• 作成日 : 2026年10月29日

請求書の書き方は?個人が手書きで作成する方法やインボイス対応を解説

Point請求書は手書きでも正式に使える?

個人事業主・フリーランスの請求書は手書きでも正式に発行でき、必要事項を満たせばインボイスにもなります。

  • 書式の指定はなく手書きでも有効
  • 宛名・金額・振込先などを必ず記載
  • インボイスは登録番号と税率ごとの消費税額も必要

Q. 手書き請求書でインボイスは発行できる?
A. できます。登録番号・適用税率・税率ごとの消費税額など法定記載事項を満たせば、手書きでも適格請求書として認められます。

個人事業主やフリーランスが請求書を作成する場合、パソコンで作るだけでなく、手書きで発行することもできます。ただし、取引先が支払い処理をしやすいよう、宛名、取引内容、請求金額、振込先などをわかりやすく記載することが大切です。

この記事では個人が手書きの請求書を作る方法、インボイスの記載事項、消費税の計算方法などを解説します。

個人が請求書を手書きで作成してもよい?

個人事業主やフリーランスが請求書を手書きで作成しても問題ありません。請求書そのものについて統一された用紙やレイアウトが決められているわけではなく、インボイスについても必要事項を満たしていれば手書きで作成できます。

手書きだから記載内容を簡略化できるわけではありません。取引先が取引内容や請求金額を確認できるよう、必要事項を整理して記載しましょう。インボイス発行事業者の場合は、通常の請求情報に加えて適格請求書としての要件も確認する必要があります。

手書きの請求書でも正式な請求書として使える

請求書は手書きでも、Excelや会計ソフトなどで作成しても構いません。誰が誰に対して、どの取引について、いくら請求しているのかが確認できることがポイントです。

市販の複写式請求書を使用する方法のほか、白紙や自作したフォーマットに必要事項を書き込む方法もあります。インボイスについても法令上決まった様式はなく、必要な記載事項を満たしていれば、請求書、納品書、領収書など名称を問わず適格請求書となります。

請求書への印鑑は必須ではない

手書き請求書だからといって、必ず印鑑を押さなければならないわけではありません。インボイスの法定記載事項にも押印は含まれていません。会社や取引先の社内ルールによっては、請求書への押印を求められるケースがあります。初めて取引する相手には請求書の指定フォーマットや押印の要否を確認しておくと、差し戻しを防ぎやすくなります。

また、個人事業主の場合は屋号印や個人名の印鑑を使用することもありますが、請求書の有効性が印鑑の有無だけで決まるものではありません。

個人が手書きする請求書の記載事項は?

個人が請求書を手書きする場合は、宛名、発行者、取引内容、金額、発行日、支払期限、振込先などを整理して記載します。さらに適格請求書発行事業者であれば、登録番号や適用税率、税率ごとの消費税額なども必要になります。

なお、請求書の実務上あると便利な項目と、インボイスとして法令上必要な項目は同じではありません。

【通常の請求書】宛名や請求内容、金額などを書く

一般的な請求書では、取引相手と請求内容が明確になる情報を記載します。個人事業主が手書きする場合も、次のような項目を設けるとわかりやすくなります。

項目 書き方の例
請求書のタイトル 請求書
請求先 株式会社〇〇 御中
発行日 2026年9月25日
請求書番号 INV-2026-009
発行者 山田太郎/山田デザイン
取引内容 Webサイト記事制作費
数量・単価 5本×20,000円
小計 100,000円
消費税 10,000円
合計請求額 110,000円
支払期限 2026年10月31日
振込先 ○○銀行○○支店 普通 1234567
備考 振込手数料の取扱いなど

請求書番号や振込先、支払期限などは適格請求書の法定記載事項そのものではありません。取引先の経理処理や入金管理を円滑にするため、実務上は記載しておくと便利です。

【インボイス】登録番号や税率ごとの金額も記載する

適格請求書発行事業者がインボイスを発行する場合は、通常の請求内容に加え、消費税法上の記載事項を満たす必要があります。適格請求書には、発行者の氏名または名称と登録番号、取引年月日、取引内容、税率ごとに区分して合計した税込価額または税抜価額と適用税率、税率ごとの消費税額等、請求書を受け取る事業者の氏名または名称を記載します。

軽減税率対象の商品を扱う場合は、どの商品が軽減税率の対象であるかもわかるようにします。たとえば対象商品に「※」を付け、「※は軽減税率対象」と記載する方法があります。

