- 更新日 : 2024年12月18日
 
200連勤は違法である理由|労働基準法に基づき分かりやすく解説!
200連勤は非常に異常な労働条件であり、このような長期間の連続労働は、身体的および精神的健康に甚大なリスクをもたらします。
本記事では 「200連勤は違法なのか?」 という疑問を労働基準法に基づいて分かりやすく解説します。法令遵守はもちろん、従業員の健康や働きやすさを守るためのポイントも合わせてお伝えしますので、労務管理の改善にお役立てください。
目次
200連勤は違法?
200連勤は明らかに法定休日を確保できていない状態と考えられます。
1.週1日の休日を確保している場合
 週1日休日制の場合、理論上は最大で12日間連続勤務が限度とされています。200連勤は12日を大幅に超え、法定休日がまったく確保されていないことになります。そのため、違法です。
2.4週間(28日間)で4日以上の休日を確保している場合
 4週間で4日以上の休日を確保する制度では、理論上48連勤までが限度と考えられています。200連勤は48日をはるかに超えており、やはり法定休日を確保できていません。この場合も違法です。
※36協定が締結されている場合には、極論連続勤務自体には上限はないものの、労働時間の限度時間があります。(もっとも、長期間の連勤は好ましくありません)
※労働基準法第41条では、管理監督者(監督・管理の立場にある者や機密業務を扱う者)には労働時間や休憩、休日に関する規定が適用されません。ただし、健康管理の観点から、一般の従業員と同じような配慮が求められます。
そもそも労働基準法での休日のルールについて
労働基準法第35条では、会社(使用者)が労働者に対して必ず与えるべき「法定休日」について定められています。会社は以下のいずれかの方法で休日を設定しなければなりません。
- 週に1日
 - 4週間を通じて4日
 
この法定休日に対して、会社が独自に設定する休日は「法定外休日」と呼ばれ、労働基準法ではなく、労働契約や就業規則に基づいて付与されるものです。
たとえば、週2日休みがある会社の場合、そのうち1日が法定休日、残りの1日は法定外休日に該当します。
12連勤が可能な場合について
労働基準法第35条では、使用者(会社)は労働者に対して 「毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない」 と定めています。このルールに従えば、厳密には 12連勤が認められるケース があります。
12連勤が発生する仕組み
例えば、1週間の区切りを「日曜から土曜」とした場合の例を見てみましょう。
- 1週目:日曜日が休日、月曜日から土曜日まで6日間働く
 - 2週目:日曜日から金曜日まで6日間働き、土曜日が休日
 
この場合、1週目の月曜日から2週目の金曜日まで 連続12日間 の勤務が発生しますが、法定休日は週に1回確保されているため、労働基準法には違反しないことになります。
48連勤が可能な場合について
労働基準法第35条では、会社(使用者)は労働者に対して 「毎週少なくとも1回の休日」 または 「4週間を通じて4日以上の休日」 を与えることが義務付けられています。この「4週間で4日」のルールを活用すると、 最大48連勤(1カ月あたり24日間)が理論上は認められるケースがあります。
48連勤が発生する仕組み
4週間単位で休日を設定する「変形休日制」を採用している場合、連続勤務が理論上可能になります。具体的な例を見てみましょう。
- 1週目:日曜から水曜まで休み、木曜から土曜まで勤務
 - 2週目~7週目:毎日勤務(42日間連続勤務)
 - 8週目:日曜から火曜まで勤務、水曜から土曜まで休み
 
この場合、 1週目の木曜日から8週目の火曜日まで 連続 48日間 の勤務が発生しますが、 4週間ごとに4日間の休日が確保されているため違法ではありません。
違法な連勤が引き起こすリスク
違法な連勤を避けるためには、 法定休日の確保 と 労働者の健康配慮 が重要です。36協定を遵守し、過度な連勤が発生しないよう適切な労務管理を行うことで、従業員の健康と企業の信頼を守りましょう。
安全配慮義務について
労働契約法第5条では、使用者に 「安全配慮義務」 が課されています。これは労働者の健康や安全を守るための配慮義務です。
- 健康を害するほどの連勤:
過度な連勤が続くことで、労働者が心身に不調をきたした場合、安全配慮義務違反に該当します。 
違反した場合のリスクとして、使用者には 損害賠償責任 が発生する可能性があり、企業の信頼を大きく損なうことになります。
労働安全衛生法違反となるケースも
労働安全衛生法では、使用者は職場環境を整え、労働者の健康や安全を確保することが義務付けられています。
- 過度な連勤で健康被害が発生:
長時間の連勤が原因で労働者が過労死やメンタルヘルスの不調に陥った場合、違反と判断される可能性があります。 
違反した場合のリスクとして、労働基準監督署からの指導が入り、労働環境の改善を求められることになります。
従業員の健康被害・チベーション低下を引き起こす
過度な連勤は、うつ病や過労死など深刻な健康被害を引き起こす恐れがあります。労災認定されれば、企業は慰謝料や損害賠償責任を負う可能性もあります。
連勤が続けば、労働者の業務意欲は低下し、生産性にも悪影響が出ます。労働環境への不満が高まれば、離職者の増加や定着率の低下にもつながります。
企業の信頼失墜にもつながる
労働基準法違反が発覚すれば、罰金や懲役といった刑罰だけでなく、企業名が公表される可能性もあります。社会的信用の失墜は大きなダメージとなるでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
シフト管理表とは?作成は義務?種類をもとに解説!
シフト管理表は、従業員の勤務ローテーションをまとめた書類で、正確で誰からも見やすいことが求められます。インターネット上ではエクセルで作成した無料テンプレートが公開されています。一方で市販品の専用ソフトもあります。本記事では、それぞれのメリッ…
詳しくみる有給休暇の取得理由は私用でいい?よくある取得理由も紹介!
体調不良や通院、家族の送迎や冠婚葬祭などの際、会社に有給休暇を申請します。通常は取得することができますが、なかには、有給休暇を申し出たのに取得できなかった人もいるでしょう。 この記事では、有給休暇は私用でも取得可能なのか、よくある取得理由、…
詳しくみる労働時間を勝手に短くされた!シフト変更や賃金カットの違法リスクと注意点
労働者に予告もなく労働時間を勝手に短くする行為は、労働契約違反となる可能性があります。また、シフトの削減や賃金カットを一方的に行った場合、契約上の問題が発生するおそれがあり、事業主にもリスクが伴います。 本記事では、「労働時間を減らされたが…
詳しくみる【チェックリスト付】入社書類の一覧|送付方法や添え状の書き方、注意点を紹介
入社の際はさまざまな書類の提出が求められます。その際、書類への押印はどのハンコを押すのか、郵送の場合は添え状がいるのかなどと悩んでしまうこともあるでしょう。中途入社であれば、前職退職時に受け取った書類を忘れずに用意することも重要です。今回は…
詳しくみる労務のペーパレス化は「今年の年末調整から」がおすすめな理由
テレワーク対応や業務効率化の観点で「近いうちに労務のペーパレス化を行いたい」と考えている担当者、責任者の方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。電子申請ができる手続きは今後拡大傾向であり、ペーパレス化の手段も数多く存在しています。その中で…
詳しくみる9時間勤務の休憩は1時間でいい?労働基準法のルールや休憩が取れなかった場合の対処法を解説
「1日の勤務時間が9時間なのに、休憩は1時間しか取れない」「これって法律的に問題ないの?」といった疑問や不満を抱えていませんか。労働時間と休憩時間は、働く人の健康と生産性を維持するために非常に重要です。 この記事では、労働基準法に定められた…
詳しくみる