- 更新日 : 2026年1月21日
公務員の会社設立は可能?副業禁止の例外やマイクロ法人を解説
公務員が副業として会社を設立することは、法律によって厳しく制限されていますが、絶対に不可能というわけではありません。自身が役員にならずに「株主」として関わる方法や、家族を代表にした「マイクロ法人」を活用する方法であれば、公務員でも法的なリスクを回避しながら会社からの恩恵を受けることが可能です。
2025年6月の総務省通知により、地方公務員の副業は一部柔軟化の動きを見せていますが、自らが会社の代表となる「役員兼業」については依然として高いハードルが存在します。
この記事では、公務員の会社設立に関わる法律の壁、合法的に会社のオーナーになるための具体的なスキーム、職場にバレる原因と対策、そして法人化すべきタイミングについて、2025年12月現在の最新情報をもとに詳しく解説します。
目次
公務員は会社設立できる?
公務員は、原則として営利企業の「役員」になることはできませんが、会社そのものを作ることや所有すること(株主になること)までは禁止されていません。
会社設立には「経営者(役員)になる」ことと「出資者(株主)になる」ことという2つの異なる側面があり、法律が明確に禁じているのは前者だけです。2025年12月現在、人材確保の観点から公務員の副業規制は緩和傾向にありますが、それはあくまで従業員としての兼業の話であり、会社経営に関しては厳格なままです。
ここでは、公務員が会社設立をする際に知っておくべき基本的なルールについて解説します。
原則として営利企業の役員にはなれない
公務員は、株式会社や合同会社などの営利企業において、役員を兼ねることが法律で禁止されています。 これは職務の公正さを保ち、本業に専念するためです。ここで言う「役員」には、取締役や監査役だけでなく、合同会社の業務執行社員なども含まれます。
重要なのは、報酬の有無に関係なく、登記簿に名前が載った時点で「役員兼業」として法律違反になる点です。たとえ無報酬でも、公務員が自分で会社を設立し、代表取締役に就任することは認められません。法的な処分対象となるため、絶対に避けるべき行為です。
法律上の役員兼業と自営兼業の禁止
公務員の兼業制限には、会社の役員になる「役員兼業」の禁止と、自ら事業を営む「自営兼業」の禁止の2種類があり、それぞれ基準が異なります。 役員兼業は、会社の規模や売上に関係なく、原則として一律で禁止されています。たとえペーパーカンパニーであっても、役員になることは許されません。
一方、自営兼業(個人事業主としての活動など)は、不動産投資なら「5棟10室未満」、太陽光発電なら「10kW未満」といった基準以下であれば、許可を要さずに認められるケースがあります。しかし、会社設立は「役員兼業」に分類されるため、法人化した瞬間に規模に関わらずアウトになる点を誤解しないよう注意が必要です。
実家の家業を相続する場合は特例あり
実家の家業を相続しなければならないといった特別な事情がある場合は、例外的に役員兼業が認められることがあります。 公務員が家業の役員に就任せざるを得ない場合、所轄庁の長(任命権者)に申請し、許可を得ることで兼業が可能になります。
ただし、許可には「無報酬であること」「日常業務に従事しないこと」などの厳しい条件がつきます。単に「親の会社を手伝いたい」だけでは許可されません。どうしても事業継承が必要な場合は、独断で進めずに必ず所属部署へ相談し、正式な承認手続きを行ってください。
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公務員の副業禁止規定とは?
