- 更新日 : 2026年1月28日
源泉徴収はいつ行う?給与天引きから納付期限、年末調整の時期まで徹底解説
源泉徴収業務は、毎月の給与計算から年末調整まで、年間を通じて「いつ対応すべきか」という期限管理が非常に重要です。特に実務を始めたばかりの方にとって、給与からの天引きタイミングや税務署への納付期限、さらには納期の特例といった複雑なスケジュールは、不安の種になりがちではないでしょうか。
この記事では、源泉徴収が行われる具体的な時期や流れについて、初心者の方にも分かりやすく丁寧に解説しています。万が一納付が遅れた場合のペナルティや、税額が0円だった場合の対応など、実務でつまずきやすいポイントもしっかり網羅しました。年間のスケジュールを正しく把握して、自信を持って業務を進められるようになりましょう。
目次
源泉徴収とはいつ行われる手続きなのか?
源泉徴収とは、原則として給与や報酬を支払う都度行われ、徴収した翌月の10日までに国へ納付する手続きのことです。
所得税法では、会社(給与支払者)が従業員や外部の個人事業主に給与や法定の報酬を支払う際、あらかじめ所定の所得税額を差し引き、本人に代わって国に納める義務があります。この仕組みを「源泉徴収制度」と呼び、実務担当者は「いつ差し引くか」と「いつ納めるか」の2つの期限を管理する必要があります。
源泉徴収義務が発生するタイミング
源泉徴収義務は、給与計算を締め切った日ではなく、現実に給与や報酬を支払う時に発生します。
会社が支払いを確定させても、実際にお金が動いていなければ徴収義務は生じません。 したがって、実務では「何月分の給与か」よりも「いつ支払日を迎えるか」が、源泉徴収を行う(税額を預かる)決定的な基準となります。
徴収から納付までの基本的な流れ
源泉徴収の全体的な流れは、「支払時に天引き(預かり)」し、期間をおいて「翌月に納付(精算)」するという2段階のスケジュールで動きます。
会社はあくまで「国に代わって一時的に税金を預かっている」立場です。そのため、従業員から徴収したその瞬間に納税するのではなく、1ヶ月分(特例の場合は半年分)をまとめて後日納付する仕組みになっています。 この「預かっている期間(タイムラグ)」が存在するため、担当者は預かり金を会社の運転資金と混同しないよう、期日まで適正に管理しなければなりません。
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従業員の給与から源泉徴収されるのはいつ?
源泉所得税が従業員の給与から天引きされるのは、給与が実際に支払われる日です。
所得税は給与の計算期間(締め日)ではなく、実際に金銭が動く「支払日」を基準に課税されます。そのため、給与計算の実務では支払日がいつであるかが非常に重要になります。
給与支払日と徴収のタイミング
源泉徴収を行うタイミングは、給与の締め日に関わらず、給与支給日時点となります。
例えば、「月末締め・翌月15日払い」の会社の場合、給与計算の対象期間は前月分ですが、源泉徴収を行う(税額を預かる)のは支払日である15日です。この支払日が属する月が、源泉徴収を行った「徴収月」として扱われます。したがって、もし資金繰りの悪化などで給与の支払いが遅れた場合、実際に支払われるまでは源泉徴収を行う義務も発生しません。
賞与(ボーナス)からの徴収時期
賞与(ボーナス)に対する源泉徴収も、賞与が支給される日に行われます。
賞与にかかる源泉所得税の計算方法は、毎月の給与とは異なり、「前月の給与金額」と「扶養親族等の数」を基準とした「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」を用いて計算します。こちらも給与と同様に、支給日に天引きを行い、会社が一時的に預かる形となります。
会社が源泉所得税を税務署へ納付するのはいつ?
会社が預かった源泉所得税を納付する期限は、原則として給与などを支払った月の翌月10日です。
この期限は厳格に定められており、1日でも遅れるとペナルティ(不納付加算税や延滞税)が課される可能性があります。ただし、従業員数が少ない小規模な事業所には、半年に一度まとめて納付できる特例措置も用意されています。
原則的な納付期限
原則的なルールでは、源泉徴収した月の翌月10日が納期限となります。
例えば、4月25日に給与を支払って源泉徴収をした場合、その税金は5月10日までに所轄の税務署または金融機関で納付しなければなりません。なお、納期限である10日が土曜日、日曜日、または祝日(国民の祝日)にあたる場合は、その翌営業日が期限となります。
納期の特例を利用する場合のスケジュール
「源泉所得税の納期の特例」の承認を受けている場合、納付期限は年2回(1月20日と7月10日)にまとめられます。
この特例は、給与の支給人員が常時10人未満の事業所が、事前に税務署へ申請書を提出し承認を受けることで適用されます。毎月の納付事務負担を軽減できるメリットがありますが、半年分を一度に納めるため、資金管理には注意が必要です。
▼ 納期の特例における納付スケジュール表
| 区分 | 対象となる期間(給与支払月) | 納付期限 |
|---|---|---|
| 前期 | 1月 〜 6月に支払った給与分 | 7月10日 |
| 後期 | 7月 〜 12月に支払った給与分 | 翌年1月20日 |
※特例の対象となるのは給与や退職金、税理士等の報酬などに限られ、原稿料や講演料などは特例対象外(毎月納付)となる場合があるため確認が必要です。
年末調整と源泉徴収票の発行はいつ?
