• 作成日 : 2026年5月7日

ストレスチェックの実施方法とは?手順・法律上のルール・義務化の流れを解説

Pointストレスチェックはどう実施する?

ストレスチェックは、年1回の検査から結果通知、面接指導、集団分析まで含めて運用する制度です。

  • 年1回・三領域で実施
  • 結果は本人へ直接通知
  • 50人未満も義務化予定

企業が個人結果を見られるのは、本人同意がある場合に限られます。

ストレスチェックの実施方法は、調査票を配って回収するだけだと思われがちですが、実際には事前準備、実施体制の整備、結果通知、面接指導、集団分析、職場改善までを含む制度です。近年は50人未満の事業場にも義務化が広がる方向が示され、これまで努力義務だった企業でも対応の検討が欠かせなくなっています。

この記事では、ストレスチェックとは何かという基本から、実施手順、スムーズに進めるコツなどを解説します。

目次

ストレスチェックとは?

ストレスチェックは、働く人の心理的な負担の程度を把握し、本人のセルフケアと職場の改善につなげる制度です。実施後の結果通知や面接指導、集団分析まで含めて設計することで、制度の趣旨に沿った運用になります。

ストレスチェックはメンタルヘルス不調の予防と職場改善を目的とする制度

ストレスチェック制度の中心にあるのは、メンタルヘルス不調を未然に防ぐことです。検査によってストレスの状況を把握し、その結果を本人に返すことで、自分の状態に気づくきっかけをつくります。さらに、高ストレスと判定された人には医師の面接指導につなげ、必要に応じて就業上の配慮を検討します。加えて、職場ごとの集団分析を行えば、業務負荷や人間関係、支援体制などの課題も見つけやすくなります。

検査・面接指導・集団分析まで含めて成り立つ

ストレスチェックは、調査票に回答して終わる仕組みではありません。制度全体は、検査の実施、結果通知、面接指導、面接指導後の就業上の措置、集団分析、職場環境の見直しまでを含んでいます。

ストレスチェックは労働者に受検義務がな

ストレスチェックは事業者に実施義務がある一方で、労働者には受検義務がありません。したがって、受検を強いる運用ではなく、安心して回答できる環境づくりが前提になります。また、結果は原則として本人に直接通知され、本人の同意なしに事業者が個人結果を受け取ることはできません。

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50人未満の事業場でストレスチェックが義務化される?

50人未満の事業場では、これまで努力義務だったストレスチェックが義務化される方向へ変わりました。2025年5月公布の法改正でその方針が示され、施行日は公布後3年以内に政令で定める日とされています。

50人未満の事業場でもストレスチェックは努力義務から義務へ

これまで50人未満の事業場では、ストレスチェックは当分の間「行うよう努める」とされていました。2025年5月公布の改正では、この扱いが見直され、50人未満の事業場でも実施が義務になることが明確に示されています。ここで基準になるのは会社全体の従業員数ではなく、支店や営業所、工場などの事業場単位です。

複数拠点を持つ企業では、どの事業場が対象になるのか、どの労働者に実施するのかを切り分けるところから始める必要があります。

50人未満の事業場への義務化は2025年5月の公布後3年以内の施行日から

50人未満の事業場への義務拡大は、2025年5月の公布後3年以内に政令で定める日から施行される予定です。改正法は項目ごとに施行時期が異なりますが、ストレスチェックに関する部分はこの期限で整理されています。

遅くとも2028年5月中旬ごろまでに対応が必要になる前提で準備を進めておくと、社内計画を立てやすくなります。実施体制、委託先、面接指導の受け皿を先に固めておくと、施行日が正式に決まった後も慌てずに運用へ移れます。

実施マニュアルを使って準備を進めるのがおすすめ

50人未満の事業場では、義務化に備えて公表済みの実施マニュアルを活用しながら準備を進められます。厚生労働省は2026年2月に「小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル」を公表しており、小規模事業場でも運用しやすい体制づくりの考え方を示しています。内容には、実施者の置き方、外部委託の組み立て方、個人情報の守り方、集団分析の進め方などが含まれており、初めて制度設計を行う担当者にとってたたき台として使いやすい資料です。

参考:小規模事業場ストレスチェック制度実施マニュアル|厚生労働省

ストレスチェックの実施方法はどこまで法律で決まっている?

