• 更新日 : 2026年1月20日

扶養は12月に働いた分も含む?1月支給の給与の場合を解説

扶養控除の判定基準となる年収は、原則として「その年の1月1日から12月31日までに支払われた給与の総額」で決まります。そのため、12月に働いても給与が翌年1月支給なら、それは新しい年の年収扱いとなり、今年の税金上の扶養の判断には影響しません。

一方で、社会保険の扶養は「将来の収入見込み」で判断されるため、12月の働き方により扶養に影響する場合があります。

本記事では、2026年1月時点での最新制度をふまえ、給与の支払日による税金と社会保険の扱いの違いを解説します。

扶養は12月に働いた分も含む?税と社会保険の違い

税金計算は実際の給与の支給を基準とするため、1月支給分は翌年の年収になります。一方、社会保険は今後の見込み年収で判断するため、12月の働き方次第では扶養の判断に影響が出る可能性があります。

税金は受取日が基準となるため翌年の年収になる

所得税や住民税の計算における収入の計上時期は、実際の給与の支給日となります。そのため、12月にどれだけ多く働いたとしても、その給与の支給日が翌年1月であれば、前年(今年)の年収には含まれず、翌年の年収としてカウントされます。

例えば、給与が末締め・翌月15日払いの企業の場合、2025年12月の勤務分は2026年1月15日に支払われます。この金額は2026年分の年収として計算がスタートします。従業員が今年123万円を超えそうだから休むと申し出ても、支給日が来年ならその調整は今年の税額には影響しません。

参照:No.2509 給与所得の収入金額の収入すべき時期|国税庁

以下の表で一般的なパターンを確認しましょう。

締め日・支払日12月に働いた分の扱い扶養判定(年収)
月末締め・翌月10日払い翌年1月10日に支給翌年の年収に含まれる
20日締め・当月末払い12月20日分まで12月末に支給今年の年収に含まれる
15日締め・当月25日払い12月15日分まで12月25日支給今年の年収に含まれる

社会保険は見込み年収で判定するため12月の働き方が影響する

健康保険や厚生年金などの社会保険は、過去の給与の累計ではなく今後1年間の収入見込みで扶養認定を行います。支給日に関わらず、12月の働き方によって月額収入が高い状態が続くと判断されれば、その時点から扶養を外れる可能性があります。

もし12月に繁忙期でシフトが急増し、それが一時的な変動ではなく恒常的な収入増とみなされた場合、社会保険の年収の壁(106万円や130万円)を超えると判定され、社会保険への加入義務が生じることがあります。なお、税制上の扶養の判断とは異なり、被扶養者の収入には、雇用保険の基本手当(失業保険)や年金収入、健康保険の傷病手当金や出産手当金なども含まれるため注意が必要です。

なお、一時的に残業が増加した場合には、事業主が証明することにより、引き続き扶養に入れ続けることができる対応をしています。また、令和7年10月以降から、被保険者の配偶者は対象外となりますが、扶養認定を受ける人が19歳以上23歳未満(扶養認定日が属する年の12月31日時点の年齢)の場合は、年間収入が130万円未満から150万円未満に変更されています。

参照:従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き|日本年金機構
19歳以上23歳未満の方の被扶養者認定における年間収入要件が変わります|日本年金機構

広告

この記事をお読みの方におすすめのガイド4選

続いてこちらのセクションでは、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを簡単に紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。

※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。

年末調整で従業員がやりがちな8つの間違い

年末調整で従業員がやりがちな8つの間違い

年末調整で従業員の方々がやりがちな8つのミスをとりあげ、正しい対応方法についてまとめました。

年末調整業務をスムーズに完了させるための、従業員向けの配布資料としてもご活用いただけます。

無料ダウンロードはこちら

扶養控除等申告書 取り扱いガイド

扶養控除等申告書 取り扱いガイド

扶養控除等申告書は、毎月の源泉徴収事務や年末調整の計算をするうえで必要不可欠な書類です。

扶養控除等申告書の基礎知識や具体的な記入方法、よくあるトラブルと対処方法などをわかりやすくまとめたおすすめのガイドです。

無料ダウンロードはこちら

年末調整業務を効率化するための5つのポイント

年末調整業務を効率化するための5つのポイント

「毎年年末調整のシーズンは残業が多くなりがち…」、そんな人事労務担当者の方に向けて年末調整業務をスムーズに行うためのポイントをまとめました。

スケジュールや従業員向け資料を作成する際の参考にしてください。

無料ダウンロードはこちら

年末調整のWeb化、業務効率化だけじゃない3つのメリット

年末調整のWeb化、業務効率化だけじゃない3つのメリット

年末調整のWeb化=業務効率化のイメージが強いかもしれませんが、実際には労務担当者にしかわからない「もやもや」を解消できるメリットがあります。

この資料ではWeb化により業務がどう変わり、何がラクになるのかを解説します。

無料ダウンロードはこちら

1月支給の給与が関わる最新の年収の壁とは?

