• 作成日 : 2026年7月7日

FAXの誤送信はなぜ起きる?原因・対応手順・お詫びの文例を解説

PointFAXの誤送信はどうすれば防げる?

送り間違いの主因は番号の手入力ミスと書類の取り違えで、仕組みと運用ルールを整えれば大幅に減らせます。

  • 番号の手入力に頼らずアドレス帳を活用する
  • 送信前にもう1人が宛先と書類内容を確認する
  • クラウドFAXでプレビュー送信の仕組みを整える

発覚した際は誤送信先への連絡と社内報告を速やかに同時進行することで、被害の広がりを抑えられます。

FAXの誤送信は、番号の手入力ミスや書類の取り違えといった人的ミスが主な原因で、個人情報漏洩や取引先との信頼失墜につながるリスクがあります。仕組みと運用ルールによる対策を整えることで誤送信は大幅に減らせます。

本記事では、原因の整理から発覚後の対応手順、お詫び文例、再発防止策まで実務に沿って解説します。

FAXの誤送信の主な原因は?

FAXの誤送信の原因は、大きく「人的ミス」と「管理不備」に分けられます。一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)の「2024年度 個人情報の取扱いにおける事故報告集計結果」によると、事象分類別では「誤送信」が全報告件数の約29.4%を占め、上位に位置しています。FAXはその代表的な経路のひとつです。

参考:

よくある原因を整理すると、以下のとおりです。

手動での番号入力ミス

数字の押し間違いは、FAXの誤送信の中でも特にリスクが高い原因のひとつです。

市外局番の「03」と「06」を打ち間違えるだけで、東京と大阪のまったく別の相手に届いてしまいます。1桁の違いでも送信先が変わるため、人の注意力だけに頼る運用ではミスをゼロにするのは困難といえます。

リダイヤル機能・アドレス帳の落とし穴

リダイヤル機能は前回送信先がそのまま残るため、急ぎの場面では誤った番号に気づかず送ってしまうケースが生じやすいでしょう。

アドレス帳も、取引先の番号変更後に更新しないまま使い続けると古い番号に届いてしまいます。年度替わりや担当者異動のタイミングは特に注意が必要です。

複数書類の同時処理による取り違え

複数の取引先あての書類を同時に準備し、送付状だけ差し替えるような「ながら作業」は取り違えが起きやすい状況です。

例えば、A社の見積書をB社に、B社の見積書をA社に送ってしまったケースは珍しくありません。忙しい時間帯ほど、こうしたミスが発生しやすい傾向があります。

FAXの誤送信で生じるリスクは?

FAXの誤送信で生じるリスクには、情報漏洩・法的責任・信用毀損といったものが挙げられます。送り間違えた書類に顧客の個人情報や取引条件が含まれていた場合、被害は社内だけでは収まりません。

個人情報保護法違反による損害賠償

2022年4月施行の改正個人情報保護法では、漏洩等が発生し個人の権利利益を害するおそれが大きい場合、個人情報保護委員会への報告と本人への通知が義務化されました。

FAXの誤送信であっても、個人情報が第三者に渡れば報告義務の対象になり得ます。報告を怠った場合、罰金が科される場合があります。さらに、漏洩された個人や企業から民事上の損害賠償を求められるリスクも見逃せません。過去には個人情報の漏洩により相当額の慰謝料が認定された判例もあり、漏洩件数が多ければ賠償額が膨らむ可能性があります。

参考:漏えい等報告・本人への通知の義務化について|個人情報保護委員会

取引先との信頼関係の毀損

取引先の機密情報を第三者に流出させてしまえば、長年築いてきた信頼関係が崩れる恐れがあります。

「情報管理がずさんな会社とは取引を続けられない」と判断されれば、契約解除や取引縮小につながるでしょう。中小企業の場合、主要取引先が少数に集中しているケースも多く、1回の誤送信が売上への影響に波及するリスクも考えられます。また、誤送信の対応に追われることで通常業務が遅延し、別の取引先への納期遅れや対応漏れが発生する「二次被害」にも注意が必要です。

リスクの種類 影響の例
法的責任 個人情報保護委員会への報告義務、損害賠償請求
信用毀損 取引先からの契約解除・縮小、新規取引の機会損失
業務への支障 対応に伴う通常業務の遅延、従業員の心理的負担

FAXの誤送信が発覚したら何をする?

