- 更新日 : 2024年10月17日
見積書のNET金額とは?意味や見積金額との違いを解説
見積書に見積金額と別にNET金額が記載されているとき、どちらの金額を実際に支払えばよいか迷こともあるでしょう。NET金額は、とくに建設業界で用いられる言葉です。原価を指す場合と最終価格を指す場合があり、業者によって意味が異なります。今回はNET金額の意味や見積金額との違い、グロス価格の意味について解説します。
見積書に記載されるNET金額とは
見積書には、見積金額とは別に「NET金額」が記載されることもあります。NET金額と見積金額のどちらが実際に支払う金額なのか、迷ってしまうことも多いでしょう。
そもそもNETは「網」という意味であり、ビジネスでは「正味」「実質」といった意味で用いられます。食品のパッケージに「NET〇〇g」と記載されている場合は、袋や乾燥剤などの重さを差し引いた、食品そのものの重さを表します。つまりNET金額とは、本来であれば諸経費や利益、消費税などを含まない価格である原価を意味する言葉です。
しかし後述のとおり、「値引き分などを差し引いた最終価格」を意味することもあります。たとえば工事では、作業内容が変更することも多いです。変更に応じて、単価をもとに精算する業者もいますが、NET金額を最終価格として提示する場合は、変更があってもNET金額で取引することになります。
建設業界で使われる「NET金額」の意味は2パターン
建設・建築業界で使われるNET金額には、以下の2つの意味があります。
- 受注業者の原価(手数料やマージンなどを差し引いた、工事のみの価格)
- 値引き後の最終金額/値引きに応じられる最低金額
前者の場合、人件費・廃棄処分費用・仮設工事費用・そのほか諸経費などを含めた原価のことを指します。そのため実際の支払額では、さらに買取業者の利益やそのほかの費用が追加されます。この場合、NET金額と実際の支払い金額と差が出る点に注意しましょう。
後者の場合、工事の原価から消費税や下請けへのマージンなどを足し、値引きを反映させた最終的な金額です。そのため、実際の支払金額に限りなく近くなります。
どちらの意味であるかは発行者によって異なるため、見積金額とNET金額の両方の表記がある場合は、どちらの意味でNET金額が使われているのか、発行者に確認するようにしましょう。
NET金額と見積金額との違いは?
見積書にNET金額と見積金額の両方が記載される場合も多いです。そのため、両者の違いを理解しておきましょう。
見積金額とは、見積書に記載されている商品やサービスの費用の合計金額のことです。
NET金額が「受注業者の原価」を意味する場合、その後に値引きがなければ、実際に支払う額は見積金額となります。
一方でNET金額が「値引き後の最終金額」を意味する場合は、見積金額からさらに値引きした額がNET金額となるため、実際に支払う額はNET金額です。
NET金額と同じく理解しておきたい言葉に、グロス価格があります。グロス価格は、NET金額と一緒に使われることが多い言葉です。グロスには「総量」「総計」といった意味があり、グロス価格とは、諸経費や消費税などを含めた、トータルの金額のことを指します。NET金額を本来の「原価」の意味で用いる場合、NET金額が原価、グロス価格が売価を指すと考えるとわかりやすいでしょう。
見積書のNET金額の意味は発行者に確認しよう
今回は、建設・建築業界でよく見られる見積書のNET金額について解説しました。NET金額とは、本来の意味では諸経費や利益、消費税などを含まない原価のことです。しかし業者によっては、値引きを含めた最終金額を意味することもあります。
原価を意味する場合、実際に支払う金額は見積金額に近くなります。一方、最終金額を意味する場合には、実際に支払う金額はNET金額です。どちらの意味であるかは発行者によって異なるため、きちんと確認しましょう。
よくある質問
見積書に記載されている「NET金額」とは何を指していますか?
NET金額は、値引き分などを差し引いた最終価格や解体工事の原価を指す言葉で、発行者によって意味が異なります。詳しくはこちらをご覧ください。
NET金額と見積金額は何が違いますか?
NET金額が原価を意味する場合は実際に支払う金額は見積金額に近くなり、値引き後の最終金額を意味する場合は実際に支払う金額はNET金額となります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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