- 更新日 : 2024年10月30日
GRIT(グリット)とは?やり抜く力を身に着けるための方法を紹介!
GRIT(グリット)とは、「やり抜く力」と定義されます。社会的な成功は、才能や環境だけで決定されるものではありません。グリットと呼ばれる心理的特性は、アメリカで社会的成功者に共通する因子として発表され注目されました。
グリットは後天的に身に着けることができます。ここでは、グリットの意味や定義、伸ばし方について解説します。
目次
GRIT(グリット)とは?
グリット(grit)とは、「やり抜く力」「粘る力」と定義されています。難しい場面でも諦めず、物事をやり抜く意志や姿勢を示す言葉です。社会的成功者たちが共通して持つ要素として、近年注目されています。
アンジェラ・リー・ダックワースの提唱
グリットは、ペンシルバニア大学教授の心理学者であるアンジェラ・リー・ダックワース氏の提唱によって世に広まりました。アンジェラ氏は、社会的な成功は、才能や学歴ではなく、個人のやり抜く力こそが重要であると、グリット論を提唱したのです。
アンジェラ教授は、コンサルティング会社として有名なマッキンゼーで勤務した経歴があります。その後、ニューヨークの公立中学の数学教師をしていた際に、優秀な学生に共通する特徴は生まれ持っての頭の良さや生活環境ではないことに気づきました。その後大学で研究を続け、成功する人には情熱と粘り強さ、すなわち「やり抜く力(グリット)」があると結論づけたのです。
こうして2016年に発売された書籍はベストセラーとなりました。日本でも「やり抜く力―人生のあらゆる成功を決める『究極の能力』を身につける」というタイトルで発売されています。
GRITにおける「やり抜く力」とは?
アンジェラ氏が提唱したグリット理論は、以下のように定義されています。
- 生まれ持った才能・知能は関係がない
- 失敗を恐れず挑戦することが重要
- 長期間、継続的に粘り強い努力を要する
アンジェラ氏の調査では、グリットの要素を持つ学生は、大学を退学せず卒業していく確率が高いとされています。
GRITが注目された背景
グリットが注目された理由は、社会的成功、人生の成功において鍵となる能力を解説しているからです。アンジェラ氏は、「成績上位の生徒がIQ(知能指数)も高いとは限らない」「成績下位の生徒がIQ(知能指数)も低いとは限らない」という仮説のもと、成功者に共通する因子を導き出しました。
グリットの特徴は、先天的な才能や、選ぶことのできない家庭環境とは関係がないという点です。後天的に身に着けることが可能であり、すなわち、誰もが意識すれば高めていくことができます。誰でも手に入れることができる、成功に導く因子として、とくに多様な人々が住むアメリカを筆頭に注目されたといえます。
GRITは何の略?構成要素
グリットは、以下の4つの要素で構成されています。
Guts(度胸)
Guts(ガッツ)は度胸や闘志を意味し、困難なことに立ち向かう意思を指します。ビジネスでは、予算の見直しや顧客の要望に答えることにも、ガッツが必要になります。
Resilience(復元力)
Resilience(レジリエンス)は、復元力として日本でも定着してきました。困難な状況に直面した際や、失敗したあとに、折れずに立ち直る粘り強さを指します。現在では「逆境や困難な状況に陥っても負けずに回復する力」という意味でビジネス上で注目されてる用語です。
Initiative(自発性)
Inisiative(イニシアチブ)は、自発的に取り組む力を指します。目標を定め、自ら行動します。自らの意思で目標に向かって努力し続けることが重要です。
Tenaciity(執念)
Tenaciity(テナシティ)とは日本語で「執念」を意味する言葉です。何としても達成するという、最後までやり遂げる意思の強さを指します。
GRITの測定方法 – グリット・スケール
グリットを測定するには、グリット・スケールを用います。グリット・スケールとは、提唱者アンジェラ・リー・ダックワース氏が作成したスコア表のことです。下記のような10個の簡単に回答できる項目について、5段階の自分が当てはまると思うスケールの数字を〇で囲み、その数字を合計してスコアを集計します。
- 新しいアイデアやプロジェクトに気をとられてしまう
- 簡単に諦めない
- 興味の対象が変わりやすい
- 一生懸命働くことができる など
最高点は5点で、合計点を10で割ったのがグリット・スコアです。スコアが高いほど、GRITが高い状態を意味しますが、気持ちや状況によって変化するのが特徴です。
GRIT・やり抜く力を身に着ける方法
では、グリットを身に着けるにはどうしたらよいでしょうか。
成長思考を持つ – 少し高めの目標を設定する
高めの目標を設定し、成長志向を持つことでグリットは飛躍します。無理とは思わず、物事を前抜きに捉えることが、成長志向をさらに高めるのです。具体的な目標を設定すれば、ゴールが見えやすくなり、達成意欲も湧いてくるでしょう。
些細なことでも成功体験を積む
成功体験は、自信につながります。難しいことでも「できた」という経験が、諦めずに粘り強く頑張る姿勢を育てます。成功体験を積み重ねることによって自信がついてくれば、大きい困難があっても、逃げ出さずに努力を続けることができるようになれるでしょう。
新しいことにチャレンジする
新たな業務や挑戦は、グリットを伸ばす最高の教材です。新しいチャレンジをする習慣は、自分の可能性を広げます。新たな知識やスキルを吸収することで、成長することができます。
GRITを持つ人と行動を共にする
グリットを持つ人と共に行動すると、その人の考えや価値観を吸収できます。その人の考え方や目標の立て方、判断基準を学ぶことで、自らのグリットを育てることができます。
GRITを評価指標に組み込む
定期的にグリットを評価します。自分のグリットがどれくらいかを測定し、現在の自分自身の状態を知ることができれば、目標が立てやすくなります。
長期目標も立てる
グリットを育てるには時間がかかるため焦りは禁物です。長期的な目標を立て、確実にステップアップしていきましょう。
社会的成功の鍵となるGRITを伸ばそう
グリットは、成功を収めるための重要な因子です。日々のチャレンジや前向きな姿勢が、やり抜く力を育ててくれます。
日頃から自らの考え方を意識し、諦めずに高い目標にチャレンジすることで、グリットを伸ばすことができます。グリットを育むことができれば、自己をさらに成長させてくれるでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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