- 作成日 : 2025年8月19日
ビジネスチャットのメリットとは?社外マナーやデメリットも解説
ビジネスチャット(Slack,Chatwork,Microsoft Teamsなど)は、従来のメールでのやり方と比べると社内外のやり取りを一層スピーディにします。迅速な情報共有の手段として、導入企業は年々増加傾向にあります。この記事では、ビジネスチャットのメリット、代表的なツール、利用時のマナー、デメリットや導入時の注意点までをわかりやすく解説します。
目次
ビジネスチャットのメリットとは?
ビジネスチャットツールは、従来の連絡手段にとどまらず、生産性向上に直結する経営ツールとして活用されています。情報共有のスピードが向上し、コミュニケーションが活性化することで、組織全体の業務効率や意思決定のスピードが高まる効果が期待できます。
情報共有を迅速化する
ビジネスチャットは、メールのように定型的な挨拶や署名を必要とせず、要件を簡潔に伝えられます。これにより、プロジェクトの進捗確認や急なトラブルへの対応など、スピードが求められる場面で迅速な情報共有が可能です。複数人が参加するグループチャット機能を使えば、関係者全員に一瞬で情報を伝達し、認識の齟齬を防ぎます。
コミュニケーションを活性化する
メールよりも気軽に発言できるため、部署や役職を超えたコミュニケーションが生まれやすくなります。チャット上での何気ない会話が、新しいアイデアの創出や問題解決のヒントにつながることも少なくありません。また、テキストだけでなく絵文字やスタンプを活用することで、感情のニュアンスが伝わりやすくなり、より円滑な人間関係の構築を助けます。
ナレッジを蓄積・検索する
過去のやり取りがすべて記録として残るため、組織のナレッジベースとして機能します。特定のキーワードで検索すれば、過去の議論や決定事項、共有されたファイルなどを簡単に見つけ出せます。これにより、新しくプロジェクトに参加したメンバーも素早く経緯を把握でき、担当者が不在の際にも業務が滞る心配が減るでしょう。
多様な働き方に対応する
スマートフォンやタブレット用のアプリが提供されているツールが多く、場所を選ばずにコミュニケーションがとれます。そのため、テレワークやリモートワーク、時差出勤といった多様な働き方をスムーズに実現するための基盤となります。現場や外出先にいる社員ともリアルタイムで連携がとれるため、ビジネスの機会損失を防ぎます。
メールとビジネスチャットとの違いを比較
ビジネスチャットは、メールと比較して「リアルタイム性」と「手軽さ」に大きなメリットがあります。メールが公式な連絡や記録保持に適しているのに対し、チャットは日常的な相談やスピーディーな意思決定の場面に最適です。
以下の表で具体的な違いを確認しましょう。
| 項目 | ビジネスチャット | メール |
|---|---|---|
| コミュニケーション形式 | 会話形式(リアルタイム性が高い) | 手紙形式(非同期性が高い) |
| スピード感 | 非常に速い | やや時間がかかる |
| 宛名・挨拶 | 原則不要 | 必須 |
| やり取りの単位 | トピック・案件ごと | 個人・案件ごと |
| 検索性 | 高い(過去の会話をさかのぼりやすい。ただし、ツールやプランによっては検索可能な範囲に制限がある場合もあり) | 低い(埋もれやすく探しにくい) |
| ファイル共有 | ドラッグ&ドロップで手軽 | 添付ファイルとして送信 |
| 主な用途 | 相談、報告、簡単な質疑応答 | 正式な依頼、議事録送付、社外連絡 |
このように、ビジネスチャットはメールの手間を削減し、より会話に近い感覚で利用できます。社内のやり取りの多くをチャットに移行し、重要な連絡や社外とのフォーマルなやり取りのみメールを利用するといった使い分けをしている企業が増えています。
主要なビジネスチャットのメリットデメリット
数あるビジネスチャットツールの中から自社に最適なものを選ぶ際には、利用目的や企業規模、セキュリティ要件などをふまえて、総合的に判断しましょう。ここでは、主要なビジネスチャットのメリットデメリットを解説します。
Slack(スラック)
Slackは、2,600を超える外部アプリとの連携機能が最大の強みで、あらゆる通知を集約し業務を効率化します。話題ごとに「チャンネル」を細かく分けられるため情報整理に長けていますが、多機能な反面、ITツールに不慣れな方にはやや複雑に感じられるかもしれません。また、過去のやり取りは、無料プランの場合、閲覧できるメッセージ数に上限があります。無制限に保存するには有料プランへの加入が必要です。
- エンジニアが多く在籍する大企業、IT企業
- Webサービスを連携させたいスタートアップ
- 部署横断のプロジェクトが多い組織
Microsoft Teams(マイクロソフト チームズ)
Microsoft Teamsは、WordやExcelなどMicrosoft 365のアプリとシームレスに連携し、チャットをしながらの共同編集が可能です。高品質なWeb会議や大容量ストレージも統合され、オールインワンで業務が完結する利便性があります。ただし、その機能を最大限に活かすにはMicrosoft 365の導入が前提となります。
- Microsoft 365を全社導入している企業
- Office製品での共同作業が多い職場
- Web会議を頻繁に行う大企業・中堅企業
Chatwork(チャットワーク)
Chatworkは、シンプルで直感的な操作性が魅力で、ITツールが苦手な人でも簡単に使えます。標準搭載のタスク管理機能で仕事の抜け漏れを防ぎやすく、社外の取引先とも手軽に連携できる点が強みです。一方で、機能は基本的なものに絞られているため、Slackのような高度なカスタマイズ性や豊富な外部アプリ連携は期待できません。
