• 作成日 : 2026年10月28日

領収証と領収書の違いは?意味・法的効力やレシートとの違い、書き方を解説

Point領収証と領収書の違いとは?

領収証と領収書は法令上の明確な区別はなく、どちらも代金受領を証明する同じ役割の書類です。

  • 名称より記載内容で効力が決まる
  • レシートも経費の証憑として利用可能
  • 紙は金額次第で収入印紙が必要

Q. 領収証と領収書は法的効力が違う?
A. 違いはありません。名称でなく、支払日・金額・発行者などの記載内容で判断されます。

「領収証」と「領収書」は似た言葉ですが、どのような違いがあるのか迷う方も多いでしょう。

本記事では、領収証と領収書の違いをはじめ、レシートとの違いや法的効力、記載すべき項目、収入印紙の扱いなどを解説します。

領収証と領収書の違いは?

領収証と領収書には、法令上明確に区別された違いはありません。どちらも、商品やサービスの代金などを受け取ったことを証明するための書類として利用できます。名称よりも書類の内容や目的によって判断されると考えるとわかりやすいでしょう。

領収証と領収書は基本的に同じ役割

領収証と領収書は、いずれも「代金を受け取った」という事実を支払者に証明する役割を持っています。取引先から商品代金として11,000円を受け取り、その事実を証明する書類を発行した場合、「領収書」と記載しても「領収証」と記載しても、それだけで書類の効力が変わるわけではありません。「領収証なら正式で、領収書なら正式ではない」といった区別はありません。

「領収書」という名称が一般的に広く使われている

日常の取引や経理実務では、「領収書」という名称が幅広く使われています。店舗での支払い、会社の経費精算、個人事業主同士の取引などでは、「領収書をください」という表現が一般的です。市販の複写式用紙や店舗独自の帳票では「領収証」と表記されている場合もあります。

この違いは、書類の法的な位置付けが異なるためではなく、主として表記や慣習によるものです。会社で領収証という名称を使用している場合でも、領収書へ変更しなければ経費処理できないというものではありません。

法律では「受取証書」という言葉も使われる

民法では、一般に領収書と呼ばれる書類について「受取証書」という表現が使われています。民法第486条では、支払いをする者は、支払いと引き換えに受取証書の交付を請求できると定められています。法務省も、この「受取証書」を「いわゆる領収書」と説明しています。2021年9月からは、一定の場合に書面に代えて電子データによる受取証書を請求する仕組みも設けられています。

領収証、領収書、受取証書は表現こそ異なりますが、支払いを証明する書類といえます。

参考:民法第486条|e-GOV

領収証と領収書に法的効力の違いはある?

領収証と領収書の間に、名称を理由とした法的効力の違いはありません。支払いの事実を証明できる内容になっているかどうかが判断のポイントです。誰が、いつ、いくら受け取ったのかなど、支払いを特定できる情報が記録されていることが中心となります。

名称ではなく記載内容から判断される

領収書の効力を考える際は、「領収証」「領収書」というタイトルではなく、その書類によって受領事実を確認できるかを見ます。法務省は、民法上の受取証書について、形式に特段の制限はなく、取引上適切なものであればよいとの考え方を示しています。

金銭の支払いに関する受取証書では、通常、代金を受け取った者、支払った者、支払日、一定金額を受領した旨などによって、どの支払いに関する証明なのかを確認できます。税務上も同様に、国税庁は印紙税の課税文書について、名称や形式的な文言だけではなく、記載内容の実質的な意味から判断するとしています。

領収書とレシートの違いは?

領収書とレシートは形式こそ異なりますが、どちらも支払いを証明する書類として利用できます。レシートだから税務上認められないというわけではありません。経費精算でも、取引内容などを確認できるレシートは有力な証憑となります。

レシートは購入内容を確認しやすい

レシートの大きな特徴は、購入した商品やサービスの内訳を確認しやすい点です。一般的なレシートには、店舗名、購入日時、商品名、数量、金額、消費税額、支払方法などが記載されています。

手書きの領収書では、品目を「お品代として」などとまとめて記載する場合があります。税務調査や社内の経費確認という観点では、何を購入したのかが詳細に表示されたレシートのほうが取引内容を確認しやすいケースもあります。

レシートでも経費の証拠として保存できる

経費の証拠として利用するために、必ず「領収書」というタイトルの書類を受け取る必要があるわけではありません。レシートに日付、金額、店名、購入内容などが記載されていれば、経費を裏付ける資料として保管できます。

ただし、会社独自の経費精算規程によって提出方法が決まっている場合には、そのルールに沿って処理します。

領収証と領収書はインボイス制度で扱いが変わる?

