• 更新日 : 2026年1月20日

給与所得者の基礎控除申告書の収入金額がわからない時は?副業・年金の扱いも解説

年末調整の時期、手元に配られた「給与所得者の基礎控除申告書」を見て、「まだ12月の給料やボーナスが支払われていないのに、どのように年収を書けばいいの?」と疑問に思う方もいるでしょう。

年末調整書類の提出期限(通常11月下旬頃)までには、12月分の給与や賞与が確定していないケースが大半であるためです。

結論から言うと、年末調整の書類に記入する収入金額・所得金額は、あくまで「見積額」で問題ありません。

この記事では、まだ確定していない年収(収入金額)の正確な見積もり方から、配偶者分の見積もり、副業をしている場合の計算ルール、もし見積もり通りにならなかった場合の対処法まで、わかりやすく解説します。

基礎控除申告書の収入金額がわからない時は?

11月頃に配布される年末調整書類のうち、基礎控除申告書の収入金額がわからない時は、「見積額(予測)」で計算することが認められています。

「本年中の合計所得金額の見積額」を記入する必要がありますが、配布時点では1年間の収入は確定していません。そのため、概算の上で記入することになります。

なお、基礎控除申告書の正式名称は、「給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」です。

非常に長い名前のとおり、1枚で4種類の控除を申告する役割を持っています。

それでは、どのように見積もりをするか見ていきましょう。

直近の給与明細から概算する

すでに受け取った給与および賞与の金額と、これから受け取る予定の給与および賞与の金額を足し合わせる計算です。

  1. 1月から直近(10月または11月)までの給与・賞与(ボーナス)の支給額を合計する
    毎月の給与、および賞与の明細の「総支給額(額面)」を合計します。手取り額ではない点に注意してください。
  2. 残りの月数分の給与を予測して足す
    残りの月(11月・12月など)の給与が変動しないと仮定し、直近の月収(額面)×残り月数分を1の合計額に加算します。
  3. 想定される賞与(ボーナス)を加算する
    冬のボーナスが支給される場合は、前年の実績や会社からの支給通知などを参考に、その見込み額を加算します。

前年の源泉徴収票を参考にする

月給制で、昨年から昇給や残業時間の大きな変化がない場合は、前年の源泉徴収票の「支払金額」をそのまま参考にするのも一つの方法です。ただし、以下の場合は金額が大きく変わるため、必ず今年の明細に基づき計算し直してください。

  • 年の途中で転職した
  • 残業が極端に増えた、または減った
  • ボーナスの支給額が大きく変わる見込みがある

非課税の交通費は含めない

収入金額を見積もる際、非課税限度額(交通機関による通勤の場合は月額15万円)までの「通勤手当交通費)」は含めません。給与明細の「総支給額」に交通費が含まれている場合は、交通費を差し引いた金額(課税支給額)により計算してください。

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収入金額と所得金額の違いは?

基礎控除申告書には「収入金額」と「所得金額」を書く欄がありますが、これらは別物です。この2つを混同すると、基礎控除や配偶者控除などの判定を誤り、税額計算にミスが生じる原因になります。

項目説明備考
収入金額

(年収)

会社から支給される総支給額(額面)

源泉徴収票の支払金額

税金や社会保険料を差し引く前の金額

交通費は除く

所得金額収入金額ー給与所得控除

収入金額から給与所得控除を引いた額

税法上の利益にあたるもの
計算と記入の手順
  1. 前述の方法で「収入金額」を見積もります。
  2. 国税庁HPの「合計所得金額の計算について」の「給与所得」の表に収入金額を当てはめる。
  3. 計算式に基づいて「所得金額」を算出し、所定の欄に記入する。

出典:No.1410 給与所得控除|国税庁

参考:合計所得金額の計算について|国税庁

基礎控除申告書の収入金額に副業やその他所得を含める?

基礎控除申告書には「給与所得」だけでなく、「給与所得以外の所得の合計額」を記載する欄があります。副業をしている場合などは、記入が必要になることがあります。

副業やその他所得があった場合はどうなるか

副業による収入(雑所得事業所得など)や、不動産所得、株の配当所得などがある場合、それらの「所得金額」を見積もり、「給与所得以外の所得の合計額」欄に記入します。

ただし、すべての所得について記入する必要はありません。以下の所得についてはこの欄への記入は不要となります。

  • 副業や不動産、株式取引などの所得が年間20万円以下で、それらの所得について所得税の確定申告をしない場合
  • 源泉分離課税だけで納税が完結するもの(証券会社の特定口座で「源泉徴収あり」を選択している株の配当など)

ただし、副業などによる所得が20万円以下であっても、医療費控除などで、確定申告をする予定の場合は、その所得も含めて計算し、記入する必要があります。

参考:確定申告が必要な方|国税庁

基礎控除申告書で申告するもの

この申告書で申告するのは、あくまで「合計所得金額」に応じた「基礎控除の額」を決めるための情報です。

副業などによる所得を含めることで合計所得金額が変動し、基礎控除額(95万円、88万円、68万円、63万円、58万円、48万円、32万円、16万円の区分)が変わる可能性があるため、正確な見積もりが求められます。

参照:No.1199 基礎控除|国税庁

確定申告が必要な場合

年末調整は原則として「1か所からの給与」に対する精算手続きです。副業による所得など(給与所得以外)が20万円を超える場合や、2か所以上から給与を受けていて、年末調整をされない会社からの給与収入の額とその他の所得の合計が20万円を超える場合などは、会社での年末調整とは別に、自分で確定申告を行う必要があります。

上記に該当する場合、基礎控除申告書に副業分などの所得を記入しても、確定申告が不要になるわけではない点に注意してください。

基礎控除申告書の所得の合計額に年金は含める?

