• 作成日 : 2026年10月23日

確定申告の帳簿の種類はどれを選ぶ?申告区分と作成コーナーの選択肢から解説

Point確定申告の帳簿はどれを選ぶ?

確定申告の帳簿は、申告区分(白色・青色10万円/55万円/65万円)と記帳方法の組み合わせで決まります。

  • 白色・青色10万円は単式簿記の簡易帳簿でOK
  • 青色55万円・65万円は複式簿記が必須条件
  • 作成コーナーの選択肢1〜5は記帳方法と届出で判断

Q. 会計ソフト利用者は作成コーナーで何を選ぶ?

A. 届出書未提出なら「2 会計ソフト等で作成した帳簿」を選択。届出済みの場合のみ「1 優良な電子帳簿」が選べます。

確定申告の帳簿の種類は、申告区分(白色申告・青色申告10万円/55万円/65万円控除)と記帳方法(手書き・表計算ソフト・会計ソフト)の組み合わせで決まり、確定申告書等作成コーナーの選択肢1〜5もこの2つの条件から判断できます。本記事では、申告区分別に必要な帳簿と、作成コーナーでの帳簿の種類の選び方を整理します。

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確定申告で使う帳簿の種類は?

確定申告で使う帳簿は「主要簿(仕訳帳・総勘定元帳)」と「補助簿(現金出納帳・経費帳など)」の2種類に大別されます。記帳方式が単式簿記か複式簿記かによって、作成すべき帳簿の範囲が変わります。

主要簿と補助簿の役割を押さえる

主要簿とは、すべての取引を記録する仕訳帳と総勘定元帳の2つを指し、複式簿記で記帳する場合はこの2帳簿の作成が必須です。補助簿は主要簿の内容を補完する帳簿で、代表的なものに次の6種類があります。

  • 現金出納帳:日々の現金の入出金を記録する帳簿
  • 預金出納帳:銀行口座の入出金を記録する帳簿
  • 売掛帳:売掛金(未回収の売上代金)の発生と回収を管理する帳簿
  • 買掛帳:買掛金(未払いの仕入代金)の発生と支払いを管理する帳簿
  • 経費帳:必要経費を勘定科目ごとに記録する帳簿
  • 固定資産台帳:減価償却資産の取得・償却を管理する帳簿

単式簿記と複式簿記で必要な帳簿が変わる

単式簿記は1つの取引を1行で記録する方法で、白色申告と青色申告10万円控除ではこの方式で対応できます。複式簿記は取引を借方・貸方の2つの側面で記録する方法で、青色申告55万円・65万円控除を受けるための条件です。

項目 単式簿記 複式簿記
記帳の方法 収支を1行で記録 借方・貸方の2面で記録
必要な帳簿 簡易帳簿(経費帳など) 仕訳帳・総勘定元帳+補助簿
対応する控除 白色申告・青色10万円 青色55万円・65万円

参考:No.2072 青色申告特別控除|国税庁

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申告区分別に必要な帳簿の種類はどれ?

申告区分ごとの必要帳簿は、白色申告と青色申告10万円控除が単式簿記による簡易帳簿、青色申告55万円・65万円控除が複式簿記による主要簿です。国税庁の公表資料にもとづき、区分ごとの要件を整理します。

白色申告は簡易帳簿・単式簿記で対応できる

白色申告では、収入金額や必要経費を記載した簡易な帳簿(法定帳簿)を単式簿記で作成すれば足ります。2014年(平成26年)1月以降、事業所得・不動産所得・山林所得のある白色申告者全員に記帳と帳簿保存が義務付けられています。

例えば、フリーランスのデザイナーが白色申告する場合、経費帳に「交通費」「通信費」などを科目別に記録し、売上は収入金額として残しておけば基本的な要件を満たせます。

参考:事業所得や不動産所得等のある方には帳簿の記帳・保存義務があります!|国税庁

青色申告10万円控除は簡易帳簿が基本になる

青色申告で10万円控除を選ぶ場合も、単式簿記による簡易帳簿で記帳要件を満たせます。現金出納帳・売掛帳・買掛帳・経費帳・固定資産台帳の5種類が、国税庁の示す標準的な簡易帳簿にあたります。

複式簿記に比べて記帳の手間が少ない一方、控除額は10万円にとどまります。記帳負担と節税効果のどちらを優先するかを踏まえて選ぶとよいでしょう。なお、10万円控除から55万円・65万円控除へ切り替える場合は、複式簿記への移行と帳簿の整備が前提になります。

参考:帳簿書類の保存期間|国税庁

青色申告55万円・65万円控除は複式簿記が必要になる

55万円または65万円の青色申告特別控除を受けるには、複式簿記による記帳と貸借対照表・損益計算書の添付が条件です。65万円控除はさらに、e-Taxによる電子申告または電子帳簿保存のいずれかを満たす必要があります。

なお、青色申告特別控除の適用を受けるには、あらかじめ「所得税の青色申告承認申請書」を所轄税務署へ提出し、青色申告の承認を受けておく必要があります。

申告区分 記帳方式 必要な帳簿
白色申告 単式簿記 法定帳簿(収入・経費の記録)
青色10万円控除 単式簿記 簡易帳簿(現金出納帳・経費帳など)
青色55万円控除 複式簿記 仕訳帳・総勘定元帳+補助簿
青色65万円控除 複式簿記 仕訳帳・総勘定元帳+補助簿(+e-Tax or 電子帳簿保存)

参考:手続の案内(所得税の青色申告承認申請手続)|国税庁

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確定申告書等作成コーナーの帳簿の種類1〜5の選び方は?

