• 作成日 : 2026年10月29日

請求書とは?記載項目・作り方・インボイス制度との関係を解説

Point請求書とは何か?

請求書とは、商品やサービスを提供した事業者が取引相手に代金の支払いを依頼するための書類です。

  • 取引内容・金額・支払期限などを記載する
  • インボイスは要件を満たした適格請求書のみ
  • 法人は原則7年間の保存義務がある

Q. 請求書とインボイス(適格請求書)の違いは?
A. 請求書は代金請求書類の総称で、インボイスは登録番号や税率別消費税額など法定事項を記載した適格請求書のことです。

請求書とは、商品やサービスを提供した側が、取引先に代金の支払いを請求するために発行する書類です。取引内容や請求金額、支払期限などを明確にし、売手と買手の双方が取引内容を確認する役割があります。

この記事では、請求書とは何かという基本から、記載する内容、請求書の作り方、領収書・見積書との違い、インボイス制度との関係などを解説します。

請求書とは?

請求書とは、商品やサービスを提供した相手に対して、代金の支払いを依頼するための書類です。企業間取引だけでなく、個人事業主やフリーランスの取引でも広く使われています。

請求書は代金の支払いを請求するための書類

請求書は、商品やサービスの提供者が取引先に請求金額や取引内容を伝え、支払いを依頼する書類です。たとえば、Web制作会社が顧客企業のWebサイトを制作した場合、制作料金や消費税、支払期限、振込先などを記載した請求書を発行します。買手は請求内容を確認したうえで支払いを行い、売手は請求書を売掛金の管理などに利用します。

請求書には全国共通の一つの様式が定められているわけではありません。消費税の仕入税額控除に利用する適格請求書については、登録番号や税率ごとの対価額、消費税額など所定の事項を記載します。

請求書は取引内容を確認する資料にもなる

請求書には、売手と買手が「何を、いくらで取引したのか」を確認できる資料としての役割もあります。取引先名、取引年月日、商品・サービスの内容、数量、単価、請求金額などを記載しておけば、請求内容に認識のずれが生じた場合にも取引内容を確認しやすくなります。

また、事業者にとって請求書は会計処理や税務処理にも関係する書類です。買手側では仕入れや経費を計上する際の資料となり、売手側では売上や売掛金を管理する資料になります。

インボイス制度では、一定の要件を満たす請求書や納品書などを保存することが仕入税額控除の要件の一つとなっています。

請求書の記載項目は?

一般的な請求書では、発行者と取引先の情報、取引内容、請求金額、支払期限、振込先などを記載します。さらに、適格請求書発行事業者がインボイスを発行する場合には、通常の請求書に加えて登録番号や税率ごとの消費税額などの法定事項を盛り込む形になります。

一般的な請求書には取引内容や請求金額などを記載する

一般的な請求書には、誰が誰に、何の代金を、いくら請求するのかがわかる情報を記載します。

次のような項目を設けると取引先が内容を確認しやすくなります。

項目 記載内容の例
請求書の宛名 株式会社○○ 御中
発行者 株式会社△△
請求書発行日 2026年9月30日
請求書番号 INV-202609-001
取引内容 Webサイト制作費
数量・単価 1式・300,000円
小計 300,000円
消費税 30,000円
請求金額 330,000円
支払期限 2026年10月31日
振込先 ○○銀行 ○○支店 普通1234567

請求書番号は、請求状況を確認したり、取引先から問い合わせを受けたりした際の管理に役立ちます。また、支払期限や振込先を明記しておけば、支払いに関するやり取りも減らしやすくなります。

適格請求書では6つの事項を満たすことが必要

適格請求書として扱うには、登録番号や取引年月日、税率ごとの対価額、消費税額などの所定事項を記載します。

適格請求書に記載する事項は次のとおりです。

記載事項 内容
発行者情報 適格請求書発行事業者の氏名または名称、登録番号
取引年月日 商品の販売日やサービス提供日など
取引内容 商品・サービスの内容。軽減税率対象の場合はその旨
税率別の対価額 税率ごとに区分した税込または税抜対価額と適用税率
税率別の消費税額 8%・10%など税率ごとの消費税額等
交付先 書類を受け取る事業者の氏名または名称

適格請求書は、税務署長の登録を受けた適格請求書発行事業者だけが発行できます。「請求書」という名称でなくても、必要な事項を満たしていれば、納品書や領収書などをインボイスとして扱える場合があります。

参考:適格請求書等の記載事項|国税庁

請求書とインボイスは違う?

