• 更新日 : 2025年10月21日

税務調査が来る時期は?個人事業主が知るべき頻度や備え方を解説

税務調査は、個人事業主にとって日常的な話題ではないものの、いざ通知が届けば大きな不安を感じるものです。「いつ来るのか」「何年分が対象なのか」「自分は調査対象になりやすいのか」といった疑問を抱く方は少なくありません。

本記事では、税務調査の基本から、調査が実施されやすい時期や条件、過去に遡って調査される期間、調査への備え方などを解説します。

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税務調査とは?

税務調査は、納税者の申告内容が適正に行われているかを確認するために、国税当局(主に税務署)が行う行政手続きです。ここでは、税務調査の基本的な意味や目的、種類について解説します。

税務調査は申告の正確性を確認するための手続き

税務調査とは、納税者が提出した確定申告書の内容について、正確性や妥当性を国税当局が確認する制度です。

所得税は「申告納税制度」に基づいて、納税者自身が所得や経費を申告し、それに応じた税額を納める仕組みとなっています。しかし、意図的な不正や計算ミス、勘違いなどにより、申告内容に誤りがある場合もあります。

こうしたリスクを防ぐために、税務署は申告内容をチェックし、必要があれば調査を実施します。

調査によって申告漏れや誤りが見つかった場合には、修正申告や更正処分が行われ、不足していた税金に加えて加算税・延滞税などが課されることがあります。

税務調査には任意調査と強制調査がある

税務調査は、実施方法によって「任意調査」と「強制調査」の2種類に分けられます。税務調査の多くは「任意調査」で、一般的に、事前に調査の日時や対象期間、必要書類などが通知されて実施します。任意調査は、帳簿や領収書などを確認しながら、数日かけて進められるのが通常です。

一方、「強制調査」は重大な脱税の疑いがある場合に行われる特殊な手続きで、国税局査察部による実施されます。裁判所の令状に基づいて実施されるため、納税者は調査を拒否できません。

強制調査(査察)は令和6年度で151件で、令和5年度の実地調査件数が4万6,000件だったのと比べると極めて少数であり、一般的な個人事業主にはほとんど該当しませんが、故意に多額の所得を隠した場合などには対象となることもあります。

個人事業主への税務調査が行われる時期は?

税務調査には法的な「時期の決まり」はないものの、個人事業主の場合はある程度「調査が集中しやすいタイミング」があります。ここでは、調査が行われる代表的な時期と背景について解説します。

春(4~5月)確定申告終了直後の4~5月は、比較的税務調査が多い時期です。

個人事業主の所得税の確定申告期限は毎年3月中旬(原則はは3月15日)に設定されており、税務署はその直後から申告データの内容に不自然な点がないかを確認し始めます。

疑わしい項目や特異な動きがある場合には、調査通知が届くことがあります。とくに、申告漏れが疑われる項目や、過去に指摘を受けていた点が再発している場合などは、調査対象となる場合があります。

夏から秋(7~11月)

人事異動後の7~11月も、比較的税務調査の入りやすい時期です。税務署では例年7月に職員の人事異動が行われます。新たに配属された調査官たちは、事業者リストや申告内容に基づいて調査対象を選定し、夏から秋にかけて調査を進めていきます。

年間を通じて行われるケースもある

上記の時期以外でも調査が入ることがあります。第三者からの情報提供や、過去の調査で指摘された内容が再度確認されるケースのほか、無申告が発覚した場合にも、時期を問わず調査が実施される可能性があります。

こうした税務調査がされやすいケースを除けば、税務調査の対象となる可能性はあまり高くありません。

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税務調査を受ける頻度はどのくらい?

個人事業主が税務調査を受ける頻度は、一般的に5~10年に一度程度といわれています。令和5年度(2023年)の国税庁データによると、個人の確定申告者数は約327万人であるのに対し、実地調査は約4万7,500件にとどまり、実地調査を受ける確率はおおよそ1.5%程度、すなわち約67人に1人の割合となります。

この割合から見ても、税務調査は多くの自営業者にとって稀な機会といえるでしょう。

ただし、調査対象は完全なランダムではなく、申告内容の不自然さ、経費の使い方、業種の特性、過去の調査履歴などが考慮されて選ばれます。そのため、同じ業種に属していても調査に入るかどうかには差が出ます。

特に、意図的な過少申告や不適切な経費処理が疑われる場合は、税務対象となる可能性が高まります。したがって、日ごろから正確な記帳と適正な申告を心がけることが、調査リスクの抑制につながります。

税務調査では何年分が調査対象?

税務調査においては、基本的に直近の3年間の申告内容が対象となります。ただし、税務調査の時効は5年間、さらに脱税や虚偽など悪質なケースでは国税通則法により7年間まで遡って調査される可能性があります。

ここでは、どのくらいの期間が調査対象になるのか、法律上の根拠や保存義務とあわせて説明します。

一般的には3年分が調査対象となる

税務調査は法律上は5年間(不正がある場合は7年間)が調査対象ですが、実務上は直近3年分で終了することが多いとされています。

税務署から調査通知が届く際、「過去3年間の帳簿や領収書を用意してください」と案内されるのが一般的です。ただし、調査中に誤りや不審な取引が見つかった場合、調査対象期間は5年分に延長されることがあります。

法律上の時効は5年、悪質な場合は7年まで延長される

税務調査の時効、つまり追徴課税が行える期間は「5年間」と定められています。これにより、通常の申告ミスなどに関する調査であれば、最大で5年分の資料確認が行われる可能性があります。

