- 更新日 : 2024年12月18日
28連勤は違法?労働基準法に基づき分かりやすく解説!
28日も連勤が続くと、身体的な疲労と精神的な負担が深刻化し、その影響は生活全般に及びます。
本記事では 「28連勤は違法なのか?」 という疑問を労働基準法に基づいて分かりやすく解説します。法令遵守はもちろん、従業員の健康や働きやすさを守るためのポイントも合わせてお伝えしますので、労務管理の改善にお役立てください。
目次
28連勤は違法?
28連勤が違法になるかは、週ごとの休日確保か、4週間で4日以上の休日確保かによって異なります。週1日休日制であれば違法であり、4週間で4日休日制であれば、法的にはただちに違法とはいえません。
1.週1日の休日を確保する場合
この場合、理論上は最大12連勤まで可能と考えられています。28連勤は明らかに12日を超えるため、法定休日が適切に確保されていないとみなされ、違法です。
2.4週間(28日間)で4日以上の休日を確保する場合
この制度を採用している場合、最大48連勤まで理論上認められています。28連勤は48日以内におさまるため、ただちに違法とはいえません。
ただし、いずれの場合も健康管理や労働者保護の観点から、長期的な連勤は望ましくないといえます。
※36協定が締結されている場合には、極論連続勤務自体には上限はないものの、労働時間の限度時間があります。(もっとも、長期間の連勤は好ましくありません)
※労働基準法第41条では、管理監督者(監督・管理の立場にある者や機密業務を扱う者)には労働時間や休憩、休日に関する規定が適用されません。ただし、健康管理の観点から、一般の従業員と同じような配慮が求められます。
そもそも労働基準法での休日のルールについて
労働基準法第35条では、会社(使用者)が労働者に対して必ず与えるべき「法定休日」について定められています。会社は以下のいずれかの方法で休日を設定しなければなりません。
- 週に1日
- 4週間を通じて4日
この法定休日に対して、会社が独自に設定する休日は「法定外休日」と呼ばれ、労働基準法ではなく、労働契約や就業規則に基づいて付与されるものです。
たとえば、週2日休みがある会社の場合、そのうち1日が法定休日、残りの1日は法定外休日に該当します。
12連勤が可能な場合について
労働基準法第35条では、使用者(会社)は労働者に対して 「毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない」 と定めています。このルールに従えば、厳密には 12連勤が認められるケース があります。
12連勤が発生する仕組み
例えば、1週間の区切りを「日曜から土曜」とした場合の例を見てみましょう。
- 1週目:日曜日が休日、月曜日から土曜日まで6日間働く
- 2週目:日曜日から金曜日まで6日間働き、土曜日が休日
この場合、1週目の月曜日から2週目の金曜日まで 連続12日間 の勤務が発生しますが、法定休日は週に1回確保されているため、労働基準法には違反しないことになります。
48連勤が可能な場合について
労働基準法第35条では、会社(使用者)は労働者に対して 「毎週少なくとも1回の休日」 または 「4週間を通じて4日以上の休日」 を与えることが義務付けられています。この「4週間で4日」のルールを活用すると、 最大48連勤(1カ月あたり24日間)が理論上は認められるケースがあります。
48連勤が発生する仕組み
4週間単位で休日を設定する「変形休日制」を採用している場合、連続勤務が理論上可能になります。具体的な例を見てみましょう。
- 1週目:日曜から水曜まで休み、木曜から土曜まで勤務
- 2週目~7週目:毎日勤務(42日間連続勤務)
- 8週目:日曜から火曜まで勤務、水曜から土曜まで休み
この場合、 1週目の木曜日から8週目の火曜日まで 連続 48日間 の勤務が発生しますが、 4週間ごとに4日間の休日が確保されているため違法ではありません。
28連勤はきつい?その理由とは
28連勤特有のきつさは、身体的な疲労と精神的な負荷が互いに悪影響を及ぼし合い、心身のバランスを崩す点にあります。
連日働き続けることで、体力が限界を迎えます。休息を取る時間が不足し、疲れが次の日に持ち越される状態が続くため、体のだるさや眠気が慢性化します。これにより、仕事のパフォーマンスが低下し、日常的な動作でもエネルギーを消耗しやすくなります。
