- 作成日 : 2026年3月25日
健康経営度調査とは?対象・回答方法から評価項目、企業メリットを解説
健康経営度調査は、企業の健康経営の取組を経営レベルで可視化し、社会的に評価する国主導の調査です。
- 国と日経が毎年実施
- 認定制度の基礎資料
- 4視点で成熟度を評価
健康経営度調査に回答すると 経営理念・体制・施策・改善の4視点で自社の健康経営の強みと課題が偏差値で把握でき、他社比較や次年度改善に直接活用できます。
健康経営への関心が高まる中で、自社の取り組みがどの水準にあるのかを客観的に把握したいと考える企業は少なくありません。その指標として活用されているのが「健康経営度調査」です。健康経営度調査は、企業が従業員の健康をどのように経営に組み込み、継続的に実践しているかを評価するために実施されています。
本記事では、健康経営度調査の概要から対象・回答方法、調査票の内容や取り組むメリットなどを解説します。
目次
健康経営度調査とは?
健康経営度調査は、企業がどの程度体系的に健康経営へ取り組んでいるかを把握し、その水準を社会的に示すための調査です。単に制度の有無を確認するものではなく、経営方針から具体的な施策、取り組みの検証までを一体として評価する点に特徴があります。
健康経営度調査は国が主導して実施する公式な調査
健康経営度調査は、経済産業省と日本経済新聞社が共同で毎年実施しているアンケート調査です。企業が従業員の健康をどのように経営戦略に組み込み、継続的に推進しているかを把握することを目的としています。調査結果は公的な制度とも連動しており、健康経営を評価するうえで信頼性の高い指標とされています。
主に大企業の取組状況を評価する
健康経営度調査の主な対象は、上場企業を中心とした大企業です。各企業の健康経営に関する方針、推進体制、具体的な施策、取り組みの検証方法などが幅広く問われます。企業規模が大きいほど社会への影響も大きいため、経営レベルでの健康経営の実践状況を確認する役割を担っています。
結果は各種認定制度の基礎資料として使われる
健康経営度調査の結果は、「健康経営銘柄」の選定や「健康経営優良法人(大規模法人部門)」の認定に活用されます。調査で高い評価を得た企業が、これらの制度で選ばれる仕組みとなっており、健康経営度調査は認定制度の土台となる重要なプロセスといえます。
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健康経営度調査の対象と回答方法は?
健康経営度調査は、企業規模や業種を問わず健康経営の取組状況を確認するための調査ですが、実務上は大企業を中心に運用されています。
健康経営度調査の対象は主に大企業だが任意で参加できる
健康経営度調査の主な対象は、上場企業を含む大企業です。健康経営銘柄の選定や健康経営優良法人(大規模法人部門)の認定に直結するため、一定規模以上の企業を中心に実施されています。一方で、中小企業であっても希望すれば任意で参加することが可能です。認定対象外であっても、健康経営の考え方や評価基準を把握する機会として活用できます。
調査票は専用ポータルサイトから取得する
初めて健康経営度調査に回答する企業は、専用ポータルサイト「ACTION!健康経営」から企業IDを発行し、調査票を取得します。調査票はExcel形式で提供され、人事・総務部門だけでなく、産業保健スタッフや経営層など、社内の複数部署が連携しながら記入することが想定されています。過去に回答実績がある企業には、受付開始時に案内メールが送付されます。
調査の回答は期限内のオンライン提出が求められる
健康経営度調査の回答期間は例年8月から10月上旬頃に設定されており、締切日時は厳格に管理されています。調査票はオンラインで提出し、期限を過ぎた場合は原則として受け付けられません。提出後、回答内容に基づいたフィードバックシートが後日各社に送付され、自社の健康経営の評価結果を確認できます。
調査票の内容・評価項目は?
