• 作成日 : 2026年7月6日

給与の日割り計算とは?3つの方式や住宅手当の扱い・注意点などを解説

Point住宅手当は日割り計算する?

住宅手当の日割り計算は法律の定めがなく、企業が就業規則で自由に決められます。

  • 日割り方式は暦日数・所定労働日数・月平均の3種類
  • 計算方法は就業規則・賃金規程への明記が必須
  • 日割り後の金額が最低賃金を下回らないよう確認

Q. 住宅手当は月途中の入退社時に日割りになりますか?
A. 法律上の決まりはなく、日割りする企業・満額支給する企業どちらも存在します。就業規則への明記が必要です。

月途中の入退社・休職が発生した際の給与計算を担当する人事担当者から「住宅手当は日割り計算するのか」「どの方式で計算すればよいか」といった声はよく聞かれます。

給与の日割り計算の方式は法律で定められておらず、暦日数・所定労働日数・実労働日数の3つの方式から企業が自由に選択できます。

方式によって支給額が変わるため、就業規則に計算ルールを明記しておかないと担当者によって計算結果がぶれトラブルの原因になりやすい点に注意が必要です。

本記事では、給与の日割り計算の3つの方式と計算例・注意点を解説したうえで、住宅手当は日割り計算の対象になるかなど実務上の疑問をよくある質問形式でまとめて解説します。

給与の日割り計算とは?

