- 更新日 : 2025年3月5日
個人事業主の自宅兼事務所の費用は経費にできる?自宅と事務所が別の場合は?計算例とあわせて解説
個人事業主で、自宅を事務所として仕事をしている場合に気になるのが、自宅兼事務所の費用を経費にできるのかということです。結論としては、一定の割合で経費にできるものがあります。
ここでは、個人事業主の自宅兼事務所の費用を経費にする方法や、自宅と事務所が別である場合の対応方法など、ケース別に具体的な計算例を用いて解説します。
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個人事業主の自宅兼事務所にかかる費用は経費にできる?
はじめに、個人事業主の自宅兼事務所にかかる費用は経費にできるのか見ていきましょう。
家事按分を行えば、事業での利用分は経費計上できる
自宅兼事務所で仕事をしていると、例えば電気代など、プライベートでも事業でも使う費用が出てきます。プライベートでも事業でも使う費用がある場合、家事按分を行えば、事業での利用分を経費計上できます。
家事按分とは、支出のうちどれだけ事業に使ったかを示す割合(事業割合)を計算し、その割合に基づいて経費になる金額を求める方法です。例えば、100万円の費用のうち、事業割合が30%であれば、30万円を経費にできます。ただし、事業割合は明確な基準によって求める必要があります。
個人事業主の生活費の家事按分については以下の記事でも解説しているので、合わせて参考にしてください。
自宅と事務所が別の場合
自宅と事務所が別の場合、基本的に自宅では仕事をしていないため、個人事業で経費にできる費用は、事業に関する費用のみです。そのため、事務所でかかった費用のみを経費にできます。
バーチャルオフィスを利用する場合
バーチャルオフィスとは、住所のみの提供を行うサービスで、実際に事務所や仕事場などのスペースがあるわけではありません。個人事業主の場合、バーチャルオフィスを利用しても、実際に仕事をしているのは自宅ということが多いです。
この場合は実質、自宅兼事務所で仕事をしていることと同じなので、家事按分を行えば、事業での利用分を経費計上することができます。
家賃の家事按分
自宅兼事務所が賃貸物件の場合は、毎月支払っている家賃を家事按分して一部経費にすることができます。この場合に事業割合を決める基準となるのが、仕事場の面積です。家の総面積のうち、仕事場の面積がどれぐらいあるのかを計算し、事業割合を求めます。
例えば、家の総面積が300㎡で、そのうち仕事場の面積が30㎡だった場合、以下のように事業割合は10%になります。
利用する勘定科目
家事按分した自宅兼事務所の家賃は「地代家賃」勘定で処理します。
計算例
家事按分した家賃の計算例は、次のとおりです。
例)月の家賃10万円を支払った。家の総面積が300㎡で、その内仕事場の面積が30㎡のため、事業割合は10%である。
月の家賃10万円のうち、1万円を「地代家賃」として経費計上できます。
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水道光熱費の家事按分
自宅兼事務所で使った電気代やガス代、水道代などの水道光熱費は、毎月支払っている料金を家事按分して一部を経費にできます。この場合に事業割合を決める基準となるのが、作業時間です。1日24時間のうち、どれだけの時間仕事をしたのかを計算して、事業割合を求めます。
例えば、1日24時間のうち、仕事をしている時間が8時間だった場合、以下のように事業割合は33.3%になります。
利用する勘定科目
家事按分した電気代やガス代、水道代などは「水道光熱費」勘定で処理します。
計算例
家事按分した水道光熱費の計算例は、次のとおりです。
例)月のガス代3万円を支払った。1日24時間のうち、仕事をしている時間が8時間のため、事業割合は33.3%である。
月のガス代3万円のうち、9,990円を「水道光熱費」として経費計上できます。
通信費の家事按分
自宅兼事務所で使ったインターネット代や電話などの通信費は、毎月支払っている料金を家事按分して一部、経費にできます。この場合に事業割合を決める基準となるのが、作業時間です。
例えば、1日24時間のうち、仕事をしている時間が8時間だった場合、 以下のように事業割合は33.3%になります。
利用する勘定科目
家事按分したインターネット代や電話代などは「通信費」勘定で処理します。
計算例
家事按分した通信費の計算例は、次のとおりです。
例)月のインターネット代1万円を支払った。1日24時間のうち、仕事をしている時間が8時間のため、事業割合は33.3%である。
月のインターネット代1万円のうち、3,330円を「通信費」として経費計上できます。
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事務所の経費計上における青色申告と白色申告の違い
青色申告と白色申告では、家事按分する際の事業割合の考え方が異なります。
青色申告では、費用のうち事業に関する部分を明確な基準で按分できれば、経費にすることができます。
しかし、白色申告では、費用のうち事業に関する部分を明確な基準で按分するだけでは、経費にできません。按分後に事業割合が50%を超える場合のみ、経費にすることが可能です。
自宅兼事務所の場合、面積や時間を基に家事按分すれば、事業割合が50%以下になるものも少なくありません。経費にできると思っていても、実際に事業割合を計算すると経費にできないことも多いので注意が必要です。
青色申告と白色申告についてはそれぞれ以下の記事で解説しています。
個人事業主が事務所の費用を経費にする際の注意点
個人事業主が、家事按分で使った費用を経費にする際の注意点は、事業割合を計算するための基にした書類を保存しておくことです。税務調査では、事業割合をどのように求めたのかを聞かれます。事業割合の根拠があいまいであれば、経費を否認される可能性もあります。
家の図面や作業時間がかかれた日誌など、面積や作業時間が分かる書類を提出することで、事業割合を算出した根拠を税務調査で示すことができます。事業割合を計算するために基にした書類は、必ずなくさないようにしっかりと保存しておきましょう。
個人事業主の自宅兼事務所の費用は正しく計算して経費に落とそう!
個人事業主の自宅兼事務所の費用は、家事按分をすることで経費にできます。家事按分をするためには、まず事業割合を求める必要があります。
しかし、事業割合の基準があいまいであったり過度に経費部分を計上したりすれば、税務調査で指摘を受け経費を否認されかねません。節税をするためにも、事業割合の基準を明確にして正しく計算し、経費にできるものはしっかりと経費にしましょう。

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ハンドメイド作家・ブロガー 佐藤 せりな 様
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