• 作成日 : 2022年10月7日

印紙税税務調査とは?納付漏れが発覚した場合のリスクは?

印紙税税務調査とは?納付漏れが発覚した場合のリスクは?

契約書に貼付する収入印紙ですが、貼り忘れると大変なことになるかもしれません。課税文書を作成する際には印紙税を負担しなければならず、収入印紙を購入し、文書に貼付して納めます。よって収入印紙の貼付を忘れると、必要な税金を負担していないことになるのです。

今回は印紙税の納付漏れがあった場合のリスクや、印紙税税務調査の流れについて説明します。

印紙税税務調査とは?

税務調査とは、国税庁や税務署が法人や個人に対して適正に納税をしているかどうかを確認する調査のことです。税務署の担当者が対象者のもとに出向いて帳簿や領収書請求書といった証憑書類などからお金の流れを把握し、正しく税金を納めているかをチェックします。仮に納付漏れや脱税などが見つかった場合は修正申告を行わなければならず、延滞税や重加算税などのペナルティが課されたり、場合によっては罰金や懲役などの刑事罰が科されたりします。

税務調査は法人税や所得税、相続税などが対象となるイメージがありますが、印紙税を対象とした印紙税税務調査も行われることがあります。

国税庁・税務署が行う

税金には国に納める所得税や法人税、消費税、相続税などの国税と、地方自治体に納める住民税や固定資産税などの地方税があります。印紙税は国税に該当するため、所管である国税庁や税務署が税務調査を行います。

調査の種類は?

印紙税税務調査は大きく分けて「同時調査」と「単独調査」があります。同時調査は、法人税や所得税などの税務調査のついでに行われます。調査の過程で契約書や領収書などの証憑書類がチェックされますが、それらに収入印紙の貼付漏れがあった場合は印紙税についても調査され、是正が求められます。

単独調査は、印紙税のみを対象とした税務調査です。課税文書に収入印紙が貼付されているかどうかはもちろん、業務の方法や収入印紙の管理など細かいところまでチェックされ、納税漏れや脱税が発覚した場合はペナルティが課せられます。

印紙税税務調査の流れ

ここからは、印紙税税務調査の流れを見ていきましょう。なお、ここでは単独調査について説明します。

まずは国税庁や税務署の担当者から事前に電話で連絡が入ります。税務調査を実施したい旨を伝えられた上で日程の調整を行うので、都合の良い日時を伝えましょう。調査官が抜き打ちで会社に訪れるようなことは、ほとんどありません。

調査日時になると調査官がやって来て、聞き取り調査や課税文書のチェック、課税文書を作成する際の業務フローや印紙の管理方法の確認などが行われます。調査中は、調査官の指示に従って書類や資料を提示しましょう。調査は1~2日で完了するケースが多いです。

同時調査の流れは、一般的な税務調査とほとんど同じです。契約書や領収書などを確認する過程で納付漏れが発覚した場合は、印紙税についても細かく調べられることがあります。

印紙税税務調査で気をつけるべきポイント

印紙税税務調査が行われる際は以下の点に注意し、しっかり対策を講じておきましょう。印紙税の単独調査はもちろん、通常の税務調査であっても同時調査が行われる可能性があるので、以下のことを意識する必要があります。

社内の課税文書をあらかじめ収集しておく

契約書や領収書、約束手形定款などの課税文書は調査前にまとめておくと、税務調査がスムーズに進みます。印紙の貼付漏れをチェックするためにも、まずは文書の整理から始めましょう。

課税文書に印紙の貼り忘れがないか確認する

課税文書を収集したら、印紙の貼り忘れがないかどうかをしっかり確認しましょう。誰にでもミスはあります。適正に貼付しているつもりでも、忘れているかもしれません。

時効は5年

印紙税を含めた国税の徴収権は、基本的にその国税を請求できる日から5年を経過したら時効となり、消滅します。印紙税の場合、5年以上前に作成された課税文書であれば納付が求められたり、ペナルティが課せられたりしないということです。時効を迎えるまでは遡って調査され、納付を求められる可能性があるので、特に5年以内に作成された課税文書はしっかり確認しておきましょう。ちなみに重加算税が課せられている場合、時効は7年となります。

印紙税税務調査で納付漏れが発覚した場合

印紙税税務調査で納付漏れが見つかった場合は、どのようなペナルティが課せられるのでしょうか。また、印紙税を納付しないとどのようなリスクがあるのでしょうか。ここからは、納付漏れが見つかった場合の流れを見ていきましょう。

過怠税の徴収

印紙税を納付していなかった場合は、延滞した印紙税に加えて納税額の2倍の過怠税を納める必要があります。例えば10万円分の納付漏れが見つかった場合、10万円+(10万円×2倍)=30万円を支払わなければなりません。

なお、事前に印紙税の納付漏れを申告した場合、過怠税は「印紙税額とその10%」という金額に減ります。例えば10万円分の納付漏れがあった場合は、11万円を納付すればよいということです。

ただし、その申し出は「印紙税についての調査があったことによりその課税文書について3倍の過怠税の決定があるべきことを予知したものでないケース」に限られます。税務調査が決定してから申告した場合などは、減額の対象にならない可能性があるのです。

レピュテーションリスクにつながる

印紙税税務調査で納付漏れが見つかった場合、レピュテーションリスクにつながる可能性もあります。

レピュテーションリスクとは、ネガティブな評価が広まったことによる信用毀損やブランド価値の低下などで損害が発生するリスクのことです。企業のコンプライアンス遵守が厳しく求められ、インターネットで企業の不祥事に関する情報が瞬く間に拡散される昨今は、こちらのほうが過怠税よりも大きな損失につながるおそれがあります。

企業にとって脱税や税金の申告漏れは、スキャンダルになるかもしれません。税務調査が入って印紙税の納付漏れが発覚したことが実名で報道された場合、企業イメージが大きく悪化するおそれがあります。印紙の貼り忘れという過失であったとしても、世間からは脱税と解釈されかねません。

過怠税などのペナルティは支払えば終わりますが、一度低下した信用やイメージは回復に時間がかかるため、長期にわたって損害を被る可能性があります。

収入印紙をしっかり貼っていますか?

誰にでもミスはあります。印紙の貼り忘れは小さなミスと思うかもしれませんが、決してそうではありません。印紙税の納付漏れによって、大きな代償を支払うことになるかもしれないからです。

今一度、契約書や領収書などの課税文書に、印紙が適切に貼られているかどうかを確認しましょう。ミスが頻発する場合は、業務フロー自体を見直す必要があるかもしれません。

電子契約で作成された契約書は課税文書とみなされないため、収入印紙を貼付する必要はありません。経費を削減することができ、過怠税の支払リスクや、レピュテーションリスクを抑えることにもつながります。これを機に電子契約システムの導入を検討してはいかがでしょうか。

よくある質問

印紙税税務調査とは何ですか?

印紙税が適正に納付されているかどうかを確認する調査です。通常の税務調査と同時に行われることもあれば、印紙税のみを対象とした調査が行われることもあります。詳しくはこちらをご覧ください。

印紙税税務調査に向けて、気をつけるべきポイントはありますか?

過去5年間の課税文書をまとめて、それらに印紙が適正に貼付されているかどうかを確認しておきましょう。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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