• 更新日 : 2026年1月8日

ひとり親控除とは?寡婦控除との違いもわかりやすく解説

ひとり親控除は令和2年分(2020年分)以後の所得税から適用される新しい所得控除です。基本的な内容はこれまでの寡婦控除と似ていますが、令和2年度税制改正で寡婦(寡夫)控除の見直しも行われ、寡夫控除はひとり親控除に一本化されました。

現代のシングルマザー・シングルファザーの状況に合わせた、より使いやすい所得控除として創設されました。本記事ではひとり親控除と寡婦控除の違いを要件・対象者・控除額などの観点から解説していきます。

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ひとり親控除とは

ひとり親控除とは、婚姻歴や性別による税制上の不合理な差を見直し、ひとり親家庭に対して公平な税制上の配慮を行うため、令和2年度税制改正により創設された所得控除制度です。

控除のタイプは所得控除で、現に婚姻をしておらず、かつ事実上婚姻関係と同様の事情にある者がいない者で、総所得金額48万円以下の子と生計を共にしている場合、35万円の所得控除が受けられます。

ただし、控除を受ける本人の合計所得金額が500万円以下であることが要件とされています。

ひとり親控除は令和2年の税制改正で新設された制度で、類似する税制である「寡婦控除」も一部改正されました。ひとり親控除と寡婦控除は制度内容が似ており、要件が重なる場合もありますが、ひとり親控除と寡婦控除の併用はできません。

重複した場合、ひとり親控除が優先して適用され、寡婦控除は適用されません。

参考:国税庁/No.1171 ひとり親控除

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ひとり親控除の対象者と要件

ひとり親控除は令和2年度税制改正により創設され、令和2年分以後の所得税から適用された比較的新しい所得控除制度であるため、詳しい制度の内容を知らない人も多いでしょう。

ひとり親控除の対象者には、現に婚姻をしておらず、かつ事実上婚姻関係と同様の事情にある者がいないこと、合計所得が500万円以下であることなどの要件があります。

これまで寡婦控除の対象にならなかった人も、ひとり親控除なら対象になるケースがあるため、対象要件をしっかり確認していきましょう。

未婚のシングルマザーやシングルファザーも対象

ひとり親控除は結婚歴がなくても利用できます。つまり、未婚のシングルマザーやシングルファザーが適用対象となったことが大きな注目ポイントです。また、男女による要件や適用金額の違いがなく、男女の取り扱いはまったく同じとなっています。

注意が必要なのは事実婚の場合です。事実婚は実質的な結婚とみなされるので、ひとり親控除の対象にはなりません。

事実婚に該当するかどうかは、住民票の記載(未届の夫・妻)の有無だけで判断されるものではなく、同居状況や生計の実態などを踏まえて総合的に判断されます。

親や祖父母は扶養対象にできない

寡婦控除では親や祖父母、孫も扶養対象に含めて、扶養親族がいることを要件とする類型が設けられており、子供以外の親族を扶養している場合でも適用されるケースがありました。

ひとり親控除では親や祖父母、孫は判定上の扶養対象から外れたため、子どもを扶養していることが控除を受ける条件です。

なお、子どもにも「生計を一にしている子ども」という条件があります。「生計を一にしている子ども」とは、同じ財布で生活している子どもという意味です。そのため、もし子どもと別居していても、その生活費や学費を送金しているのであれば、扶養対象の子どもとして認定されます。

参考:国税庁/No.1180 扶養控除(「生計を一にする」の意義)

合計所得が500万円以下の場合に適用される

ひとり親控除は、合計所得金額が500万円以下の場合にのみ適用されます。この金額は寡婦控除と同じです。

所得と総支給額を同じものと認識している人が意外と多くいますが、所得とは総支給額から必要経費を差し引いた後の金額です。

給与収入のみの人であれば、所得500万円の目安は年収おおむね680万円前後になるため注意しましょう。

寡婦控除と重複する場合はひとり親控除が優先

2020年(令和2年)にひとり親控除が制定されてからも、寡婦控除自体は存在しています。内容が似ている2つの制度ですが、ひとり親控除と寡婦控除から重複して控除は受けられません。