インボイス制度でも、領収証か領収書かという名称によって扱いが変わることはありません。

必要事項を満たした領収書はインボイスになる

適格請求書発行事業者が必要な情報を記載して発行した領収書は、適格請求書として利用できます。一般的な適格請求書では、発行事業者の氏名または名称と登録番号、取引年月日、取引内容、税率ごとに区分した対価の額と適用税率、税率ごとの消費税額、書類の交付を受ける事業者の氏名または名称などを記載します。

つまり、表題が「領収証」でも「領収書」でも、インボイスの要件を満たしているかどうかが判断基準となります。

飲食店や小売店などでは適格簡易請求書を発行できる

小売業や飲食店業など、不特定多数の顧客と取引する一定の事業者は、適格簡易請求書を発行できます。適格簡易請求書では、通常の適格請求書とは異なり、書類を受け取る事業者の氏名や名称を省略できます。また、消費税額等または適用税率のいずれかを記載する方式が認められています。

飲食店や小売店などで受け取るレシートが、適格簡易請求書の要件を満たしている場合もあります。

領収書・領収証には何を記載すればよい?

一般的な領収書には、発行日、宛名、受領金額、取引内容、発行者などを記載します。インボイスとして発行する場合は、さらに登録番号や税率別の金額などの記載も確認します。領収書には統一された1種類の様式があるわけではありません。

領収書・領収証に共通して必要な記載項目

呼び方にかかわらず、領収書として有効に機能するためには一定の記載項目が欠かせません。記載が不十分だと、税務調査の際に経費として認められない可能性があります。

記載項目 内容
発行日 取引が行われた日付
宛名 支払者の氏名または会社名
金額 税込みでの受領金額(消費税額を区分表記)
但し書き 何の代金として受け取ったかの内容
発行者情報 発行した店舗・会社の名称、所在地、連絡先など

宛名や但し書きはできるだけ具体的に記載する

経理処理をスムーズにするには、宛名や但し書きも取引内容がわかる形で記載するとよいでしょう。宛名は会社名や事業者名を正確に記載し、但し書きには「事務用品代として」「書籍代として」「飲食代として」など、支払いの内容が確認できる表現を使用します。

単に「お品代」とするより取引内容との対応を確認しやすくなるため、後日の経費精算や帳簿との照合にも役立ちます。領収書を受け取る側も、内容に誤りがないかその場で確認しておくと、後から再発行や訂正を依頼する手間を減らせます。

領収書や領収証に収入印紙は必要?

紙で作成する営業上の領収書などは、受取金額など一定の条件によって印紙税の対象となります。「領収証」と「領収書」で印紙税の扱いが変わるわけではありません。

売上代金の領収書は5万円未満なら非課税

営業に関する売上代金の領収書では、記載された受取金額が5万円未満なら印紙税はかかりません。5万円以上100万円以下の場合は200円となり、その後は記載金額に応じて税額が上がります。

領収書の受取金額 印紙税
5万円未満 非課税
5万円以上100万円以下 200円
100万円超200万円以下 400円
200万円超300万円以下 600円
300万円超500万円以下 1,000円

この基準は領収書という名称だけで判断するものではありません。金銭などの受領を証明する文書に該当するかによって判断されます。

クレジットカード払いでは扱いが異なる場合がある

クレジットカードによる販売では、その場で店舗が金銭や有価証券を受領する取引ではないため、一定の条件を満たす領収書は第17号文書に該当しません。国税庁によると、クレジット販売で発行する領収書は、金銭または有価証券の受領事実を証明するものではないため、原則として印紙税の対象になりません。

ただし、領収書にクレジットカード利用である旨を記載しない場合には、第17号文書に該当することがあるため、支払方法がわかるようにしておく必要があります。

電子領収書には原則として収入印紙が不要

PDFや電子データとして発行・送信する電子領収書は、通常、印紙税の課税対象となる「文書」に該当しません。電子メールで送信する電磁的記録については印紙税法上の文書には含まれず、印紙税は課税されません。

紙の領収書と電子領収書では印紙税の扱いが異なります。

領収証と領収書の違いを理解して適切に経理処理しよう

領収証と領収書には、名称による法的・税務上の明確な違いはありません。どちらも代金の受領を証明する書類として利用でき、扱いは名称ではなく記載内容や取引の実態によって決まります。

経費精算では領収書だけでなくレシートを証憑として利用できる場合があり、インボイス制度でも必要な記載事項を満たせば領収書や領収証を適格請求書として扱えます。また、紙の領収書では金額などにより収入印紙が必要になる一方、電子領収書では原則として印紙税は課税されません。

「領収証と領収書の違い」を名称だけで判断せず、取引内容を証明できる情報が正しく記録されているかを確認し、適切な発行・保存につなげましょう。


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