• 作成日 : 2026年10月28日

領収書は再発行してもらえる?断られる理由や紛失時の経費処理を解説

Point領収書は再発行してもらえる?

領収書の再発行に応じる義務は発行元にはなく、対応できるかどうかは店舗や会社の判断によります。

  • 紛失後の再発行義務は法律上ない
  • 再発行分にも印紙税がかかる場合がある
  • 代替資料で支出の事実を説明できる状態にする

Q. 領収書をなくしたら経費にできない?
A. 領収書がなくても支出の事実を説明できる資料(請求書・決済履歴など)があれば、経費計上できる可能性があります。ただし消費税の仕入税額控除には原則としてインボイスの保存が必要です。

経費精算や確定申告に必要な領収書をなくしてしまい、再発行してもらえるか悩む場面は少なくありません。民法上、支払い時に受取証書を請求する権利はあるものの、一度交付された領収書について発行元に一律の再発行義務はありません。

本記事では、再発行を依頼する際に伝えるべき情報や断られる主な理由、領収書がない場合の経費処理、インボイス対応の領収書を再発行・修正するときの注意点などを解説します。

領収書は再発行してもらえる?

領収書の再発行に応じてもらえるかどうかは、基本的に発行元の判断や運用によります。代金を支払った際には受取証書の交付を求める権利がありますが、一度交付された領収書を紛失した後まで、同じ書類を再発行する一般的な義務が定められているわけではありません。

領収書はそもそも支払い時に発行を求めるもの

商品代金やサービス料金などを支払う人は、支払いと引き換えに受取証書の交付を求めることができます。一般に領収書と呼ばれている書類は、この受取証書に当たります。

民法第486条では、弁済をする者が、弁済と引き換えに受取証書の交付を請求できると定められています。さらに、書面に代えて、受取証書の内容を記録した電子データの提供を求めることもできます。ただし、電子データによる対応が受領者側に不相当な負担となる場合は除かれます。

参考:民法|e-GOV

紛失後の領収書には一般的な再発行義務はない

一度領収書を交付している場合、紛失した人から申し出があったとしても、発行元に一律の再発行義務が生じるわけではありません。店舗や会社によっては、不正利用や二重精算を防ぐため、再発行しないルールを設けていることがあります。

民法第486条が定めているのは、支払いと引き換えに受取証書を請求する権利です。紛失した書類を後日もう一度発行することまで明示した規定ではありません。領収書をなくした場合は、まず店舗や取引先へ事情を説明し、再発行できるか確認します。再発行に対応していない場合には、購入証明書や支払証明書など別の書類を発行できないか相談する方法もあります。

インボイスも一度交付されていれば再交付義務は原則として生じない

適格請求書や適格簡易請求書を一度適切に交付している場合、買手が紛失したことを理由として、売手に改めて再交付する義務が生じるわけではありません。

適格請求書発行事業者には、課税事業者である取引相手から求められた場合にインボイスを交付する義務があります。一方、たとえば店舗が会計時に適格簡易請求書に該当するレシートを交付していれば、その時点で交付義務を果たしたことになります。

その後、購入者がレシートを紛失して再発行を求めても、売手に改めて交付する義務はないとされています。ただし、法律上の再交付義務がないことと、店舗が任意で再発行できないことは同じではありません。発行元のシステムや社内規程によっては対応してもらえる場合があります。

紛失した領収書を再発行してもらうには?

領収書をなくした場合は、取引内容を特定できる情報をそろえて発行元に連絡するのが基本です。取引日、購入金額、店舗名、決済方法などがわかれば、発行元が過去の取引を確認しやすくなります。

購入日や金額など取引を特定できる情報を伝える

再発行を依頼するときは、発行元が対象の取引を特定できるように情報を伝えます。取引日、金額、商品やサービスの内容、利用店舗、決済方法、注文番号などがわかると確認がスムーズです。

クレジットカードやキャッシュレス決済を利用した場合には、利用履歴から購入日時や金額を確認できることがあります。オンラインショップであれば、注文履歴や購入完了メールに注文番号が残っている場合もあります。

取引を特定できない状態では、別人の取引について領収書を発行してしまう可能性があります。「○月ごろに買った」だけではなく、確認可能な情報をできるだけそろえてから問い合わせる方が現実的です。

再発行された領収書の記載内容を確認する

再発行された領収書を受け取ったら、金額や取引日、発行者などが実際の取引と一致しているか確認します。事業上の支出として保存する場合は、誰から、いつ、何を、いくらで購入したのかが後から説明できる状態にしておくと整理しやすくなります。