請求書とインボイスは必ずしも同じものではありません。請求書は代金を請求する書類の一般的な呼び方ですが、インボイスは消費税法上の要件を満たす「適格請求書」を指します。適格請求書発行事業者が要件を満たして作成した請求書であれば、請求書であると同時にインボイスにもなります。

すべての請求書がインボイスになるわけではない

通常の請求書に必要事項を追加しただけで、自動的に適格請求書になるわけではありません。インボイスを交付できるのは、適格請求書発行事業者として登録を受けた事業者です。登録を受けていない免税事業者などが通常の請求書を発行すること自体はできますが、適格請求書として発行することはできません。

買手が原則として仕入税額控除を受けるには、適格請求書等と一定事項を記載した帳簿を保存します。ただし、公共交通機関特例をはじめとして、帳簿の保管だけで仕入税額控除を受けられる取引も存在します。

参考:No.6498 適格請求書等保存方式(インボイス制度)|国税庁

インボイスは請求書以外の書類でも発行できる

インボイスは書類の名称ではなく、記載されている内容によって判断されます。書類のタイトルが「請求書」でなくても、所定の記載事項を満たす領収書、納品書、レシートなどであれば適格請求書として扱える場合があります。

また、一つの書類ですべての記載事項を満たす方法だけでなく、納品書と請求書など相互の関連が明確な複数書類によって、全体として適格請求書の記載事項を満たす方法も認められています。

請求書と領収書・見積書・納品書の違いは?

請求書と似た書類には、見積書、納品書、領収書などがあります。それぞれ作成するタイミングと役割が異なります。取引開始前には見積書、商品やサービスを提供した際には納品書、代金を請求する際には請求書、支払いを受けた後には領収書という流れが代表的です。

請求書と見積書は発行する目的が異なる

請求書は代金の支払いを依頼する書類、見積書は取引前に予定金額や取引条件を提示する書類です。見積書では、商品・サービスの内容や価格、数量、納期、有効期限などを提示し、取引条件について双方で確認します。その内容に合意して取引を進め、商品やサービスの提供後に請求書を発行するという流れが一般的です。

見積書と請求書は金額が同じになるケースもありますが、追加作業や数量変更などがあれば請求額が変わることもあります。

請求書と領収書は発行タイミングが異なる

請求書は原則として支払い前に発行し、領収書は代金を受け取った事実を証明するために発行する書類です。たとえば、請求額10万円の請求書を取引先へ送り、その後に入金を確認したとします。請求書は「10万円を支払ってください」という意味を持つ一方、領収書は「10万円を受け取りました」という意味を持ちます。

インボイス制度では書類の名称だけで判断されません。適格簡易請求書などの要件を満たす領収書やレシートが、仕入税額控除に利用されるケースもあります。

請求書と納品書は取引段階が異なる

納品書は商品やサービスを提供した内容を知らせる書類で、請求書はその取引に対する支払いを依頼する書類です。たとえば、月内に複数回商品を納品する取引では、納品のたびに納品書を発行し、月末にそれらをまとめた請求書を発行する方法があります。

インボイス制度では、納品書と請求書を組み合わせて所定の記載事項を満たすことも可能です。その場合は、請求書番号や納品書番号などを利用し、両者の対応関係を確認できる形にします。

請求書はどのように作成・発行する?

請求書はExcelやWordなどで作成するほか、会計ソフトや請求書作成システムから発行する方法もあります。紙で郵送する方法に限らず、PDFファイルをメールなどで送る方法も一般的です。電子データとして送受信した請求書は、電子帳簿保存法に沿った保存を行います。

請求内容を確定してから請求書を作成する

請求書を作成する際は、まず取引内容と請求金額を確定させ、取引先情報、請求額、支払期限、振込先などを記載します。継続的な取引では、「月末締め翌月末払い」などの締日・支払条件が契約で決められている場合があります。この場合、対象期間の取引を集計し、契約条件に沿って請求書を発行します。

適格請求書を発行する事業者は、登録番号、適用税率、税率ごとの消費税額なども確認します。作成後は請求金額や宛名、振込先、取引年月日などに誤りがないか確認してから取引先へ送付すると、差し替えや支払遅延を防ぎやすくなります。

請求書は紙でも電子データでも発行できる

請求書は紙だけでなく、PDFなどの電子データとして発行することもできます。メールへのPDF添付やクラウドサービスを通じた請求書の交付も可能です。インボイスについても、適格請求書の記載事項に係る電子データを提供する方法が認められています。

電子化すると、印刷や封入、郵送などの作業を減らせる一方、保存方法には注意が必要です。電子取引によって送受信した請求書データは、原則として電子データのまま保存します。

請求書を受け取ったら何を確認する?

