- 作成日 : 2025年12月9日
営業効率化の成功事例10選 中小企業が明日から使える方法を解説
営業活動における人手不足や働き方改革への対応が急務となる中、「営業効率化」は多くの企業にとって重要な経営課題です。この記事では、中小企業が明日からでも取り組める営業効率化の成功事例を10個、具体的な方法とともに解説します。成功事例を参考に、自社の営業活動を見直し、生産性と売上を向上させるためのヒントを見つけてください。
目次
【課題別】営業効率化の成功事例10選
営業効率化と一言でいっても、そのアプローチは企業の課題によって様々です。ここでは、多くの中小企業が抱える課題別に、具体的な成功事例を10個ご紹介します。自社の状況と照らし合わせながら、取り組みやすいものから参考にしてみてください。
ノンコア業務の削減で商談時間を創出
ある企業では、営業担当者が事務作業に多くの時間を費やし、本来注力すべき商談準備や顧客フォローの時間が圧迫されていました。そこで、RPAツールを導入し定型的な事務作業を自動化。結果、営業担当者に時間の余裕が生まれ、その時間を顧客との対話に充てたことで、業務の効率化に成功しました。
出典:RPAで営業部門の生産性を向上!活用事例やメリット・導入フローを解説
SFA/CRM導入で情報共有を円滑化
ある商社では、営業活動が属人化しており、担当者しか顧客情報や案件の進捗を正確に把握できていないという課題を抱えていました。このため、情報共有や業務の引き継ぎがスムーズに行えず、担当者不在時には顧客対応が遅れるといった問題も起こりがちでした。
そこでSFA/CRM(営業支援/顧客管理システム)を導入し、案件情報の一元管理と可視化に着手。システム上で案件の進捗状況を共有できるようにした結果、担当者以外の従業員でも状況を把握し、チーム全体で顧客をフォローできる体制が構築されました。
この取り組みにより、承認フローの自動化といった業務効率化も実現し、組織的な営業活動を行うための基盤が整備されました。
出典:商社のための営業DX実践ガイド~CRM/SFA 厳選7ツール徹底比較~
インサイドセールスとの連携でアポ獲得率を向上
ある企業では、営業担当者が新規顧客へのアプローチからクロージングまでを一貫して担っていました。そこで、見込み客への初期アプローチと関係構築を専門に行うインサイドセールスを導入。有望な見込み客を営業担当者に引き継ぐ分業体制にしたことで、営業担当者は質の高い商談に集中できるようになり、有効商談数が2倍以上に増加する成果につながりました。
出典:インサイドセールス導入の成功事例10選|商談数や受注率が2倍以上になった例を紹介
オンライン商談の活用で移動コストを削減
ある製造業の企業では、全国の顧客への訪問にかかる営業担当者の出張費が大きな負担となっていました。そこでオンライン商談ツールを導入し、遠方の顧客との打ち合わせをオンラインに切り替えました。その結果、月間で50万円以上かかっていた交通費がゼロになり、経費を大幅に削減。移動にかけていた時間を、より多くの顧客へのアプローチに活用できるようになりました。
出典:メンバーのスキルアップに2か月で120件越えの新規商談を実施!bellFaceで得られた経験値と商談への自信
請求書発行業務の電子化で作業を効率化
ある卸売企業では、紙の請求書の発行から封入、郵送までを手作業で行っており、担当者の大きな負担となっていました。そこで電子請求書サービスを導入し、請求書の発行・送付をシステム化。これにより、これまで数人がかりで1時間以上かかっていた作業が、1人で10分程度にまで短縮されました。郵送コストの削減はもちろん、手作業による人的ミスの防止にもつながり、インボイス制度への対応もスムーズに進みました。
出典:デジタル請求書の導入で、発行業務が4時間から5分に。電子化のプロを配置し、紙が多い卸売業界に変革を。
名刺管理ツールで顧客データの入力を効率化
ある企業では、交換した名刺が各営業担当者のもとに属人化し、情報資産として十分に活用できていない課題がありました。そこで、スマートフォンで撮影するだけでデータ化できる名刺管理ツールを導入し、顧客情報を一元管理。これにより、名刺の検索や登録にかかる時間が削減されただけでなく、過去に接点があった休眠顧客の掘り起こしも可能になりました。
出典:展示会現場の業務をスマート化し、営業活動を次のフェーズへ
データ分析に基づきマーケティング施策を最適化
ある食品メーカーでは、CRMに蓄積された受注履歴といった定量データと、顧客アンケートなどの定性データを組み合わせて分析を行いました。これにより、優良顧客の傾向やニーズをより深く把握。分析結果をもとにマーケティング施策の優先順位を見直したことで、施策の精度を高め、顧客との関係性強化につなげています。
出典:CRM成功事例9選!事例から学ぶCRMの効果的な活用法
営業ナレッジの共有で組織的な営業力を強化
ある保険会社では、営業活動の記録や顧客情報が担当者ごとに管理され、組織内での情報共有がスムーズに行われていないという課題がありました。そこでSFAを導入し、顧客情報や案件の進捗、活動記録を一元管理する体制を構築。これにより、各担当者が持つ情報やナレッジが組織全体で共有されやすくなり、営業活動の可視化が進みました。チーム内での連携が円滑になったことで、組織的な営業力の強化につながっています。
出典:「DPS for Sales」が導く営業プロセス変革 intra-martを基盤とした各種情報の活用で目指すDX推進
そもそも営業効率化とは?
