- 作成日 : 2026年10月28日
領収書の正しい書き方とは?記載事項・インボイス対応・収入印紙について解説
領収書には日付・宛名・金額・但し書き・発行者を記載し、実際の取引内容と一致させることが基本です。
- 金額は「¥〇〇,000-」形式で改ざん防止
- インボイスには登録番号と税率別金額が必要
- 紙の領収書は5万円以上で収入印紙が必要
Q. 但し書きに「お品代」と書いてもよい?
A. 使用は可能ですが、「事務用品代として」など取引内容が具体的に分かる表現にする方が経費精算や会計処理に適しています。
領収書は、商品やサービスの代金を受け取った事実を証明する書類です。領収書の書き方に一律の様式が決められているわけではありませんが、日付、金額、宛名、取引内容、発行者などを明確にしておくと、支払った側が経費精算や会計処理をしやすくなります。
また、インボイスとして発行する場合には、通常の領収書とは異なる記載事項にも注意が必要です。
この記事では、領収書の正しい書き方から但し書き、収入印紙、電子領収書などついて解説します。
領収書には何を書く?
領収書には、取引日、宛名、受領金額、但し書き、発行者など、誰が・いつ・何の代金として・いくら受け取ったのかを確認できる情報を記載します。
一般的な領収書について全国一律の様式が定められているわけではありません。後から取引内容を確認できるよう、基本項目を漏れなく記載しておくとよいでしょう。
- 発行日
- 宛名
- 受領金額
- 但し書き
- 発行者名
- 発行者の住所・連絡先
- 消費税額等
- 収入印紙
なお、インボイスとして領収書を発行する場合は、上記に加えて、適格請求書発行事業者の登録番号、税率ごとに区分した対価の額、適用税率、税率ごとの消費税額等などの記載も必要です。
【日付】実際に代金を受け取った日を記載する
領収書の日付には、原則として実際に代金を受領した年月日を記載します。
たとえば、商品を9月1日に納品し、9月10日に現金を受け取った場合、領収書の日付は通常9月10日となります。請求書の発行日や商品の納品日ではなく、「いつ代金を受領したか」が判断の基準です。
日付が空欄になっていると、支払った側がいつの経費として処理すればよいのか判断しにくくなります。月日だけではなく年まで含め、「2026年9月10日」のように記載すると取引時期を明確にできます。
【宛名】代金を支払った相手の名称を記載する
宛名には、実際に代金を支払った会社名や個人名を正確に記載するのが基本です。
法人であれば「株式会社○○ 御中」、個人であれば「○○様」のように記載します。会社名を省略したり、正式名称と異なる名称を書いたりすると、経費精算の際に取引先との関係を確認しにくくなることがあります。
「上様」とした領収書が直ちに無効になるわけではありませんが、誰が支払ったのかが領収書だけでは分かりません。事業上の証憑として利用するのであれば、可能な限り正式な名称を記載してもらうほうが管理しやすいでしょう。
なお、小売業や飲食店業、タクシー業などが交付できる適格簡易請求書では、一定の要件を満たせば宛名を省略できます。
【但し書き】何の代金なのか分かる内容を記載する
但し書きには、「何に対して支払われた金額なのか」が判断できる内容を記載します。
文房具を販売したのであれば「文房具代として」、飲食代なら「飲食代として」、書籍を販売した場合は「書籍代として」などと記載します。
「お品代として」という表現も使われていますが、具体的な取引内容が分かりにくいため、経理処理や取引確認の観点では商品の種類やサービス内容が分かる表現のほうが適しています。軽減税率の対象商品を含むインボイスを発行するときは、軽減税率の対象であることが分かる記載も必要です。
領収書の金額の書き方は?
