- 更新日 : 2024年12月18日
40連勤は違法?労働基準法に基づき分かりやすく解説!
40連勤のような状況では、疲労やストレスの蓄積が身体と心の健康を蝕み、うつ症状や燃え尽き症候群のリスクも高まります。
本記事では 「40連勤は違法なのか?」 という疑問を労働基準法に基づいて分かりやすく解説します。法令遵守はもちろん、従業員の健康や働きやすさを守るためのポイントも合わせてお伝えしますので、労務管理の改善にお役立てください。
目次
40連勤は違法?
40連勤が違法となるかどうかは、企業が「週1日」の休日確保か「4週間で4日」の休日確保かによります。
1.週1日の休日を確保する場合
週1日の休日を確実に与える企業形態では、最大で12連勤が上限となります。そのため、40連勤は明らかに12日を超えており、法定休日が適切に確保されていないと考えられるため、違法です。
2.4週間(28日間)で4日以上の休日を確保する場合
この制度を採用している場合は、理論上48連勤まで可能とされています。40連勤は48日以内に収まっているため、この制度であれば違法と断定はできません。
ただし、いずれの場合も健康管理や労働者保護の観点から、長期的な連勤は望ましくないといえます。
※36協定が締結されている場合には、極論連続勤務自体には上限はないものの、労働時間の限度時間があります。(もっとも、長期間の連勤は好ましくありません)
※労働基準法第41条では、管理監督者(監督・管理の立場にある者や機密業務を扱う者)には労働時間や休憩、休日に関する規定が適用されません。ただし、健康管理の観点から、一般の従業員と同じような配慮が求められます。
そもそも労働基準法での休日のルールについて
労働基準法第35条では、会社(使用者)が労働者に対して必ず与えるべき「法定休日」について定められています。会社は以下のいずれかの方法で休日を設定しなければなりません。
- 週に1日
- 4週間を通じて4日
この法定休日に対して、会社が独自に設定する休日は「法定外休日」と呼ばれ、労働基準法ではなく、労働契約や就業規則に基づいて付与されるものです。
たとえば、週2日休みがある会社の場合、そのうち1日が法定休日、残りの1日は法定外休日に該当します。
12連勤が可能な場合について
労働基準法第35条では、使用者(会社)は労働者に対して 「毎週少なくとも1回の休日を与えなければならない」 と定めています。このルールに従えば、厳密には 12連勤が認められるケース があります。
12連勤が発生する仕組み
例えば、1週間の区切りを「日曜から土曜」とした場合の例を見てみましょう。
- 1週目:日曜日が休日、月曜日から土曜日まで6日間働く
- 2週目:日曜日から金曜日まで6日間働き、土曜日が休日
この場合、1週目の月曜日から2週目の金曜日まで 連続12日間 の勤務が発生しますが、法定休日は週に1回確保されているため、労働基準法には違反しないことになります。
48連勤が可能な場合について
労働基準法第35条では、会社(使用者)は労働者に対して 「毎週少なくとも1回の休日」 または 「4週間を通じて4日以上の休日」 を与えることが義務付けられています。この「4週間で4日」のルールを活用すると、 最大48連勤(1カ月あたり24日間)が理論上は認められるケースがあります。
48連勤が発生する仕組み
4週間単位で休日を設定する「変形休日制」を採用している場合、連続勤務が理論上可能になります。具体的な例を見てみましょう。
- 1週目:日曜から水曜まで休み、木曜から土曜まで勤務
- 2週目~7週目:毎日勤務(42日間連続勤務)
- 8週目:日曜から火曜まで勤務、水曜から土曜まで休み
この場合、 1週目の木曜日から8週目の火曜日まで 連続 48日間 の勤務が発生しますが、 4週間ごとに4日間の休日が確保されているため違法ではありません。
40連勤はきつい?その理由とは
40連勤ともなると、身体的な疲労と精神的な負担が積み重なり、深刻な影響を与えます。
連日働き続けることで、まず体が悲鳴を上げます。休む間もなく働くことで、筋肉の疲れや関節の痛みが慢性化し、睡眠をとっても疲れが取れない状態が続きます。朝起きた瞬間から体が重く、日々の仕事をこなすだけで精一杯の状況に追い込まれることも珍しくありません。
精神的には、休息やリフレッシュの時間が持てないことで、気分が沈みやすくなります。40日間もの連続勤務では、「また同じことを繰り返すだけ」という閉塞感が生まれ、自分の時間や生活そのものが仕事に支配されていると感じやすくなります。こ