参考:No.6625 適格請求書等の記載事項|国税庁

個人事業主は氏名や屋号をわかるように記載する

個人事業主が請求書を発行する場合は、請求元が誰なのか取引先から確認できる書き方にします。屋号を使用している場合には「山田デザイン 山田太郎」のように屋号と氏名を併記するとわかりやすくなります。インボイスに記載する発行者の名称については、取引先が発行事業者を特定できれば、屋号や省略した名称による記載が認められる場合があります。たとえば屋号と電話番号などを組み合わせ、発行者を特定できる状態にする方法です。

ただし、個人事業者のインボイス登録情報では氏名と登録番号が公表対象となります。請求書の表記と登録情報の対応関係が取引先に伝わりにくい場合は、氏名を併記した方が確認しやすいでしょう。

個人が手書き請求書を作成する流れは?

手書き請求書は、請求先と自分の情報を書き、取引内容を記載してから金額を計算し、最後に支払期限や振込先を確認すると作成しやすくなります。計算ミスや記載漏れを防ぐため、毎回同じ順序で作成するとよいでしょう。

(1)最初に宛名と請求書の発行者を書く

請求書の上部には、請求先と請求書を発行する自分の情報を記載します。法人宛てなら「株式会社〇〇 御中」、個人宛てなら「山田太郎 様」のように記載します。「御中」は会社や部署など組織に対して使用し、「様」は個人に対して使用するのが一般的です。「株式会社〇〇 御中 山田様」のように御中と様を重ねて使用する書き方は避けます。

発行者欄には氏名、屋号、住所、電話番号、メールアドレスなどを記載しておけば、取引先が内容について確認したい場合にも連絡しやすくなります。

(2)取引内容・単価・数量・請求金額を書く

何に対する請求なのかがわかるよう、取引内容と金額を記載します。「作業費 一式 100,000円」だけでは取引内容がわかりにくいため、「2026年9月分 Web記事制作費 5本×20,000円」のように記載すると確認しやすくなります。インボイスでは、取引内容が軽減税率対象である場合、その旨も示します。また、8%対象と10%対象の取引が同じ請求書に含まれる場合は、それぞれの税率に区分して合計金額を表示します。

取引を月単位でまとめて請求する場合は、「2026年9月1日~9月30日分」のように対象期間を示す方法もあります。

(3)支払期限と振込先を確認する

請求金額を記入した後は、支払期限と振込先を確認します。「支払期限:2026年10月31日」「○○銀行○○支店 普通 1234567 ヤマダタロウ」のように記載します。銀行名だけでは振り込めないため、銀行名、支店名、預金種別、口座番号、口座名義まで記載するとよいでしょう。屋号付き口座の場合は、実際の口座名義をそのまま記載します。

支払期限は契約や取引条件に合わせます。請求書を作成する段階になってから一方的に支払期限を変更するとトラブルにつながるため、取引開始時に支払条件を決めておくと管理しやすくなります。

手書きでインボイスを作成する際のポイントは?

手書きであっても、適格請求書に必要な事項がすべて記載されていればインボイスとして発行できます。パソコンで作成する場合との違いは、文字や金額を自分で書き込む点にあり、インボイスの記載要件そのものは変わりません。

登録番号は「T+13桁」の番号を正確に書く

インボイス発行事業者は、請求書に適格請求書発行事業者の登録番号を記載します。登録番号は「T」に続く13桁の数字で構成されます。個人事業主の場合も、インボイス登録を受けると登録番号が付与されます。マイナンバーを請求書に書くわけではありません。登録番号と個人番号は別のものなので混同しないようにしましょう。

数字を一つでも書き間違えると、取引先が登録状況を確認できなくなる可能性があります。手書きの場合は登録通知書や適格請求書発行事業者公表サイトと照合して記載すると安心です。

消費税額は税率ごとにまとめて計算する

適格請求書に記載する消費税額で1円未満の端数が生じた場合は、一つのインボイスにつき税率ごとに1回だけ端数処理を行います。複数の商品を10%で販売した場合、商品ごとに消費税の端数処理をしてから合計するのではなく、10%対象取引の合計額を基に税額を計算して端数処理します。切り上げ、切り捨て、四捨五入のいずれを採用するかは事業者が決められます。

手計算では商品ごとに税額を求めたくなりますが、インボイスでは端数処理の単位に注意しましょう。

手書きした請求書の控えは残した方がよい?

