボイスを発行しようとする事業者は事前に税務署へインボイス発行事業者としての登録申請が必要で、この登録を受けた「適格請求書(インボイス)発行事業者」のみがインボイスを発行できます。ただし、インボイス発行事業者としての登録を行った場合には課税事業者となり、消費税の納税義務が生じます。買手側は、記載内容の要件を満たしたインボイスを保存することで、消費税の納付税額を計算する際、支払った消費税分を仕入税額控除として差し引けます。つまり、買手側は、免税事業者である売手からの請求書や領収書ではインボイスとしての記載要件が満たされないため、原則として仕入税額控除ができません。
免税事業者と課税事業者の違い
個人事業主の前々年の課税売上高が1,000万円以下の場合、消費税の納税義務が免除されます。このように消費税の納税義務が免除されている事業者のことを免税事業者といいます。個人事業主の前々年の課税売上高が1,000万円を超える場合には消費税の納税義務が生じ、課税事業者となります。課税事業者は消費税の申告と納付が必要です。インボイスを発行するためにはインボイス発行事業者としての登録を行う必要がありますが、免税事業者のままではインボイスが発行できません。取引先が課税事業者である場合、インボイスがないと仕入税額控除できないことから、免税事業者のままでは取引条件が不利になる可能性があります。免税事業者は税務署に申請を行うことで課税事業者となることができ、課税事業者となることでインボイス発行事業者に登録できます。
制度が個人事業主に与える影響
個人事業主が免税事業者の場合、消費税の納税義務がないことから、消費税申告のための事務負担がかからず、また、手取り収入は維持できますが、取引先から取引量減少や報酬減額の提案を受けるリスクがあります。一方、課税事業者となりインボイス発行事業者として登録すれば取引先への信頼は高まりますが、消費税の納税義務により手取りは減少し、経理負担も増します。インボイス発行事業者としての登録の有無は事業の安定性や収益性に直結する重要な判断になります。
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免税事業者(インボイス未登録)の個人事業主が業務委託を受ける場合の注意点
免税事業者でインボイス発行事業者に登録していない場合、消費税の申告や納税義務はありません。そのため、報酬に含まれる消費税分を納める必要がなく、手取り収入はそのまま維持されます。小規模事業者にとっては、消費税負担を回避できる点は大きなメリットです。しかし、免税事業者が発行する請求書や領収書では取引先は仕入税額控除を受けられないため、業務継続や契約条件に影響が及ぶ可能性があります。
取引停止のリスク
取引先がインボイス発行事業者への登録を求めてくる場合があります。インボイスを発行できない免税事業者のままだと「今後の発注を控える」と言われるケースも想定されます。ただし、インボイス発行事業者に登録しないことを理由に一方的に取引を打ち切る行為は独占禁止法違反となるおそれがあり、公正取引委員会も不当な締め出しをしないよう注意を呼びかけています。このため、取引停止を持ちかけられた場合は、その背景や法的な位置付けも踏まえて対応を検討する必要があります。
報酬減額のリスク
インボイスを発行できない免税事業者と取引する場合、取引先企業は支払った報酬に含まれる消費税相当額を仕入税額控除できず、消費税納税の際に仕入税額控除できない消費税相当額を自社負担することになります。この負担軽減のため、契約更新時に報酬額を一定割合減額してほしいと提案されることがあります。双方合意のうえで契約を変更することは可能ですが、発注者が下請法の適用対象となる事業者(親事業者)である場合、一方的に消費税分を支払わない対応は下請法違反となります。インボイスでないことを理由に後から消費税相当額を差し引く行為は「下請代金の減額」として禁止されており、こうした要求を受けた場合は違法性を理解しておくことが大切です。
インボイス発行事業者への登録の判断基準
免税事業者のままでいるか課税事業者となりインボイス発行事業者に登録するかは、取引先の構成によって検討します。取引先が個人消費者や免税事業者中心であれば、インボイス非対応でも取引に支障は出にくいでしょう。一方、取引先の多くが課税事業者であり、インボイス対応を必須としている場合は、受注機会を守るためにも課税事業者へ転換し、インボイス発行事業者に登録することを前向きに検討する必要があります。制度上はインボイス発行事業者への登録は任意ですが、事業の継続性や売上確保の観点から戦略的に判断することが求められます。
課税事業者(インボイス発行事業者)の個人事業主が業務委託を受ける場合の注意点
課税事業者としてインボイス発行事業者に登録すると、取引ごとにインボイスを発行し、消費税の申告・納税を行う義務が生じます。ただ、インボイス発行事業者に登録すると、適格請求書を発行できるため、インボイス制度未対応を理由に取引停止される懸念はほぼなくなります。課税売上高が1,000万円を超える事業規模の事業者の場合、そもそも消費税申告が必要なため、早めにインボイス発行事業者への登録を行うことで事務の円滑化にもつながります。
売上額の見直し交渉の必要性
課税事業者になると、消費税の納税義務が発生し、実質の手取り収入が減少します。そのため、手取り収入の確保のため、取引先に対し、単価設定の改定を求めることで消費税納税後も手取り収入を維持できます。「2割特例」による負担軽減
インボイス制度開始を機に免税事業者から課税事業者になった小規模事業者は、「2割特例」の適用を受けられる場合があります。これは、売上にかかる消費税額の20%のみを納付すればよく、残り80%は免除される制度です。適用期間は2023年10月1日から2026年9月30日までの日の属する各課税期間で、仕入税額控除の計算が不要になるため、経理負担も軽くなります。事前の届出は不要で、確定申告時に選択可能ですが、対象はインボイス制度開始を機に新たにインボイス発行事業者として課税事業者となった事業者に限られます。