年末調整は通常12月の給与支払時に行い、その結果を反映した源泉徴収票は12月の給与支払後から翌年1月末までに発行・交付します。
毎月の源泉徴収はあくまで「概算」の金額であるため、1年間の給与総額が確定した時点で正しい税額を計算し直す必要があります。これが年末調整です。この精算手続きを経て、最終的な納税額が確定します。
年末調整の実施スケジュール
年末調整の計算実務は、その年最後に支払う給与(または賞与)の金額が確定した時点で行います。
一般的な企業では、11月頃から扶養控除等申告書や保険料控除申告書などの回収を始め、12月の給与計算時に年税額を確定させます。計算の結果、納めすぎていた税金(還付金)があれば12月の給与や賞与に上乗せして還付し、不足していれば徴収します。
従業員へ源泉徴収票を渡す時期
従業員への源泉徴収票の交付期限は、給与等の支払いが確定した翌年の1月31日までと定められています。
実務上は、12月の給与明細と一緒に渡すか、1月の給与明細とセットで渡すケースが一般的です。従業員が確定申告を行う場合(医療費控除や住宅ローン控除の初年度など)には原本等の情報が必要になるため、遅くとも1月末までには確実に手元に届くよう手配しましょう。 ※現在は電子データでの交付も認められていますが、事前の同意が必要です。
源泉徴収票の発行については、以下の記事でも詳しく紹介しています。
源泉徴収をしなかった・納付が遅れた場合はどうなる?
納付が期限より1日でも遅れると、「不納付加算税(ふのうふかさんぜい)」および「延滞税(えんたいぜい)」という追徴課税が発生します。
税務署は源泉徴収義務違反に対して非常に厳格です。「うっかり忘れていた」という理由でも原則としてペナルティは免れません。特に納期の特例を利用している場合、半年分の税額に対して課税されるため金額が大きくなりやすく、カレンダーやリマインダーでの徹底した期日管理が必須です。
ペナルティの種類:不納付加算税と延滞税
納期限を過ぎた場合、本来納めるべき税額に加え、罰金としての性格を持つ税金と、利息としての性格を持つ税金の2種類が課されます。
期限を守らなかったことに対する制裁としての「不納付加算税」と、納付が遅れた期間に対する利息としての「延滞税」が同時に発生する仕組みです。特に不納付加算税については 、たとえ1日の遅れであっても計算の対象となります。
- 不納付加算税:納付すべき税額の10%相当額が加算されます。
- 延滞税:法定納期限の翌日から完納するまでの日数に応じ、年利数%(変動あり)で計算されます。
自主的な納付による不納付加算税の軽減措置
税務署から指摘を受ける前に自主的に納付を行えば、不納付加算税の税率が本来の10%から5%に軽減される仕組みがあります。
納付漏れに気づいた場合、税務署からの連絡(納税告知)を待つのではなく、直ちに自主納付することが最も損害を抑える方法です。 なお、過去に納付遅れがなく、かつ法定納期限から1ヶ月以内に納付した場合は、特例として不納付加算税そのものが免除されるケースもあります(これを「不納付加算税の免除要件」といいます)。遅れたと気づいたら、放置せず即座に行動することが重要です。
追徴課税が企業経営に与えるリスク
ペナルティとして支払った不納付加算税や延滞税は、法人税の計算上、経費(損金)として認められません。
通常の給与や税金(固定資産税など)は会社の経費になりますが、罰則的な意味合いを持つこれらの税金は、全額が会社の利益から持ち出しとなります(損金不算入)。 つまり、単にキャッシュが出ていくだけでなく、法人税を減らす効果もない「純粋な損失」となります。また、頻繁に納付遅れが発生すると税務署からの信用が低下し、税務調査の対象になりやすくなるリスクもあります。
納付漏れや遅延を防ぐために注意すべきポイントは?