請求書を手書きで発行する場合も、自分用の控えを残しておくと売上管理や確定申告がしやすくなります。適格請求書発行事業者には、交付した適格請求書等の写しを保存する義務があります。

市販の複写式請求書を使用するほか、発行した請求書をコピーして控えにする方法もあります。、スマートフォンやスキャナなどで画像データだけで保存する場合は、一定の要件を満たす必要があります。必ず要件を確認してから運用することをお勧めします。

インボイス発行事業者は交付した請求書等の写しを保存する

適格請求書発行事業者は、交付した適格請求書や適格簡易請求書の写しを保存します。手書きで発行した場合も、この取扱いは変わりません。控えには、交付した請求書の内容を確認できる情報が残っている必要があります。売上計上や入金確認にも利用できるため、請求書番号などを付けて管理すると過去の取引を探しやすくなります。

紙で作成した請求書と電子データで作成した請求書では保存方法に関係するルールが異なることもあるため、自社の発行方法に合わせて管理します。

手書きの場合は複写式の請求書を使う方法もある

手書きで継続的に請求書を発行する個人事業主には、複写式の請求書用紙も使いやすい方法です。1枚を取引先に渡し、もう1枚を自分の控えとして残せるため、同じ内容を二度書く必要がありません。市販の請求書用紙だから自動的にインボイスの要件を満たすわけではありません。登録番号、適用税率、税率ごとの消費税額等などの欄がない用紙を使用する場合は、自分で追記する必要があります。

新しい用紙を購入する際は、自分が通常の請求書を発行するのか、適格請求書を発行するのかを確認して選ぶとよいでしょう。

手書きの請求書を間違えた場合はどう訂正する?書き直しや再発行の方法

手書きの請求書に誤りが見つかった場合は、取引先へ渡す前であれば新しい用紙に書き直し、すでに交付した後であれば訂正版を再発行する方法がわかりやすいでしょう。インボイスの記載事項に誤りがある場合は、適格請求書発行事業者側で修正した適格請求書を交付する対応が必要です。

【交付前に間違えた場合】新しい請求書に書き直す

取引先へ渡す前に金額や宛名などの間違いに気付いた場合は、訂正箇所を書き換えるより、新しい請求書用紙へ書き直す方法が適しています。二重線などで訂正すると、どの数字や文字が正しいのかわかりにくくなり、取引先の経理処理で確認が生じる可能性があります。請求金額、消費税額、振込先、インボイスの登録番号などを間違えた場合は、訂正跡を残さず正しい内容で作り直した方が管理しやすくなります。

【交付後に間違いが判明した場合】訂正版を再発行する

すでに取引先へ渡した請求書に誤りがあった場合は、正しい内容の請求書を再発行し、旧請求書との差し替えを依頼するとよいでしょう。「再発行」「訂正版」などと記載し、請求書番号や発行日を使って元の請求書との関係を明確にすると混同を防げます。

適格請求書の場合、記載事項に誤りがあれば、発行事業者は修正した適格請求書を交付します。方法としては、正しい記載事項をすべて記載した請求書を改めて交付する方法と、元の請求書との関連性を示したうえで修正箇所だけを記載した書類を交付する方法があります。

【インボイス】受取側が勝手に書き直さない

適格請求書の記載事項に誤りがあっても、原則として受取側が請求書へ直接追記・修正して対応するものではありません。発行者に修正した適格請求書を交付してもらうなど、制度に沿った対応を行います。

手書き請求書を発行した後に登録番号や税額などの誤りへ気付いた場合は、取引先へ連絡し、正しい請求書または修正内容を示した書類を交付しましょう。発行した訂正版の控えも元の請求書と対応関係がわかる形で管理すると、後から確認しやすくなります。

個人の手書き請求書は必要事項を確認して作成しよう

個人事業主やフリーランスの請求書は、手書きでも作成できます。請求先、発行者、取引内容、請求金額、支払期限、振込先などを整理し、相手が内容を確認しやすい形式にするとよいでしょう。インボイス発行事業者の場合は、登録番号、取引年月日、税率ごとの取引金額、適用税率、消費税額など、適格請求書として必要な事項も記載します。

「請求書の書き方がわからない」「個人で手書きするときに何を書けばよいかわからない」という場合は、毎回同じひな形を使用し、発行前に金額と記載事項を確認する方法が管理しやすいでしょう。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事