- 作成日 : 2024年10月25日
電子契約で内部統制を強化する方法を解説
電子契約サービスは契約業務の効率性を高め、企業のコンプライアンスとリスク管理の強化といった内部統制の強化に寄与します。
この記事では、電子契約サービスが企業の内部統制に役立つ理由や導入するメリット、必要な機能について解説します。電子契約サービスの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
内部統制とは?
内部統制とは、企業が事業活動を適切に進めるための仕組みのことです。内部統制は、業務の有効性および効率性、財務報告の信頼性、事業活動に関わる法令等の遵守、資産の保全の4つの目的を掲げるもので、この達成に向け、企業では運用されるルールやプロセスの整備が求められます。
内部統制は、企業の透明性を高めるとともに、社会的な信頼を得るために不可欠です。内部統制の基本的要素には、統制環境、リスクの評価と対応、統制活動、情報と伝達、モニタリング、ITへの対応が含まれており、これらが機能することで健全な経営を実現できます。
特に、上場企業や大企業においては、金融商品取引法や会社法に基づいた報告・整備が義務付けられています。
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「送信料0円」の電子契約が選ばれる理由
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導入で失敗したくない人必見!電子契約はじめ方ガイド
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電子契約サービス比較マニュアル
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電子契約サービスが内部統制を強化する3つの理由
電子契約サービスを利用することで業務の透明性が高められ、内部統制の強化につながります。以下、3つの観点からその理由を解説します。
契約書の期限管理・バージョン管理が容易になる
電子契約サービスは、契約書の作成だけでなく、申請・承認、締結、保管までの一元管理が可能です。契約の開始や終了時期も保持されており、更新期限や終了期限が近づくと自動でアラートを送信できます。これにより、紙ベースの契約書でありがちな期限の見逃しを防ぐことができ、担当者の作業効率が向上します。
また、電子契約サービスでは、誰がいつどのような変更を加えたのかといったバージョン管理も可能です。従来の紙による契約管理はバージョンが把握しづらく、管理も煩雑になりがちでしたが、電子契約サービスでは履歴を保持でき、どのバージョンが最新なのかを一目で判別できます。
いつ・誰が申請し、承認したのかが可視化される
電子契約サービスは、誰が申請し承認したのかといったプロセスがデジタル情報として記録され、必要に応じて画面上から把握可能です。例えば、契約の作成者や承認者、差し戻しや承認ステータスまですべて確認できるため、契約業務の透明性が確保されます。
また、これらの情報はリアルタイムで共有され、関係者全員がいつでも最新の状況を把握できます。これにより担当者間のコミュニケーションロスや伝達ミスを防ぐことができ、契約締結のスムーズ化を図れます。
契約内容をすぐに確認できる
従来の紙による契約管理では、大量の書類の中から契約書を探し出すことに手間がかかり、履歴の管理やバージョン管理も煩雑です。
しかし、電子契約サービスは、契約内容がすべてデータとして管理されており、必要に応じていつでも情報にアクセス可能です。契約書の変更履歴やバージョンも一元的に管理されるため、契約関連業務の透明性が確保できます。これにより、内部監査やコンプライアンスチェックのスムーズ化が図れ、企業は効率的かつ効果的に内部統制の強化が可能です。
電子契約サービスを導入するメリット
電子契約サービスは内部統制の強化に役立つだけでなく、さまざまなメリットをもたらします。ここでは、企業が電子契約サービスの導入によって得られるメリットを3つ紹介します。
印紙税や郵送料金のコストを削減できる
電子契約サービスの導入は、印紙税や郵送にかかるコストの削減が可能です。
従来の紙による契約書は、契約金額に応じて印紙税が課されます。1万円未満の契約であれば印紙税は不要ですが、不動産や工事請負のような大きな契約になると数万円以上もの印紙税額に及びます。また、契約書を相手方に送る際は郵送料も発生するため、企業にとって大きな負担です。
しかし、電子契約は印紙税の対象外とされており、相手方への郵送も不要です。例えば、大規模な請負工事を年間数百件以上扱う企業だと、印紙税だけでも数百万円もの費用が削減できるほか、郵送にかかる送料や人的コストも削減できます(印紙税法3条、印紙税法基本通達44条)。
契約書の保管スペースが不要になる
