• 更新日 : 2026年1月27日

160万円の壁に12月働いた分は含まれる?計算ルールや超えた場合について解説

年末調整確定申告の時期になると、多くの人が疑問に思うのが「12月に働いた分が、その年の年収160万円に含まれるのか」という問題です。昨年の年収としてカウントされるのか、それとも新しい年の年収になるのか、この判断を誤ると税金の計算が合わなくなってしまいます。

この記事では、人事労務の観点から「160万」の壁と「12月働いた分」の振り分けルール、そして給与支払日による判定基準について解説します。給与明細を確認しながら、正しい年収の数え方をマスターしましょう。

目次

12月に働いた給与は160万円の壁の計算に含まれる?

12月に働いた分の給与が「160万円の壁」の計算に含まれるかどうかは、「給与がいつ銀行口座に振り込まれたか(支給日)」によって決まります。

所得税法において、160万円の壁の判定基準となる年収は「1月1日から12月31日までに支払われた給与の合計額」だからです。働いた時期(勤務日)ではなく、実際にお金を受け取った日(支給日)が基準となります。

160万円の壁に含まれるのは年内に支給された給与

12月中に給与が支給されている場合、その金額はその年の年収に含まれます。

これは、給与所得が支給日ベースで判断するものとされているためです。つまり、12月31日までに口座に入金されたお金は、その年の収入としてカウントされます。

具体的なケース
  • 「月末締め・当月25日払い」の場合: 12月1日から12月の締め日までの勤務分が12月25日に支払われるため、今年の年収に含まれます。
  • 「20日締め・当月末払い」の場合: 11月21日から12月20日までの勤務分が12月31日に支払われるため、今年の年収に含まれます。

このパターンの給与体系で働いている場合、12月のシフトを入れすぎると年内に支給額が増え、160万円の壁を超えてしまうリスクが最も高くなります。

翌年1月に支給される給与は新しい年の年収に含まれる

12月に働いた給与の支給日が翌年1月以降である場合、その金額は前年の「160万円」には含まれず、新しい年の年収に含まれます。

年内に労働を行っていても、現金の受け取りが年をまたぐ場合、その収入は翌年の課税対象となるからです。

具体的なケース
  • 「月末締め・翌月10日払い」の場合: 12月1日から12月31日までに働いた給与は1月10日に振り込まれます。この場合、前年の年収には一切影響しません。
  • 「月末締め・翌月25日払い」の場合: 同様に、12月勤務分はすべて1月25日の支給となるため、新しい年の年収としてカウントがスタートします。

多くの企業はこの「翌月払い」を採用しています。そのため、12月に繁忙期で多少残業が増えたとしても、それが原因で「去年の160万円を超えてしまった」という事態にはなりにくいのが特徴です。

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160万円の壁の仕組みと「12月31日締め」の計算ルールは?

160万円の壁を正しく理解するためには、「12月のいつまでを計算に含めるのか」という期間のルールと、「なぜ160万円なのか」という内訳を知る必要があります。

税金の計算は、会社の事業年度(4月〜3月)とは異なり、暦(カレンダー)通りに「12月締め」で行われるのが最大の特徴です。この基本ルールを知っておくことで、12月に入ってからの調整ミスを未然に防ぐことができます。

年収の計算期間は「1月1日から12月31日」で確定する

パートやアルバイトの年収(給与所得)の計算期間は、毎年1月1日から12月31日までの1年間です。

これは所得税法が「暦年(れきねん)」を基準としているためです。したがって、160万円の壁を超えていないかを判定する際は、前年の1月1日から12月31日までに支給された給与の総額を確認する必要があります。多くの企業では12月末に「年末調整」を行いますが、これは12月までの支給額を確定させ、税金の過不足を精算するための手続きです。

160万円の内訳は基礎控除と給与所得控除の合計

「160万円」という金額は、すべての人に適用される「基礎控除」と、働く人の経費にあたる「給与所得控除」を足し合わせた金額です。

所得税は、12月末時点の収入から「控除」を引いた残りの金額にかかります。その控除の内訳は以下の通りです。

  • 基礎控除:最大95万円(所得2,500万円以下のすべての人に適用)
  • 給与所得控除:65万円(給与収入190万円以下の人の最低保証額)

この2つを足すと「95万円 + 65万円 = 160万円」となります。つまり、12月までの年収が160万円以下であれば、課税される所得がゼロになるため、所得税がかからず、扶養家族としての条件も満たすことになります。

12月の給料(年内最後の受取額)で160万円の壁を超えてしまう理由は?

