- 更新日 : 2026年4月23日
デジタル人材とは?職種や必要スキル、人材育成・採用ポイントを解説
デジタル人材とは、AIなどの最新技術に精通したDX推進を担う人材を指します。企業の成長のため、社内体制の刷新やビジネスモデルの変革、新しいサービスの開発などに携わります。
市場変化の激しい現代において、自社のサービスを理解したうえでDXを推進するデジタル人材は、競争に生き残り、企業の優位性を確保するのに重要な存在です。
目次
デジタル人材とは?
デジタル人材とは、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進に必要不可欠な人材のことを指します。デジタル人材には、IoT、AI、生体認証、クラウド、ビッグデータといった最先端のデジタル技術を使いこなすスキルが不可欠です。デジタル技術を活用し、企業に新たな価値を提供することが求められることから、デジタル人材が企業で活躍するためには、ハードスキルだけではなく、コミュニケーションスキルや課題解決力といったソフトスキルも求められるでしょう。
デジタル人材とIT人材との違い
デジタル人材と似た言葉にIT人材があります。デジタル人材もIT人材も、どちらもハードスキルを有した専門性の高い人材です。両者の違いは、専門性の高いスキルの対象範囲の広さにあります。
IT人材とは、「情報技術(IT)に関する分野で活躍する人材」を指す言葉です。中小企業庁の定義によれば、IT人材は「ITの活用や情報システムの導入を企画、推進、運用する人材」とされています。企業の情報システム部門で働く人や、情報サービス業に従事する人などが含まれます。
一方、デジタル人材は、最先端のデジタル技術を駆使して企業に新しい価値を提供する人材です。IT人材が含まれることはもちろん、ときには企業のマーケティング担当者や営業なども含まれます。つまり、最先端のデジタル技術だけではなく、プロジェクトマネジメントスキルやコミュニケーションスキルも必要となり、デジタル人材のほうがより広義の職種を対象としているといえるでしょう。
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デジタル人材はなぜ必要か
デジタル人材について、経済産業省は「デジタルスキル標準」というデジタル人材に求めるスキルを定めています。これは、国としてデジタル人材を育成しなければならないという危機感のあらわれともいえるでしょう。デジタル人材の育成が注目される背景には、諸外国に比べて後れを取っているDXの取組みを推進し、産業構造が変化している現代で日本企業の競争上の優位性を確保する目的があります。
企業の優位性確保
デジタル技術の進化により、データやデジタル技術を活用した産業構造の変化が起きています。その変化に伴い、日々さまざまなサービスが登場しています。消費者の価値観の変化によりニーズも変化し、今後も企業の競争は激しくなっていくことでしょう。このように日々変化している時代のなかで企業が生き残るためには、DXの実現による競争力の強化・優位性の確保が不可欠です。
DXの推進には、経営層から現場にいたるまで、デジタル技術やITに関する素養が必要です。しかしながら、組織の事業に精通し、かつデジタル技術に精通した人材は多いとはいえません。デジタル人材を育成することが、イノベーションの創出やビジネスモデルの変革を促し、企業の優位性確保の重要なカギとなるのです。
2025年の壁回避
「2025年の崖」とは、複雑化・ブラックボックス化した既存システムを企業が改善しなかった場合、2025年までに顕在化する問題をあらわした造語です。2018年9月、経産省が『DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~』で触れたことで注目を集めています。
2025年の壁は、経営面では基幹系システムを21年以上稼働している企業が6割になることや、人材面では古いプログラミング言語を知る人材が供給できなくなる点などを問題に、企業がさまざまな経済的損失を被るとしています。
既存のシステムを変更することは容易ではありません。システムに精通した人材が求められるのはもちろんのこと、経営層や現場とコミュニケーションを取って問題の解決にあたれる人材が必要になるでしょう。デジタル人材は、2025年の壁にまつまる問題を回避する点でも注目されています。
参考:DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開
デジタル人材の職種・仕事内容の例
デジタル人材の職種としては、以下の5つがあげられます。
ビジネスアーキテクト
ビジネスアーキテクトは、顧客・ユーザー調査の結果をもとに、製品やサービスのアイディアを検討し、既存事業の刷新や新規事業開発に取り組みます。ビジネス変革やデータ活用関連スキル・知識とともに高い実践力が求められるでしょう。
ビジネスデザイナー
ビジネスデザイナーは、DX実現の企画・立案・推進を担当します。関係者との利害の調整や、プログラムを円滑に進めるための折衝なども行います。
AIエンジニア
AIエンジニアは、AIやIoTなど、DXに関するデータの分析・解析を担当します。分析結果をビジネスモデルに活用する重要な役割を担います。AIに関する知識だけではなく、ビジネスサイドへの理解も求められるでしょう。
UI/UXデザイナー
UI/UXデザイナーは、DXの実現において、ユーザーの操作画面(インターフェイス)をデザインする役割のほか、サービスで得られるユーザーの体験(エクスペリエンス)を設計します。デザインを通じて美しさを生み出すだけではなく、使い心地や使い勝手の良さ、また、ときにはサービスを活用する意義まで提供するのが役割です。顧客の満足度向上に寄与します。
エンジニア・プログラマ
エンジニア・プログラマは、システムの実装やインフラ構築を担います。プログラミング言語を利用するほか、店舗や製造・物流業界などの現場ではハードに関する知識も求められます。
デジタル人材が不足しているのはなぜ?