通常のスケジュール以外にも、「税額が0円の場合の期限」や「給与支払日が土日と重なった場合の扱い」など、判断に迷うケースが存在します。
これらを誤認していると、「納付漏れ」や「書類の交付遅延」といったトラブルに繋がる可能性があります。ここでは実務で特に注意すべき3つのイレギュラーなケースについて解説します。
納付税額が0円でも「期限内」の報告が必要
源泉徴収税額が0円であっても、納付書(所得税徴収高計算書)は原則として「翌月10日」までに税務署へ提出しなければなりません。
「納める税金がないから手続きも不要」と勘違いしがちですが、これは誤りです。税務署に対して「今月は給与等の支払いはあったが、税額は発生しなかった」という事実を報告する必要があるためです。 納付書に支給額などを記載し、税額欄に「0」と記入して、期限内に所轄の税務署へ提出(またはe-Taxで送信)してください。 ※「納期の特例」を受けている場合も同様に、0円であっても半年に一度の期限までに提出が必要です。
給与支払日が「月をまたぐ」場合の納付期限
給与支払日が休日の影響で翌月にズレ込んだ場合、源泉徴収を行う月(徴収月)も翌月となり、納付期限もさらにその翌月へとスライドします。
例えば「月末締め・当月30日払い」の会社で、30日が日曜日だったため「翌月1日」に給与を支払ったとします。この場合、源泉徴収をしたのは「翌月1日」となるため、その税金の納付期限は「翌々月の10日」となります。 源泉徴収義務は「計算期間」ではなく「実際に支払った日」に発生するため、カレンダーによる支払日のズレには細心の注意が必要です。
退職者の源泉徴収票は「退職後1ヶ月以内」に交付
年度の途中で退職した従業員に対しては、年末調整を待たず、退職した日から1ヶ月以内に源泉徴収票を交付する必要があります。
在職中の従業員には翌年1月末までに交付しますが、退職者は転職先での年末調整や、自身での確定申告に源泉徴収票が必要になります。 「年末にまとめて送ればよい」と考えて放置していると、退職者から督促を受けたり、トラブルになったりする原因となります。退職手続きの一環として、最後の給与計算が済み次第、速やかに発行・送付するフローを組んでおきましょう。
効率よく源泉徴収事務を進めるには?
源泉徴収業務を効率化するには、給与計算システム(クラウドソフト等)の導入と、オンライン納付環境の整備が最も効果的です。
手書きや表計算ソフト(Excel等)での管理は、計算式の設定ミスや法改正への対応漏れが起こりやすく、担当者が変わると業務が回らなくなる「属人化」のリスクも高まります。専用のシステムを利用すれば、毎月の税額計算から年末調整、源泉徴収票の作成までが一気通貫で自動化され、正確性とスピードが格段に向上します。
脱エクセル・手書き管理によるミスの防止
表計算ソフトや手書きによる管理をやめることで、法改正による税率変更への対応漏れや、計算式の人為的なミスを根本から防げます。
源泉所得税の税額表や社会保険料率は、法改正により年度の途中で変更されることがあります。Excel等の場合、その都度手動で計算式やマスタデータを修正する必要があり、修正を忘れると誤った金額を徴収し続けることになります。 システム化すれば、法改正情報はベンダー側で自動アップデートされるため、ユーザーは意識することなく常に最新の法令に基づいた計算が可能になります。
納付期限アラートとオンライン納付(e-Tax)の活用
システムのアラート機能やe-Tax(国税電子申告・納税システム)との連携機能を活用すれば、納付期限のうっかり忘れを防ぎ、銀行窓口へ行く手間をゼロにできます。
主要な給与計算ソフトには、納付期限が近づくと管理画面やメールで通知する機能が備わっています。さらに、確定した税額データをそのままe-Tax用のデータとして出力したり、インターネットバンキングと連携したりすることで、デスクにいながら納付手続きを完了できます。 移動時間や待ち時間を削減できるだけでなく、「いつまでに納付すべきか」という精神的なプレッシャーからも解放されます。
給与計算システムによる一元管理と自動化
クラウド型の給与計算システムを導入すると、毎月の給与データがそのまま年末調整や源泉徴収票作成に連動し、転記作業が不要になります。
多くのシステムでは、月々の給与計算結果が自動的に年間データとして蓄積されます。これにより、年末調整の時期になっても、1年分の給与台帳を改めて集計し直す必要がありません。 また、従業員への給与明細や源泉徴収票もWeb上で発行・配布できるため、紙を印刷して封入・手渡しするといった物理的な事務工数も大幅に削減できます。
源泉徴収の納付期限を正しく把握し、遅滞のない手続きを
本記事では、「源泉徴収はいつ行うのか」というスケジュールの疑問について解説しました。
源泉所得税は給与の「支払日」に天引きし、原則として「翌月10日」までに納付します。1日でも遅れると追徴課税のリスクがあるため、特例の有無や例外的なケース(0円納付や退職者対応)も含めた正確な期限管理が欠かせません。 給与計算システムなども活用しながら、これらの「いつ」を確実に把握し、ミスのない業務フローを構築しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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