しかし、意図的な所得隠しや二重帳簿の作成など、悪質な脱税行為が疑われる場合や、不正還付、虚偽などの不正がある場合、国税通則法により「最大7年分」まで遡って調査が行われることが認められています。

無申告であっても悪意がなければ5年ですが、故意であると判断されれば7年間の追徴が可能です。

帳簿保存義務も最大7年間

こうした調査に備えるには、必要な帳簿やレシート・領収書などの書類を法定期間きちんと保管しておくことが重要です。個人事業主の帳簿保存義務は、書類によりますが最大7年間とされています。

正しく保存していなければ、税務調査で必要な証拠を提示できず不利な扱いを受ける恐れもあります。

したがって、確定申告が終わったからといってすぐに帳簿や領収書を処分せず、法律で定められた期間はしっかりと保管しておくことが、税務調査への備えとなります。

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税務調査が入りやすいケースは?

税務調査は全ての個人事業主に均等に行われるわけではなく、申告内容に異常がある場合や、一定の傾向をもとにリスクが高いと判断された場合に優先的に実施されます。ここでは、調査が入りやすいパターンを紹介します。

無申告・大きな申告漏れがあると調査対象になりやすい

確定申告をしていない、もしくは大幅な申告漏れがあると、税務署は調査の必要性を強く感じます。たとえば無申告のまま売上を得ていると、取引先の申告などから収入が把握され、早期に調査対象となる可能性があります。

特定の業種(風俗、不動産仲介など)では申告漏れが多いため、重点的に調査されやすい傾向もあります。

売上規模が消費税の課税ライン付近だと疑われやすい

消費税は基準期間(前々年)の売上が1,000万円を超えると課税事業者になります。そのため、売上が毎年1,000万円弱で続く場合は注意されやすいといわれています。また、民泊やアフィリエイトなど成長分野の事業者も、税務署が情報収集を兼ねて調査対象とする例が増えています。

経費処理が不自然、現金取引中心の業種もリスク高

私的な支出を経費にしており売上に対して経費が不自然に多くなっている場合や、事業に通常必要な経費が極端に少ない場合も、申告の信ぴょう性が疑われます。

さらに、飲食業や小売業など現金収入が多い業種では、売上を抜く、架空の領収書を発行するなどの不正が行われやすいとして、調査対象になりやすいです。

税理士を使っていない申告はチェックが入りやすい

税理士が関与していない申告は、税務署側で「第三者のチェックがない」と見なされ、ミスや不正の可能性があるとして調査の優先度が上がる傾向があります。もちろん自力申告がすべて問題というわけではありませんが、リスク評価の一因になります。

税務調査に備えるには?

税務調査は突然やってくるものではありますが、日ごろからの備えによって冷静かつ的確に対応できます。以下では、個人事業主が押さえておくべき準備ポイントを紹介します。

帳簿や書類の保存を徹底する

帳簿や領収書、請求書などの証憑類は、法律で定められた保存期間に従って管理することが大切です。白色申告青色申告ともに5~7年間の保存義務があり、調査時には過去の分まで提示を求められることがあります。

紙媒体だけでなく、PDFやメールで受け取った電子データも整理しておきましょう。電子データのみで受領したものはデータのままの保存となり、紙に印刷して保存する必要はありません。

なお、電子帳簿保存法に対応した方法であれば紙資料をデータにして保存するのも可能ですが、形式要件があるため注意が必要です。日頃から帳簿を整えておくことで、調査が入ってもスムーズに対応でき、必要以上に長引く事態も避けられます。

正確な確定申告を期限内に行う

期限内に正しく申告することが、調査リスクを下げる第一歩です。期限後申告や申告内容のミスは、税務署にとって「確認すべき対象」として目立ってしまう可能性があります。

特に2025年現在では、基礎控除や各種所得控除の改正が行われており、誤って計算したまま申告すると調査や修正対応が発生しかねません。

不安がある場合は、会計ソフトや税理士の助けを借りて、制度の変化に対応した正しい申告を心がけましょう。

専門家に相談して事前対応を

帳簿の整備や申告作業に不安がある場合は、税理士への相談が有効です。税理士を顧問にしておくことで、日常の記帳指導や節税のアドバイスが得られるだけでなく、税務調査が入った際には対応の窓口になってもらえるため安心感があります。

また、税務署にも確定申告の無料相談窓口や事前相談制度があり、疑問点を事前に解消しておくことで、トラブルを未然に防ぐことが可能です。

税務調査が来たら冷静に対応する

調査の連絡を受けたからといって、過剰に動揺する必要はありません。任意調査であれば、通常は事前通知があり、準備する時間が確保されます。

調査官の質問には誠実に回答し、分からないことはその場で無理に答えず、「確認して後日返答します」と伝えるのが適切です。税務署は法律に基づいて業務を行っているため、敵対的な関係ではなく、協力的な姿勢を示すことで調査もスムーズに進みます。

適正な申告と日頃の準備が税務調査への最善の対策

税務調査は、すべての個人事業主に必ず行われるものではありませんが、一定の基準や傾向に基づき、調査対象となることがあります。申告漏れや無申告、不自然な経費計上、現金収入中心の業種などは調査対象になりやすいため、注意が必要です。

調査の対象となった場合でも、日常的に正確な記帳を行い、法定期間帳簿などの書類を保存しておくことで冷静に対応できます。

適正な申告を積み重ねることこそが、最も堅実な防衛策といえるでしょう。

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