公務員の副業が厳しく制限されている背景には、「信用失墜行為の禁止」「職務専念義務」「守秘義務」という公務員の3原則があります。
これらの原則を守るために、国家公務員法や地方公務員法で具体的な条文が定められています。「法律で決まっているからダメ」と丸暗記するのではなく、どのような条文に基づいて禁止されているのか、その根拠を知ることは、自身のリスク管理を行う上で非常に重要です。
ここでは、公務員の副業禁止規定の内容と違反時のリスクについて解説します。
国家公務員法による制限
国家公務員は、国家公務員法第103条および第104条によって、私企業への関与や報酬を得る兼業が制限されています。 第103条では、営利企業の役員等の職を兼ねること、および自ら営利企業を営むことを明確に禁止しています。これは癒着や利益誘導を防ぐためです。
また、第104条では、報酬を得て事業や事務に従事する場合、所轄庁の長などの許可が必要であると定めています。営利目的でない講演や執筆であっても、報酬が発生すれば許可が必要です。許可なく会社を経営したり、隠れて報酬を得て働いたりすることは、法律違反となります。
地方公務員法による制限
地方公務員は、地方公務員法第38条によって、営利企業への役員就任や報酬受領が制限されています。 基本的な内容は国家公務員法と同様で、任命権者の許可を受けなければ、営利企業の役員を兼ねたり、報酬を得て事業に従事してはならないとされています。
具体的な許可基準は各自治体の条例で定められています。2025年以降、地域貢献活動などの副業は許可されやすくなっていますが、営利目的の会社設立(役員就任)が許可されるハードルは依然として極めて高いのが現状です。通常の副業目的で許可が下りることはまずありません。
違反した場合の処分内容
副業禁止規定に違反したことが発覚した場合、減給や停職、最悪の場合は懲戒免職(クビ)といった重い処分が下されます。 公務員の懲戒処分には、軽い順に「戒告」「減給」「停職」「免職」があり、悪質性や期間、報酬額によって判断されます。
過去には、無許可で不動産賃貸業を営んでいた職員や、名義貸しで会社役員として報酬を得ていた職員などが懲戒処分を受けています。処分を受けると、昇進への影響はもちろん、退職金が減額または不支給となるリスクもあります。公務員の身分を失うリスクを考えれば、無許可経営は代償が大きすぎます。
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公務員が合法的に会社のオーナーになる方法は?
公務員自身が会社の代表取締役になることはできませんが、実質的に会社からの利益を得る「仕組み」を作ることは可能です。
法に触れずに資産形成を行うためには、自分が「経営者」ではなく「出資者(株主)」の立場に留まるか、家族の協力を得る方法が有効です。これらは一般的に「マイクロ法人」や「プライベートカンパニー(資産管理会社)」と呼ばれる手法で、多くの公務員投資家が実践しています。
ここでは、公務員が合法的に会社組織を活用するための3つの方法について解説します。
家族代表のマイクロ法人を作り株主になる
最も一般的で安全な方法は、配偶者や親などの家族を代表取締役に据えて会社(マイクロ法人)を設立し、公務員自身は株主になるというスキームです。 この方法なら、公務員は「役員」ではないため、法律上の「役員兼業」にはあたりません。あくまで「出資者(オーナー)」の立場です。
実質的な経営判断や業務は代表者である家族が行います。公務員は株主として配当を受け取るか、会社に利益を留保して将来の退職金にするなどの戦略をとれます。不動産や株式投資の収益を法人に集約することで、節税効果を得ることが可能になります。
NPO法人など非営利団体で無報酬活動をする
営利企業ではなく、NPO法人や一般社団法人などの非営利団体であれば、許可を得て役員になれる可能性があります。 特に「報酬を得ない(無報酬)」活動であり、かつ地域の公益に資する内容であれば、兼業許可が下りやすい傾向にあります。
ただし、非営利団体であっても、役員報酬を得る場合は「報酬を得て事業に従事する」ことに該当し、別途許可が必要です。この場合の許可ハードルは一気に上がります。金銭的な利益よりも、スキルアップや人脈形成、社会貢献を主目的とする場合は、このルートが有力な選択肢となります。
不動産・太陽光・農業で兼業許可をとる
不動産賃貸業、太陽光発電、農業に関しては、一定の規模を超えたとしても、許可を得ることで合法的に事業を行えます。 これらは伝統的に「資産運用」とみなされており、許可基準が明確化されているからです。
具体的には、不動産であれば「5棟10室以上」、太陽光であれば「10kW以上」、農業であれば一定の農地面積などが許可を要する基準となります。これらの事業を行うために法人化する場合でも、事業の実態が範囲内であり、本務に支障がない状態であれば承認されるケースがあります。承認されれば、堂々と事業的規模で展開できるのがメリットです。
公務員は会社の株主になれる?