- 全社で手軽にチャットを導入したい中小企業
- 社外パートナーとの連携が多い企業
- ITツールに不慣れなスタッフが多い企業
LINE WORKS(ラインワークス)
LINE WORKSは、多くの人に馴染みのあるLINEと同じ感覚で使える操作性が特徴のビジネスチャットです。導入時の教育コストがほとんどかからず、既読機能により伝達状況の把握もしやすいため、現場への展開もスムーズに行えます。
掲示板・カレンダー・アドレス帳など、日本の業務現場でよく使われる機能が一通りそろっている点も魅力です。ただし、UIがプライベートのLINEと似ていることから、公私混同や誤送信のリスクには十分な注意が必要です。
- 中小企業や小売・飲食・介護など現場が多い環境
- 多店舗展開しているチェーンストア
WowTalk(ワウトーク)
WowTalkは、チャット機能に加えて日報・掲示板・安否確認などの社内コミュニケーション機能が豊富に搭載されたツールです。IPアドレス制限や操作ログの記録など、標準で高度なセキュリティ対策が施されており、安心して運用できます。
さらに、導入支援やマニュアル整備などサポート体制も充実しており、ITに不慣れな企業でもスムーズに導入できる点が魅力です。ただし、連携できる外部アプリは限定的であり、利用は月額課金制の有料プランのみとなります。
- 情報共有を一つのツールで一元化したい企業
- 社員のコンプライアンス意識を徹底させたい企業
- 全社で手軽にチャットを導入したい中小企業
Google Chat(グーグル チャット)
Google Chatは、GmailやGoogleカレンダー、ドライブといったGoogle Workspaceのサービス群と深く連携しているのが最大の強みです。各種ツールからシームレスにアクセスでき、追加コストなく利用できる手軽さがあります。ただし、機能は連携を前提としたシンプルな構成のため、単体での高度なカスタマイズ性や独自機能は多くありません。
- Google Workspaceを全社導入している企業
- Googleの各種サービスを業務の中心に置く組織
- シンプルでコストを抑えたいスタートアップ
Talknote(トークノート)
Talknoteは、チャットだけでなく、社員のコンディション可視化や「ありがとう」を伝える仕組みなど、エンゲージメントの向上に特化した機能が特徴です。
単なる業務連絡ではなく、組織の一体感を高める「社内文化づくり」や「共感の共有」を支援するツールとして活用されています。
ただし、タスク管理や外部連携など業務効率化に特化した機能は限定的であり、業務効率化に特化した機能面では他ツールと比較して制限がある場合もあります。
- 社員の離職率改善を目指す企業
- 組織の一体感や企業文化の醸成を重視する経営者
- 飲食・小売・介護などサービス業
direct(ダイレクト)
directは、写真への手書き指示やトランシーバーのような音声チャットなど、現場業務の効率化に特化したビジネスチャットです。
スマートフォンから直感的に操作でき、ITに不慣れな現場スタッフでも使いやすいよう設計されています。
その反面、デスクワークを中心とした職種でよく求められるOfficeソフトとの連携や高度なタスク管理機能には対応していないため、汎用的な業務チャットとしては用途が限定されます。
- 建設・運輸・インフラ業界
- 製造ラインや店舗など「現場」を持つ企業
- 写真や図面での報告・指示が多い職場
Discord(ディスコード)
Discordは、無料でも安定したボイスチャット機能が使える点が大きな魅力です。常時接続の音声チャンネルを仮想オフィスとして活用することで、リモート環境でも雑談や素早い相談がしやすくなります。
また、コミュニティ運営に適した構造を持ち、チャンネルの使い分けやロール(権限)管理も柔軟に対応できます。
一方で、もともとゲーマー向けに設計されているため、ビジネス向けの管理機能やセキュリティ面では専用ツールに比べて課題が残る点もあります。
- リモートワーク中心のスタートアップやIT企業
- クリエイターやWeb3関連のコミュニティ
- 社内の気軽なコミュニケーションを活性化させたい組織
社外とのビジネスチャットの基本マナー
社外の取引先とビジネスチャットでやり取りする際は、社内のような気軽なやり取りにならないよう注意が必要です。相手に不快感を与えないよう、言葉遣いや返信のタイミングなどに配慮し、節度を持って対応することが、信頼関係の構築につながります。
利用開始前に合意を得る
取引先とチャットで連絡を取り合うことについて、事前に許可を得ましょう。相手がチャット利用に慣れていない場合や、社内ルールで禁止されている可能性もあります。「今後、急ぎのご連絡はこちらのチャットでもよろしいでしょうか?」のように、相手の意向を確認しましょう。
プロフィールを整備する
相手が誰からの連絡かを一目でわかるように、プロフィール情報は正確に設定します。アイコンは自分の顔写真や企業のロゴなど、相手が認識しやすい画像にしましょう。名前はフルネームで、会社名と部署名も忘れずに記載します。これにより、相手に安心感を与えられます。
業務時間外の連絡を控える
チャットは即時性が高いツールですが、業務時間外に連絡を送る際は、相手の勤務体系や社内ルールに配慮することが重要です。緊急時を除き、相手が就業している時間帯にメッセージを送るのが基本です。
もし時間外に送る必要がある場合は、「夜分に失礼します。ご確認は明日以降で結構です」のように、ひと言添える配慮が大切です。
絵文字・スタンプの利用は相手に合わせる
絵文字やスタンプは、感情を補いコミュニケーションを円滑にしますが、社外の相手に使う際は慎重になるべきです。最初はテキストのみのフォーマルなやり取りを心がけ、相手が使ってきた場合に限り、こちらも同程度のトーンで返すