- 更新日 : 2026年1月8日
36協定の新様式とは?変更点や記入例、届け出の注意点(2021年4月から)【テンプレート付き】
36協定届の新様式とは、労働基準法の改正などにより変更された、時間外労働や休日労働を行う場合に労使間で締結し、労働基準監督署に届け出る書面の様式のことです。厚生労働省などのサイトからダウンロードして、利用することが可能です。本記事では、36協定届が新様式に変更された背景や旧様式からの変更点、記入例などをご紹介します。
目次
36協定とは?
36(サブロク)協定とは、使用者が労働者に対して、法律で定められた時間や日数を超えて労働させる際に締結する、労使協定のことです。法定労働時間は「原則1日8時間・週40時間」であり、法定休日は少なくとも1週間に1日の休日を与えなければならないとされています。
36協定という呼び名は、労働基準法第36条で定められていることに由来しており、正式名称は、「時間外・休日労働に関する協定」であることを押さえておきましょう。
36協定は、労使で締結した後、所轄の労働基準監督署へ届け出なければ効力が発生しません。届け出をしないまま法定労働時間や法定休日を超えて労働させると、労働基準法違反に該当します。
36協定の対象者
36協定の対象者は「労働基準法上の労働者」であり、契約社員やアルバイトなどの非正規雇用の従業員も含みます。ただし、労働基準法上の管理監督者は、36協定の対象にはならないため、休日出勤や労働時間の制限が適用されません。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
36協定の締結・更新ガイド
時間外労働や休日労働がある企業は、毎年36協定を締結して労働基準監督署に届出をしなければなりません。
本資料では、36協定の役割や違反した場合の罰則、締結・更新の手順などを社労士がわかりやすく解説します。
時間外労働の管理 労基法違反から守る10のルール
年5日の有給休暇の取得が義務化され、企業には正確な休暇管理が求められています。
本資料では、有給休暇に関する基本ルールをはじめ、よくあるトラブルへの対処方法を社労士がわかりやすく解説しています。
労働時間管理の基本ルール【社労士解説】
多様な働き方を選択できる「働き方改革」が世の中に広まりつつありますが、その実現には適切な労働時間管理が欠かせません。
労働時間に関する用語の定義や休憩・休日のルールなど、労働時間管理の基本ルールを社労士が解説します。
割増賃金 徹底解説ガイド(時間外労働・休日労働・深夜労働)
割増賃金は、時間外労働や休日労働など種類を分けて計算する必要があります。
本資料では、時間外労働・休日労働・深夜労働の法的なルールを整理し、具体的な計算例を示しながら割増賃金の計算方法を解説します。
36協定届が新様式となった理由
36協定の新様式となった主な背景は、以下の2つです。
- 時間外労働の上限規制
- 労働基準法施行規則の改正
これまでも、月の時間外労働を45時間までとする規定はありましたが、特別条項を設けることで、事実上は上限の撤廃と等しい状態になっていました。また、上限を大幅に超えて恒常的に時間外労働をさせるといった企業に対しても、行政指導という軽い処分で済んでいたのです。
しかし、法改正によって、時間外労働の上限が明確に示されるようになり、違反が発覚した企業に対しては重い罰則が科せられるようになりました。このような変化に伴い、36協定届も新様式になったという経緯があります。
また、労働基準法施行規則の改正によって、電子化を促進するために届け出の押印・署名が廃止されたことも背景にあります。
参考:労働基準法施行規則等の一部を改正する省令案について(概要)|厚生労働省
36協定届が新様式に変更(2021年4月1日から)
新様式の36協定届における、旧様式からの変更点は以下のとおりです。
- 36協定届の書式が一般条項と特別条項に分かれた
- 署名・押印などが不要に
- 協定当事者の内容確認用チェック欄が追加された
- 電子申請に限り本社一括での届け出が可能に
それぞれの内容を解説します。
36協定届の書式が一般条項と特別条項に分かれた
新様式の36協定届では、一般条項と特別条項付きとで、36協定届の書式が分かれました。様式第9号様式は一般条項、様式第9号の2は特別条項付きの取り決めに対して使用します。
なお、一般条項は36協定そのものであり、時間外労働や休日出勤が上限時間以内の場合の取り決めです。一方で特別条項は、臨時的な特別の事情があり、一般条項の上限を超えた時間外労働を可能とする取り決めを指します。
旧様式では、特別条項の有無にかかわらず第9号様式が使用されていました。しかし、働き方改革に伴い時間外労働の上限規制が明確に示され、特別条項に記載する内容が増えたため、書式が変更されたと考えられます。