1月に受け取る給与は、税制上は新しい年の年収の一部となりますが、社会保険上は加入要件の判定材料となります。2025年以降の制度変更により、従来の103万円ではなく「123万円の壁」などが新たな基準となっていることにも注意しましょう。

収入が給与所得しかない人の最新の年収の壁と、それぞれの判定基準となる給与の考え方は以下のとおりです。

【2025年以降の年収の壁と税・社会保険の判定】

年収の目安税金・控除への影響社会保険への影響
106万円影響なし

住民税・所得税:かからない

配偶者控除:対象

条件により加入(以下をすべて満たす)

  • 所定労働時間が週20時間以上
  • 月額賃金が8.8万円以上
  • 2ヶ月を超える雇用見込みがある
  • 学生ではない
  • 従業員(厚生年金保険の被保険者)51人以上の企業

※月収に残業代や交通費は含まない

110万円住民税がかかる

所得税:かからない

配偶者控除:対象

123万円所得税:かからない

配偶者控除:対象外

配偶者特別控除へ切替

130万円住民税:かかる

所得税:かからない

配偶者特別控除:対象

扶養を外れる(配偶者以外の19歳以上23歳未満の人の場合は150万円未満の例外あり)

従業員(厚生年金保険の被保険者)50人以下も対象

160万円配偶者特別控除:減額開始

※201万円を超えると消失

※合計所得金額が132万円以下の場合は基礎控除95万円が適用されるため給与収入のみの人は160万円まで所得税がかからない

加入中

税制上の壁(110万・123万・150万)は1月から12月の支給額で決まる

税金の壁は、1月1日から12月31日までに支払われた給与の合計で判定します。1月支給分はここに含まれます。

  • 110万円の壁(住民税)
    年収が110万円を超えると、住民税がかかり始めます。従来の100万円等の基準から引き上げられていますが、所得税より先に発生する点に注意が必要です。
  • 123万円の壁(所得税・扶養控除)
    かつての103万円の壁に代わる基準です。ただし、合計所得金額が132万円以下の場合は、基礎控除95万円が適用されるため、給与収入のみの人は160万円まで所得税がかかりません。同時に、親や親族の扶養控除の対象外となり、配偶者の場合は「配偶者控除」から「配偶者特別控除」へ切り替わります。
  • 160万円の壁(配偶者特別控除・満額)
    配偶者特別控除が満額受けられる上限額です。ここを超えると控除額が段階的に減少し始めます。

社会保険の壁(106万・130万)は月々の給与額と契約内容で決まる

社会保険の壁は、年間の累計額を待たずに、月々の賃金や労働条件で判断されます。

  • 106万円の壁(月額8.8万円)
    従業員数51人以上の企業などで、週20時間以上かつ月額賃金8.8万円以上(年約106万円)で働く場合、社会保険(健康保険・厚生年金)への加入義務が発生します。この判定には残業代や交通費は含みません。月額8.8万円以上の要件は、今後撤廃される予定になっています。
  • 130万円の壁(月額約10.8万円)
    106万円の壁に該当しない人が対象です。年収見込みが130万円以上(月額約108,334円以上)になると、扶養を外れて自分で国民健康保険・国民年金に加入する必要があります。こちらは交通費や残業代のほか、雇用保険の基本手当(失業保険)や年金収入、健康保険の傷病手当金や出産手当金なども含んだ総支給額で判定します。配偶者以外の19歳以上23歳未満の人の場合は150万円未満とされています。

参照:社会保険の加入対象の拡大について|厚生労働省

年末調整において12月に働いた分の収入を含めるべき?