精神的な面では、28日間も連続で働くことで、ストレスが大きく積み重なります。仕事以外の時間がほとんど取れず、自分自身の生活や楽しみが失われたように感じることがあります。その結果、「何のために働いているのか」という虚無感や、終わりの見えない勤務に対する焦燥感が強まることがあります。
このような状態では、仕事に対する意欲や達成感を見失い、心が疲れ切ってしまうことも少なくありません。
違法な連勤が引き起こすリスク
違法な連勤を避けるためには、 法定休日の確保 と 労働者の健康配慮 が重要です。36協定を遵守し、過度な連勤が発生しないよう適切な労務管理を行うことで、従業員の健康と企業の信頼を守りましょう。
安全配慮義務について
労働契約法第5条では、使用者に 「安全配慮義務」 が課されています。これは労働者の健康や安全を守るための配慮義務です。
- 健康を害するほどの連勤:
過度な連勤が続くことで、労働者が心身に不調をきたした場合、安全配慮義務違反に該当します。
違反した場合のリスクとして、使用者には 損害賠償責任 が発生する可能性があり、企業の信頼を大きく損なうことになります。
労働安全衛生法違反となるケースも
労働安全衛生法では、使用者は職場環境を整え、労働者の健康や安全を確保することが義務付けられています。
- 過度な連勤で健康被害が発生:
長時間の連勤が原因で労働者が過労死やメンタルヘルスの不調に陥った場合、違反と判断される可能性があります。
違反した場合のリスクとして、労働基準監督署からの指導が入り、労働環境の改善を求められることになります。
従業員の健康被害・チベーション低下を引き起こす
過度な連勤は、うつ病や過労死など深刻な健康被害を引き起こす恐れがあります。労災認定されれば、企業は慰謝料や損害賠償責任を負う可能性もあります。
連勤が続けば、労働者の業務意欲は低下し、生産性にも悪影響が出ます。労働環境への不満が高まれば、離職者の増加や定着率の低下にもつながります。
企業の信頼失墜にもつながる
労働基準法違反が発覚すれば、罰金や懲役といった刑罰だけでなく、企業名が公表される可能性もあります。社会的信用の失墜は大きなダメージとなるでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
育児短時間勤務とは?期間や働き方、給与、不満の解消方法を解説
育児短時間勤務は子育て中の従業員が育児と仕事を両立しやすくするための制度で、1日の所定労働時間を6時間に短縮して働くことを可能にします。本記事では、育児短時間勤務の条件や待遇、企業が取り組むべきことなどについて解説します。また、実際の企業の…
詳しくみる遅早時間(遅刻早退控除)とは?計算方法や運用時の注意点、トラブルの防止法を解説
従業員の給与を正しく計算するためには、適切な勤怠管理が欠かせません。従業員全員が常に定められた時間通りに勤務できれば計算は簡単ですが、実際にはさまざまな理由で本来の勤務時間と実際の勤務時間が異なることが多いものです。 そうした要因のひとつが…
詳しくみる就業規則がない会社は問題あり?違法かどうかなど解説
常時10人以上の労働者を雇用している会社には、就業規則の作成が義務付けられています。従業員数が10人に満たない場合は就業規則を作成していなくても違法ではありません。しかし、可能であれば就業規則を作成しておくことが求められます。記載内容も労働…
詳しくみる運送業の36協定は法改正でどう変わった?規制のポイントや違反リスクを解説
近年、運送業界ではドライバー不足や高齢化が深刻化する中、2024年問題とも呼ばれる労働時間規制の強化が大きな転換点となっています。2024年4月からは運送業のドライバーにも時間外労働(残業)の上限規制が適用され、1日に運べる荷物の量の減少や…
詳しくみる有給休暇を使いすぎる社員の評価はどうする?トラブルを防ぐ対策を解説
有給休暇は法律で定められた労働者の権利ですが、取得頻度の高い社員の評価方法に悩む企業も多いでしょう。有給の使いすぎを理由に評価を下げると違法になる可能性もあります。 本記事では、有給休暇に関する基礎知識や使いすぎる社員への対策を解説します。…
詳しくみる有給休暇の前借りとは?企業の義務や対策、想定されるトラブルについて解説
有給休暇は労働者の大切な権利ですが、付与前や使い切ったのちに「前借り」を求められるケースもあります。 企業としては対応に悩むことも多いでしょう。 法律上、有給前借りに応じる義務はありませんが、認めた場合にトラブルになる可能性があります。 本…
詳しくみる