発行する側では、すでに発行済みの領収書との区別を明らかにするため、「再発行」などの表示を付ける運用も考えられます。これは二重発行による経費の重複計上などを防止するうえでも有効です。

適格請求書として保存する場合には、登録番号、取引年月日、取引内容、税率ごとの金額、消費税額等といった所定の記載事項も確認します。

参考:適格請求書等の記載事項|国税庁

元の領収書が見つかった場合は二重計上しない

再発行後に紛失していた元の領収書が見つかっても、同じ支出を2回経費として計上することはできません。複数の証憑が存在していても、実際の取引は1回だからです。

インボイスについても、一つの課税仕入れについて複数枚の適格請求書を保存しているからといって、複数回の仕入税額控除が認められるわけではありません。一つの取引に対して適用できる仕入税額控除は一回です。

経費精算を行う会社では、元の領収書が後から見つかった場合の取扱いを社内ルールとして決めておくと、重複精算を防ぎやすくなります。

領収書の再発行を断られる場合の理由は?

領収書の再発行を断られる主な背景には、二重精算などの不正防止や、過去の取引をシステム上再現できないことがあります。「購入した事実があるなら必ず発行してもらえる」とは限りません。

二重精算や不正利用を防ぐため再発行しない場合がある

同じ取引について複数枚の領収書が存在すると、経費精算や会計処理で重複利用されるおそれがあります。このため、企業や店舗が社内規程として「領収書の再発行は行わない」と定めている場合があります。

領収書は金銭を受け取った事実を証明する書類です。紙の領収書では印紙税の課税関係も発生するため、単なるレシートのコピーとは異なる扱いが生じる場合があります。

発行を依頼する側としては、再発行を当然の権利と考えるのではなく、まず発行元の規程を確認する必要があります。

過去のレシートを再出力できないシステムもある

店舗側に取引履歴が残っていても、POSレジなどの仕様によって過去の領収書を再出力できない場合があります。再発行できる期間が決められているケースもあります。

また、会計データが残っていることと、当時と同じ内容の領収書を再作成できることは必ずしも同じではありません。利用から長期間経過している場合ほど、再発行が難しくなる可能性があります。

領収書を紛失しても経費にできる?

領収書を紛失したことだけを理由として、実際に事業のために支出した費用そのものが直ちに経費ではなくなるわけではありません。一方で支出内容を客観的に説明できる資料を残しておく必要があります。

経費として処理するなら支出の事実を説明できる資料を残す

領収書をなくした場合でも、取引日、支払先、金額、内容、事業との関係を確認できる資料はできるだけ保存します。帳簿だけに金額を書いて終わらせるより、請求書や決済履歴などと対応させた方が取引の実態を説明しやすくなります。

法人は、取引を記録した帳簿に加えて、注文書、契約書、領収書などの取引関係書類を原則として7年間保存します。個人事業主にも帳簿や領収書などを保存する制度があります。

したがって、領収書を紛失した場合は再発行を依頼し、それが難しい場合には残っている関連資料を整理しておく対応が考えられます。

出金伝票を作成しても必ず認められるわけではない

自社で作成した出金伝票は取引を記録する資料にはなりますが、それだけで領収書の代わりとしてすべての税務要件を満たすとは限りません。「領収書を紛失したら出金伝票を作れば問題ない」と一律に考えるのは避けた方がよいでしょう。

出金伝票は自社側で作成する書類であり、支払先から受け取った領収書とは証拠としての性質が異なります。利用する場合には、支払日、支払先、金額、購入内容、支払い目的などを帳簿や他の取引資料と対応させます。

また、消費税の仕入税額控除では、一定の例外を除き、出金伝票だけでは適格請求書等の保存要件を満たしません。

消費税の仕入税額控除では原則としてインボイス等の保存が必要

課税事業者が仕入税額控除を受ける場合は、原則として一定事項を記載した帳簿と適格請求書等を保存します。領収書をなくした場合に、銀行の振込記録やクレジットカードの利用明細があるだけで、常にインボイスの保存要件を満たすわけではありません。

税込1万円未満の課税仕入れについて一定規模以下の事業者に認められる経過措置など、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められるケースもあります。

「所得税や法人税で費用として説明できるか」と「消費税の仕入税額控除を受けられるか」は分けて確認します。

参考:仕入税額控除をするための帳簿及び請求書等の保存|国税庁

インボイス対応の領収書を再発行するときはどうする?

