• 更新日 : 2026年3月13日

株式会社とは?仕組みやメリット、合同会社との違い、設立手順までわかりやすく解説

Point株式会社とは?

株式を発行して資金を調達し、「所有(株主)」と「経営(取締役)」を分離して運営する最も一般的な会社形態です。

  • 社会的信用:認知度が高く、取引や人材採用で有利に働く
  • 有限責任:株主が負う責任は出資した金額の範囲内のみ
  • 設立コスト:約20万〜25万円の実費がかかり合同会社より割高

合同会社ではなく株式会社を選ぶ理由は、圧倒的な社会的信用と拡張性です。コストや決算公告の手間はかかりますが、将来的な上場やM&A、大規模な資金調達を目指すなら株式会社が適しています。

株式会社とは、株式を発行して出資者(株主)から資金を集め、その資金を元手に事業を行う会社形態のことです。日本国内において社会的信用度が高い法人格であり、資金調達のしやすさや採用面での優位性など大きなメリットがあります。一方で、設立コストや事務手続きの面では、合同会社などの他の形態よりも負担が大きい側面もあります。

この記事では、株式会社の基本的な仕組み、メリット・デメリット、合同会社との違い、役員の役割、そして具体的な設立の流れまで、起業に必要な知識を詳しく解説します。

株式会社とは?仕組みをわかりやすく解説!

株式会社の最大の特徴は、「出資する人(株主)」と「実際に経営する人(取締役)」が分かれているという点です。これを「所有と経営の分離」と呼びます。

株式会社とは?仕組みをわかりやすく解説!

1. 株式による資金調達

株式会社は、投資家に対して株式を発行し、その対価として資金を集めます。

  • 株主(出資者):資金を提供する代わりに、会社の利益から配当を受け取る権利や、株主総会での議決権(経営への参加権)を得ます。
  • 経営の参加権:株主は実質的な会社のオーナーとして、間接的に経営に関与します。

2. 所有と経営の分離

所有と経営の分離とは、出資者である株主が経営者に権限を委任し、実際のビジネス運営を取締役(役員)が行う仕組みのことです。

中小企業やスタートアップでは、オーナー社長のように株主と経営者が同一人物であるケースも多いですが、法律上の役割は明確に区別されています。株主は株主総会を通じて取締役の選任や解任といった重要事項の決定権を持ち、取締役は現場での業務執行に専念します。

参考:第1節 企業の所有と経営の分離|内閣府

3. 有限責任

株式会社の出資者(株主)は、会社が倒産した際に負う責任が出資額の範囲内に限定される「有限責任」のみを負います。

これに対し、個人事業主などは無限責任を負うため、事業の失敗が個人の全財産に及ぶリスクがあります。有限責任であることによって、投資家はリスクをコントロールしやすく、企業側も広く資金調達(エクイティ・ファイナンス)を行いやすくなるのです。

参考:有限責任と無限責任について教えてください。|ビジネスQ&A|J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]

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株式会社を設立するメリットは?

株式会社を選択する主な理由は、社会的信用と事業の拡張性にあります。

1. 社会的信用を得やすい

株式会社を設立すれば、社会的な信用を得やすいのがメリットのひとつです。株式会社は合同会社と比較すると認知度が高く、遵守すべき法律も多いため、信用度が高い傾向です。そのため、株式会社はネガティブなイメージを持たれにくく、大企業との取引や人材の獲得など、さまざまな場面で有利といえるでしょう。

2. 株式発行による資金調達ができる

株式を発行することで、返済義務のない資金を調達できます。銀行からの借入だけでなく、ベンチャーキャピタルや個人投資家からの出資を募ることができるため、大規模な事業展開を目指す場合に適しています。

3. 事業承継がスムーズ

株式を譲渡するだけで、会社の権利や資産をスムーズに後継者へ引き継ぐことができます。

  • 相続:株式を後継者に贈与・相続させることで、会社の資産や権利関係をそのまま引き継ぎます。
  • M&A:第三者への会社売却時も、株式の売買手続きだけで経営権を移転でき、手続きがシンプルです。