公務員が会社の株を買って「株主」になることは、資産運用の範囲内とみなされるため、法律で禁止されていません。
株式投資(上場企業の株を買うこと)が認められているのと同様に、未上場の会社(プライベートカンパニー)の株を持つことも基本的には自由です。役員として経営に関わることと、株主として出資することは、法的に明確に区別されています。
ここでは、公務員と株主の権利関係について解説します。
株式を保有して株主になることは自由
公務員が自分の資金を出して株式会社を設立し、その会社の株式を100%保有することは問題ありません。 株主は会社のオーナーですが、業務を執行する役員ではないため、法律が禁じる「役員兼業」には該当しません。
前述のマイクロ法人スキームでは、公務員自身が「出資者(株主)」となり、家族が「経営者(取締役)」となることで、資本と経営を分離し、合法的な関係を構築します。これにより、会社が成長して株価が上がった場合の資産価値向上(キャピタルゲイン)を享受することができます。
株主として配当金を受け取れる
株主になると、会社が出した利益の一部を「配当金」として受け取ることができます。 配当金は、労働の対価である給与(報酬)とは異なり、資産運用による収益(不労所得)とみなされます。そのため、公務員が配当金を受け取ることは禁止されていません。
ただし、設立当初の会社から頻繁に多額の配当を出すことは、法人税と所得税の二重課税の問題があり、税務上の効率が悪い場合があります。そのため、多くのマイクロ法人では、あえて配当を出さずに内部留保として会社にお金を貯めていき、将来の資金として運用するのが一般的です。
利害関係のある企業やインサイダー取引はNG
株主になること自体は自由ですが、自身の職務と密接な関係がある企業の株式を持つことは避けなければなりません。 たとえば、許認可権限を持つ相手企業の株を持つことは、癒着や賄賂の疑いを招くため、公務員倫理規定などで厳しく制限されています。
また、職務上知り得た未公開情報をもとに株取引を行う「インサイダー取引」は、金融商品取引法違反という重大な犯罪になります。公務員は業務上、企業の内部情報に触れる機会があるため、一般的な投資家よりも厳しい規律が求められます。これらに該当しない限り、資産管理会社の株主になることは可能です。
公務員の会社設立は職場にバレる?
「会社を作ると職場に通知がいってバレるのではないか」と不安に思う公務員の方は多いですが、手続きをしただけで自動的に職場へ連絡がいくことはありません。
税務署や法務局が、個人の副業情報を勝手に勤務先へ通知することは、守秘義務の観点からないからです。しかし、実際には副業がバレて処分されるケースが後を絶ちません。バレる原因のほとんどは、税金や社会保険の手続きの過程、つまり「お金」と「保険」の動きにあります。
ここでは、公務員の会社設立が職場に発覚するメカニズムについて解説します。
税務署への開業届では職場にバレない
税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)」を提出しても、その情報が職場に通知されることはありません。 同様に、法務局で会社設立登記を行っても、職場に連絡がいくことはありません。
行政機関は縦割りであり、個人情報保護の観点からも、職員のプライベートな経済活動を勤務先に報告するシステムにはなっていません。したがって、書類の提出行為そのものでバレる心配はありません。むしろ、開業届を出さずに事業を行うと、青色申告などの税制優遇が受けられなくなるデメリットのほうが大きいです。
バレる原因は住民税と社会保険の仕組み
会社設立や副業がバレる最大の原因は、住民税の金額決定通知と、社会保険の加入手続きです。 公務員の住民税は、原則として給与から天引き(特別徴収)されます。副業で所得が増えると、住民税額が本業の給与に対して不自然に高くなり、経理担当者に気づかれてしまいます。
さらに決定的なのが社会保険です。自身が設立した会社から役員報酬を受け取り、社会保険に加入すると、本業の共済組合などと二重加入の状態になります。この場合、年金事務所から本業の職場に対して通知が届くため、副業の事実は隠しようがなく確実に発覚します。
マイナンバーから副業がバレる可能性
「マイナンバー制度で副業がすべて筒抜けになる」という噂がありますが、マイナンバーから直接、副業の内容が職場に通知されるわけではありません。 マイナンバーはあくまで行政手続きのための識別番号であり、職場が勝手に職員の税務情報を照会することはできないからです。
しかし、マイナンバーによって税務署側の所得把握能力は格段に向上しています。副業収入があるにもかかわらず「無申告」でいると、以前よりも見つかりやすくなっています。税務調査が入れば、その過程で職場に連絡がいくリスクもゼロではありません。バレないためには、適正な申告を行うことが大前提です。
公務員が家族名義で会社設立する際の注意点は?