成功事例を見てきましたが、ここで改めて「営業効率化」の基本的な考え方について整理しておきましょう。正しく理解することで、自社の取り組みが的外れになるのを防ぐことができます。
営業効率化の基本的な考え方
営業効率化とは、単に「労働時間を短くする」「楽をする」ことではありません。その本質は、「付加価値の低い業務(ノンコア業務)を削減し、創出された時間やリソースを、売上に直結する付加価値の高い業務(コア業務)に集中させること」です。例えば、移動時間や事務作業を減らし、その分、顧客との対話や提案内容のブラッシュアップに時間を費やすことが、真の営業効率化と言えます。
営業効率化が求められる背景
近年、営業効率化の重要性が叫ばれている背景には、いくつかの社会的な要因があります。少子高齢化による労働人口の減少は、一人の営業担当者がより高い生産性を求められる状況を生み出しました。また、「働き方改革関連法」の施行により、長時間労働の是正が企業に義務付けられ、限られた時間の中で成果を出す必要性が高まっています。顧客ニーズの多様化も、より深い顧客理解と質の高い提案を求める要因となっています。
営業効率化によって得られるメリット
営業効率化に取り組むことで、企業は様々なメリットを得られます。最も直接的なメリットは、無駄なコストの削減と生産性向上による**「売上の向上」です。また、顧客一人ひとりに向き合う時間が増えることで、提案の質が上がり「顧客満足度の向上」にも繋がります。さらに、無駄な残業が減り、成果を正当に評価される環境が整うことで、営業担当者のモチベーションが上がり「従業員満足度の向上」と「離職率の低下」も期待できます。
営業効率化を実現する5つのステップ
営業効率化を成功させるためには、やみくもにツールを導入するのではなく、計画的に進めることが重要です。ここでは、誰でも実践できる5つのステップをご紹介します。
STEP1:営業プロセスを可視化する
まずは、現状の営業活動をすべて洗い出してみましょう。「アポイント獲得」「商談準備」「訪問・商談」「提案書作成」「クロージング」「アフターフォロー」といった一連のプロセスの中で、誰が、いつ、どのような業務を行っているのか、そして各業務にどれくらいの時間がかかっているのかを客観的に把握することが第一歩です。
STEP2:コア業務とノンコア業務を仕分ける
次に、STEP1で可視化した業務を「コア業務」と「ノンコア業務」に分類します。コア業務とは、売上に直接的に貢献する「商談」や「顧客への提案」などの活動です。一方、ノンコア業務は、それらをサポートするための「日報作成」「移動」「経費精算」「社内会議」などです。この仕分けによって、削減・効率化すべき業務が明確になります。
STEP3:課題を特定し目標(KPI)を設定する
ノンコア業務の中から、特に時間や手間がかかっている業務を特定し、それをどう改善するかを考えます。例えば、「提案書作成に時間がかかりすぎている」という課題があれば、「AIツールを導入して作成時間を50%削減する」といった具体的な目標(KPI)を設定します。数値で目標を設定することで、後の効果測定がしやすくなります。
STEP4:ツール導入や業務フローの見直しを実行する
設定した目標を達成するための具体的な施策を実行に移します。課題に応じて、SFAやMAといったITツールを導入したり、インサイドセールス部門を立ち上げて分業体制を築いたり、会議のルールを見直したりするなど、様々な方法が考えられます。この際、一部の部署やチームからスモールスタートで試してみるのも有効です。
STEP5:効果測定と改善を繰り返す
施策を実行したら、必ず効果測定を行いましょう。STEP3で設定したKPIが達成できているかを確認し、もし目標に届いていなければ、その原因を分析して改善策を講じます。例えば、導入したツールが使われていないのであれば、研修会を開いたり、マニュアルを整備したりするなどの対策が必要です。このPDCAサイクルを回し続けることが、営業効率化を定着させる鍵となります。
営業効率化に役立つツールの種類と選び方
営業効率化を進める上で、ITツールの活用は非常に有効な手段です。ここでは、代表的なツールの種類とその役割、選ぶ際のポイントを解説します。