4. 節税対策につながる

一定以上の利益が出ている場合、個人事業主よりも大きな節税効果が期待できます。

  • 経費の範囲:自宅兼オフィスの家賃を社宅扱いにするなど、経費として認められる範囲が広がります。
  • 税率:個人事業主の所得税は累進課税ですが、法人税は原則一定税率です。
  • 欠損金の繰越:赤字(欠損金)を最大10年間繰り越して、将来の黒字と相殺できます。

株式会社を設立するデメリットは?

株式会社はメリットが大きい反面、コストや手続きの煩雑さについては事前に理解しておく必要があります。

1. 設立費用が比較的高い(約20万〜25万円)

株式会社の設立には、登録免許税や定款認証手数料などで最低でも約20万円の実費がかかります。

  • 定款用収入印紙:4万円(電子定款なら0円)
  • 定款認証手数料:約1.5万~5万円(資本金による)
  • 登録免許税:最低15万円(または資本金の0.7%の高い方)
  • その他:謄本手数料など約2,000円

参考:株式会社の設立費用 | 起業マニュアル | J-Net21[中小企業ビジネス支援サイト]

2. 決算公告の義務がある

毎年の決算内容を官報などで公表する「決算公告」の義務があります。 官報に掲載する場合、毎年約7万円程度の掲載料(電子公告の場合は約1万円〜)がかかります。中小企業では実務上行っていないケースも見受けられますが、法律上の義務であることを認識しておく必要があります。

3. 役員の任期管理が必要

株式会社の取締役には最長10年の任期があります。 人が変わらない場合でも、任期満了のたびに「重任登記」の手続きと費用(登録免許税1万円〜)が発生します。これを怠ると過料が科せられる可能性があるため、管理の手間がかかります。

参考:会社法の施行に伴う会社登記についてのQ&A|法務省

株式会社と合同会社(LLC)の違いは?

株式会社と合同会社の違いは?

合同会社(LLC:Limited Liability Company)は、出資者と経営者が同一であることが前提の組織であり、近年AmazonやAppleの日本法人が採用したことで注目されていますが、依然として日本国内での認知度や信用力は株式会社が優位です。

社会的信用や大規模な資金調達を重視するなら「株式会社」、設立コストの安さや意思決定のスピードを重視するなら「合同会社」が適しています。

項目株式会社合同会社
主な特徴所有と経営の分離所有と経営の一致
設立費用約20万〜25万円約6万〜10万円
定款認証必要不要
登録免許税最低15万円最低6万円
決算公告義務あり義務なし
意思決定株主総会が必要(原則)迅速(出資者=経営者のため)
代表者の肩書代表取締役代表社員
役員の任期あり(最長10年)なし(更新手続き不要)
株式会社が向いているケース
  • 将来的に上場を目指している
  • ベンチャーキャピタル等から資金調達をしたい
  • BtoB取引がメインで、相手先の与信基準が厳しい
  • 「代表取締役」という肩書きで信頼感を得たい
合同会社が向いているケース
  • 初期費用を少しでも安く抑えたい(約14万円の差)
  • 飲食店、美容室、ECサイトなど、一般消費者向け(BtoC)のビジネス
  • 家族経営や小規模なスタートアップで、迅速に意思決定したい
  • AmazonやAppleの日本法人が合同会社であるように、必ずしも株式会社である必要性を感じない

合同会社について詳しく知りたい方は、以下の記事もご確認ください。

株式会社の役員の種類は?