インボイスとして使われる領収書を再発行するときは、通常の領収書より記載事項を慎重に確認します。単なる「紛失による再発行」と、金額や税率などに誤りがあったため発行し直す「修正した適格請求書」は区別します。

紛失による再発行と記載ミスによる修正は別の手続き

領収書を紛失したため同じ内容を再発行するケースと、最初のインボイスに誤りがあるケースは区別します。すでに適格請求書等を交付した後、買手が紛失した場合には、原則として再度の交付義務は生じません。一方、交付した適格請求書の金額、税率、消費税額などに誤りがあった場合、適格請求書発行事業者は修正した適格請求書等を交付する扱いになります。

再発行を依頼するときは「紛失したため同じ領収書が欲しい」のか、「記載内容が間違っているので修正してほしい」のかを発行元に明確に伝えます。

インボイスの記載ミスを買手が勝手に書き換えない

受け取った適格請求書の記載内容に誤りがあった場合、買手が元の書類を自己判断で書き換える方法は原則として適切ではありません。売手側から修正した適格請求書等を受け取るなどの対応を行います。

修正方法としては、必要な記載事項を修正した適格請求書を改めて交付する方法や、当初の書類との関連性を示したうえで修正事項だけを記載した書類を交付する方法があります。

後者では、元の適格請求書と修正事項を記載した書類を合わせて保存します。

再発行されたインボイスでも仕入税額控除は1回だけ行う

同じ取引について元のインボイスと再発行分の両方が存在しても、仕入税額控除を2回行うことはできません。適格請求書を再交付した場合であっても、対象となる課税仕入れ自体が増えるわけではないためです。購入者側では、同じ取引について複数の証憑が保存されていることがわかるように整理します。

再発行後に元の領収書が見つかった場合も同様で、経費や仕入税額控除を重複して処理しないよう管理します。

領収書を再発行すると収入印紙はどうなる?

紙で再発行した領収書が印紙税の課税文書に該当する場合は、最初の領収書で印紙税を納付していても、再発行分について別途印紙税が生じることがあります。「再発行」と記載すれば自動的に非課税になるわけではありません。

再発行した紙の領収書にも印紙税がかかる場合がある

金銭を受領した事実を証明するために紙の受取書を再発行した場合、その再発行分も第17号文書に該当することがあります。

金銭の受領そのものが1回であっても、受領事実を証明する目的で新たな受取書を作成して相手に交付すれば、その書類について印紙税の判定を行います。最初の領収書に適正な収入印紙を貼っていたからといって、再発行分が当然に非課税になるわけではありません。

なお、印紙税の納税義務を負うのは、再発行を依頼した購入者ではなく、課税文書を作成した側です。

「再発行」と記載しても印紙税の判定は変わらない

領収書に「再発行」「再発行分」などと書くだけで、印紙税の対象外になるわけではありません。印紙税では、書類の名称ではなく、その書類が何を証明する目的で作成されたのかによって課税文書に該当するかを判断します。

したがって、「領収書」ではなく「支払証明書」といった名称に変えれば必ず印紙税がかからなくなる、と考えることも適切ではありません。

紙の書類を再発行する事業者は、受領事実を証明する文書に当たるか、記載金額はいくらか、非課税要件に該当するかを確認します。

電子データとして交付する領収書は印紙税の課税文書に当たらない

領収書をPDFなどの電磁的記録として電子メール等で交付する場合、電磁的記録そのものは印紙税の課税対象となる「文書」には含まれません。

紙の課税文書とは扱いが異なるため、領収書を電子化することで、収入印紙を貼付する場面を減らせます。ただし、電子メールで送った後に紙の正本も交付すれば、その紙については別途印紙税の判定が生じます。

領収書をなくしたら早めに再発行の可否を確認しよう

領収書を紛失した場合は、まず購入先や取引先へ連絡し、再発行できるか確認しましょう。ただし、一度発行された領収書について、発行元に一律の再発行義務があるわけではありません。インボイスについても、すでに適切に交付している場合、紛失後の再交付義務は原則として生じません。

再発行できないときは、請求書や購入履歴、決済記録など取引を確認できる資料を整理します。領収書の再発行に頼らずに済むよう、紙・電子それぞれの証憑を受領した時点で保存する仕組みを整えておくと、経費処理や確定申告も進めやすくなります。


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