SFA(営業支援システム)
SFAは、営業担当者の活動を支援するためのツールです。顧客情報、案件の進捗状況、商談履歴などを一元管理し、チーム内での情報共有を円滑にします。日報作成の効率化や、次のアクションの管理機能などもあり、営業活動全体の生産性を高めることができます。営業プロセスが複雑で、案件管理に課題を抱えている企業におすすめです。
CRM(顧客関係管理)
CRMは、顧客との関係性を管理し、良好な関係を長期的に維持することを目的としたツールです。顧客の基本情報に加え、購入履歴、問い合わせ履歴、Webサイトへのアクセス履歴などを一元管理します。これにより、顧客一人ひとりに合わせた最適なアプローチが可能になり、顧客満足度やLTV(顧客生涯価値)の向上に繋がります。
MA(マーケティングオートメーション)
MAは、見込み客の獲得から育成までの一連のマーケティング活動を自動化・効率化するツールです。Webサイトのアクセス解析やメール配信、セミナー管理などの機能を持ち、見込み客の行動履歴に応じてスコアリング(点数付け)を行い、購買意欲の高い顧客を自動で抽出することができます。インサイドセールスと連携して活用することで、より効果を発揮します。
名刺管理ツール
名刺管理ツールは、紙の名刺をスキャンしてデータ化し、クラウド上で一元管理できるツールです。手入力の手間を省くだけでなく、顧客データベースとして活用したり、SFA/CRMと連携して人脈情報を組織の資産として共有したりすることができます。特に、多くの顧客と接する機会のある中小企業にとっては、導入しやすい効率化ツールの一つです。
生成AIツール
2025年現在、ビジネスシーンで急速に普及しているのが生成AIツールです。メールの文面作成、商談の議事録要約、提案書のアイデア出し、市場調査のための情報収集など、これまで人間が行っていた多くの知的作業を代行・支援してくれます。既存のSFA/CRMにAI機能が搭載されるケースも増えており、営業活動のあらゆる場面で効率化を促進する強力な武器となります。
中小企業が営業効率化で失敗しないためのポイント
営業効率化への取り組みは、時に失敗に終わることもあります。特にリソースが限られる中小企業では、失敗を避けるためのポイントを押さえておくことが重要です。
目的と手段を混同しない
最も多い失敗例が、「ツールを導入すること」自体が目的になってしまうケースです。高機能なツールを導入したものの、現場の業務内容に合っていなかったり、使いこなせなかったりして、結局誰も使わなくなり形骸化してしまいます。ツールはあくまで課題を解決するための「手段」です。まずは自社の課題を明確にし、その解決に最適な手段は何か、という視点を常に持つことが大切です。
現場の意見を取り入れながら進める
経営層や管理職だけで効率化の方針を決め、トップダウンで押し進めると、現場の従業員から反発を招くことがあります。「新しいツールは操作が面倒」「今までのやり方を変えたくない」といった抵抗感は、変化に対する自然な反応です。計画段階から現場の営業担当者の意見をヒアリングし、彼らが抱える本当の課題や不満を吸い上げながら、一緒に改善策を考えていく姿勢が成功の鍵となります。
ツールは導入して終わりではない
ITツールを導入しても、すぐに効果が出るとは限りません。導入後、現場の従業員がスムーズに活用できるよう、操作研修会を実施したり、分かりやすいマニュアルを用意したりといった定着支援が不可欠です。また、定期的に利用状況を確認し、「なぜこの機能が使われていないのか」「もっと便利な使い方はないか」といったヒアリングを行い、運用ルールを見直していくなど、継続的な改善活動が求められます。
成功事例を参考に営業効率化を実現しよう
営業効率化は、単なる時間短縮やコスト削減がゴールではありません。成功事例からもわかるように、創出された時間を顧客との対話や提案の質の向上といった、より付加価値の高い「コア業務」に集中させることが本質です。本記事で紹介した事例やステップを参考に、まずは自社の営業活動における課題を一つ見つけ、小さな改善から始めてみましょう。その一歩が、企業の持続的な成長を実現する大きな力となります。