確定申告書等作成コーナーで表示される「帳簿の種類」は、記帳方法と届出状況の組み合わせで選びます。会計ソフトを使っている場合は「2」、Excel(表計算ソフト)で複式簿記をしている場合は「3」を選ぶのが一般的です。

作成コーナーの選択肢は次の5つです。

  1. 優良な電子帳簿(事前に届出書を提出済みの場合)
  2. 会計ソフト等で作成した帳簿
  3. Excel等の表計算ソフトで作成した帳簿
  4. 手書きの帳簿(複式簿記)
  5. 手書きの帳簿(簡易記帳)

会計ソフト利用者は「2」を選ぶ

会計ソフトで日々の記帳を行っている場合、選ぶべきは「2 会計ソフト等で作成した帳簿」です。

クラウド会計ソフトは取引入力時に自動で仕訳帳や総勘定元帳を作成するため、複式簿記の知識がなくても青色65万円控除に対応した帳簿を整備できます。ただし、会計ソフトを使っていることと「優良な電子帳簿(選択肢1)」に該当することは別の話である点には注意が必要です。

Excel・スプレッドシートで複式簿記をしているなら「3」を選ぶ

Googleスプレッドシート(表計算ソフト)やExcelを使い、自分で複式簿記の帳簿を作成している場合は「3」を選択します。テンプレートを活用して仕訳帳と総勘定元帳を管理しているケースが該当します。

手書き帳簿は「4」か「5」を選ぶ

紙のノートや市販の帳簿用紙に手書きで記帳している場合は、複式簿記なら「4」、単式簿記(簡易記帳)なら「5」を選びます。白色申告や青色10万円控除の場合は「5」が該当するケースが多いでしょう。

状況別の判定をまとめると次のとおりです。

記帳方法 選択肢
クラウド会計ソフト(届出なし) 2
クラウド会計ソフト(届出あり) 1
Excel・スプレッドシートで複式簿記 3
手書きで複式簿記 4
手書きで簡易記帳(単式簿記) 5

参考:確定申告書等作成コーナー|国税庁

確定申告の帳簿の種類「優良な電子帳簿」と「会計ソフト等」の違いは?

選択肢1の「優良な電子帳簿」と選択肢2の「会計ソフト等」は、事前届出の有無と過少申告加算税の軽減措置の適用で区別されます。届出書を提出していなければ「1」は選べません。

優良な電子帳簿には届出書の提出が必要になる

「優良な電子帳簿」として認められるには、「国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等に係る届出書」を事前に所轄税務署へ提出する必要があります。届出書は、適用を受けようとする国税の法定申告期限までに提出する必要があり、個人の所得税であれば翌年3月15日が目安です。

さらに、使用する会計ソフトが次の要件をすべて満たしていることが条件です。

  • 訂正削除履歴の確保:帳簿の訂正・削除の履歴が自動的に記録される機能
  • 相互関連性の確保:帳簿間で取引内容の関連性を確認できる機能
  • 検索機能の確保:日付・金額・取引先などで取引記録を検索できる機能

届出により過少申告加算税が5%軽減される

優良な電子帳簿の要件を満たして届出を行うと、申告漏れがあった場合に課される過少申告加算税が5%軽減される措置を受けられます。通常10%の加算税が5%に下がるため、税務調査への備えとしてメリットがあります。ただし、仮装・隠蔽があった場合にはこの措置は適用されません。

参考:優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置の概要|国税庁

誤選択しやすいポイントに注意する

実務で多い誤りは、「クラウド会計ソフトを使っているから自動的に優良な電子帳簿になる」という思い込みです。クラウド会計ソフトは優良な電子帳簿の技術要件に対応した機能を備えているものが大半ですが、届出書の提出がなければ税務上「優良な電子帳簿」とは認められません。

届出を行っていない場合は「2 会計ソフト等で作成した帳簿」を選択してください。選択肢を誤ると、過少申告加算税の軽減措置を受けられないだけでなく、申告内容の整合性に疑義が生じるおそれもあります。

確定申告の帳簿の保存期間と保存方法は?

