- 更新日 : 2024年8月30日
無料テンプレート付き – 勤務予定表とは?
勤務予定表とは、労働者の勤務予定やスケジュールを明示した帳票です。単に勤務表や、勤務スケジュール表、勤務日程表と呼ばれることもあります。労働日数や労働時間は法令によって厳密に定められているため、勤務表を作成し厳格に管理しなければなりません。この記事では、勤務表の概要と混同しがちな勤怠表やシフト表との違いを解説します。
勤務予定表とは?
勤務予定表とは、労働者の勤務予定やスケジュールを管理するために作成される帳票です。労働者の労働日数や労働時間は、労働基準法によって厳密に規定されています。
労働者に課すことができる労働時間は、1日8時間以内・週40時間以下です。これを「法定労働時間」といいます。使用者は法定労働時間内に限り、労働を課すことが可能です。一方、労使合意に基づき雇用契約書や就業規則等で定められた労働時間を「所定労働時間」といいます。もちろん、所定労働時間は法定労働時間内でなければなりません。
労働基準法
第四章 労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇
(労働時間)
第三十二条 使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
② 使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。
さらに、使用者は週に1日もしくは4週を通して4日以上の休日を与えなければなりません。法令で定められた休日を「法定休日」といいます。週休2日制などで法定休日以外の休日を付与することも可能です。労使合意に基づく法定休日以外の休日を「法定外休日」もしくは「所定休日」といいます。
労働基準法
第四章 労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇
(休日)
第三十五条 使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。
② 前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。
労働基準法第36条に基づく協定、いわゆる「36協定」を労使間で締結した場合は、上記規定を超過した労働を課すことも可能です。
労働基準法
第四章 労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇
(時間外及び休日の労働)
第三十六条 (略)書面による協定により、第三十二条から第三十二条の五まで若しくは第四十条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この条において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによって労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。
さらに、労働基準法第32条の2に基づく「変形労働時間制」を採用している場合は、上記の制限を受けない場合もあります。
労働基準法
第四章 労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇
(労働時間)
第三十二条の二 (略)書面による協定により、又は就業規則その他これに準ずるものにより、一箇月以内の一定の期間を平均し一週間当たりの労働時間が前条第一項の労働時間を超えない定めをしたときは、同条の規定にかかわらず、その定めにより、特定された週において同項の労働時間又は特定された日において同条第二項の労働時間を超えて、労働させることができる。
しかし、これらに該当する場合でも全く制限がなくなるわけではなく、労働基準法の範囲内で労働を課さなければなりません。使用者は勤務予定表を作成し、法令順守を徹底する必要があります。勤務予定表には法で定められたルール等はありませんが、勤務予定日・時間や休日予定などを記載するとよいでしょう。
一方、勤怠表は法律で作成・保管が義務付けられています。勤怠管理表とも呼ばれ、給与計算の元となるため、法令順守はもちろんのこと正確性も問われる重要な帳票です。勤怠表の記載事項には、出勤・退勤時間、労働時間、残業時間、休日労働時間、早退・遅刻・欠勤・有給取得の有無などが挙げられます。
労働基準法
第十二章 雑則
(賃金台帳)
第百八条 使用者は、各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならない。
勤務予定表は労働者の勤務予定やスケジュールを管理する帳票、勤怠管理表は労働者の勤務実績を管理する帳票です。混同されがちですが、これらは目的が明確に異なるため区別して考えましょう。
シフト表と違いはある?
会社によっては勤務予定表のことをシフト表と呼ぶこともありますが、厳密にはこれらは異なります。シフト表は、異なる時間帯に交代制で勤務させるいわゆる「シフト勤務制」を採用している場合に作成される帳票です。シフト勤務を実施するには、始業・終業時間や休日などの労働条件を明示し労働基準監督署へ届け出なければなりません。なお、法律上はシフト勤務制という労働形態は規定されておらず、変形労働時間制の一種として分類されています。しかし、変形労働時間制は法律で規定されており、週単位・月単位・年単位で労働時間を調整する労働形態なので、シフト勤務制と必ずしも一致するとは限りません。これらを混同しないように気を付けましょう。
一方、勤務予定表はシフト勤務制でない会社でも労働者のスケジュール等を管理するために作成されます。所定労働時間や法定休日・所定休日等が管理される帳票で、会社もしくは従業員ごとの営業カレンダーと捉えるとわかりやすいでしょう。シフト表とは異なるものなので注意が必要です。
勤務予定表の作成方法
勤務予定表は紙媒体やExcelなどで作成するのが一般的です。様式やフォーマット、記載事項等は定められていませんが、勤務日数・勤務時間数・超過勤務時間数などは記載した方がよいでしょう。シフト勤務制の場合は、勤務日、休日、始業・終業時間を必ず明確にしてください。休憩時間等も記載しておくと、より実用的です。勤務予定表の一般的な記載項目には、下記のものが挙げられます。
- 勤務日数
- 勤務時間数
- 超過勤務時間数
- 勤務日
- 休日
- 始業時間、終業時間
- 休憩時間
- 有休取得予定日
上記の項目以外にも、自社の業務形態に合わせた項目を追加し実用性の高い勤務予定表を作成しましょう。
勤務予定表のテンプレート – 無料でダウンロード
前章で紹介した通り、勤務予定表は勤務日・勤務時間・休日などを記載します。電子媒体で作成すればパソコンやスマートフォンなどがあればいつでもどこでも確認可能で、共有なども手軽に行うことができるため非常に効率的です。インターネットには様々な勤務予定表・勤怠管理表・シフト管理表のテンプレートが公開されています。マネーフォワードも勤務予定表のテンプレートを公開しており、無料でダウンロードならびに利用が可能です。勤務予定表のテンプレートは以下からダウンロードできます。このテンプレートを活用し、労働時間等を適切に管理してください。
▼ 勤怠予定表のテンプレートはこちらから無料でダウンロードできます
勤務予定表を作成し法令順守を徹底しよう
勤務予定表について解説しました。労働日数や労働時間は、労働基準法によって厳密に規定されています。使用者は、法令の定める範囲内で労働者に労働を課さなければなりません。法で定められた帳票ではありませんが、法令順守を徹底するためには勤務予定表を作成し労働時間等を管理するのが望ましいでしょう。一方、勤怠管理表は法令で作成・保管が義務付けられた、給与計算の元となる大切な帳票です。また、シフト表は、シフト勤務制を採用している会社が勤務時間等を管理するために作成します。勤務予定表・勤怠管理表・シフト表は混同されがちですが、目的が異なるため注意が必要です。当記事を参考に勤務予定表を作成し、法令遵守に努めましょう。
よくある質問
勤務予定表とはなんですか?
勤務予定表とは、労働者の勤務予定やスケジュールを管理するために作成される帳票です。労働時間や労働日数は法令で厳密に規定されているため、使用者は勤務予定表を作成し厳格に管理しなければなりません。詳しくはこちらをご覧ください。
勤務予定表とシフト表に違いはありますか?
シフト表は、いわゆるシフト勤務制を採用している会社が労働時間を管理するために作成する帳票です。勤務予定表はシフト勤務制でない会社でも作成されるもので、会社もしくは労働者の営業カレンダーに該当します。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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