FAXの誤送信が発覚したら、まず「誤送信先への連絡」と「社内報告」を同時並行で進めます。初動の遅れが被害の拡大を招くため、発覚後できるだけ速やかに行動を開始することが求められます。

誤送信先へ連絡しデータ破棄を依頼する

送信履歴やレポートから誤送信先のFAX番号を特定し、すぐに電話で連絡します。

FAXやメールではなく電話を使うのは、相手にいち早く状況を伝え、受信した書類を開封・コピーする前に対処してもらうためです。連絡時に伝える内容は以下のとおりです。

  • 誤送信であること、内容を閲覧しないでほしい旨
  • 受信した書類のシュレッダー処分または返送の依頼
  • 送信者の会社名・担当者名・連絡先

相手が不明の場合(番号を間違えて見知らぬ相手に届いた場合)は、その番号に電話して事情を説明します。つながらない場合も繰り返し連絡を試み、記録を残しておくことが大切です。

社内報告と原因調査を速やかに行う

誤送信先への連絡と並行して、上長や情報管理責任者に報告します。

報告時に整理しておくべき情報を以下に挙げます。

  • 誤送信が発生した日時と発覚した日時
  • 送信した書類の内容(個人情報の有無、件数)
  • 誤送信先の番号と、本来の送信先
  • 誤送信の原因(番号の手入力ミス、書類の取り違えなど)
  • 誤送信先への連絡状況と相手の対応結果

漏洩等が発生し個人の権利利益を害するおそれが大きい場合、速やか(概ね3~5日以内)に個人情報保護委員会への報告を行います。報告が必要かどうかの判断に迷ったら、速報の段階で専門家に相談するのが安全でしょう。

本来の送信先へ謝罪と再送を行う

誤送信先への対応が済んだら、本来届けるべきだった相手にも状況を説明します。

「書類が別の宛先に送られた事実」「誤送信先には破棄を依頼済みであること」「再発防止策」を伝え、改めて正しい書類を送付します。対応フローを一覧にすると、以下のとおりです。

対応順序 やること 目安の時間
1 送信履歴で誤送信先を特定 発覚後すぐ
2 誤送信先へ電話連絡・破棄依頼 できるだけ速やかに
3 社内の上長・情報管理責任者へ報告 できるだけ速やかに
4 原因の調査と記録 当日中
5 本来の送信先への謝罪と再送 当日中
6 個人情報保護委員会への報告(該当時) 3〜5日以内
7 再発防止策の策定と社内共有 1週間以内

FAXの誤送信を防ぐための対策は?

FAXの送り間違いを防ぐ対策は、「運用ルールの整備」と「ツールの活用」の両面から講じるのが効果的です。人の注意力だけに頼らず、仕組みでミスを減らす考え方がポイントといえます。

送信前のダブルチェック体制を構築する

手軽に始められる対策として、送信ボタンを押す前に「もう1人が宛先と書類を確認する」ルールを設ける方法があります。

チェックする際の確認項目を決めておくと、属人化を防げます。確認項目の例は以下のとおりです。

  • FAX番号が送付状の宛先と一致しているか
  • 送付状の宛名(社名・部署名・担当者名)に誤りがないか
  • 添付書類が送付状の宛先のものか(別の取引先の書類が混入していないか)
  • ページ数が送付状に記載した枚数と合っているか
  • 少人数の事業所で「もう1人」の確保が難しい場合は、送信者自身が「入力→少し時間をおく→再確認→送信」の手順を踏むだけでも、ミスの発見率は上がります。

アドレス帳と短縮ダイヤルを定期的に見直す

取引先の番号変更や担当者の異動は年度替わりに集中しやすく、少なくとも年1回4月を目安にアドレス帳の棚卸しを行いましょう。

棚卸しのポイントは以下のとおりです。

  • 過去1年間に送信実績のない番号を削除または非表示にする
  • 登録名は「社名+部署名」など一目で判別できる表記に統一する

クラウドFAXやインターネットFAXを導入する

クラウドFAX(インターネットFAX)は、PC画面上で宛先と書類内容をプレビュー確認してから送信できるサービスで、「番号の打ち間違い」「書類の取り違え」の2大リスクを低減できます。

送信前に確認画面を表示する機能や、送受信のログ(履歴)を自動保存する機能を備えたサービスも多く、内部統制の強化にもつながるでしょう。サービスによって料金は異なりますが、中小企業や個人事業主でも導入しやすい価格帯のものもあります。

FAXの誤送信のお詫び文はどう書く?