領収書の金額は、受領した金額を改ざんされにくい形式で明確に記載します。金額の前後に記号を付けたり、3桁ごとにカンマを入れたりすると、後から数字を書き加えられるリスクを抑えられます。
金額欄は領収書の中心となる項目です。税込金額だけを書く方法もありますが、消費税額や税率を区分して記載すると、インボイスへの対応や印紙税の判定にも役立ちます。
金額の前後には「¥」や「-」などを付ける
金額は「¥110,000-」のように、数字の前後に記号を付けて記載する方法が一般的です。
「10000」とだけ記載すると、数字の前後に別の数字を書き加えられる余地があります。「¥10,000-」のように記載すれば、金額の範囲が明確になります。
金額の区切りには3桁ごとにカンマを入れると、「100000」と「1,000,000」のような桁数の読み違いも防ぎやすくなります。手書きの領収書では、とりわけ数字を明瞭に記載するとよいでしょう。
税込金額と消費税額を分けて記載して内容を明確にする
領収書には、税込総額だけでなく税抜金額や消費税額を区分して記載する方法があります。「合計55,000円、うち消費税等5,000円」のように消費税額を明確にすれば、取引金額の内訳を確認しやすくなります。
また、課税事業者が作成する売上代金の領収書では、消費税額等が明確に区分されている場合、その消費税額等を印紙税の「記載金額」に含めない取扱いがあります。
たとえば商品販売代金48,000円、消費税額等4,800円、合計52,800円と明確に区分した場合、一定の条件のもとで印紙税上の記載金額は48,000円となります。単に「52,800円(税込)」と書く場合とは扱いが異なるため注意しましょう。
参考:No.7124 消費税額等が区分記載された契約書等の記載金額|国税庁
複数の税率がある場合は税率ごとに分けて記載する
8%と10%の取引が混在するインボイスでは、それぞれの税率に対応する対価と消費税額等を区分します。飲食料品と日用品を同時に販売した場合、軽減税率8%の対象と標準税率10%の対象を区別します。
適格請求書では、税率ごとに区分した税込または税抜対価の額と適用税率、税率ごとに区分した消費税額等を記載します。また、消費税額等に1円未満の端数が出る場合、一つの適格請求書につき税率ごとに1回の端数処理を行います。切り捨て、切り上げ、四捨五入など、端数処理の方法自体は任意です。
インボイス制度に対応した領収書の書き方は?
適格請求書発行事業者が領収書をインボイスとして交付する場合は、登録番号や税率別の対価、消費税額等など所定の事項を記載します。
「請求書」という名称でなければインボイスにならないわけではありません。領収書やレシートでも、必要事項を満たしていれば適格請求書または適格簡易請求書として扱うことができます。そのため、事業者が領収書を作成する際は通常の記載項目とインボイスの要件を分けて理解しておきましょう。
適格請求書としての領収書には6つの事項を記載する
通常の適格請求書として領収書を発行する場合、発行者名・登録番号、取引年月日、取引内容、税率別の対価と適用税率、税率別の消費税額等、交付先の氏名または名称を記載します。領収書の名称やフォーマットそのものが指定されているわけではありません。、既存の領収書様式に登録番号や税率別の金額などを追加して要件を満たす方法もあります。
インボイス登録番号は「T+13桁の数字」で構成されます。受け取った側が仕入税額控除の適用を検討する場合にも、登録番号などの記載内容を確認します。
小売店や飲食店などは適格簡易請求書を発行できる
小売業、飲食店業、タクシー業など、不特定多数の人に販売・サービス提供を行う一定の事業では、適格簡易請求書を交付できます。適格簡易請求書では、通常の適格請求書と異なり、書類の交付を受ける事業者の氏名・名称を記載する必要がありません。また、「適用税率」と「税率ごとに区分した消費税額等」については、いずれか一方の記載でも要件を満たします。
そのため、店舗で発行される宛名のないレシートでも、必要な条件を満たした適格簡易請求書であれば、単に宛名がないことだけを理由として不備になるわけではありません。
登録していない事業者は適格請求書として発行できない
インボイス発行事業者として登録していない事業者は、登録番号を記載した適格請求書を発行することはできません。ただし、インボイス登録をしていないからといって、代金を受領したことを証明する通常の領収書を発行できなくなるわけではありません。「通常の領収書」と「適格請求書として利用できる領収書」は分けて考える必要があります。
取引先から「インボイス対応の領収書」を求められる可能性がある事業者は、自社が適格請求書発行事業者として登録されているかを確認したうえで様式を整えるとよいでしょう。
領収書に収入印紙は必要?