署名・押印などが不要に
近年の行政手続きの見直しの影響を受け、署名・押印などが不要になったことも、新様式の36協定届における変更点の1つです。ただし、36協定届が「協定書」を兼ねる場合には、押印や署名が必要となるため注意が必要です。詳細は後述します。
協定当事者の内容確認用チェック欄が追加された
新様式の36協定届には、締結の適正化に向けて、協定当事者が以下の内容を確認できるようにチェックボックスが追加されました。
- 労働時間が月100時間未満(複数月で80時間以内)であること
- 労働者過半数の代表者であること
- 協定当事者は管理監督者でなく投票などにより選出され、かつ使用者の意向に基づいて選出された者でないこと
電子申請に限り本社一括での届け出が可能に
新様式の36協定届では電子申請に限り、事業所単位での届け出をする必要がなくなり、一括届出が可能になっていたことも変更ポイントとして挙げられます。
ただし、労使間における36協定の締結は今まで通り、事業所単位で行う必要があります。混同しないように気をつけましょう。
参考:労働基準法・最低賃金法などに定められた届出や申請は電子申請を利用しましょう!|厚生労働省
36協定届の新様式書類
2024年4月1日以降、36協定では11種類の書類が用いられています。このうち、「様式第9号」「様式第9号の2」「様式第9号の3」「様式第9号の6」「様式第9号の7」については、2024年3月31日以前の書式から変更はありません。
2024年4月からは、これまで時間外労働の上限規制の適用が猶予されてきた建設業や自動車運転の業務、医師について、猶予期間が終了し上限規制が適用されたことに伴い書式が変更されています。それぞれの様式の概要について解説します。
様式は、厚生労働省のホームページからダウンロードが可能です。
様式第9号
労働基準法で定められている、時間外労働や休日労働の範囲内で労働者を勤務させる場合に使用します。必要な内容が記載されていれば、ほかの形式で届け出ることも可能です。
様式第9号の2
使用者が労働者に対し、労働基準法で定められている時間を超える労働や休日労働を行ってもらう際に使用する書類です。この様式で届け出る場合、以下2枚の書類を使います。
- 限度時間内の時間外労働についての届出書
- 限度時間を超える時間外労働についての届出書
限度時間内の時間外労働については、様式第9号と同じ内容を記載しましょう。一方、限度時間を超える時間外労働については、該当する労働者数、限度時間を超えた場合の割増賃金率などを記載しなければなりません。
様式第9号の3
新技術や新商品の研究開発業務など、特別条項が適用されない業務に携わる労働者が、時間外労働や休日労働を行う際に使用する書類です。以下のような項目を記載しましょう。
- 業務の種類
- 時間外労働を行う具体的な事由
- あらかじめ定められている労働時間
- 延長する時間
- 健康・福祉を確保するための措置
そのほかの様式
建設業(災害時における復旧及び復興の事業が見込まれる場合)や自動車運転の業務、医師の時間外労働・休日労働に関する36協定届は、以下の様式を使用します。
| 様式名 | 業種など | 条項 | 補足 |
|---|---|---|---|
| 様式第9号の3の4 | 建設業 | 一般条項 | 災害時における復旧及び復興の事業が見込まれる場合 |
| 様式第9号の3の5 | 建設業 | 特別条項付き | |
| 様式第9号の3の6 | 自動車運転の業務を含む | 一般条項 | ― |
| 様式第9号の3の7 | 自動車運転の業務を含む | 特別条項付き | ― |
| 様式第9号の4 | 医業に従事する医師など | 一般条項 | ― |
| 様式第9号の5 | 医業に従事する医師など | 特別条項付き | ― |
また、労使委員会や労働時間等設定改善委員会への決議届は、以下の様式を使用してください。
| 様式名 | 概要 |
|---|---|
| 様式第9号の6 | 時間外労働・休日労働に関する労使委員会の決議届 |
| 様式第9号の7 | 時間外労働・休日労働に関する労働時間等設定改善委員会の決議届 |
参考:時間外・休日労働に関する協定届(36協定届)|厚生労働省 東京労働局
新様式の36協定届の記入例
新様式の36協定届の記入例を、一般条項の「様式第9号」と特別条項付きの「様式第9号の2」についてご紹介します。
一般条項|様式第9号

使用者が時間外労働を命令する際の理由は、具体的に記入しましょう。「使用者の判断による」など、抽象的な表現は認められず、たとえば「月末の決算事務に対応するため」というように記入します。