帳簿は原則7年間の保存が義務付けられており、白色申告の一部書類は5年間の保存で足ります。電子帳簿保存法(電帳法)の対応状況によって、電子データでの保存要件も変わります。

帳簿・書類ごとの保存年数を確認する

保存期間は申告区分と書類の種類によって異なります。

書類の種類 青色申告 白色申告
帳簿(仕訳帳・総勘定元帳など) 7年 7年
決算関係書類(損益計算書・貸借対照表) 7年 作成義務なし
請求書・領収書(取引金額の証拠) 5年 5年
その他の書類(見積書など) 5年 5年

保存期間の起算日は、確定申告の期限日の翌日です。例えば、2025年分の確定申告(期限2026年3月16日)に関する帳簿は、2033年3月16日まで保存する必要があります。

参考:帳簿書類の保存期間|国税庁

電子帳簿保存法への対応を確認する

2024年1月以降、電子取引のデータ保存が義務化されています。メールで受け取った請求書やクラウドサービス上の領収書は、紙に印刷して保存するだけでは要件を満たせません。電子データのまま一定の要件のもとで保存する必要があります。

保存要件としてタイムスタンプの付与や検索機能の確保が求められますが、税務職員のダウンロード要求に応じられる状態であれば検索機能の要件が緩和されます。クラウド会計ソフトの多くは電子帳簿保存法対応の機能を備えているため、設定画面で対応状況を確認しておくと安心です。

参考:優良な電子帳簿のススメ!|国税庁

確定申告の帳簿選びでよくある質問は?

確定申告の帳簿の種類をどれにするか迷う場面は、実務では頻繁に発生します。ここでは、よく寄せられる疑問にQ&A形式で回答します。

会計ソフトを導入すれば帳簿選びは自動化される?

クラウド会計ソフトを導入すれば、仕訳帳・総勘定元帳・各種補助簿はソフトが自動生成するため、どの帳簿を作ればよいかで悩む場面はほぼなくなります。銀行口座やクレジットカードの明細を連携させるだけで取引が自動取得・仕訳されるため、記帳の手間も削減できます。

代表的なクラウド会計ソフトはいずれも複式簿記に対応しており、青色65万円控除の要件を満たす帳簿を整備できます。

帳簿の種類を間違えて選んだらどうなる?

確定申告書等作成コーナーで帳簿の種類を誤って選択しても、それだけで申告が無効になることはありません。ただし、実態と異なる選択をしていた場合、税務調査の際に説明を求められることがあります。

例えば、届出書を出していないのに「1 優良な電子帳簿」を選んでしまった場合、過少申告加算税の軽減措置は適用されません。申告期限内であれば修正した申告書を再提出でき、期限後に気づいた場合は「更正の請求」や「修正申告」で対応します。

副業の確定申告で必要な帳簿は?

会社員の副業収入を確定申告する場合、その所得が事業所得か雑所得かで帳簿の要件が異なります。事業所得として申告するなら、前述の申告区分に応じた帳簿作成が必要です。

国税庁は2022年10月の所得税基本通達改正で、事業所得と業務に係る雑所得の区分について、帳簿書類の保存の有無を重要な判定要素とする取り扱いを示しました。あわせて、前々年分の業務に係る雑所得の収入金額が300万円を超える場合は、現金預金取引等関係書類を5年間保存する必要があります。

参考:「所得税基本通達の制定について」の一部改正について|国税庁

帳簿作成を税理士や記帳代行に依頼する場合の注意点は?

帳簿の作成や確認を税理士や記帳代行サービスに依頼する場合も、帳簿の種類や作成コーナーでの選択区分を最終的に判断するのは申告者自身です。依頼先がどの記帳方式(単式簿記・複式簿記)で対応しているか、電子帳簿保存法に対応したデータ形式で納品されるかを事前に確認しておくと、作成コーナーでの選択を誤りにくくなります。

帳簿をつけていない場合のリスクは?

帳簿をまったくつけていない状態で税務調査を受けると、経費の実額を証明できず、推計課税(税務署が所得を推計して課税する方式)が適用されるおそれがあります。また、青色申告者が帳簿を適切に備え付けていなかった場合、青色申告の承認を取り消され、過去にさかのぼって白色申告扱いとなるリスクもあります。

記帳に不安がある場合は、会計ソフトの無料プランを試す、または税務署が実施する無料の記帳指導制度を利用するなど、できるところから記帳を始めることが現実的な対策です。

参考:No.1500 雑所得|国税庁

帳簿の種類は申告区分と記帳方法の照合で判断する

確定申告の帳簿の種類は、白色・青色10万円・55万円・65万円控除のどの申告区分を選ぶかと、手書き・Excel・会計ソフトのどの記帳方法を使うかで決まります。作成コーナーの選択肢1〜5も、届出書の提出状況と記帳方式を照らし合わせれば迷わず選択できます。まずは自分の申告区分と記帳方法を表で照合し、該当する帳簿の種類を確認してみてください。

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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様

マネーフォワード クラウド確定申告の導入事例

データ連携機能を使って、銀行やクレジットカードの明細データを自動で取り込むようになってからは、会計ソフトへの入力作業が減ったので、作業時間は1/10くらいになりましたね。

ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様

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