のような状況では、仕事へのモチベーションが低下し、達成感や満足感を感じられなくなることがあります。
違法な連勤が引き起こすリスク
違法な連勤を避けるためには、 法定休日の確保 と 労働者の健康配慮 が重要です。36協定を遵守し、過度な連勤が発生しないよう適切な労務管理を行うことで、従業員の健康と企業の信頼を守りましょう。
安全配慮義務について
労働契約法第5条では、使用者に 「安全配慮義務」 が課されています。これは労働者の健康や安全を守るための配慮義務です。
- 健康を害するほどの連勤:
過度な連勤が続くことで、労働者が心身に不調をきたした場合、安全配慮義務違反に該当します。
違反した場合のリスクとして、使用者には 損害賠償責任 が発生する可能性があり、企業の信頼を大きく損なうことになります。
労働安全衛生法違反となるケースも
労働安全衛生法では、使用者は職場環境を整え、労働者の健康や安全を確保することが義務付けられています。
- 過度な連勤で健康被害が発生:
長時間の連勤が原因で労働者が過労死やメンタルヘルスの不調に陥った場合、違反と判断される可能性があります。
違反した場合のリスクとして、労働基準監督署からの指導が入り、労働環境の改善を求められることになります。
従業員の健康被害・チベーション低下を引き起こす
過度な連勤は、うつ病や過労死など深刻な健康被害を引き起こす恐れがあります。労災認定されれば、企業は慰謝料や損害賠償責任を負う可能性もあります。
連勤が続けば、労働者の業務意欲は低下し、生産性にも悪影響が出ます。労働環境への不満が高まれば、離職者の増加や定着率の低下にもつながります。
企業の信頼失墜にもつながる
労働基準法違反が発覚すれば、罰金や懲役といった刑罰だけでなく、企業名が公表される可能性もあります。社会的信用の失墜は大きなダメージとなるでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
人事労務の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
タイムカード・給与計算を15分単位で管理すると違法?丸め処理や遅刻・早退の計算方法も解説
勤怠管理においては、タイムカード等を集計し、労働時間を把握しなければなりません。正確な労働時間を把握しなければ、正確な賃金支払いも不可能です。 当記事では、丸め処理の可否や、不正確な勤怠管理のリスク、正確にタイムカードの計算を行うための施策…
詳しくみるシフト管理表とは?作成は義務?種類をもとに解説!
シフト管理表は、従業員の勤務ローテーションをまとめた書類で、正確で誰からも見やすいことが求められます。インターネット上ではエクセルで作成した無料テンプレートが公開されています。一方で市販品の専用ソフトもあります。本記事では、それぞれのメリッ…
詳しくみる36協定の対象者は?管理職・パート・派遣社員の取り扱いや適用除外についても解説
従業員に残業を命じるためには、36協定の締結が必要不可欠ですが、「どの従業員が36協定の対象者になるのか」を正確に答えられるでしょうか。 管理職の扱いはどうなるのか、パートやアルバイトも対象なのか、派遣社員はどう考えればよいのかなど、対象者…
詳しくみる女性が使える「生理休暇」とは?休暇中は無給?取得のための手続きも解説!
働く女性にとって、生理による体調不良で生理休暇を取得することはプライベートでデリケートな問題であり、躊躇することが多いといわれています。 独身男性が上司の場合は結局言い出せず、有給休暇として処理することもあるようです。 今回は生理休暇につい…
詳しくみる勤怠管理システムのメリット・デメリットを徹底解説!選び方のポイントも紹介
勤怠管理システムの導入を検討していませんか?勤怠管理システムは、業務効率化やコスト削減はもちろん、コンプライアンス強化にもつながる多くのメリットがあります。しかし、知っておくべきデメリットも存在します。 この記事では、勤怠管理システムのメリ…
詳しくみる試用期間中に解雇はできる?不当解雇になるのかを解説
社員としての適性を判断するため、新規採用者に対して試用期間を設けることは一般的に認められています。試用期間中は通常よりも広い範囲での解雇が認められているものの、理由によっては不当解雇と判断されます。また入社後14日を過ぎてから解雇する場合は…
詳しくみる