健康経営度調査の調査票は、企業の健康経営を全体像として把握できるように設計されています。単発の施策や制度の有無を見るのではなく、経営方針から実行、振り返りまでが一連の流れとして整理されている点が特徴です。
調査では健康経営の全体像を5つの視点で評価する
調査票では、健康経営の取り組みを次の5つの側面から確認します。これらは段階的につながっており、総合的な実践状況を測るための軸となっています。
- 経営理念・方針
健康経営が企業理念や経営方針の中に明確に位置づけられているか、経営層がどのように関与し、社内外へ発信しているかを確認します。 - 組織体制
健康経営を推進するための担当部署や責任者が定められているか、産業医や保健師など専門職と連携できる体制が整っているかを評価します。 - 制度・施策の実行
健康診断の活用、生活習慣改善への支援、メンタルヘルス対策など、従業員の健康増進につながる具体的な施策や制度が実際に運用されているかを確認します。 - 評価・改善
健康指標を把握し、施策の効果を検証しているか、その結果を次の取り組みに反映しているかなど、継続的な見直しの仕組みがあるかを測ります。 - 法令遵守・リスクマネジメント
定期健診を実施していること、50人以上の事業場においてストレスチェックを実施していること、労働基準法または労働安全衛生法に係る違反により送検されていないことなどを確認します。
調査票は自社の立ち位置を客観的に把握するための設計になっている
これらの設問に回答することで、自社の強みや弱み、業界内での立ち位置を把握できます。定量的な評価により、他社との比較や経年での変化も確認できるため、健康経営の課題整理や次の改善に役立つ構成となっています。
健康経営度調査に取り組む企業のメリットは?
健康経営度調査に回答することは、認定取得のためだけではなく、企業経営そのものを見直す機会となります。経営面・人材面・社会的評価の観点から、複数の効果が期待できます。
健康経営の現状を客観的に把握できる
健康経営度調査に取り組むと、調査結果に基づくフィードバックシートを通じて、自社の健康経営の取組状況を客観的に確認できます。第三者の視点による評価やコメントが示されるため、自社だけでは見落としがちな課題や改善点が明確になります。健康経営の取り組みが数値や評価軸として整理されることで、社内でも状況を共有しやすくなり、次に取り組むべき施策を検討する土台が整います。調査への回答そのものが、自社の健康経営を見直す契機となり、継続的な改善につながります。
従業員の健康増進が業績向上につながる
健康経営度調査をきっかけに健康施策を充実させることで、従業員の健康状態の改善が期待されます。健康診断の活用や生活習慣改善への支援、メンタルヘルス対策の強化は、従業員の活力や集中力の向上につながります。その結果、業務の生産性が高まり、欠勤や休職のリスク低減にも寄与します。健康経営の評価が高い企業ほど、安定した業績を示す傾向があることからも、従業員の健康と企業価値は密接に関係しているといえます。
社会的評価や採用面での向上につながる
健康経営度調査で高い評価を得た企業は、健康経営優良法人として認定されたり、健康経営銘柄に選定されたりする可能性があります。これにより、健康経営に積極的な企業として社会的な信頼を得やすくなります。認定ロゴの活用や対外的な発信を通じて、企業イメージの向上が期待できるほか、就職活動中の学生や転職希望者からも魅力的な職場として認識されやすくなります。このように、健康経営度調査への取り組みは、企業ブランドや人材確保の面でも効果を発揮します。
健康経営銘柄と健康経営優良法人とは?選定・認定の基準は?