インボイス発行事業者に登録後の事務対応
インボイス発行事業者への登録後は、請求書や領収書にインボイス発行事業者の氏名又は名称と登録番号、取引年月日、取引の内容、適用税率ごとの合計金額と適用税率、適用税率ごとの消費税額、インボイス受領者の氏名又は名称を記載する必要があります。これらの記載要件は会計ソフトを活用することで効率的に対応できます。インボイス発行事業者への登録は、書面やe-Taxを通じて税務署へ届出をすることで行えます。売上単価の見直しと特例制度の活用により、インボイス対応による負担を最小限に抑えることが重要です。。
個人事業主が免税事業者に外注する場合の対応
外注先がインボイス未登録の免税事業者である場合、発注側はインボイスを受け取れません。インボイス制度では、原則としてインボイスの保存がなければ仕入税額控除はできません。発注者が課税事業者であれば、その外注費に含まれる消費税分を控除できず、控除できない消費税分は自己負担により消費税を納めることになります。この影響は取引条件やコスト計算に直結します。
経過措置による控除の一部適用
免税事業者との取引でも、制度開始後しばらくは経過措置が設けられています。2023年10月1日から2026年9月30日までは消費税額の80%、2026年10月1日から2029年9月30日までは50%まで仕入税額控除が可能です。たとえば、免税事業者へ税込11万円の支払いをした場合、その消費税相当額は1万円となります。経過措置により、そのうちの80%にあたる8,000円を仕入税額として控除できます。
ただし、この経過措置は2029年9月30日をもって終了し、同年10月1日以降、免税事業者からの課税仕入れについては仕入税額控除が一切できなくなります。
そのため、長期的には外注先のインボイス対応状況を考慮した取引方針が必要です。
契約時の取り決めと報酬設定
外注先が免税事業者の場合、契約時に消費税の扱いを明確にしておくことが重要です。契約書には「対価には消費税相当額を含む」などの文言を盛り込み、インボイス未対応を理由とした一方的な減額を防ぎます。発注者が課税事業者であれば、控除できない消費税分を考慮して報酬額を事前に調整し、双方の合意を得て契約条件に反映させることが望ましいです。ただし、一方的な不払い・減額は下請法などの法令違反となる可能性があるため、必ず事前合意が前提です。
発注する個人事業主自身が免税事業者の場合
発注者自身が免税事業者であれば、外注先のインボイス対応有無は税務上の直接的影響はありません。もともと仕入税額控除の制度が使えないため、支払う消費税は経費に含まれるだけで完結します。ただし、将来自身が課税事業者になる可能性を踏まえれば、外注先のインボイス登録を促す戦略を持つことが望まれます。
個人事業主が課税事業者に外注する場合の対応
外注先がインボイス発行事業者として登録されている課税事業者であれば、発注者はその外注先からインボイスの交付を受けます。課税事業者である発注者にとっては、このインボイスに記載された消費税額を仕入税額控除の対象にできるため、自身の消費税納税額を減らすことが可能です。従来と同様に仕入税額控除を受けられるため、特別な経過措置に依存せずに安定して取引を継続できます。
発注する個人事業主自身が課税事業者の場合
発注者が課税事業者であれば、外注先が発行するインボイスに基づき、支払った消費税分を仕入税額控除として申告できます。この場合、消費税の負担は実質的に軽減されるため、外注コストの面で大きなメリットがあります。外注先が課税事業者であれば、インボイス制度上の不利はほぼなく、通常通りの税務処理で済みます。
発注する個人事業主自身が免税事業者の場合
発注者が免税事業者である場合も、外注先が課税事業者であれば、請求金額は税込価格となります。たとえば、税抜100万円の契約なら、消費税10%が加算され、支払総額は110万円になります。免税事業者はこの消費税を仕入税額控除できないため、そのままコストとして負担します。外注費に占める消費税負担が大きい場合、今後も免税事業者を続けるかどうかは、資金計画や利益率への影響を踏まえて検討する必要があります。
契約前の確認と管理
外注先が課税事業者か免税事業者かは、国税庁が公表する「適格請求書発行事業者公表サイト」で確認できます。発注前に登録状況を調べ、契約時に消費税の取り扱いを明確にしておくことで、後々のトラブルを防ぐことができます。基本方針としては、外注先が課税事業者ならインボイスを受け取り仕入税額控除を行う、免税事業者なら経過措置や契約条件調整で対応することが重要です。
インボイス制度対応を事業戦略に組み込もう
インボイス制度は、免税事業者・課税事業者の双方に取引条件や収益構造の変化をもたらします。免税事業者は消費税負担を回避できる一方で、取引先からの発注減や報酬減額のリスクがあり、課税事業者は信頼性向上の反面、納税義務による収入減や事務負担が増します。発注側でも、外注先の登録状況によって仕入税額控除の可否やコスト負担が変わります。
制度の仕組みや経過措置、契約条件の調整方法を正しく理解し、自社の取引先構成・事業規模に合った最適な対応策を早期に検討・実行することが、安定した取引関係と健全な資金計画につながります。
マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例
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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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