毎年、年末になると「計算ミスで160万円の壁を超えてしまった」という相談が増えますが、その多くは「給与の支払日」と「働いた時期」のズレを考慮できていないことが原因です。 ここでは、年内最後の給与受取で失敗しやすい3つのパターンを解説します。

11月の働きすぎや12月前半のシフト増が最後の給与に響く

翌月払いの企業では「11月の勤務分」、当月払いの企業では「12月の勤務分」が年内最後の給与となります。

  • 翌月払い(例:末締め翌月10日払い)の人: 注意すべきは「11月のシフト」でした。11月にブラックフライデーや年末商戦の準備でシフトに入りすぎていると、その分が12月の給与として支給され、意図せず壁を超えてしまうことがあります。
  • 当月払い(例:20日締め当月25日払い)の人: 12月前半のシフトが直撃します。クリスマス前の繁忙期などは時給が上がることもあるため、普段通りに働いていても支給額が増え、上限を突破するリスクがあります。

冬のボーナスや寸志も給与所得として計算に含まれる

給与とは別に支給される「冬のボーナス」や「寸志(すんし)」も、160万円の計算には必ず含まれます。

パート・アルバイトであっても、業績好調時には年末に数千円〜数万円の一時金が支給されることがあります。これを「お小遣いのようなもの」と勘違いして年収計算から漏らしてしまうミスが頻発します。源泉徴収票の「支払金額」には、毎月の給与だけでなく賞与も合算されるため、寸志が出る可能性がある場合はその分も枠を空けておく必要があります。

なお、現金手渡しで支給される「大入り袋」等も、原則として「給与」に含まれます。非課税になるのは慶弔見舞金などごく一部に限られるため、計算漏れがないよう注意してください。

12月の単発バイト(即日払い)を足し忘れる

メインの職場とは別に、12月に行った単発バイトや副業の収入も合算が必要です。

特に注意が必要なのが、12月の繁忙期に募集される「日払い」「手渡し」の単発バイトです。メインの職場が「翌月払い」のため12月働いた分が含まれないとしても、副業で12月中に現金を受け取っていれば、その分は今年の年収に加算されます。この数万円の副収入が原因で160万円を超えてしまうケースが多いため、すべての収入を合算して管理しましょう。

12月の年収最終計算で交通費は含めるべき?

12月の最終計算において、交通費通勤手当)は原則として「含めずに(除外して)」計算します。

多くの人が給与明細の「総支給額」をそのまま足してしまいますが、160万円の壁は「交通費を除いた金額」で判定できるからです。ここを間違えると、まだ働けるのに「もう壁を超えてしまった」と勘違いしてシフトを減らしてしまう(損をする)ことになります。

非課税の交通費は計算から除外して計算する

公共交通機関の定期代など(月15万円以下)は、160万円の計算には含めません。

ご自身の年収がギリギリかどうか確認する際は、給与明細の「総支給額」ではなく、そこから交通費を引いた「課税支給額」を1月から12月まで(支給日基準で)合計してください。源泉徴収票の「支払金額」も、この交通費を除外した数字になっています。

時給に含む契約の場合は計算に含める

雇用契約書に「時給〇〇円(交通費込み)」とある場合は、原則として交通費分もすべて160万円の計算に含まれます。

この契約の場合、税務上は原則全額が「給与」とみなされるため、勝手に交通費分を差し引いて計算することはできません。近所のアルバイト等で一律時給の場合によくあるケースです。ここを誤って除外して計算していると、年末に壁を超えてしまう原因になります。

12月の働き方が影響する160万円の壁と社会保険の130万円の壁の違いは?

「160万円の壁」と「130万円の壁(社会保険の扶養)」は、12月の給与が与える影響の種類が根本的に異なります。

税金の壁(160万円)は「12月でカウントが終了」しますが、社会保険の壁(130万円)は「12月の給与額から来年の年収を予測」されるからです。ここを混同すると、税金はセーフでも社会保険で扶養から外れるリスクがあります。

130万円の壁は12月の給与額から「将来の見込み年収」として判定される

社会保険の130万円の壁は、「過去の支給額」ではなく、12月の給与を含めた「直近の収入状況」から算出した見込み年収で判定されます。

160万円の壁が「1月からの積み上げ」で決まるのに対し、130万円の壁は「月収108,333円を超えているか」が基準です。

もし12月にシフトを入れすぎて、その月の給与が108,333円を大幅に超えた場合、年間の合計額が130万円に達していなくても「今後はこの高い収入が続く」とみなされ、一時的に扶養から外れるよう指導されるケースがあります。