健康経営度調査の結果は、特に水準の高い取り組みを行っている企業を社会的に評価する制度へとつながっています。その代表例が「健康経営銘柄」と「健康経営優良法人」です。いずれも健康経営度調査を基礎資料としており、企業の健康経営が経営戦略としてどの程度定着しているかを示す指標となっています。
【健康経営銘柄】上場企業の中から選定される評価制度
健康経営銘柄とは、経済産業省と東京証券取引所が共同で毎年選定する、健康経営に優れた上場企業のことです。原則として各業種から1社ずつ選ばれ、健康経営度調査において高い評価を得ていることが前提となります。加えて、法令遵守の状況や財務の健全性、株主に対する情報開示の姿勢なども総合的に確認されます。たとえば収益性を示す指標であるROEは、選定にあたって一定の水準が確認される要素の一つとされています。こうした基準を満たした企業は、健康経営を通じて中長期的な企業価値向上に取り組む存在として、投資家や社会から高く評価されます。
【健康経営優良法人】企業規模に応じて認定される制度
健康経営優良法人とは、従業員の健康管理を経営的な視点で実践している法人を、日本健康会議が認定する制度です。認定は大規模法人部門と中小規模法人部門に分かれており、いずれも健康経営度調査の評価結果が重視されます。大規模法人部門では特に評価の高い企業が「ホワイト500」として認定され、中小規模法人部門でも上位法人が「ブライト500」として公表されます。認定にあたっては、法令遵守や労務管理に問題がないことを前提に、経営方針への位置づけ、推進体制、具体的施策の実行、評価と改善の仕組みが総合的に審査されます。
選定・認定されることは社会的信頼を高める意義がある
健康経営銘柄や健康経営優良法人に選ばれることは、従業員の健康を重視した経営を実践している企業であることを公的に示す意味を持ちます。認定企業は公式ロゴを活用した広報が可能となり、取引先や自治体、求職者からの信頼を得やすくなります。また、社員にとっても自社への誇りや働く意欲の向上につながる点が特徴です。なお、健康経営優良法人の認定は一度限りではなく、継続して健康経営度調査に回答し、取り組みを改善し続けることが求められています。認定は結果ではなく、継続的な健康経営を促す仕組みとして位置づけられています。
フィードバックシートとは?結果の見方と活用方法は?
フィードバックシートは、健康経営度調査に回答した企業へ提供される評価結果のレポートです。調査回答をもとに、自社の健康経営の取組状況が多角的に分析され、他社との比較や強み・課題が分かりやすく整理されています。結果を読み解くことで、今後の健康経営施策を検討するための材料を得られます。
フィードバックシートは健康経営の取組状況を可視化する資料
フィードバックシートには、健康経営度調査で評価された内容が項目別にまとめられています。「経営理念・方針」「組織体制」「制度・施策実行」「評価・改善」「法令遵守・リスクマネジメント」といった側面ごとに、自社の評価結果が示され、回答企業全体の平均や上位企業、業種平均と比較できる構成となっています。各項目では、全体平均を50とした偏差値が用いられ、自社がどの水準に位置しているかを直感的に把握できます。
フィードバックシートで総合評価と推移を確認できる
フィードバックシートには、項目別評価に加えて総合評価も記載されます。自社の総合偏差値や全回答企業の中での順位が示されるほか、過去数年分の評価推移がグラフで表示されます。前年から評価が向上している場合は視覚的に分かる工夫がされており、健康経営の取り組みがどのように進展しているかを時系列で確認できます。これにより、施策の成果や改善の度合いを客観的に捉えられます。
フィードバック結果は次の健康経営施策に活かせる
フィードバックシートで明らかになった課題は、次年度以降の健康経営施策の改善に活用できます。結果を経営層や人事部門、産業医など関係者と共有することで、自社の現状認識を揃えることができます。そのうえで、評価が低かった項目の原因を分析し、具体的な対策を検討します。フィードバックを毎年活用することで、健康経営の取り組みを継続的に見直し、計画的に改善していくサイクルを構築できます。
健康経営度調査を企業価値の向上に活かそう
健康経営度調査は、企業の健康経営の現状を見える化し、改善への道筋を示してくれる羅針盤のような存在です。調査への回答を通じて自社の課題を把握し、フィードバックシートの分析結果を活用して対策を講じることで、「健康経営優良法人」や「健康経営銘柄」への認定・選定も現実味を帯びてきます。従業員の健康と企業価値の向上を両立させるために、本調査を積極的に活用し、継続的な健康経営の推進に取り組んでいきましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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