ストレスチェックの実施方法は、すべてを企業が自由に決められるわけではありません。年1回の実施、調査票に含めるべき領域、実施者の要件、結果通知の流れ、本人同意の扱いなど、制度の骨格にあたる部分は法令上のルールがあります。一方で、紙かWebか、外部委託か内製か、案内方法をどうするかといった運用面には自社で設計できる余地があります。

年1回の実施と三領域を含む調査票が法律で定められてい

ストレスチェックでは、常時使用する労働者に対して、1年以内ごとに1回、定期に検査を行う枠組みが定められています。また、調査票には、仕事上のストレス要因、心身の自覚症状、周囲の支援という三つの領域を把握できる項目を含めなければなりません。「職業性ストレス簡易調査票(57項目)」や簡略版の23項目が使われることが多く、集団分析ともつなげやすい形です。独自の調査票を用いる場合でも、この三領域を満たしているかを確認したうえで導入する必要があります。

参考:職業性ストレス簡易調査票(57 項目)|厚生労働省

実施者の資格と結果の扱い方も法律で定められている

ストレスチェックは、誰でも担当できる制度ではありません。実施者になれるのは、医師や保健師のほか、所定の研修を修了した歯科医師、看護師、精神保健福祉士、公認心理師などに限られています。また、結果の扱いにも明確なルールがあります。個人結果は本人に通知され、本人の同意がなければ事業者へ提供できません。同意は結果通知の後に、書面または電磁的記録で取得する流れです。さらに、検査事務に関わる者には秘密保持義務があり、人事権を直接持つ監督者は実施事務に関与できないため、役割分担も制度上の前提になります。

運用方法は法定要件を満たせば企業が独自に設計できる

ストレスチェックは、法定要件を満たす限り、実施方法の細部は企業側で設計できます。紙で実施するか、Webで実施するか、または両方を併用するかは事業場の実態に応じて選べます。実施時期を繁忙期からずらしたり、受検しにくい勤務形態の労働者に配慮した案内方法を整えたりすることも、運用上の工夫として組み立てられます。

ただし、エンゲージメントサーベイや組織診断など別目的の施策を同じ仕組みで行う場合は注意が必要です。ストレスチェック制度とは切り分け、目的や回答データの扱いを分けて設計した方が、説明や同意の整理がしやすくなります。

ストレスチェックの実施手順は?

ストレスチェックの実施手順は、準備、実施設計、実施後の対応に分けると流れをつかみやすくなります。最初の設計が運用全体の安定を左右します。

1. 方針表明・意見聴取・社内ルール整備を行って準備する

最初の手順は、制度を始める前の準備をまとめて行うことです。事業者として実施方針を示し、関係労働者の意見を聴いたうえで、実施体制、情報管理、記録保存、苦情対応、不利益取扱いの防止などを含む社内ルールを整備して周知します。この段階で、受検は任意であることや、個人結果は本人に直接通知され、同意なしに会社が受け取れないことまで明確にしておくと、制度への不信感を減らしやすくなります。

2. 実施者・実施方法・対象者を決めて設計する

次の手順は、制度を実際に動かすための設計です。実施者を誰にするか、実施事務従事者を誰にするか、医師の面接指導をどこへ依頼するかを決めます。あわせて、紙で行うかWebで行うか、実施時期をいつにするか、法律で対象とされていない労働者も対象とするかを確定します。法令上の要件を満たしつつ、現場で無理なく回せる方法を選ぶことが、受検率や運用負担に直結します。

3. 調査票を配布して検査を実施する

設計が固まったら、対象者に調査票を配布し、実際の検査を行います。ここでは、受検を強制しない前提を保ちながら、回答しやすい導線を整えることが大切です。紙でもWebでも、忙しい時期や勤務形態に配慮した運用にしておくと、受検しやすさが高まります。制度の説明と受検環境の整備が不十分だと、回答率や回答の正確さに影響しやすいため、実施時の案内も手順の一部として扱う必要があります。

4. 結果を本人に通知し必要に応じて同意取得と面接指導を行う

検査の後は、結果を本人に直接通知します。個人結果はまず本人が自分の状態を把握するための情報であり、会社が当然に取得できるものではありません。事業者が個人結果を受け取る場合は、結果通知の後に本人の同意を取得します。また、高ストレス者が申し出た場合には、医師による面接指導を実施し、その結果を踏まえて就業上の配慮を検討します。

5. 記録保存と集団分析を行い職場改善へつなげ

最後の手順は、実施後の記録管理と職場改善です。面接指導の結果や、同意のうえで受領した記録を適切に保存し、必要に応じて集団分析を行います。集団分析では、部署や職場ごとの負担の偏りや支援不足を把握し、業務量や体制の見直しに活用できます。個人が特定されない形で結果を扱い、改善策に結びつけることで、ストレスチェックが単なる年1回の検査で終わりにくくなります。

ストレスチェックをスムーズに実施するコツは?