株式会社には、取締役以外にも専門的な役割を持つ役員を設置することができます。

取締役

取締役は、会社の業務執行を決定する経営の中心人物です。株式会社では必ず1名以上の取締役が必要です。複数名いる場合は、その中から会社を代表する「代表取締役」を選定します。

監査役

監査役とは、取締役の業務執行や会計に不正がないか、法令を遵守しているかをチェック(監査)する役職です。必須ではありませんが、設置することで対外的な信頼性や経営の透明性が高まります。

会計参与

会計参与とは、会計の専門家(税理士や公認会計士など)が就任し、取締役と共同で計算書類を作成・保管・開示する役職です。会計面から経営のアドバイスを行い、金融機関からの信用評価を高める効果も期待できます。

株式会社を設立する方法は?

株式会社の設立手続きは、大きく分けて以下のステップで進みます。専門家(司法書士等)に依頼するのが一般的ですが、流れを把握しておきましょう。

全ての手続きを自身で行うことも可能ですが、電子定款を利用して印紙代を節約したり、ミスを防ぐために司法書士や行政書士などの専門家に依頼したりするのが一般的です。

1. 基本事項の決定と定款作成

まず、会社の定款を作成するために、以下の事項を決定します。

  • 商号(社名):必ず「株式会社」を入れる
  • 事業目的:将来行う可能性のある事業も含める
  • 本店所在地:オフィスの住所
  • 資本金額:1円から可能だが信用面を考慮して設定する
  • 発起人:出資者を決める

2. 公証役場での定款認証

作成した定款について、公証人の認証を受けます。これは株式会社特有の手続きで、合同会社では不要です。

  • 紙の定款の場合: 収入印紙代が必要(4万円)
  • 電子定款の場合: 収入印紙代が不要

3. 資本金の払い込み

定款の認証が完了したら、発起人の個人の銀行口座に、定款で定めた資本金を振り込みます。

新設法人の銀行口座はまだ存在しないため、代表発起人の個人口座を使用します。通帳の「表紙」「裏表紙」「振込内容が記載されたページ」のコピー、またはネットバンキングの明細データが、登記申請時の払込証明書として機能します。

4. 法務局への設立登記申請

管轄の法務局へ設立登記申請書と必要書類を提出した日が、基本的には法的な「会社設立日(創立記念日)」となります。ただし、土日祝日を設立日に指定したい場合は、直前の閉庁日にその旨とともに登記申請書を提出する必要があります。

登記申請書には、登録免許税(資本金の0.7%または最低15万円)分の収入印紙を貼付します。登記が完了すると、登記事項証明書(履歴事項全部証明書)や印鑑証明書の取得が可能になり、法人口座の開設や税務署への届出といった事後手続きに進むことができます。

参考:株式会社の設立登記をしたい方(オンライン申請)|法務局

株式会社の設立手続きで直面する壁とは?

マネーフォワードが会社設立の経験がある方を対象に実施した調査によると、会社設立の手続きにおいて大変さを感じた項目として、最も多いのは「申請書類の作成」で、48.7%でした。次いで「会社設立のやり方・手続きを調べること」が44.9%、「会社の基礎情報を決定すること(定款内容など)」が37.5%という結果になっています。

設立時の負担を少しでも減らすためには、専門家への依頼や会社設立をサポートするサービスの活用を検討することが有効です。特に電子定款に対応したサービスを利用すれば、書類作成の手間を大幅に削減できるだけでなく、収入印紙代の節約にもつながります。

出典:マネーフォワード クラウド、会社設立で「大変さ」を感じた項目【会社設立の意思決定調査】(回答者:会社設立の経験がある方1,040名、集計期間:2024年1月)

株式会社の仕組みを理解しましょう

株式会社は、日本で認知度と信頼性が高い会社形態です。「所有と経営の分離」や「有限責任」といった仕組みにより、資金調達やリスク管理において優れた機能を持っています。

  • 信用重視・規模拡大を目指すなら「株式会社」
  • コスト重視・スモールビジネスなら「合同会社」

ご自身の事業プランや将来のビジョンに合わせて、最適な形態を選択してください。設立手続きは複雑なため、電子定款に対応した専門家のサポートを活用することで、コストを抑えつつスムーズに起業することが可能です。


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