家族を代表にしたマイクロ法人であれば形式上は適法ですが、実態が伴っていなければ「脱法行為」とみなされるリスクがあります。
特に注意すべきは「名義借り」です。形式だけ家族を社長にしておきながら、実質的には公務員本人が会社の業務を行っていると判断されれば、実質的な役員兼業、あるいは職務専念義務違反として処分の対象になります。
ここでは、家族名義の会社を運営する際に絶対に守るべきポイントについて解説します。
本人が実質的な経営を行う名義借りはしない
公務員本人が、会社の実質的な経営者として振る舞ってはいけません。 たとえば、取引先とのメールのやり取り、契約書の作成・捺印、銀行での融資交渉、実際の物件管理や加工作業などを公務員本人が行っている場合、それは「実質的な兼業」とみなされます。
代表者である家族は、単なる名義人ではなく、実際に意思決定を行い、業務を遂行する必要があります。公務員本人はあくまで「株主」としての助言や、家庭内での相談相手に留め、対外的な業務や労働を行わないように徹底してください。「妻が社長だが、実は何も知らない」という状態は非常に危険です。
事業内容と公務員の職務を関連させない
設立する会社の事業内容は、公務員としての本業と無関係なものにする必要があります。 たとえば、建設課の職員が、家族名義の建設会社を作って公共工事を請け負うようなケースや、福祉課の職員が家族名義の介護事業所に便宜を図るケースなどは論外です。
たとえ不正な意図がなくても、職務権限を利用して自分の会社に利益誘導をしたと疑われれば、兼業違反だけでなく、公務員法上の信用失墜行為や、最悪の場合は刑法の収賄罪などに問われる可能性があります。会社を作るなら、本業とは全く畑違いの「資産運用会社」などにするのが賢明です。
公務員が会社設立するメリットとタイミングは?
リスクや手間をかけてまで会社設立(法人化)をする価値があるかどうかは、事業の規模や利益額によって決まります。
売上が少ないうちは、個人事業(または副業)のままのほうが税負担や維持コスト(均等割7万円や税理士報酬など)が安く済むことが多いです。法人化には税制上の明確な「損益分岐点」が存在します。
ここでは、公務員(およびその家族)が法人化を検討すべき具体的なタイミングとメリットについて解説します。
課税売上高が1,000万円を超えたとき
家族経営の事業や不動産収入の「課税売上高」が年間1,000万円を超えると、消費税の課税事業者となり納税義務が発生します。 このタイミングで法人成りをすると、設立から最大2年間は消費税の納税が免除される特例を受けられる場合があります(条件あり)。消費税は売上の10%相当という大きな負担になるため、これを2年間免除できるメリットは大きいです。
ただし、インボイス制度に登録する場合は免税事業者にはなれないため、取引先が一般消費者なのか事業者なのかに合わせて慎重に判断する必要があります。それでも、売上が1,000万円を超えそうなときは、節税対策のチャンスです。
副業の所得が800万〜900万円を超えたとき
事業による利益(所得)が増えてくると、個人の所得税率よりも法人税率のほうが低くなる逆転現象が起きます。 個人の所得税は累進課税であり、所得が増えれば増えるほど税率が高くなり、住民税と合わせると最大55%にもなります。
一方、法人税(中小法人)の実効税率は、年800万円以下の所得部分については約23%〜25%程度と低く抑えられています。一般的に、課税所得が800万円〜900万円を超えると、個人で税金を払うよりも、法人化して法人税を払ったほうが、手元に残るお金が多くなると言われています。
相続対策や経費計上の幅を広げたいとき
法人は個人よりも経費として認められる範囲が広く、相続対策としても有効です。 個人事業では難しい「日当」や「役員社宅」なども、法人であれば規定を整備することで経費化が可能です。また、家族を役員にして報酬を支払うことで、所得を分散し、世帯全体の税率を下げることもできます。
さらに相続対策の面でも、不動産などの現物資産を個人で持っていると分割が困難ですが、法人所有にしておけば、「株式」という小分け可能な形に変えることができます。生前に株式を贈与することで、資産そのものの移転よりもスムーズに承継でき、相続税対策としても機能します。
リスクを理解して正しく会社設立を検討しましょう
公務員が自ら会社の代表となり経営を行うことは法律で禁止されていますが、株主として出資することや、家族を代表にしたマイクロ法人を活用することで、会社設立のメリットを享受することは可能です。ただし、実質的な経営に関与する「名義借り」とみなされないよう、厳格なルール管理が求められます。
公務員という安定した地位を守りつつ資産形成を行うためには、法律の境界線を正しく理解することが不可欠です。不安な点は税理士などの専門家に相談し、安全で合法的な運営を目指しましょう。
よくある質問
公務員が副業(兼業)を行うことは可能?
原則として認められていませんが、一定の規模以上の不動産等賃貸業や農業などは届け出ることで認められる場合もあります。詳しくはこちらをご覧ください。
公務員が会社を設立したい場合はどうすればよい?
公務員本人が代表になることはできないため、家族などを代表にする必要があります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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