寡婦控除とひとり親控除が両方の要件を満たす場合には、ひとり親控除のみが適用され、寡婦控除は適用されません(寡婦控除は27万円、ひとり親控除は35万円の所得控除)。

参考:国税庁/No.1171 ひとり親控除

ひとり親控除の注意点

ひとり親控除はそれほど難しい点がある税制ではありませんが、適用時点における家庭の状況や家庭の個別の事情によっては判断に困る事例があることも事実です。ここではひとり親控除の対象か確認する際に「適用できるかどうか分からない」となってしまいがちなパターンを2つ取り上げて解説します。

1年の途中で離婚などがあった場合

1年間の途中で離婚した場合、離婚するまでの間は「ひとり親」でなかったことになります。このような場合、ひとり親控除が受けられるのか気になるところでしょう。

この場合は「12月31日時点の婚姻状況で判断する」というルールになっています。多くの人が年末調整でひとり親控除を受けることになると思われますが、年末調整は12月中に行われ、判定基準日も12月31日であるため、原則として大きな混乱は生じにくいといえます。

もし年末調整の後から12月31日までの間に離婚などをした場合は、年末調整には間に合いませんが、確定申告でひとり親控除の申告が可能です。

参考:国税庁/No.1171 ひとり親控除(事業専従者である子がいる場合のひとり親)

離婚したが養育費を受け取っている場合

子どもが一定の年齢に達するまでの間、離婚後に養育費の支払いが行われるケースは多く見られます。この場合、ひとり親控除の判定に影響があるのではないかと不安に感じる人もいるでしょう。

しかし、養育費を支払っている親と子どもが、直ちに「生計を一にしている」と判断されるわけではありません。税務上の「生計を一にする」とは、日常生活における生活費の負担や生活の実態を基準として判断されるため、実際に子どもと同居し、生活を主に支えている親が生計維持者とされます。

そのため、養育費を受け取り、子どもと生活している親は、原則として子どもと生計を一にしていると認められ、ひとり親控除の適用対象となります。一方で、養育費を支払っているだけの親は、通常は子どもの扶養親族とはなりません。

なお、同一の子どもについて、父母の双方がそれぞれ扶養親族控除やひとり親控除を受けることはできない仕組みとなっています。このため、どちらの親が子どもと生計を一にしているかが、各種控除の適用を判断するうえで重要なポイントとなります。

ひとり親控除の控除額

ひとり親控除の控除額は、所得税で35万円、住民税で30万円です。いずれも所得控除となります。

【参考】国税庁/No.1171 ひとり親控除町田市/ひとり親控除の創設等

ひとり親控除と寡婦控除の違い

ひとり親控除と寡婦控除の主な違いを表にまとめました。

ひとり親控除寡婦控除
控除額35万円の所得控除27万円の所得控除
扶養要件総所得金額等が48万円以下の生計を一にする子がいること扶養親族がいる、または扶養親族がいなくとも合計所得金額500万円以下であること
控除対象者の性別男女不問女性のみ(※寡夫控除は令和2年改正で廃止)
結婚歴現在婚姻関係にないこと。未婚の親でも可。事実婚は対象外離婚または死別した女性で、現在婚姻関係にないこと。事実婚は対象外

ひとり親控除と寡婦控除は所得控除の金額が異なるだけでなく、扶養要件や性別要件、婚姻関係の取り扱いも違います。どちらが一概に要件が緩いというわけでもありませんが、ひとり親控除は未婚の親でも適用対象だったり、所得控除額が大きかったりと、より現代の実情に即したものになっているといえるでしょう。

なお、両方の適用要件を満たしている場合でも控除の併用はできません。その場合は、ひとり親控除のみが適用され、寡婦控除は適用されません。

ひとり親控除は忘れずに申告を

ひとり親控除はまだできたばかりの制度のため、多くの人にとって聞き慣れない控除です。そのため、確定申告が必要だと思う人もいることでしょう。

しかし、ひとり親控除は年末調整または確定申告で申告できる所得控除です。会社員で年末調整で受ける場合は、必要書類を提出すれば年末調整手続きの一環で完結しますのでご安心ください。また、確定申告が必要な人は確定申告の際に申告すれば、所得控除に反映されます。要件に該当する人は申告するだけで35万円の所得控除が受けられますので、忘れずに申告しましょう。

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