• 更新日 : 2025年9月22日

手取りアップは副業と節税がポイント!給料が上がっても手取りが増えない理由と対策を解説

毎年昇給しているはずなのに、なぜか生活が楽にならない。そう感じている方は少なくないでしょう。原因は、給与の額面金額と、実際に銀行口座に振り込まれる手取り額の違いにあります。給料が上がっても、それ以上に税金や社会保険料の負担が増えれば、手取りは思うように増えません。

この記事では、手取りが増えない理由から、具体的な手取りアップの方法まで詳しく解説します。あなたの資産形成を加速させるための一歩を踏み出しましょう。

手取りアップと給与の仕組み

手取りを増やす第一歩は、給与計算の仕組みを知ることです。なぜ給料が上がっても手取りが増えにくいのか、その理由を正しく理解しましょう。

手取りの計算で額面給与から引かれるもの

手取り額とは、会社から支給される額面給与(総支給額)から、税金と社会保険料が差し引かれて最終的に手元に残る金額のことです。天引きされる主な項目は以下の通りです。

社会保険料
  • 健康保険料:病気やケガの治療費に備える保険料
  • 厚生年金保険:将来の年金受給に備える保険料
  • 雇用保険:失業した際の給付金などに備える保険料
税金
  • 所得税:個人の所得に対してかかる国税
  • 住民税:住んでいる都道府県や市区町村に納める地方税

これらの合計額は、一般的に額面給与の15%から25%程度にのぼります。まずは、自分の給与から何がいくら引かれているのかを給与明細で確認し、手取り計算の基本を意識することが大切です。

給料が上がっても手取りが増えない原因

昇給して額面給与が増えても、手取りの増加が実感しにくい主な原因は2つあります。

  1. 所得税の累進課税
    所得税は、所得が高いほどより高い税率が適用される累進課税という仕組みです。そのため、昇給して額面給与が増えると、より高い税率の区分に入り、結果として税金の負担割合が増えることがあります。
  2. 社会保険料の等級
    健康保険料や厚生年金保険料は、原則として毎年4月から6月の給与額を基に決定される標準報酬月額という等級に応じて決まります。昇給によってこの等級が上がると、翌年9月からの社会保険料負担が増加します。

この2つの仕組みにより、給料が上がっても手取りが増えないという感覚に陥りやすいのです。

税金が引かれすぎだと感じたら確認すべきこと

「給料から税金が引かれすぎている」と感じた場合、まずは年末調整確定申告で適用されるべき所得控除が漏れていないか確認しましょう。例えば、生命保険料控除扶養控除などが正しく申告されていないケースがあります。

手取りアップの方法1. 収入を増やす

手取りを増やす最も直接的な方法は、収入の総額を上げることです。現在の仕事での収入アップはもちろん、新たな収入源を作ることも視野に入れましょう。

副業で収入の柱を増やす

近年、副業を認める企業が増えており、収入アップの現実的な選択肢となっています。Webライティング、プログラミングといったスキルを活かす仕事から、週末だけのアルバイトまで種類は多様です。

まずは月々の手取りを5万増やすことを目標に、自分の生活スタイルに合った副業を探してみてはいかがでしょうか。なお、副業での所得(収入から必要経費を差し引いた後の金額)が年間20万円を超えると確定申告が必要です。

スキルアップや転職で年収を上げる

現在の職場で専門性を高め、より高い役職や給与を目指す方法です。資格取得や研修への参加を通じて自身の市場価値を高めましょう。

また、自身のスキルや経験が、現職よりも高く評価される企業へ転職することも、大幅な年収アップにつながる可能性があります。業界や職種を変えることで、想定以上の手取り10万増やす年収アップも期待できます。

会社の制度を最大限活用する

見落としがちなのが、自社の給与制度や福利厚生の活用です。就業規則を確認し、昇給の条件や資格手当、住宅手当といった各種手当の支給条件を把握しましょう。成果を具体的に示して昇給交渉を行ったり、対象の資格を取得して毎月の給与に手当を上乗せしたりすることも、着実な手取りアップにつながります。

手取りアップの方法2. 節税で支出を減らす

収入を増やす努力と同時に、節税に取り組むことで手取り額を効率的に増やせます。

節税の基本は所得控除の活用

所得税は、額面給与そのものではなく、そこから経費や各種の所得控除を差し引いた後の課税所得に対してかかります。つまり、所得控除の金額が大きいほど課税所得が減り、結果として税金の負担が軽くなります。

手取りを増やす16の控除

所得控除は全部で16種類あります。これらを活用することが節税、ひいては手取りアップに直結します。ここでは全16種類を分かりやすく分類して解説します。

1. 個人的な事情に関する控除

  • 基礎控除:全ての納税者に適用される基本的な控除です。
  • 扶養控除:生計を同じくする所得の低い親族を養っている場合に適用されます。
  • 配偶者控除:所得の低い配偶者がいる場合に適用されます。
  • 配偶者特別控除:配偶者控除が適用されない場合でも、配偶者の所得に応じて適用される可能性がある控除です。
  • 障害者控除:本人、配偶者、扶養親族が障害者に該当する場合に適用されます。
  • ひとり親控除:婚姻歴や性別に関わらず、子を養う単身者が対象です。
  • 寡婦控除:夫と死別・離別し、特定の条件を満たす女性が対象です。
  • 勤労学生控除:働きながら学校に通う学生本人が対象です。

2. 支払った費用に関する控除

  • 社会保険料控除:支払った健康保険料や年金保険料などの全額が控除されます。
  • 生命保険料控除:生命保険・介護医療保険・個人年金保険の保険料を支払った際に適用されます。
  • 地震保険料控除:地震保険の保険料を支払った場合に適用されます。
  • 医療費控除:年間の医療費が多くかかった場合に適用されます。確定申告が必要です。
  • セルフメディケーション税制:特定の市販薬を多く購入した場合に適用される医療費控除の特例です。確定申告が必要です。

3. 将来や万が一への備えに関する控除

  • 小規模企業共済等掛金控除:iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金などが全額控除の対象です。将来の資産形成と節税を両立できます。
  • 寄附金控除ふるさと納税や特定の団体への寄付が対象です。特にふるさと納税は、控除上限内で寄附すれば実質2,000円の負担で返礼品を受けられる人気の制度です。原則として確定申告が必要です。
  • 雑損控除:災害や盗難などで資産に損害を受けた場合に適用されます。確定申告が必要です。

計画的な行動で、手取りアップを実現しましょう

給料が上がりにくい時代だからこそ、自身の手取り額に意識を向けることが資産形成の第一歩です。この記事で解説したように、手取りを増やす方法は一つではありません。

本業での昇給や転職、副業で収入の入り口を増やし、iDeCoやふるさと納税、各種控除を活用した節税で支出の出口を賢く管理することで、あなたの手取りは着実に増えていきます。

まずは給与明細と向き合い、できることから一つずつ実践してみてください。計画的な行動が、あなたの経済的なゆとりを創出します。


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