- 更新日 : 2025年8月12日
社内SNSの成功事例!コミュニケーション、情報共有、業務効率化を紹介
社内SNS(Chatwork、Slack、Microsoft Teamsなど)は、正しく導入・運用すれば、企業のコミュニケーションの課題を解決し、生産性の向上につながります。しかし、目的が曖昧なまま導入すると、誰も使わないまま形骸化してしまうおそれも少なくありません。
成功する企業と失敗する企業の違いはどこにあるのでしょうか。 この記事では、社内SNSがもたらす具体的な効果や事例から、導入を成功に導くためのポイントをわかりやすく解説します。
目次
社内SNSを利用するメリット
社内SNSは、従来のメールや会議では対応が難しかった情報共有や部門間の連携の課題を補う手段のひとつとして活用されています。役職や部門の垣根を越えたオープンなやり取りが可能になることで、連携のしやすさや業務の透明性が高まるといった効果もあります。
以下では、社内SNSの導入によって期待される主なメリットを紹介します。
縦横のつながりを強化する
社内SNSを導入することで、組織の縦(上司・部下)と横(部署間)のコミュニケーションの壁を取り払えます。経営層の考えやビジョンが社員一人ひとりに直接届くだけでなく、現場の状況や意見がトップに伝わりやすくなるでしょう。
また、普段業務で接点の少ない社員同士でも、SNS上のやり取りを通じて互いの仕事や人柄を知る機会が生まれ、組織全体の一体感につながると考えられています。
情報共有のスピードを上げる
社内SNSは、メールと比べて迅速に情報共有ができます。投稿すれば関係者全員がすぐに確認できるため、個別に宛先を指定する手間が省けます。さらに、絵文字やリアクション機能を使えば、既読状況や反応を即座に把握でき、返信にかかる手間や時間も軽減されます。
とくに、緊急連絡や全社的な周知が必要な場面では、即時性と確実性の観点から社内SNSが選ばれるケースもあります。このような仕組みにより、社内での情報の行き違いや認識のズレを抑え、共通の理解のもとで業務を進めやすくなると考えられています。
企業の理念や文化を根づかせる
企業理念や行動指針を組織全体に浸透させるには、日常的な接点が欠かせません。社内SNSは、理念に沿った行動や成功体験を共有する場としても機能します。たとえば、顧客から寄せられた感謝の言葉や、困難な業務を乗り越えたチームの体験談などを発信することで、価値観の可視化につながります。
このような事例の共有を積み重ねることで、社員が企業理念を身近に感じ、共通の方向性を意識しやすくなるとされています。結果として、組織文化の醸成にもつながります。
社内SNSでコミュニケーションの活性化が成功した事例
【Talknote】一方通行の連絡を双方向の対話に変えた
株式会社SUU・SUU・CHAIYOOでは、店舗の拡大により、FAXやメーリングリストだけでは情報が届かず、スタッフ間のやりとりも限定的になっていました。こうした一方通行の連絡体制に代わって導入されたのがTalknoteです。
コメントやリアクション機能により、発信への反応が可視化され、双方向の対話が生まれました。業務連絡だけでなく、現場の出来事や意見交換も気軽に行われるようになり、コミュニケーションが活発に。過去の投稿も見返せるため、新人教育にも活用されています。
こうした変化により、スタッフ同士の距離が縮まり、日々の業務に対する当事者意識や積極性も高まったとされています。
参照元:株式会社SUU・SUU・CHAIYOO|Talknote導入事例
【TUNAG】分断された組織をつなぎ、理念と対話を浸透
株式会社ウェルカムでは、事業拡大により理念やビジョンが全社に届きづらく、ブランドや拠点ごとにコミュニケーションが分断されているという課題を抱えていました。従業員約2,000名の一体感を高める手段として、社内SNS「TUNAG」を導入。
代表メッセージや行動指針の動画配信、雑談リレー投稿、毎朝の体調報告など、形式に縛られない発信を継続することで、休業中のメンバーとも信頼関係を維持しました。特にコロナ禍の全店休業時には、代表が毎日投稿を行い、従業員から「離れていてもつながっている」との声も聞かれたといいます。
