- 更新日 : 2026年1月14日
コーゼーションとは?意味・エフェクチュエーションとの違い・実践プロセス
コーゼーションとは、あらかじめ目標を定め、達成に向けて計画的に行動する意思決定の考え方です。ビジネスでは、売上や利益などのゴールを起点に、戦略や施策を組み立てる場面で多く用いられています。
コーゼーションとよく比較されるエフェクチュエーションは、手元にある資源を活用し、そこから行動を開始することによって、新たなビジネスチャンスや可能性を広げていくアプローチです。本記事では、コーゼーションの基本的な意味やメリット・デメリット、エフェクチュエーションとの違いを解説します。
目次
コーゼーションとは?
コーゼーションとは、目標を起点に行動を組み立てる意思決定の手法です。「Causation」は、直訳すると「原因」「因果関係」を意味します。
ビジネスの場面では、最終的な成果から逆算して計画を立てる考え方として用いられます。売上目標やKPIを先に定め、達成に向けて狙う市場や注力すべき施策を整理していくのが特徴です。
整理した方針をもとに、広告施策や営業活動、業務改善といった具体的な行動へ落とし込んでいきます。
思考はトップダウン型で進み、計画性と再現性が重視されます。既存事業や市場環境が比較的安定している場合に、とくに効果を発揮しやすい戦略です。
ゴールが明確なため、組織内で共通認識をもちやすく、計画に沿った行動を取りやすい点が魅力です。
コーゼーションのメリット
コーゼーションの強みは、目標を起点に計画的な意思決定ができる点にあります。目標を明確に設定することで、組織全体で判断基準を共有しやすくなり、行動のブレを抑えられます。
具体的なメリットは、下記のとおりです。
- 目標が明確で、組織全体の方向性をそろえやすい
- 計画にもとづいて進められ、容易に進捗を管理・予測できる
- 必要なリソースを事前に把握でき、効率よく配分できる
- 成果の再現性が高く、既存事業の改善・拡大に向いている
このように、安定した成長を目指すフェーズでは有効な意思決定の軸となります。
コーゼーションのデメリット
コーゼーションは計画を前提とするため、環境変化への対応には注意が必要です。想定どおりに進まない状況では、判断や行動が遅れる可能性もあります。
具体的なデメリットは、下記のとおりです。
- 想定外の変化に対して、柔軟に対応しにくい
- 計画に縛られ、新しい発想や方向転換が生まれにくい
- 情報不足の環境では、予測や過去データの精度が下がる
- 事前投資が大きくなり、状況によってはリスクが増える
不確実性が高い場面では、他の思考法と使い分けながら判断することが重要です。
コーゼーションの実践プロセス
コーゼーションは、目標を起点に計画と行動を積み重ねていく意思決定プロセスです。重要なのは、場当たり的に進めるのではなく、一定の手順に沿って判断することです。
ここでは、コーゼーションを実務で活かすための基本的な4つのステップを解説します。
1. 最終目標の明確化と成功条件を設定する
コーゼーションの出発点は、最終目標を明確に定めることです。売上や利益、KPIなど、最終的に到達したい成果を先に設定します。「どの状態になれば成功と言えるのか」を具体的な数値や条件で定義しましょう。
目標が曖昧なままでは、後続の計画や判断がブレやすくなるため、注意が必要です。明確なゴールを定めることで、組織全体が共通の基準にもとづいて意思決定できるようになります。
ここで設定した目標が、以降のすべての行動の起点となります。以下の記事では、目標設定の方法や具体例を詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
2. 必要なリソースの特定と調達を行う
目標を定めた後は、達成に必要なリソースを整理します。下記のように、成果に直結する資源を整理することがポイントです。
- 人材
- 資金
- 情報
- 技術
次に、現状で不足している要素を把握し、どのように確保するかを検討します。この工程では、実現可能性を冷静に見極めることが求められます。
必要な土台を整えることで、計画倒れを防げるでしょう。
3. 行動計画を立案する
リソースが整理できたら、具体的な行動計画を設計します。目標から逆算し、達成までの道筋をタスク単位に分解していきましょう。
まずは全体の方向性を整理し、その後に戦術として具体的な施策へ落とし込みます。さらに、期間や担当者、数値指標を設定することで、実行段階で迷いが生じにくくなります。
行動計画は「実行できるかどうか」を基準に設計することがポイントです。
4. 計画にもとづく実行・進捗管理・改善を行う
最後のステップは、計画に沿った実行と進捗管理です。決めた施策を着実に実行し、定期的に進捗を確認します。目標と現状の差を把握し、必要に応じて計画を修正しましょう。
修正は失敗ではなく、達成確率を高めるための調整と捉えることがポイントです。このサイクルを回すことで、再現性と一貫性のある成果を生み出しやすくなります。
エフェクチュエーションとは?
