- 更新日 : 2025年12月8日
ラーニング・オーガニゼーションの意味は?構成技術・企業のメリット
企業は、環境変化に対応した経営を行い続けることで存続し、成長を実現させます。一方、現代社会では、インターネット技術の進展や経済のグローバル化などにより環境変化の速度が速まり、市場のニーズも多様化しています。
そのような中で、学習する組織を意味する「ラーニング オーガニゼーション」という概念が、企業から注目を浴びています。
目次
ラーニング・オーガ二ゼーションの意味は?
ラーニング・オーガ二ゼーションとは、環境の変化に適合しながら変化し続ける能力を持続的に開発していくことのできる組織のことです。
ラーニング・オーガ二ゼーションの概要
ラーニング・オーガ二ゼーションは、「learning(学ぶ)」と「organization(組織体)」が合わさった言葉です。
組織全体で学び合うという概念であり、組織に属する一人ひとりが能力の幅を広げ、新しい考え方を開発し、共有することのできる環境を生み出します。
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ラーニング・オーガ二ゼーションはなぜ提唱された?
時代の変化とともに必要とされる知識や技術などが進化し、それに伴い既存の知識や技術、考え方は陳腐化していきます。
変化の速度が速まる現代社会においては、トップダウンで組織としての知識や技術、考え方を統一化することに限界が生じてしまいます。すなわち、組織に属する一人ひとりが自発的に知識や技術、考え方をアップデート(更新)していくことのできる組織が必要です。
それに対して、1990年にマサチューセッツ工科大学のピーター・M・センゲ教授が自身の著書の中でラーニング・オーガ二ゼーションを提唱しました。
ラーニング・オーガ二ゼーション:5つの構成技術(ディシプリン)
ラーニング・オーガ二ゼーションは、以下の5つの要素で構成されています。
システム思考
システム思考とは、自社のビジネス領域の中で、組織内外の環境要因による影響がどのような相互作用を構築しているのかを認識することです。
内部環境に関しては、各人がどのような役割を担い、どのような理解を有しているのかを把握した上で、利害による相互作用の内容を認識します。外部環境に関しては、社会や市場にどのような変化やニーズが生まれているのかを把握した上で、自社にとって課題となりうる相互作用の内容を認識します。
自己マスタリー
自己マスタリーとは、組織に属する一人ひとりが自分自身の資質を高めていくことへの揺るぎのない意志を持つことです。
その上で、自らが目指したい方向性(ビジョン)を明らかにし、現実とのギャップを認識した後に、自身の変化に向かって積極的に取り組みます。自らの意思で自らを変えていくため、成長の速度や効果が最大化します。
メンタルモデル
メンタルモデルとは、過去の経験からくる思い込みや固定概念から脱却し、目の前の環境に適合した柔軟な思考を持つことです。
思い込みや固定概念をリセットし、新しい考え方や価値観を受け入れながら物事を進めていきます。目の前の事象に対して、どのような課題が存在し、どのようなことが求められており、どのように対処することが最適なのかを一つひとつ考えていきます。
共有ビジョン
共有ビジョンとは、組織全体と組織に属する一人ひとりが目指したいこととの整合性を見出した上で、ビジョンを組織内で共有することです。
上からビジョンを押し付けるのではなく、個人の思いを尊重した上で組織としてのビジョンを自発的に描きます。自発的に描いたビジョンであれば形骸化することはないため、組織全体でベクトルを合わせた行動を取りやすくなります。
チーム学習
チーム学習とは、組織の中で個人がしがらみを持つことなく対話をすることで、知識や考え方の共有や蓄積を推進し、それにより組織として学習することです。
知識や考え方が共有、蓄積されることで思考の視野が拡大し、組織としてのパフォーマンスも高まります。
ラーニング・オーガ二ゼーション:重要視される力
ラーニング・オーガ二ゼーションを構築することに関しては、組織における「共創的に会話する力」「複雑性を理解する力」「志を育む力」が重要視されます。
共創的に会話する力
異なる立場の人同士が、組織としての課題や前提を共通的に認識した上で、新しい価値を創造するための話し合いを行うことのできる能力のことです。先に解説した5つの構成技術(ディシプリン)の中の「メンタルモデル」を発揮することが重要な要素となります。
組織に属する全員が、過去の経験からくる思い込みにしばられることなく創造的に物事を考え、オープンに話し合うことのできる環境が必要です。そのような環境があることで、世の中の変化に適合した商品やサービス、業務のプロセスなどを創造しやすくなります。
複雑性を理解する力