また、「時間外労働と休日労働を合計して月100時間未満、2~6ヶ月平均で月80時間を超えないこと」をはじめ、合計で3箇所あるチェックボックスを確認し、当てはまっている場合はチェックしましょう。
特別条項付き|様式第9号の2


「臨時的に限度時間を超えて労働させることができる場合」などの項目は、具体的に記入しましょう。「業務の都合上必要であったため」といった抽象的な表現は、恒常的な長時間労働を招きかねないため、認められていません。
表面と裏面に計4箇所あるチェックボックスの内容を確認し、チェックしましょう。チェックボックスのチェックがない場合は、有効とならないため注意が必要です。
新様式の36協定届を提出する際の注意点
新様式の36協定届を提出する際は、以下の3つの点に注意しましょう。
- 適切なタイミングで届け出る
- 協定書を兼ねる場合は署名・押印が必要
- 記載漏れを防ぐ
それぞれの内容について解説します。
適切なタイミングで届け出る
36協定届は、適切なタイミングで届け出るようにしましょう。36協定は、たとえ労使で締結してあったとしても、所轄の労働基準監督署に届出をしていないと、効力が発生しません。その状態で法定労働時間を超えて労働をさせてしまうと、労働基準法違反になってしまいます。
協定書を兼ねる場合は署名・押印が必要
36協定届と協定書を別々に作成する場合は、36協定届への署名・押印は不要です。しかし、36協定届が協定書を兼ねる場合は、これまでどおり署名・押印が必要なことを押さえておきましょう。
なお36協定届は、労使間で締結した36協定の内容を労働基準監督署に届け出る書面であり、協定書は、使用者と労働者が36協定を締結する書面を指します。
記載漏れを防ぐ
36協定届を届け出る前に、記載漏れがないかどうか確認しましょう。記載漏れがあると届け出たと認められず、効力が発生しない可能性があります。チェックボックスのチェックの付け忘れも記載漏れに含まれるため、提出前に細かく確認することが大切です。
新様式のポイントを押さえて、36協定届を提出しよう
36協定届は、法改正によって時間外労働の上限が明確に示されるようになったことなどを背景に、新様式に変更されました。業種や目的に応じて使用する様式が異なるため、適切なものを使用する必要があります。テンプレートは厚生労働省のサイトにあるため、ダウンロードして利用しましょう。
書式が一般条項と特別条項に分かれたり、署名・押印などが不要になったり、内容確認用のチェックボックスが追加されたりしたことが、旧様式からの変更ポイントです。旧様式からの変更ポイントを押さえて、36協定届を作成・提出しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
労働基準法に夜勤回数の上限はない?月8回が目安の根拠と違法になるケースを解説
私たちの生活を24時間支えるために不可欠な夜勤。しかし、その過酷さから、ご自身の働き方に疑問や不安を抱えている方は少なくありません。特に、夜勤の回数については、法的な上限がどうなっ…
詳しくみる勤怠締め日にやることは?正しい締め処理の方法や作業を効率化するポイントを解説
勤怠締め日の作業は、正確な給与計算を行うために重要です。労働時間の集計から各種手当の確認、法的な要件の遵守まで、多岐にわたるタスクが含まれます。担当者にとっては、毎月決まって訪れる…
詳しくみる労働時間の上限規制は何時間?業務による違いや超えた場合のリスクを解説
労働時間の上限規制やルールは、適切な労務管理を行ううえで欠かせない知識です。特に残業や時間外労働に関しては、働き方改革関連法の施行などにより、近年法改正が継続的に行われています。 …
詳しくみる有休申請のペーパーレス化でどのくらい効率化できるか?進め方や成功事例を解説【テンプレート付き】
企業で働くにあたっては、手当や休暇の申請など様々な手続きが必要です。しかし、紙で申請すると、非効率的なだけでなくミスも増えてしまいます。当記事では、有給休暇の申請におけるペーパーレ…
詳しくみる月60時間超の時間外労働の割増賃金率が引き上げに!中小企業がとるべき対応とは?
中小企業において、月60時間超の時間外労働の割増賃金が引き上げになります。現行制度では、大企業は50%、中小企業は猶予措置で25%です。しかし、働き方改革関連法の成立に伴い猶予期間…
詳しくみる就業時間とは?休憩は含まれる?労働時間との違いや就業規則への記載方法
就業時間とは始業から終業までの時間で、お昼休みといった休憩時間も含まれます。就業時間と労働時間の違いは残業や賃金計算に影響するため、人事労務担当者は正確に把握する必要があります。就…
詳しくみる



.png)