公的年金等(老齢基礎年金、老齢厚生年金など)を受け取っている場合も、その所得見積額を「給与所得以外の所得の合計額」欄に記載します。公的年金による所得は「雑所得」に分類され、給与所得と合算して基礎控除の判定を行う必要があるからです。

公的年金等に係る雑所得の計算手順
  1. 年金の収入金額(額面)を見積もる
    1年間に受け取る年金の総額(額面)を計算します。遺族年金や障害年金は非課税のため含めません。
  2. 公的年金等控除額を差し引く
    年金の収入金額から、年齢(65歳未満か以上か)と収入額に応じた「公的年金等控除額」を差し引いて所得を算出します。

計算例(65歳未満、かつ公的年金等による雑所得以外の合計所得が1000万円以下の場合)

年金収入が130万円未満の場合:所得金額 = 収入金額 - 60万円
年金収入が130万円以上~410万円未満の場合:所得金額 = 収入金額 × 75% - 27.5万円

国税庁の「公的年金等に係る雑所得の速算表」を参照して計算しましょう。

参照:No.1600 公的年金等の課税関係|国税庁

配偶者や特定親族の収入金額がわからない時は?

配偶者(特別)控除や、特定親族(19歳以上23歳未満の扶養親族)の控除(特定親族特別控除)を受ける場合も、それぞれの収入見積もりが必要です。

基本的な考え方は本人と同じ

配偶者や特定親族の収入についても、本人同様に「1月から直近までの実績 + 残りの見込み額」で計算します。

年収123万円・201万円などギリギリの場合

パートやアルバイトの収入が、配偶者控除が受けられる年収の上限(年収123万円=所得58万円)や、配偶者特別控除の区分が変わる年収額に近い場合は注意が必要です。少なく見積もることで控除額が多くなり、後で実際の収入がオーバーしていたことで本来の控除額が少ないことが判明すると、追徴課税が発生する場合があります。

見込みが読めない場合は、少し多めに見積もっておく(控除額を少なく申告しておく)ほうが、後で還付を受けられるため安全です。

基礎控除申告書の合計所得金額の見積額が実際の金額とズレた場合は?

12月の残業代が予想外に多かったり、決算賞与が支給されたりして、11月に提出した申告書の「合計所得金額の見積額」と実際の金額がズレることがあります。このズレにより、基礎控除の額に影響する場合は、年末調整の訂正や確定申告が必要です。

合計所得金額が大幅に増減した場合の対応

多少の合計所得額のズレであれば、基礎控除の額に影響しない場合が多いですが、令和7年分からは以下の表の合計所得金額の範囲をまたぐことで控除額が変わります。

【令和7年分 基礎控除額(本人の合計所得金額)】
  • 132万円以下:控除額 95万円
  • 132万円超 336万円以下:控除額 88万円
  • 336万円超 489万円以下:控除額 68万円
  • 489万円超 655万円以下:控除額 63万円
  • 655万円超 2,350万円以下:控除額 58万円
  • 2,350万円超 2,400万円以下:控除額 48万円

(以下略)

これまでは「合計所得2,400万円以下なら一律48万円」でしたが、令和7年分からは一般的な年収層(336万円〜655万円付近)で合計所得が数万円単位でズレるだけで控除額が変わる可能性があります。

どのくらい増減したら会社への申告や確定申告が必要か

「控除額が変わる場合」には対応が必要です。 例えば、年末調整の申告書提出時の本人の合計所得見積もりが480万円(控除額68万円)であったものが、実際は495万円(控除額63万円)であった場合、基礎控除額が5万円減ります。

また、配偶者の年収が123万円を超えてしまい、配偶者控除が受けられなくなるケースなども同様です。

このように、年末調整の申告書提出時の見積による控除額が変わる場合には必ず訂正申告しなければなりません。

いつまで会社に申し出ればよいか

会社の年末調整計算(通常12月下旬〜1月上旬)までであれば、年末調整の申告書の訂正で対応できます。気づいた時点で速やかに会社の年末調整の担当者に申し出てください。会社での年末調整が終了した後(源泉徴収票を受け取った後)にズレが発覚した場合は、会社での再年末調整は不可能であるため、自分で確定申告(給与等を支給された年の翌年2月16日〜3月15日)を行う必要があります。

基礎控除申告書の収入金額は見積額で記入を

基礎控除申告書に記入する収入や合計所得の金額は、あくまで提出時点での「見積もり」で問題ありません。収入額の計算の際は、11月までの給与や賞与の支給実績に、12月の給与と賞与の支給見込額を加算しましょう。副業等による収入については、確定申告を行わない範囲(20万円以下など)であれば合計所得の金額に含める必要はありませんが、申告予定がある場合は合算します。

結果として実際の年収とズレが生じ、控除額が変わった場合には、速やかに会社の年末調整担当者に報告の上で訂正するか、ご自身で確定申告を行うことで訂正することができます。

年末調整の申告書は、判断に迷う箇所を空欄のままで提出するのではなく、提出前に担当者に相談して間違いのないように対応することをおすすめします。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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