請求書を受け取った側では、すぐに支払処理へ進むのではなく、発注内容や納品内容と請求書を照合します。請求金額や取引内容に相違があれば、支払前に発行者へ確認します。仕入税額控除を受ける事業者は、適格請求書の記載事項も確認しておくと処理がスムーズです。

請求金額・取引内容・支払期限を確認する

請求書を受領したら、注文した内容と請求内容が一致しているかを確認します。商品名、数量、単価、作業内容、請求金額などを発注書や契約書、納品書と照合します。また、支払期限や振込先も確認し、社内の支払処理へ進めます。

請求内容に誤りがある場合は、自己判断で金額を書き換えるのではなく、発行者へ確認して訂正版の発行などを依頼する方法が適切です。

インボイスでは登録番号なども確認する

仕入税額控除のために適格請求書を保存する場合は、登録番号や税率別の金額、消費税額などの記載内容を確認します。適格請求書には、発行者の氏名または名称と登録番号、取引年月日、取引内容、税率ごとの対価額と適用税率、税率ごとの消費税額、交付先の氏名または名称が記載されます。

なお、適格請求書発行事業者の登録状況は、国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で確認できます。

請求書の保存期間は?

請求書は発行した側も受け取った側も、税務上の帳簿書類として一定期間保存する場面があります。法人税、所得税、消費税では保存期間の考え方が異なるため、「請求書は一律○年間」とだけ覚えるのは適切ではありません。事業者の区分や適用する制度に応じて判断します。

【法人】原則7年間を基準に保存する

法人が取引に関連して作成・受領した書類は、法人税法上、原則として確定申告書の提出期限の翌日から7年間保存します。保存対象となる帳簿書類には、取引に関係する注文書、契約書、領収書などが含まれます。欠損金が生じた一定の事業年度では、10年間の保存が関係するケースもあります。

法人が請求書の保存ルールを設定する際は、単純に「数年間保存する」という扱いではなく、自社に適用される税法上の保存期間を確認して管理する方法が適しています。

【個人事業主】書類の種類などによって保存期間が異なる

個人事業主も、業務に関して作成または受領した請求書などを一定期間保存します。国税庁の案内では、青色申告者の場合、現金預金取引等関係書類は原則7年、その他の書類は5年とされるなど、書類の種類や申告方法によって保存期間が異なります。白色申告者についても帳簿や請求書などの保存制度があります。

消費税の仕入税額控除のために適格請求書等を保存する場合は、消費税法上の保存期間も確認します。

電子データで受け取った請求書は電子データで保存する

メールやクラウドサービスなどを通じて電子データで受け取った請求書は、電子取引データとして保存します。電子帳簿保存法では、申告所得税や法人税などに関して帳簿・書類の保存義務がある事業者が、請求書や領収書などに相当する電子データをやり取りした場合、その電子取引データを保存する仕組みとなっています。

請求書は必ず発行しなければならない?

請求書は、すべての取引で必ず発行しなければならない書類ではありません。ただし、取引条件や相手方との契約によって発行が必要になるほか、インボイス制度では適格請求書発行事業者に一定の交付義務があります。

通常の請求書には一律の発行義務はない

一般的な商取引では、「請求書」という名称の書類を必ず発行しなければならないという一律のルールはありません。取引金額や支払条件について当事者間で合意していれば、契約書や納品書、メールなどによって請求内容を確認するケースもあります。一方、企業間取引では、経理処理や支払承認、取引記録の確認に請求書を利用することが多く、契約や社内ルールによって請求書の提出を求められる場合があります。

法律上の一律の発行義務がない場合でも、取引先の指定する方法や契約内容を確認したうえで発行するのが一般的です。

適格請求書発行事業者にはインボイスの交付義務がある

適格請求書発行事業者は、国内で課税資産の譲渡等を行い、課税事業者である取引相手から求められた場合、原則として適格請求書を交付します。適格請求書には登録番号、取引年月日、取引内容、税率ごとの対価額や消費税額など、所定の事項を記載します。書面の請求書を渡す方法だけでなく、要件を満たす電子データを提供する方法も認められています。

事業の性質上、適格請求書を交付することが難しい一定の取引については、交付義務が免除されます。

請求書の役割を理解して適切に管理しよう

請求書とは、商品やサービスを提供した事業者が、取引相手に代金の支払いを依頼するための書類です。請求金額を伝えるだけでなく、取引内容の確認や売掛金・経費の管理にも利用されます。

請求書を作成する際は、取引先名、取引内容、請求額、発行日、支払期限、振込先などをわかりやすく記載すると、取引先との確認作業を進めやすくなります。

電子請求書を送受信した場合は電子帳簿保存法も関係するため、請求書の作成だけでなく、受領後・発行後の保存まで含めて管理方法を整えておきましょう。


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