12月だけ働く場合は、加入している健康保険へ「一時的な収入増である」旨の確認が必要になることもあります。

160万円の壁では除外される交通費も12月の判定額に含まれる

160万円の壁(税金)では除外できた交通費も、社会保険の壁では「12月の収入」としてカウントされます。

12月のシフト調整をする際、税金対策と同じ感覚で「交通費を抜いた金額」で計算していると危険です。社会保険の判定では交通費を含んだ総支給額が見られます。

例えば、12月の給与が「基本給10万円+交通費1万円=11万円」だった場合、160万円の壁判定では10万円ですが、130万円の壁判定では11万円(年収換算132万円ペース)となり、扶養認定の基準を超えてしまうリスクが発生します。

12月の給与で年収160万円を超えてしまった場合の税金や扶養への影響は?

主な影響は「本人に少額の所得税がかかること」と「親や配偶者の税金が増える可能性があること」の2点です。

12月のシフト調整に失敗して数万円超えたとしても、「働き損」になるほど高額な税金がいきなり課されるわけではありません。しかし、学生の方であれば親の税金が、主婦(夫)の方であれば配偶者の税金が増える(扶養控除が減る)可能性があるため、家計全体への影響を確認する必要があります。

本人の年収に対して所得税の支払い義務が発生する

12月の給与で年収が160万円を超えると、その「超えた金額」に対して本人の所得税が発生します。

ただし、税額は超過分に対して5%(復興特別所得税を除く)程度です。例えば、12月の給与が増えて年収162万円になった場合、超えた2万円に対する税金は約1,000円です。手取りが極端に減るわけではありません。超えた分については、確定申告を行うことで正しく納税(または精算)する必要があります。

親や配偶者の扶養控除が外れて税負担が増える可能性がある

本人の税金よりも影響が大きいのが、12月の超過によって親や配偶者の税負担が増加することです。

  • 親の扶養(学生など): 12月の給与で壁を超えると、親は「特定扶養控除(63万円)」を受けられなくなります。これにより親の年収にもよりますが、親の税金(所得税・住民税)が増える可能性があります。
  • 配偶者の扶養: 配偶者控除が適用されなくなりますが、年収160万円までは「配偶者特別控除」が満額適用されるため、夫(世帯主)の税負担は変わらないケースがほとんどです。

12月の給与と160万円の壁に関するよくある質問

Q. 12月末締めで翌月払いの場合は今年の年収に含まれるか?

A. 含まれません。来年の年収になります。給与の支給日(口座への振込日)が年明けの1月であれば、その収入は新しい年の年収として扱われます。 したがって、12月にどれだけ残業をして稼いだとしても、今年の160万円の壁には一切影響しません。今年の枠を気にせず、安心して働いて大丈夫です。

Q. 12月に手渡しで受け取った短期バイト代は計算に含まれるか?

A. 含まれます。給与が銀行振込か、現金手渡しかは関係ありません。「いつ受け取ったか」が基準となります。

12月中に現金で受け取ったアルバイト代は、今年の年収(給与所得)に合算する必要があります。源泉徴収票が発行されない場合でも、自分で金額を記録し、確定申告等の手続きを行う義務があります。

12月働いた分は支給日を基準に160万円の壁を判定する

12月に働いた分の給与が「160万円の壁」に含まれるかどうかは、勤務した時期ではなく、実際に銀行口座へ振り込まれた「支給日」が基準となります。つまり、年内に受け取った給与であれば今年の年収に含まれますが、年明けの1月に支給されるのであれば、それは新しい年の年収としてカウントされます。また、交通費は原則として計算から除外できる点や、160万円という金額が基礎控除と給与所得控除の合計であるという基本構造も忘れてはいけません。

年が明けた1月は、昨年の年収が確定し、今年の年収管理がスタートする重要なタイミングです。まずは手元の給与明細を確認し、「いつ支給された分か」を正しく把握することから始めましょう。

また、企業の人事労務担当者にとっても、このルールの周知は重要です。従業員が「12月働いた分はすべて今年の年収」と誤解していると、年末に不必要なシフト調整が発生し、現場の人手不足を招く原因となります。給与の締め日と支払日の関係を正しくアナウンスし、働く側も管理する側も納得のいく形で新しい1年をスタートさせましょう。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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