年末調整の対象は年内に支払いが済んでいる給与に限られるため、12月勤務分であっても支払日が翌年1月であれば今年の年末調整には含めません。

年末調整の対象となる給与は「年内に支払いが確定したもの」に限る

企業が行う年末調整は、1月1日から12月31日までに支払いの確定した給与が対象です。支給日が到来していない給与(翌月払いなど)は含めません。

  • 12月25日支給の場合:年末調整の対象に含めます。
  • 翌年1月10日支給の場合:年末調整の対象に含めません。源泉徴収票の支払金額にも載せず、翌年の源泉徴収票に記載します。

12月の勤怠データが確定した時点で誤って今年の年収として合算してしまうと、源泉徴収票の金額と実際の振込額が合わなくなります。従業員が確定申告をする際や、翌年の住民税計算に支障をきたすため注意しましょう。

扶養控除等(異動)申告書の見積金額を確認する

年末調整の時期に従業員から提出される給与所得者の扶養控除等(異動)申告書の所得見積額欄も同様です。ここには年内に支払われる予定の金額を記載します。

従業員が12月に働いて1月にもらう給与を誤って見積もりに含んでいないか、確認を促すと親切です。特に、123万円や160万円の壁ギリギリで働いている場合、この認識のズレが扶養の判断でトラブルにつながることがあります。

参照:No.2668 年末調整の対象となる給与|国税庁

扶養を外れないために12月と1月のシフト調整で行うべき対策

シフト調整は自社の給与締日と支払日を確認してから行います。支払日が翌月の場合は、11月勤務分までが今年の年収となるため、12月の調整は来年の年収対策となります。

シフト調整は給与の締め日と支払日を確認してから行う

従業員が扶養範囲内(特に税制上の123万円の壁)を意識してシフト調整をする場合、給与がいつ支払われるかが判断の分かれ目となります。

翌月払い(例:末締め翌月10日払い)の場合

12月に働いた分は1月支給となり、来年の年収に含まれます。今年の年収調整は11月の勤務(12月支給分)までに終えている必要があります。12月のシフトを減らしても今年の税金対策にはなりません。

当月払い(例:20日締め当月25日払い)の場合

12月に働いた分が12月中に支払われるため、今年の年収になります。この場合は、12月のシフト調整が直接今年の年収額に反映されます。

担当者としては、11月頃の段階で今年の扶養枠ギリギリの人は、今月の働き方に注意してくださいとアナウンスすることで、無用なトラブルを防げます。

確定申告が必要になるケースとならないケース

ダブルワークや副業を行っている従業員は、すべての勤務先の1月1日〜12月31日の支給額を合算して判断します。

メインの勤務先以外で得た収入が年20万円を超える場合などは、原則として確定申告が必要です。12月分の給料がまだ振り込まれていない(翌月払い)場合、今回の確定申告から除外するのは正しい処理です。

逆に、前年の12月に働き、今年の1月に受け取った給与は、今回の申告に含める必要があります。支払調書や源泉徴収票の日付をよく確認するよう案内しましょう。

手渡しや日払いの場合の12月分はどう扱う?

給与が銀行振込ではなく手渡しの場合や日払いの場合も、原則通り「給与支給日」が年収の判定基準となります。

例えば、12月31日に働いて、その日の帰りに手渡しで給与をもらった場合は今年の年収になります。しかし、支給日が定められていない場合は、年が明けた1月4日に事務所へ取りに行った、実際に給与を受け取った年(翌年)の年収となります。

契約などにより定められた「支給日」が行われた日が基準であることを覚えておきましょう。これは税務調査などでも確認されるポイントです。

12月に働いた分が扶養内になるかは1月の支払日と保険区分で決まる

扶養の範囲内で働く際、12月に働いた分がいつの年収になるかは、適用する制度(税金か社会保険か)によってルールが明確に異なります。

税金(123万円・160万円等の壁)

支給日が基準です。12月に働いても、給料日が1月なら翌年の年収となり、今年の扶養判定には含まれません。そのため、翌月払いの企業では年末ギリギリのシフト調整は今年の税金対策にはなりません。

社会保険(106万円・130万円の壁)

見込額や契約状態が基準です。支払日に関わらず、12月の働き方で恒常的に収入が高い状態が続けば、その時点から扶養を外れる可能性があります。

実務担当者は、従業員からの相談に対して、まずは給与の支払日を確認し、それが今年の年収に影響するのか、来年の年収になるのかを的確にアドバイスしましょう。

特に現在は103万円ではなく123万円や160万円などの新しい所得税の壁へ変更されている点もあわせて伝えることで、従業員の不安を解消できます。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事