組織の中で、個々の利害や理解がどのようなつながりを持ち、つながりがどのような作用を生みだしているのかを可視化することのできる能力のことです。先に解説した5つの構成技術(ディシプリン)の中の「システム思考」を発揮することが重要な要素となります。
組織の構造を理解した上で新たな考え方を組織に提供することで、市場や顧客に新たな価値を供給することが実行しやすくなります。
志を育む力
個人や組織として志したいことを明らかにした上で、志を実現させるために自らを変えていくことのできる能力のことです。先に解説した5つの構成技術(ディシプリン)の中の「共有ビジョン」を発揮することが重要な要素となります。
自らを変えていこうとするエネルギーが組織の中で蓄積されることで、志したいことが現実的なものとなり、実現に向けた推進力が高まります。
ラーニング・オーガ二ゼーション:導入によるメリット
ラーニング・オーガ二ゼーションを導入することで、企業と従業員の双方に、以下のようなメリットが生まれます。
企業としてのメリット
企業としての最大のメリットは、経営環境への適応力が高まることです。
社会構造、市場や消費者のニーズ、トレンドなどの企業の経営を取り巻く環境は変化し続けています。それに対する的確な適応を怠ると、市場での競争に負け、既存の商品やサービスが淘汰されていくことで、企業の業績が低迷します。
経営者は今後の経営環境に適した方針や戦略を打ち出すための環境分析を行いますが、その対応だけに頼るのでは視野が広いとは言えません。現場目線で見えてくる環境変化に気付けないこともあるからです。
ラーニング・オーガ二ゼーションの導入が実現することで、現場が自発的に変化しながら事業の環境に適した対応を行えるようになります。そうなることで企業としての環境対応の幅が広がり、経営環境への適応力が高まるでしょう。
従業員としてのメリット
従業員としての最大のメリットは、仕事を通じた自己実現を得られることです。
上司からの指示待ちによる仕事では何ら自己実現を得ることができず、仕事に対するやりがいも見いだせなくなります。モチベーションを高めることも難しいでしょう。
しかし、ラーニング・オーガ二ゼーションの導入が実現することで、組織の中で相互に学習し合うカルチャーが生まれてきます。個人の自主性も尊重されるため、自己実現も得られやすくなります。そうなることで、仕事に対するやりがいも見いだせるようになるでしょう。
ラーニング・オーガ二ゼーション:構築のポイント
ラーニング・オーガ二ゼーションを構築するためのポイントとして、以下のことがあげられます。
リーダーの役割を見直す
従来のリーダーの役割とは、一定の権限を有した上で、組織のメンバーを統率し、管理という枠組みの中でメンバーの行動を求める方向に導くことでした。しかし、そのような対応では、メンバーの自発的な変化や組織としての共有体制は生まれてきません。
ラーニング・オーガ二ゼーションの構築を目指す組織におけるリーダーには、「設計」「コーチング」「フォロー」の役割が求められます。組織として学習しながら変化していく構造をメンバーに指し示し、気づきを与え、手を差し伸べることで、自発的な変化や組織としての共有を実現させます。
オープンな対話ができる環境を作る
ラーニング・オーガ二ゼーションの目的は、メンバーのベクトルが合致した状態で個人の変化が合わさることにより、組織が成長することです。そのために、組織の中でメンバーが自由に対話しながら相互に学び合うことのできる環境が必要です。
自由に対話が行えることで斬新な発想やアイデアが生み出され、市場や顧客のニーズを掘り起こすことのできる商品やサービスの開発につながっていきます。
全社員へ学習の場を提供する
ラーニング・オーガ二ゼーションは、全員が変化することによる組織としての変化(組織力の向上)を目指すことです。そのための学習の機会は、全ての社員に対して平等に提供する必要があります。
学習の機会とは、能力の幅を広げ、意識を変えていくための学びの場のことです。上司とのマンツーマンでの学習、社外の集合研修、オンライン研修など幅広い学びの場をすべての従業員に提供する必要があります。
今後の組織に必要なのは「管理による成長」ではなく「協働による成長」
世の中に、短期間で飛躍的な成長を遂げているベンチャーやIT関連などの企業があります。
それらの企業に共通するのは、「従業員が自発的に参画し、自律的に成長し、組織の中で協働している」ことです。自らが能力の幅を広げ、変化し、新しい知識や考え方を組織の中で共有し、協働することで、市場や顧客から受け入れられる価値が生まれます。
そして、この「協働による成長」を実現していくための組織としての在り方の概念がラーニング・オーガ二ゼーションだと言えるでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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