結果として、投稿やコメントのやりとりが日常化し、役職やブランドを越えた対話が生まれました。理念の浸透と社内の心理的な距離感の改善が同時に進んだ事例です。
参照元:株式会社ウェルカム(DEAN & DELUCA運営)|TUNAG導入事例
社内SNSで業務効率化が成功した事例
【SKIP】メール文化を転換し、情報共有の仕組みを再構築
シチズン時計では、開発・製造部門において、ノウハウの継承や部門横断の情報共有が十分に機能していないという課題を抱えていました。従来はメールが主な手段でしたが、「情報が分散し、探すこと自体が業務化していた」といいます。
そこで導入されたのが社内SNS「SKIP」です。自由参加型のSNSとしてだけではなく、業務システムとして全員が利用することを義務化し、メールの代替として位置づけました。
連絡、データ共有、議論、議事録など日常業務をすべてSKIP上で行う運用に変更。結果として、メールの7割が削減され、情報探索や保管にかかっていた時間が大幅に短縮。特に製品開発では1時間の業務効率向上が確認されました。
社内SNSをツール導入ではなく、業務のあり方そのものを再設計することで、組織全体の時間の使い方を改善した事例です。
【WowTalk】ルーティン業務の報告を効率化し、電話依存を解消
ライフアンドデザイン・グループ西日本では、社員の大半がメール環境を持たないなか、日々の業務報告や社内連絡を電話で行うことが主流でした。複数拠点・シフト勤務が中心の業務形態において、連絡のタイミングや記録管理に課題があったといいます。
その解決策として導入されたのが社内SNS「WowTalk」。チャット形式で報告・連絡ができるため、現場スタッフはルーティン業務をグループチャット上で記録し、報告の抜け漏れや伝達遅延を防げるようになりました。また、「OA機器依頼板」などの業務別グループを管理チームが一元的に設計・運用することで、トークルームの乱立を防ぎ、業務の見える化と管理の効率化にもつながっています。
電話の代替として導入されたWowTalkは、必要な内容を適切なタイミングで伝達・記録できる手段として機能し、日常業務の中に自然に溶け込んでいると報告されています。
参照元:ライフアンドデザイン・グループ西日本株式会社|WowTalk導入事例
社内SNSで情報共有の促進が成功した事例
【Slack】情報共有のスピードと正確性を改善
Cygamesでは、社内の情報共有において「必要な情報がすぐ見つからない」「部門間の連携が分断されがち」といった課題を抱えていました。また、コミュニケーションツールの機能面でも、検索性・安定性・セキュリティの面で十分ではないという声がありました。
これらの課題に対し、同社はSlack Enterprise Gridを導入。プロジェクト単位でワークスペースを分ける設計とし、共有チャンネルの活用により必要な情報が適切な範囲で速やかに伝達される仕組みを整えました。情報システム部門と現場エンジニアが連携して全社横断で進めた結果、導入から1ヶ月半で全社展開を実現。
導入後は、投稿の約8割がパブリックチャンネルに集約され、検索性やアクセス性が大幅に向上。社員が必要な情報に迅速かつ正確にアクセスできるようになり、業務効率と部門間連携の質が高まったと報告されています。
【Chatwork】連絡手段を統一し、情報の混乱を防止
株式会社ガーデンでは、(取材当時)215店舗・約3,000名のスタッフが個人SNSや電話などで連絡を取り合っていたため、情報が分散し、共有漏れやセキュリティ面の不安が課題となっていました。緊急連絡や店舗間の情報共有にも時間がかかり、統一的な運用が難しい状況でした。
この状況を改善するため、同社はChatworkを導入。正社員には有料プラン、アルバイトには無料プランを割り当て、コストを抑えつつアカウント管理とセキュリティ対策を実現しました。誰でも使いやすい操作画面により、現場でも導入がスムーズに進みました。
結果として、連絡手段が一本化され、業務連絡や店舗間のやり取りが整理されるようになり、情報共有の精度とスピードが向上したとされています。