契約書の保管スペースが不要な点も、電子契約サービスの大きなメリットです。
契約書の保管期間は、会社法によって10年間と義務付けられているため、従来の紙による契約書だと保管するための物理的なスペースが必要です。年間の契約数や事業規模によっては膨大な書類の保管が必要で、専用の保管庫や倉庫を借りるためのコストが発生します。
しかし、電子契約サービスを導入すればすべての契約がデジタル化され、クラウド上での管理が可能です。これにより、契約書の保管場所が不要となり、空いたスペースを有効活用できます。
オフィスや事務所にいなくても契約書の送付や確認ができる
従来の紙による契約書は、物理的な移動を伴うため、オフィス外からの郵送や確認は困難です。承認者が社内にいなければ承認フローが進まず、契約締結までの期間が長期化する恐れもあります。
しかし、電子契約サービスはクラウド上で契約データを管理するため、インターネットにアクセスできる環境であれば場所を問わず利用可能です。例えば、リモートワークや外出先からでも契約書の申請や承認、内容確認、相手方への送付まで対応でき、契約締結のスピード化と効率化を図れます。
内部統制を強化するために電子契約で必要な機能
電子契約サービスの種類は多く、実装される機能もさまざまです。内部統制の強化に役立つ機能としては、以下のようなものがあります。
ワークフロー機能
ワークフロー機能は、内部統制の強化を実現するために不可欠です。契約締結にワークフローを用いることですべてのプロセスが可視化され、業務の透明性と信頼性が向上します。あらかじめ承認ルートを設定すれば確実に担当者への通知が届き、承認漏れや不正な契約締結の抑止にも効果的です。
また、ワークフローは、申請や承認といったすべてのプロセスが自動で記録されます。これにより、監査時に必要な情報をすばやく提供でき、証跡管理の強化が可能です。
契約書の期限管理・バージョン管理機能
契約書の期限管理とバージョン管理は、内部統制の強化には重要です。期限管理を活用することで、有効期限を迎える前に担当者にアラートが通知され、契約更新や再交渉をスムーズに進められます。これにより、更新漏れや失効のリスクを最小限に抑え、社会的信用の低下を防げます。
また、バージョン管理は、契約書の更新記録が一目で確認でき、誰がいつどのような変更を行ったかも把握可能です。これにより、契約書の透明性が担保され、財務報告の信頼性に寄与します。
契約書の検索機能
契約書の検索機能は、内部統制の強化だけでなく、契約業務の効率化においても重要です。検索機能が搭載された電子契約サービスであれば、膨大な量の契約書から目的の書類をすぐに見つけ出せます。
例えば、契約担当者や契約締結日、契約終了日、契約金額、契約期間などの基本項目はもちろん、電子契約サービスによっては、管理項目のカスタマイズも可能です。これにより、契約業務の効率性が高まると同時に、改ざん防止や透明性の確保も実現できます。
マネーフォワード クラウド契約なら契約書の作成・承認・締結・管理まで対応でき内部統制を強化
マネーフォワードクラウド契約は、契約書の作成から申請、承認、締結、保存、管理までをワンストップでカバーする電子契約サービスです。電子契約だけでなく、スキャンしたPDFデータを取り込むことで、紙の契約書と合わせて1つの画面から管理できます。
大きな特徴といえるのが、内部統制の強化に役立つ機能が豊富な点です。例えば、ワークフロー機能は、企業の運用ルールに合わせて承認者を個人にしたりグループにしたりといった自由度の高い設計が行えるほか、契約アラート通知では、通知対象者や通知タイミング、通知されるメール内容を契約書ごとに設定可能です。
また、検索機能では、基本項目に加えてカスタマイズにも対応でき、業務の透明性と効率性を同時に実現できます。
内部統制の強化に役立つ機能
- ワークフロー機能
- 契約アラート通知
- 検索機能
その他の主な機能
- 一括送信
- 一括承認
- 電子署名、タイムスタンプ
- 関連書類の添付
- スマートフォン対応
- 他社の電子契約データの取り込み機能
- 閲覧権限
- 連携機能
内部統制の強化には電子契約サービスの導入が最適
内部統制の強化は、企業の透明性と信頼性を確保する上で不可欠です。紙ベースの契約書は、不正や誤りなどのリスクを伴いますが、電子契約サービスを活用すれば、契約業務の可視化と履歴管理によって、これらの問題をすべて解決できます。
今後、自社の事業活動を健全に継続させたいと考えるなら、今回ご紹介したような機能が搭載された電子契約サービスがおすすめです。内部統制の強化とともに、契約業務の効率化およびコスト削減が実現できます。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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