給与の日割り計算とは、月途中の入社・退職・休職などによって1か月間勤務しなかった場合に、勤務日数に応じて給与を按分して支給する計算方法です。

ここでは、日割り計算の概要や目的、実際に利用される場面について解説します。

日割り計算の概要

給与の日割り計算とは「1か月分の給与÷基準となる日数×勤務した日数」という計算式で、月の途中で勤務日数が変わった場合に給与を適切な金額に調整する方法です。

月給制の場合は1か月分の給与が前提となっているため、フルで勤務しない月が発生した際に日割り計算で支給額を算出する必要があります。

また、日割り計算の基準となる日数は「暦日数」「所定労働日数」「月平均所定労働日数」の3つの方式があり、どの方式を採用するかは企業が就業規則で自由に定められます。

採用する方式によって支給額に差が生じるため、従業員とのトラブルを防ぐためにも就業規則に計算方法を明記しておきましょう。

住宅手当などの各種手当についても、日割り計算の対象とするかどうかを就業規則に明記しておくと、月途中の入退社時のトラブル防止につながります。

日割り計算の目的

日割り計算の目的は、勤務実態に応じた公平な給与支払いの実現です。

月の途中で入社・退職・休職が発生した場合でも、実際に勤務した日数に応じて給与を支給すると、企業・従業員双方の不公平を防げます。

また、計算ルールを就業規則に明記しておくと、担当者による判断の違いを防ぎやすくなり、給与計算業務の属人化防止にもつながります。

勤務していない期間まで満額支給すると企業側の負担が大きく、反対に十分な根拠なく減額すると従業員の不満やトラブルにつながる可能性があるため、公平な計算が重要です。

従業員にとっても給与の計算方法が明確になるため、給与明細への疑問や不信感が生じにくい点もメリットです。

日割り計算を用いる場面

日割り計算は、月途中の入社・退職・欠勤・休職などが発生した際に用いられます。

月途中で入社した場合は入社日から月末まで、退職した場合は月初から退職日までの日数をもとに給与を計算するのが一般的です。

初月や最終月の給与は満額より少なくなるため、事前に従業員へ説明しておくと不安や認識違いを防ぎやすくなります。

また、欠勤・遅刻・早退が発生した場合は、就業規則に基づいて該当日数や時間分を控除します。

産休・育休・休職などで一定期間勤務しない場合も、給与を支給しないのか、日割りで調整するのかを明記しておきましょう。

通勤手当や住宅手当などの定額手当も、日割り計算の対象とするか事前にルール化しておく意識が重要です。

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日割り計算の3つの方式

給与の日割り計算に法律上の決まりはなく、どの方式を採用するかは企業が就業規則で自由に定められます。

ここでは代表的な3つの方式の計算方法と特徴を解説します。

①暦日数方式

暦日数方式とは、その月のカレンダー上の日数を基準として給与を計算する方法です。

計算式は「月給÷暦日数×勤務日数」で、31日の月と30日の月では同じ勤務日数でも支給額が変わります。

たとえば、月給30万円の従業員が31日ある月に20日勤務した場合は、「30万円÷31日×20日=約19万3,500円」と計算できます。

計算方法がシンプルで従業員にも説明しやすい点がメリットである一方で、月によって支給額が変動しやすい点には注意が必要です。

住宅手当などの定額手当も同じ方法で日割り計算する企業が多いため、就業規則に基準日数を明記しておきましょう。

②所定労働日数方式

所定労働日数方式とは、企業が定めた1か月の出勤日数を基準に給与を計算する方法です。

土日祝日が休みの企業では、所定労働日数は20~22日程度になるケースが一般的で、計算式は「月給÷所定労働日数×勤務日数」です。

暦日数方式とは異なり、休日を分母から除いて計算するため、実際に働いた日数に応じて給与を支給しやすい点が特徴といえます。

たとえば、月給30万円、所定労働日数20日の月に15日勤務した場合、「30万円÷20日×15日=22万5,000円」と計算できます。

一方で、所定労働日数の多い月と少ない月があるため、同じ勤務日数でも支給額が変動する点には注意が必要です。

採用する場合は、所定労働日数の定義や計算方法を就業規則に明記し、担当者による計算のばらつきを防ぎましょう。

③月平均所定労働日数方式

月平均所定労働日数方式とは、年間の所定労働日数を12か月で割って算出した平均日数を基準として給与を計算する方法です。

月平均所定労働日数方式の計算式は、「基本給÷月平均所定労働日数×勤務日数」です。

たとえば年間所定労働日数が228日の場合、月平均所定労働日数は19日となり、月給28万5,000円で12日勤務した場合の支給額は18万円となります。

毎月同じ基準日数で計算できるため、月ごとの労働日数の増減に左右されにくく、給与計算を平準化しやすい点が特徴です。

一方で、実際の所定労働日数との差が生じる月もあるため、年間休日数や計算方法の考え方を就業規則で明確にしておきましょう。

給与を日割りする際の注意点

日割り計算は方式の選択・端数処理・手当の扱いなど細かい設計が必要で、曖昧なまま運用すると担当者によって計算結果がぶれ、トラブルの原因になる可能性が高まります。

ここでは実務担当者が特に注意すべき3つのポイントを解説します。

計算ルールは就業規則・賃金規程に定めておく

日割り計算の方法や端数処理のルールは、就業規則や賃金規程に明記しておきましょう。

暦日数方式や所定労働日数方式のほか、端数処理を切り上げ・切り捨て・四捨五入のどれでおこなうかも事前に定めておく必要があります。

また、住宅手当や通勤手当などの各種手当を日割り計算の対象とするかどうかも明記しておく姿勢が重要です。

ルールが明文化されていない場合、担当者によって計算方法が異なり、従業員とのトラブルにつながる可能性があります。

給与計算システムを利用している場合は、就業規則とシステム設定にズレがないか定期的に確認しましょう。

従業員に不利な計算方法になっていないか確認する

日割り計算の方式によっては、従業員の受け取る給与が想定より少なくなる場合があります。

特に31日ある月に暦日数方式を採用すると、月途中入社の従業員は支給額が少なくなりやすいため注意が必要です。

また、住宅手当など生活に関わる手当を日割り計算する場合は、初月の手取りが少なくなる可能性を入社前に説明しておくと、トラブル防止につながります。

従業員から問い合わせがあった際に説明できるよう、計算根拠を給与明細や資料で示せる体制を整えておきましょう。

計算方法を変更する場合は、十分な説明と合意形成も必要です。

日割り後の金額が最低賃金を下回らないようにする

日割り計算後の賃金が最低賃金を下回らないかどうかの確認は、企業の重要な義務です。

月途中の入社や欠勤が多い月は支給額が少なくなりやすいため、時給換算して最低賃金を満たしているかを確認する必要があります。

最低賃金は毎年改定されるため、改定時には自社の給与水準や日割り後の金額を見直しましょう。

特に月給制の従業員は確認が漏れやすいため注意が必要です。

最低賃金を下回る場合は差額の支払い義務が発生し、法令違反となる可能性もあるため、給与計算システムのチェック機能を活用すると確認漏れを防ぎやすくなります。

給与の日割りに関するよくある質問

ここでは給与の日割り計算に関して担当者が疑問に感じやすい4つの質問に答えます。

住宅手当は日割り計算しますか?