営業に関して作成する紙の売上代金の領収書は、原則として記載金額5万円以上になると印紙税の課税対象です。ただし、金額だけで判断できないケースもあります。営業に関しない受取書は非課税であり、消費税額を区分記載した場合には印紙税上の記載金額から消費税額等を除外できることもあります。領収書を発行するときは、受領額だけでなく取引内容や記載方法まで確認しましょう。
5万円未満の売上代金の領収書には原則として収入印紙は不要
売上代金に係る受取書は、記載金額が5万円未満であれば印紙税は非課税です。5万円以上100万円以下なら、原則として200円の印紙税が課されます。その後は金額に応じて税額が上がり、100万円超200万円以下は400円、200万円超300万円以下は600円、300万円超500万円以下は1,000円となります。
営業に関しない金銭または有価証券の受取書は非課税です。「領収書が5万円以上なら必ず印紙を貼る」と一律に判断するのではなく、その領収書が印紙税の課税文書に該当するかを確認します。
領収書の宛名や但し書きで迷ったときはどうする?
宛名や但し書きは、実際の支払者と取引内容を正確に表す内容にするのが基本です。領収書を受け取った後の経費精算では、「誰が支払ったのか」「事業とどのような関係がある支出なのか」を確認することがあります。省略しすぎると後から説明が必要になるため、発行時点で取引実態に沿った内容にしておくと処理がスムーズです。
宛名を「上様」にするより正式名称を記載する
事業用の領収書では、「上様」より会社名や氏名を記載するほうが取引相手を特定しやすくなります。
「上様」と記載された領収書が一律に認められないという制度ではありません。しかし、領収書だけでは誰が支払ったのかを確認できず、社内の経費精算ルールによっては正式な宛名を求められることがあります。
会社の経費として処理する予定であれば、支払い時に正式な法人名を伝えて発行してもらう方法が確実です。ただし、適格簡易請求書の対象となる取引では、宛名自体を省略できます。
但し書きは「お品代」だけでなく取引内容が分かる表現にする
但し書きは、購入した商品や受けたサービスが判断できる表現にすると会計処理がしやすくなります。たとえば、事務用品であれば「事務用品代として」、セミナー参加料なら「○○セミナー参加費として」、飲食店なら「飲食代として」など、実態に沿った名称を使用します。
実際には飲食代なのに「書籍代」とするなど、事実と異なる但し書きを記載してはいけません。領収書は金銭の受領事実を証明する文書であるため、実際の取引内容と一致するよう記載します。
参考:国税庁「No.7105 金銭又は有価証券の受取書、領収書」
発行者の名称や連絡先も分かるようにする
領収書には、誰が代金を受領して発行したのか確認できるよう、店舗名や会社名などの発行者情報を記載します。法人なら会社名、個人事業主なら氏名や屋号などを記載する方法があります。住所や電話番号も併記しておけば、領収書の内容について後から確認する際に便利です。
適格請求書として発行する場合には、適格請求書発行事業者の氏名または名称に加え、登録番号の記載も必要になります。通常の領収書とインボイス対応の領収書では、発行者欄に必要となる情報が異なる点を押さえておきましょう。
電子領収書の書き方や保存方法は?
PDFなどで電子領収書を発行する場合も、取引内容を示す基本項目やインボイスの記載事項は紙の場合と同様に考えます。保存方法には電子帳簿保存法上のルールがあります。
メール添付のPDF、ECサイトからダウンロードする領収書、クラウドサービスを通じて交付する領収書などは、電子取引に該当する場合があります。紙の領収書と電子領収書では、作成内容だけでなく保存方法の違いも把握しておきましょう。
電子領収書も日付・金額・取引先などを明確にする
電子領収書だからといって、紙の領収書より記載内容を簡略化できるわけではありません。取引日、金額、取引内容、発行者など、取引を特定できる情報を記載します。インボイスとして発行する場合には登録番号や税率別の金額などの要件も満たします。
PDFファイルをメールで送る方法だけでなく、インターネット上からダウンロードする方法やクラウドサービスを利用する方法も電子取引に該当することがあります。
電子データで授受した領収書はデータで保存する
電子取引によって受領・交付した領収書は、電子取引データとして所定の方法で保存します。メールで受け取ったPDFの領収書やECサイトからダウンロードした領収書などは、電子取引データに該当します。電子帳簿保存法では、電子取引を行った場合、一定の要件のもとでその電子データを保存する仕組みとなっています。
印刷して紙だけを保管するのではなく、対象となる電子データ自体を保存します。取引年月日、取引先、金額などによる検索要件については一定の緩和措置もあるため、自社に適用される保存要件を確認して管理しましょう。
領収書を書くときに間違えやすい点は?