この記事をお読みの方におすすめのガイド5選【部署別紹介】
最後に、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
経理担当者向け
①Excel関数集 32選まとめブック
経理担当者の方をはじめ、ビジネスパーソンが知っておきたい便利なExcel関数集を初級~上級までギュッと網羅。新人社員の研修用などにもお使いいただけます。Google スプレッドシートならではの関数もご紹介しています。
②勘定科目・仕訳辞典(税理士監修)
勘定科目・仕訳に関する基本知識、および各勘定科目の仕訳例を具体的かつ網羅的にまとめた、50ページを超えるガイドを無料で提供しております。お手元における保存版としてでだけでなく、従業員への印刷・配布用としてもぜひご活用ください。
人事労務担当者向け
①入社・退職・異動の手続きガイドブック
書類の回収・作成・提出など手間のかかる入社・退職・異動(昇給・昇格、転勤)の手続き。
最新の制度をもとに、よくある質問やチェックポイントを交えながら、各手続きに必要な情報をまとめた人気のガイドですす。
②社会保険・労働保険の手続きガイド
企業において社会保険および労働保険の加入・喪失手続きは必ず発生し、手続きを誤れば保険事故が発生した際に従業員が不利益を被る可能性があります。
各保険の基本的な手続き方法を入社・退職・異動のシーン別にギュッとまとめた分かりやすいガイドです。
総務・法務担当者向け
契約書ひな形まとめ30選
業務委託契約書や工事請負契約書…など各種契約書や、誓約書、念書・覚書、承諾書・通知書…など、使用頻度の高い30個のテンプレートをまとめた、無料で使えるひな形パックです。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
営業DXの成功事例12選 中小企業が成果を出すための具体的な進め方
営業DXは、デジタル技術で営業活動を根本から変革し、中小企業の成長を加速させる重要な取り組みです。しかし、「何から手をつければいいかわからない」と悩む方も少なくありません。本記事では、営業DXの成功事例を課題別にご紹介し、成果を出すための具…
詳しくみる議事録のメモが追いつかない!効率的にメモを取る方法を解説
▶️議事録(エクセル)の無料テンプレート・ひな形⇒ ▶️議事録(ワード)の無料テンプレート・ひな形⇒ 会社での会議の際、議事録の作成を任されることもあるでしょう。しかし、会議では次々と議論が進んでいくため、議事録のメモが追いつかないと悩む人…
詳しくみるテキストコミュニケーションとは?苦手な人でも上手にできるポイントを解説
テキストコミュニケーションは、メールやチャットツールなど、ビジネスシーンや日常生活において広く利用されています。特に、対面での会話が難しい場面や、記録として残したい場合に便利です。 しかし、テキストコミュニケーションは苦手だと感じる人もいま…
詳しくみる情報格差の身近な例とは?影響や解決策を解説
現代は誰もがインターネットやスマホを使いこなしているように見えますが、情報格差と呼ばれる溝は、社会や職場のさまざまな場面で依然として存在しています。情報技術を十分に活用できる人とそうでない人の差は、日常生活の身近な場面からビジネスの現場まで…
詳しくみる計画書とは?種類やテンプレート、事業計画書の書き方を解説
計画書は、特定のプロジェクト・事業・イベントなどを実施するための詳細をまとめた書類です。実施するテーマによって、事業計画書や育成計画書、収支計画書などの種類に分かれます。どのようなプロジェクト・事業・イベントでも、それを成功させるためには、…
詳しくみるDXコンサルティングの選び方とは?依頼先の選定ポイントから費用、失敗しないための注意点まで徹底解説
デジタルトランスフォーメーション(DX)の重要性が叫ばれる一方、多くの企業が「何から手をつけるべきか」「推進できる人材がいない」といった課題に直面しています。この課題を解決し、変革を成功に導く強力な味方がDXコンサルティングです。 この記事…
詳しくみる