【Microsoft Teams】ボトムアップの活動が生んだ全社的な情報共有文化
トヨタ自動車株式会社では、工場の遊休設備といった有益な情報が担当者個人に留まり、全社で共有・活用できていないという課題がありました。この状況を変えたのが、一人の社員がボトムアップで始めたMicrosoft Teams上の技術コミュニティです。
当初個人の活動だったコミュニティは、地道な情報発信により約5,000人が参加するまでに拡大。Teams上では部署や役職を超えた活発な議論や質疑応答が生まれ、まさに「集合知」が機能するプラットフォームとなりました。
このコミュニティをきっかけに遊休設備をマッチングするアプリが開発されるなど、閉じていた情報が共有され、会社の資産を有効活用する業務改善へとつながっています。
参照元:トヨタ自動車|Microsoft Teams導入事例
社内SNS導入を成功させるポイント
社内SNSを成功させるには、戦略的なアプローチが必要です。目的や運用方法を明確にし、社員の参加を促す工夫を組み合わせることで、業務効率化や情報共有の促進といった成果が見えてきます。
導入目的を明確化する
SNS導入前に、解決したい課題と達成したい目標を明確に設定しましょう。
たとえば、メールのやり取りが煩雑になっている、部署間の情報が届かない、社内の動きが見えづらい、といった課題を解決するためにSNSを活用する場合、それぞれの背景に合わせた機能やツール選定が必要です。
このとき、目的の設定を経営層だけで行うのではなく、実際に利用する現場の声を取り入れます。現場が感じている不便や希望を理解すれば、導入後に自然と「使いたい」と思えるシステムになり、社内での受け入れもスムーズに進みます。
社員の参加率を向上させる
SNSの成功は、社員の積極的な参加にかかっています。まずは使いやすいツールを選択し、操作方法の研修を実施しましょう。特に、ITに不慣れな社員への配慮が必要です。
そのため、最初は役職者や経営陣が率先して使い、発信の流れを作ることが効果的です。また、日常業務の連絡だけでなく、軽い雑談や感謝の気持ちを伝えるような投稿が増えると、心理的なハードルが下がり、社員同士のつながりも自然と強まります。参加を強制するのではなく、使いたくなるような空気づくりを意識することが大切です。
運用ルールを策定する
適切な運用ルールの策定により、SNSの健全な利用環境を維持できます。
自由に使えるツールであっても、内容や使い方に制限がなければ、情報漏えいやトラブルにつながる恐れがあります。とはいえ、制限が多すぎると投稿しづらくなり、コミュニケーションの場としての効果が失われてしまいます。たとえば、機密情報や個人のプライバシーに関する内容の投稿は避けるなど、業務に支障のない範囲でのルール設定が現実的です。導入時にルールを共有し、運用しながら必要に応じて見直す柔軟な姿勢も重要です。
社内SNS成功事例から効果的なコミュニケーションを実現しよう
社内SNSを活用して成果を上げている企業の多くは、ツールの導入を、コミュニケーションそのものを見直すきっかけとして取り組んでいます。製造業やサービス業、小売、金融といった業種を問わず、情報共有のスピードアップやチーム間の連携強化など、実際に業務改善につながった事例も数多く見られます。
共通する成功の要因としては、導入の目的を明確にしてからスタートしていること、現場の社員が使いやすい仕組みを整え、自然と参加したくなるような運用工夫を行っていることが挙げられます。また、投稿ルールの整備やセキュリティへの配慮、継続的な改善の体制を持っている企業ほど、導入後の定着率や効果が高くなる傾向にあります。
社内SNSを有効に機能させるには、自社の課題を見極め、それに合った運用方針を設計することが欠かせません。すでに成果を出している企業の事例を参考にしながら、情報共有にとどまらない、組織の活性化につながる仕組みとして活用していきましょう。
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