コーゼーションとよく比較される考え方に「エフェクチュエーション」があります。
エフェクチュエーションとは、成功した起業家の意思決定や行動パターンをもとに体系化された思考法です。提唱したのは経営学者のサラス・サラスバシー教授で、多数の起業家研究を通じて導き出されました。
最大の特徴は、最初に明確な目標を設定しない点にあります。
あらかじめゴールを決めるのではなく、手元にある資源を起点に「今できること」を積み重ねるのがポイントです。その過程で生まれる結果や偶然を活かしながら、可能性を広げていきます。
将来の見通しが立ちにくい新規事業や新しい市場に挑戦する場面では、入念な計画よりも柔軟な行動が求められます。エフェクチュエーションは、こうした不確実性の高い環境で強みを発揮する思考法です。
5つの原則
エフェクチュエーションは、次の5つの原則で構成されています。
| 原則 | 概要 |
|---|---|
| 手中の鳥の原則 | 今あるスキル・知識・人脈などの資源から行動を始める |
| 許容可能損失の原則 | 得られる利益ではなく、許容できる損失を基準に判断する |
| クレイジーキルトの原則 | 顧客や協力者と連携し、共創によって価値を生み出す |
| レモネードの原則 | 想定外の出来事や失敗を新たな機会として活かす |
| パイロットの原則 | 未来を予測せず、行動を通じて状況をつくり出す |
それぞれの考え方を理解することで、コーゼーションとの違いがより明確になります。
コーゼーションとエフェクチュエーションの違い
コーゼーションとエフェクチュエーションは、どちらも意思決定の考え方ですが、出発点や判断の進め方が大きく異なります。ここでは、3つの視点から違いを解説します。
アプローチの違い
両者の大きな違いは、思考の出発点にあります。
コーゼーションは、最初に目標を定め、そこから達成手段を逆算して考えます。一方、エフェクチュエーションは、あらかじめゴールを固定せず、手元にある資源を起点に行動を広げていく考え方です。
それぞれのアプローチの違いは、下記のとおりです。
| 考え方 | アプローチの特徴 |
|---|---|
| コーゼーション | 目標を先に決め、達成手段を逆算する |
| エフェクチュエーション | 手元の資源を起点に、実行しながら可能性を広げる |
この違いは、計画の立て方だけでなく、その後の行動スピードや柔軟性にも影響します。
意思決定の違い
意思決定の基準にも、明確な違いがあります。コーゼーションは計画と予測を重視するのに対し、エフェクチュエーションは行動と学習を重ねながら判断を更新していきます。
両者の意思決定の考え方は、下記のように整理可能です。
| 考え方 | 意思決定の特徴 |
|---|---|
| コーゼーション | 予測・計画を重視し、最適解を選ぶ |
| エフェクチュエーション | 小さく試し、状況に応じて柔軟に方向転換する |
エフェクチュエーションでは、最初から正解を求めません。行動しながら学び、結果に応じて判断を更新していく点が特徴です。
活用シーンの違い
どの場面で使うべきかも、両者で異なります。それぞれが向いている活用シーンは、下記のとおりです。
| 観点 | コーゼーション | エフェクチュエーション |
|---|---|---|
| 環境の安定性 | 比較的安定している | 変化が激しく先が読みにくい |
| 情報量・予測性 | 過去データや実績が十分にある | 情報が少ない |
| 事業の性質 | 既存事業の改善・拡大 | 新規事業の立ち上げ |
| 求められる対応 | 計画にもとづいて進める | 試しながら進める |
| 想定される場面 | 目標達成・業務効率化 | 新サービス・実験的施策 |
このように、「計画どおりに進めたいか」「試しながら形を探したいか」で考えると、どちらを選ぶべきか判断しやすくなります。
コーゼーションとエフェクチュエーションを使い分ける方法
コーゼーションとエフェクチュエーションは、事業環境と目的に応じて使い分けることが重要です。どちらが優れているかではなく、「どちらが今の状況に合っているか」で判断します。
使い分けの軸となるのは、下記の点です。
- 将来をどの程度予測できるか
- 取り組みが既存領域か新規領域か
- どれほどのスピードや柔軟性が求められるか
使える人材・資金・情報などのリソースの状態や、目指す成果の性質も判断材料になります。
予測が立ち、計画どおりに進めやすい状況ではコーゼーションが有効です。一方、情報が少なく変化が激しい状況では、行動しながら学ぶエフェクチュエーションが力を発揮します。
状況に応じて思考プロセスを切り替えることで、安定した成長や新たな価値創出につながります。
コーゼーションが向いているケース
目標が明確で、将来をある程度見通せる場面では、コーゼーションが適しています。過去データや実績が蓄積されており、成果を予測しやすい領域では、計画にもとづく意思決定が効果を発揮するでしょう。
とくに、組織全体で同じゴールを共有し、計画どおりに施策を進める必要がある場合には、コーゼーションの考え方が有効です。具体的には、次のようなケースが挙げられます。
- 過去データや実績が豊富で、成果を予測しやすい領域
- 売上目標やKPIなど、達成基準が明確に設定されているプロジェクト
- 組織の合意形成が重要で、計画どおりの遂行が求められる場面
- 成熟した市場で、既存事業を効率化・拡大したい場合
これらのケースでは、計画性と再現性を重視するコーゼーションによって、安定した成果を出しやすくなります。
エフェクチュエーションが向いているケース
不確実性が高く、正解が見えない場面では、エフェクチュエーションが力を発揮します。情報が少なく将来の見通しが立ちにくい状況では、最初から詳細な計画を立てるよりも、行動を通じて学びながら方向性を定めていくほうが現実的です。
とくに、新規事業や新しい市場への挑戦では、柔軟に試行錯誤できる思考プロセスが求められます。具体的には、下記のようなケースでエフェクチュエーションが適しています。
- 情報が少なく、将来の見通しが立ちにくい新規事業領域
- 手元の資源を活かしながら、小さく試して方向性を探りたい場面
- 市場変化が激しく、柔軟な対応が求められる状況
- 既存の枠にとらわれず、新しい価値や市場を創造したい場合
こうした場面では、計画・目標を固定せずに進めるエフェクチュエーションのほうが、次の一手を見つけやすくなります。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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