ストレスチェックをスムーズに進めるには、受検しやすい運用と個人情報を守る仕組みを同時に整えることが欠かせません。実施前の案内、同意の取り方、委託先との役割分担までを先に整理しておくと、実施後の混乱を抑えやすくなります。

受検しやすい説明と時間確保を整える

ストレスチェックは労働者に受検義務がある制度ではないため、受けやすい状態を作ることが運用の出発点になります。開始前に、制度の目的、個人結果の扱い、不利益取扱いの禁止、相談先を丁寧に伝えておくと、安心して受検しやすくなります。反対に、就業規則で受検を義務化し、応じないことを懲戒につなげるような運用は避けるべきです。

さらに、繁忙期を外した実施時期の設定や、Web方式と紙方式の使い分けも受検率に影響します。受検率が低いと、集団分析の母集団が偏り、職場課題を正しく捉えにくくなるため、受検しやすさの設計は実施後の活用にも直結します。

個人情報の取扱いと同意取得の順序を明確にする

ストレスチェックでは、個人結果を本人の同意なく事業者へ提供できません。そのため、誰がどこまで情報を扱えるのかを事前に明確にしておく必要があります。同意は書面または電磁的記録で取得しますが、タイミングは本人への結果通知後です。開始前や実施時に同意欄つきの調査票を配るような運用は避けた方が整理しやすくなります。

また、高ストレス者が面接指導を申し出た場合は、その申出をもって結果提供への同意があったとみなせる取扱いもあるため、面接指導までつながる動線をあらかじめ設計しておくと、同意取得の流れも整えやすくなります。

小規模事業場では外部委託先と面接指導の受け皿を先に確保する

50人未満の事業場では、プライバシー保護の観点から外部委託を活用しやすい形で進める方法があります。もっとも、委託しても制度を実施する責任は事業者側にあるため、委託先との連絡調整を担う窓口担当者を決めておくと、実務の混乱を抑えやすくなります。

あわせて、面接指導をどこへ依頼するかも先に固めておくことが大切です。地域産業保健センターを通じて無料で面接指導を受けられる場合もありますが、センターはストレスチェックそのものを実施する機関ではありません。申出が出た際に対応が止まらないよう、依頼先と費用の見通しを準備段階で整理しておくことが、スムーズな実施につながります。

企業は面接指導の結果を医師からヒアリングできる?

企業は、面接指導を行った医師から結果をまったく聞けないわけではありません。ただし、聞けるのは就業上の措置を判断するために必要な範囲が中心であり、面談内容の詳細や病名などを広く受け取れるわけではありません。

就業上の措置に必要な範囲で面接指導の結果を医師からヒアリングでき

企業は、面接指導を行った医師から、就業上の措置の必要性の有無や、講ずべき措置の内容について意見を聴くことができます。これは、労働時間の調整、業務内容の見直し、配置上の配慮などを事業者が判断するためです。面接指導の前提として、事業者は医師に勤務状況や職場環境などの情報を提供し、面接指導後には医師の意見を踏まえて必要な対応を検討する流れになっています。つまり、企業がヒアリングできるのは、本人支援と就業配慮を実施するための実務情報です。

病名や面談の詳細まで自由にヒアリングできるわけではない

企業が聞ける範囲には限界があります。ストレスチェックや面接指導に関して知り得た労働者の秘密には保護がかかっており、医師や事務従事者には秘密保持が求められています。企業が当然に受け取れるのは、就業上の措置に必要な意見が中心であって、病名、私生活上の事情、面談での詳細な発言内容まで自由に共有してよいわけではありません。

企業は医師の意見を必ず受け入れて措置する義務まではない

企業には、面接指導を行った医師から就業上の措置に関する意見を聴く義務がありますが、その意見どおりの措置を実施する義務まで課されているわけではありません。事業者に求められているのは、医師の意見を踏まえて必要な就業上の措置を検討し、実際の職場状況や本人の事情も見ながら判断することです。

一方で、医師の意見を聞かずに配置転換や労働時間の見直しなどを進める運用は適切ではありません。就業上の措置を決める際には、本人の了解が得られるよう努め、不利益取扱いにならないよう配慮しながら進めることが前提になります。

企業側は、医師の意見を無視してよいわけではありませんが、意見を聞いたうえで必要な対応を判断する立場にあります。

ストレスチェックを適切に実施し職場改善につなげよう

ストレスチェックは、調査票を配って終わるものではなく、準備、実施、結果通知、面接指導、集団分析、職場改善までを含めて運用する制度です。50人未満の事業場にも義務化が広がる流れが示されており、今後は小規模事業場でも実施体制の整備が欠かせません。実施方法には自社で決められる部分もありますが、年1回実施や調査票の要件、個人結果の扱いなどは法令上のルールがあります。

ストレスチェックの実施方法を正しく理解し、個人支援と職場改善の両方に結果を活用することが、制度を形だけで終わらせないポイントです。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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