領収書では、日付の空欄、曖昧な但し書き、金額の誤記、インボイスの記載漏れ、収入印紙の判定ミスなどが起こりやすいポイントです。取引内容や支払方法、インボイス登録の有無によって確認すべき項目が変わるため、発行時に内容を見直せる運用にしておくと安心です。
日付や金額を空欄のまま渡さない
領収書の日付や金額は、発行者側で実際の取引に基づいて記入してから交付します。空欄の領収書を渡して受取人に自由に記入してもらう方法では、実際の受領内容と異なる情報が書き込まれるおそれがあります。
領収書は受領事実を証明する文書であるため、「いつ」「いくら受領したのか」が発行時点で分かる状態にしておくことが適切です。手書きの場合も、取引が完了した時点で必要事項を確認してから交付しましょう。
インボイスでは税率ごとの端数処理にも注意する
適格請求書に記載する消費税額等の端数処理は、一つの適格請求書につき税率ごとに1回行います。商品ごとに消費税を計算してそれぞれ1円未満を端数処理し、その金額を合計してインボイス上の消費税額とする方法は認められていません。
10%対象の商品が複数ある場合、それぞれの商品で端数処理するのではなく、10%対象商品の対価をまとめたうえで消費税額等を算出して端数を処理します。8%対象の商品がある場合は、8%分について別途1回処理します。
税込5万円以上だからと一律に収入印紙を貼らない
収入印紙の有無は、税込の受取額だけではなく、領収書の性質や消費税額等の記載方法を確認して判断します。紙の売上代金の領収書では記載金額5万円未満が非課税ですが、課税事業者が消費税額等を明確に区分していれば、その消費税額等を印紙税上の記載金額から除外できる場合があります。
たとえば税込52,800円の領収書でも、税抜48,000円と消費税額等4,800円を明確に区分しているケースと、単に52,800円(税込)としているケースでは扱いが異なる可能性があります。
正しい領収書の書き方を押さえて適切に発行しよう
領収書の書き方では、日付、宛名、金額、但し書き、発行者などを明確にし、実際の取引内容と一致させることが基本です。インボイス対応の領収書では、さらに登録番号や税率別の対価、消費税額等などを記載します。また、紙の領収書では収入印紙、電子領収書では電子帳簿保存法による保存方法にも注意が必要です。領収書の記載方法をあらかじめ統一しておけば、発行時のミスを減らし、経費精算や会計処理もスムーズに進めやすくなります。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
-
# 領収書
コピー代の領収書の書き方・無料テンプレート
当記事では、コピー代の領収書の書き方やポイントについて、分かりやすく解説しています。 また、領収書の無料テンプレート、領収書の書き方の基本事項なども併せて紹介していますので、ぜひ併…
詳しくみる -
# 領収書
接待交際費の領収書の書き方・無料テンプレート
当記事では、接待交際費の領収書の書き方やポイントについて、分かりやすく解説しています。 また、領収書の無料テンプレート、領収書の書き方の基本事項なども併せて紹介していますので、ぜひ…
詳しくみる -
# 領収書
任意団体の領収書の書き方・無料テンプレート
当記事では、任意団体の領収書の書き方やポイントについて、分かりやすく解説しています。 また、領収書の無料テンプレート、領収書の書き方の基本事項なども併せて紹介していますので、ぜひ併…
詳しくみる -
# 領収書
領収書を紛失したときの対処法を解説
経費精算のための領収書を紛失し、「再発行してもらえる?」「自腹を切らないといけない?」と困っている方もいることと思います。 この記事では、領収書を紛失したら再発行してもらえるのか、…
詳しくみる -
# 領収書
領収書に人数を記入するケースとは?経費精算時に必要?
飲食費の領収書をもらう際には、手間がかかっても但し書きに人数を記載したほうがよいケースがあります。人数を記載することによって経費処理も変わります。 本記事では、領収書の但し書きに人…
詳しくみる -
# 領収書
メルカリに領収書は必要?書き方・無料テンプレート
当記事では、メルカリの領収書の書き方やポイントについて、分かりやすく解説しています。 また、領収書の無料テンプレート、領収書の書き方の基本事項なども併せて紹介していますので、ぜひ併…
詳しくみる