お詫び文には「経緯・原因・再発防止策」の3点を漏れなく記載し、誠意を示すことがポイントです。お詫び文は「誤送信先」と「本来の送信先」で内容を分けて作成する必要があります。

誤送信先へのお詫び文に盛り込む要素

誤送信先には、まず謝罪と書類の破棄依頼を伝えます。

盛り込むべき項目は以下のとおりです。

  • 謝罪の言葉(ご迷惑をおかけしたお詫び)
  • 誤送信した日時と枚数
  • 受信した書類の内容を閲覧・複製しないでほしい旨の依頼
  • 書類の破棄(シュレッダー処分)または返送のお願い
  • 送信元の会社名・担当者名・連絡先
  • 再発防止策の概要

文例としては、次のような構成が使いやすいでしょう。

○○様

平素よりお世話になっております。△△株式会社の□□でございます。

このたび、○月○日○時頃、弊社の手違いにより貴社FAX宛に書類を誤送信してしまいました。大変ご迷惑をおかけし、心よりお詫び申し上げます。

誤ってお届けした書類(○枚)につきましては、内容をご覧にならず、破棄いただけますようお願い申し上げます。

原因は送信番号の入力ミスであり、今後はダブルチェック体制の導入およびアドレス帳の整備を徹底し、再発防止に努めてまいります。

ご不明な点がございましたら、下記担当までご連絡ください。

△△株式会社 □□(電話:00-0000-0000)

本来の送信先へのお詫び文に盛り込む要素

本来の送信先には、書類が別の宛先に届いてしまった事実と、誤送信先への対応状況を伝えます。

盛り込むべき項目は以下のとおりです。

  • 謝罪の言葉
  • 誤送信が発生した経緯と原因
  • 誤送信先には廃棄を依頼済みである旨
  • 正しい書類を改めて送付した旨
  • 再発防止策の説明

本来の送信先にとっての関心事は「自社の情報がどこに漏れたのか」「相手はその情報をどう扱うのか」です。破棄の確認が取れている場合は、その旨を明記すると安心感を与えられます。

FAXをデジタル化するメリットは?

FAXのデジタル化によって、誤送信リスクを仕組みとして減らせます。従来型FAX機では人の注意力に依存していた確認作業を、クラウドFAXではシステムで補えるためです。

PC上で宛先と内容を確認してから送信できる

従来のFAX機は番号を入力するとすぐに送信処理が始まる仕様が多く、誤った番号を押した場合でも気づきにくい構造でした。これに対して、クラウドFAXでは送信前にプレビューで宛先と書類内容を確認できます。

宛先をアドレス帳から選ぶ際も、社名や担当者名で検索できるため、似た番号を取り違えるリスクが減ります。複数ページの書類でも画面上でページ順を確認できるので、「裏表が逆」「ページ抜け」といったトラブルも起きにくくなるでしょう。

送受信履歴の管理で内部統制を強化できる

クラウドFAXでは、いつ・誰が・どの番号に・何を送ったかが自動でログに残り、内部統制の強化につながります。

紙のFAXでは送信レポートを保管し忘れるケースがありますが、クラウドなら検索ひとつで過去の送受信を追跡できます。管理面でのメリットを従来型FAXと比較すると、以下のとおりです。

比較項目 従来型FAX クラウドFAX
宛先確認 FAX機の小さな液晶で番号を確認 PC画面で社名・番号をプレビュー
送信履歴 紙のレポートを手動で保管 クラウド上に自動保存・検索可能
書類の確認 紙をセット後は中身を確認しにくい 送信前にページごとにプレビュー可能
コスト目安 機器リース+通信費+用紙代 サービスにより異なる

FAXを完全に廃止するのが難しい業種でも、デジタル化によってヒューマンエラーを仕組みで防ぎ、管理コストを下げられます。誤送信対策と業務効率化を同時に進めたい場合、クラウドFAXの導入も選択肢のひとつになるでしょう。

FAXの誤送信を防ぐために運用ルールを整えておこう

FAXの誤送信の原因は人的ミスと管理不備に集約され、仕組みと運用ルールで大半は防げます。送信前のダブルチェック、アドレス帳の定期見直し、クラウドFAXの活用を組み合わせることで、誤送信リスクを抑えられるでしょう。万が一送り間違えた際は、誤送信先への連絡と社内報告を速やかに同時に進めることが、被害の広がりを最小限に留める上で大切です。FAX運用の見直しを機に情報管理の仕組みそのものを整備することで、組織全体の業務効率化にもつながります。

広告

システム乱立を解消するためのステップとは?

多くの企業がバックオフィス業務効率化のため多様なクラウドシステムを導入するも、「便利なはずが非効率」という現実に直面しています。

その原因は、勤怠や経費など「部分最適」なシステム導入による乱立です。システム同士がつながらず、データの手入力やExcelでの突き合わせ作業が常態化。

これは「見えないコスト」を増やし、業務フローを複雑化させ、現場の負担を増大させます。システム乱立のリスクを整理し、業務アセスメントによる根本解決策をご紹介するホワイトペーパーを用意していますので、ぜひお気軽にご覧ください。

>「システム乱立を解消するためのステップ」の無料ダウンロードはこちら


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事