DXという言葉が聞かれるようになり、IT業界など一部ではDX推進が珍しいものではなくなってきています。しかし、多くの企業ではデジタル人材は不足しています。独立行政法人 情報処理推進機構の「DX白書2023」によると、従業員規模21人以上の企業では41.8%、従業員規模20人以下の企業では23.5%が、DXの課題に「人材不足」を挙げているのが現状です。デジタル人材の不足の背景には、そもそもの労働人口の減少、デジタル化の急速な発展、育成に向けた体制不足があります。
労働人口が減少している
少子高齢化による労働者人口の減少は、デジタル人材不足の要因の一つです。IT技術者の高齢化に伴い、今後、現場を退職する人材が増えます。しかし、現在の雇用情勢を考えると、入ってくる若手人材が豊富とはいえません。労働人口が減少する日本市場では、新しいデジタル人材の確保は難しい問題です。
デジタル化の急速な進展
本来であれば、デジタル人材は常に学び技術を高める必要があります。しかしながら、技術発展スピードが早い現代では、人材のスキル・知識のアップデートが追いつかないのが現状です。また、技術の発展により、さまざまな業界でDX化が注目を集めた結果、デジタル人材への需要が拡大したことも、人材不足に拍車をかける結果となっています。
教育体制が整っていない
DXの実現には、デジタルの知識とビジネスの知識との両方が必要です。したがって、外部のデジタル人材に頼るだけではなく、自社でデジタル人材を育成することが重要になります。しかしながら、自社に求められるデジタル人材のスキルを分析し、育成体勢を整えられる組織は多いとはいえません。教育体制の確立が求められます。
デジタル人材育成のための国の取り組み
デジタル人材育成のため、政府は「2026年度までに230万人」のデジタル人材を育成するとの指標を立てました。
目標達成に向け、政府はデジタル人材育成プラットフォームを構築し、デジタルスキル標準の設定のほか、企業のデジタル人材育成に必要な学びの場を提供しています。さらに、公共職業訓練などでのデジタル分野を強化するとともに、人材開発支援助成金など、3年間で4000億規模の施策パッケージの創設により人材育成を推進しています。
デジタル人材に求められるスキル
デジタル人材に求められるスキルは、主に以下の3つです。
技術的なスキル(ハードスキル)
IT関連の基礎知識から、データサイエンスの知識、AIやブロックチェーンなどの最新知識が求められます。とはいえ、すべての人にすべての技術的なスキルが求められるわけではありません。必要となるハードスキルは、職種や立場によって異なります。たとえば、サービスのUI/UXを担当するデザイナーはUI/UXの知識が必要になるのは当然ですが、現場でDX推進に関わる営業担当者はIT関連の基礎知識があれば十分なこともあります。
ビジネススキル(ソフトスキル)
ビジネススキルとは、仕事の進め方や考え方などに関するスキルです。業界知識やマーケティング理論のほか、論理的思考力やコミュニケーション能力が必要になります。
プロジェクトマネジメントスキル
DX推進には、新しいツールの導入だけではなく、ビジネスモデルや社内体制、社内文化の変革が必要です。そして、DXの実現には多くの関係者が関わるため、デジタル人材には、関係者の要望を理解し、目的を掲げながらプロジェクトを推進するプロジェクトマネジメントスキルが求められます。問題の分析能力や課題解決能力のほか、スケジュール管理や予算管理スキルなども必要です。
デジタル人材に求められる資格
デジタル人材にはさまざまな資格が求められます。
ITストラテジスト試験
ITストラテジスト試験(ST)は、ITを活用し経営戦略を実現できる人材であることを証明する資格です。国家資格の情報処理技術者試験の中でも、もっともランクの高い試験の一つとされています。試験内容は、情報セキュリティに関する知識のほか、経営戦略マネジメントやプロジェクトマネジメントに関するものが出題されます。
参考:ITストラテジスト試験|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
AWS認定
AWSとは、Amazonが提供するクラウドコンピューティングです。AWSでは、サーバー環境構築やデータベース利用のほか、AI活用データ分析などデジタル人材に求められるデジタル技術の習得に活用できます。AWS認定は、これらの知識やスキルを認定する資格です。全部で12種類あり、合格すると該当する技術を扱えるという証明になります。
参考:AWS 認定 – AWS クラウドコンピューティング認定プログラム|AWS
ネットワークスペシャリスト試験