住宅手当を日割り計算するかどうかは法律で定められておらず、企業が就業規則で自由に決められるため、会社によって扱いが異なります。

一般的には月途中入社・退職の場合は日割り計算するケースが多い傾向である一方で、「月の途中でも満額支給する」というルールを設けている企業も存在します。

就業規則に住宅手当の日割り計算の有無を明記していない場合、担当者によって対応がぶれやすくなるため、必ず就業規則または賃金規程に明記しておきましょう。

また、住宅手当を日割り計算する場合は給与と同じ方式(暦日数・所定労働日数・実労働日数)を採用するのが一般的で、計算方法を統一すると処理間違い防止につながります。

休職・育休中の住宅手当の扱いについても就業規則に明記しておく必要があり、支給する・しない・日割りで支給するのいずれかを明確にしておき、トラブルを防ぎましょう。

手当ごとの日割りの扱いはどう違いますか?

手当には「日割り計算するのが一般的な手当」と「月途中でも満額支給するのが一般的な手当」の2種類があり、手当の性質によって扱いが異なります。

通勤手当・住宅手当・家族手当など毎月定額で支給する手当は、月途中の入退社時に日割り計算するケースが多い傾向です。

一方で、資格手当・役職手当など職務に紐づく手当は満額支給するケースも少なくありません。

皆勤手当・精勤手当はその月に全日出勤した場合に支給される場合が多いため、月途中入社の場合の扱いを就業規則に明記しておく必要があります。

どの手当を日割り計算の対象とするかは企業が自由に設定できるものの、手当ごとに扱いが異なる場合は就業規則に個別に記載しておくと、対応方法を統一できます。

手当の日割り計算ルールが不明確なまま運用すると、従業員からの問い合わせやトラブルが発生しやすくなるため、入社の際に手当ごとの扱いを説明しておきましょう。

日割り計算に法的なルールはありますか?

給与の日割り計算の方式(暦日数・所定労働日数・実労働日数)については法律で定められたルールはなく、企業が就業規則で自由に定められます。

ただし労働基準法により、「賃金は毎月1回以上・一定の期日に支払う」「賃金は通貨で全額支払う」などの原則は守る必要があります。

また、日割り計算の結果が最低賃金を下回らないようにする点も法律上の義務です。

就業規則に計算方法を定めていない場合でも、従業員に不利な計算方法を一方的に適用する運用は認められないため、事前にルールを明文化して従業員に周知しておきましょう。

計算方法を変更する場合は就業規則の変更手続きが必要で、従業員に不利益な変更となる場合は労働者代表の意見聴取や合理的な理由の説明が求められます。

さらに、日割り計算のルールに関するトラブルは給与計算に関する労使紛争に発展するケースもあるため、就業規則の整備と従業員への丁寧な説明を日頃から心がけましょう。

日割り計算の負担を減らすには?

日割り計算の処理負担を減らしたい場合は、勤怠管理システムと給与計算システムを連携させる取り組みが有効です。

システム化により入退社日・出勤日数・休職期間などのデータを自動で取り込み日割り計算を自動化できるため、手計算によるミスを防げるようになります。

さらに、担当者が変わっても一貫したルールで計算でき、従業員からの問い合わせ対応にかかる工数の削減にもつながります。

また、給与計算をアウトソーシングする取り組みも有効な選択肢のひとつです。

日割り計算の複雑な処理を外部の専門家に委託すると、担当者の負担を軽減できるだけでなく、法改正への対応漏れや計算ミスのリスクも抑えやすくなります。

システムや外部サービスを活用し、担当者に依存しない運用体制を整える取り組みが重要です。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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