ネットワークスペシャリスト試験とは、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)主催の情報処理技術者試験を指し、ネットワークやセキュリティ、システム開発技術など幅広い分野にわたる国家資格試験です。企画・要件定義・設計・構築のほか、保守・運用などネットワークの実践的な知識と技術を有する証明となります。
参考:ネットワークスペシャリスト試験|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
プロジェクトマネージャ試験(PM)
プロジェクトマネージャ試験とは、IPAが実施する国家資格試験の1つで、プロジェクトの遂行に必要な知識や実践能力を問う試験です。基礎から応用まであり、試験に合格することでキャリアアップにつながる可能性もあります。
参考:プロジェクトマネージャ試験|IPA 独立行政法人 情報処理推進機構
デジタル人材の育成方法
デジタル人材を社内で育成するにあたっては、目標を決めそれに沿った体制を構築することが重要です。
社内の目標を定める
デジタル人材の育成で重要となるのは、なぜデジタル人材が自社に必要なのかという目標を明確にすることです。やみくもに「DX推進が重要」というだけでは、自社の成長には結びつきません。企業のビジネス戦略や市場の状況を分析し、自社が取り入れるべきIT技術や、変革するべきビジネスモデルなどを検討する必要があります。
目標が定まった後は、それに必要なデジタルスキルや人材の経歴、特性について分析し、育成するべき従業員像を明確にしましょう。
研修・オンライン教育などの機会を作る
従業員がデジタルスキルを向上できるような研修やオンライン教育の機会を提供します。eラーニングなどのツールを用いて従業員が自主的に勉強できるようにするのもよいでしょう。外部から講師を招き、対象の従業員のビジネススキルを底上げする方法もあります。
資格取得のサポート
デジタル人材に求められる資格取得を企業でサポートするのも一つの方法です。資格取得者には資格取得手当を出すといった福利厚生制度で、従業員のモチベーションを向上させられます。
社内プロジェクトで実践する
技術面のスキルを磨くには、実践的な場が重要です。社内プロジェクトをOJTの場とすることも、デジタル人材の育成に役立ちます。
スキルマップを活用して育成する
デジタル人材には、さまざまなスキルが求められます。技術面だけではなく、コミュニケーション能力などソフトスキルを磨くことも重要です。スキルマップを活用することで、職種に求められるスキルを可視化できます。優先順位をつけ、スキルを磨くことに注力しましょう。
デジタル人材の採用ポイント
人材不足のなか、デジタル人材を外部から採用することは容易ではありません。デジタル人材の採用のポイントは、まずは「多チャンネルを用意する」ことです。媒体を活用する際は、媒体による特性を見極め、デジタル人材にアクセスしやすい媒体を選びます。また、自社ウェブサイトやSNS、リファレンス採用やエージェントなど、さまざまなチャネルからの採用も検討しましょう。
正社員雇用が難しい場合は、プロジェクト期間のみのフリーランスの利用や契約社員の採用を検討してもよいでしょう。その場合、雇用形態ごとの違いを理解し、仕事内容や待遇を決定します。
デジタル人材が定着するためには、働きやすい環境を整えることも重要です。オンボーディング研修の充実を図り、採用したデジタル人材が成果を出しやすい環境を整えましょう。
デジタル人材を採用する際の注意点
デジタル人材の採用にあたっては、採用したい人物像を明確にしましょう。採用ターゲットに求める経歴やスキルを明確にすることで、採用のミスマッチを防ぐことができます。また、依頼する仕事内容が明確になっているほうが、エージェントとのすり合わせもしやすくなり、自社が求める人材に出会いやすくなります。
企業の競争優位性確保に欠かせないデジタル人材
企業のDX推進に欠かせないデジタル人材を、いかに採用し育成するかが企業の課題となっています。採用で外部からデジタル人材を雇用する場合は、採用ターゲットを明確にしましょう。
自社で育成する場合には、育成プランを立て、対象となる従業員に示すことが重要です。企業としてのデジタル人材の重要性、役割、意義、目標を共有することでやりがいを感じるようになれば、従業員のモチベーションアップを図れます。DXの実現による競争力の強化・優位性の確保も可能となり、結果として企業の成長につながるでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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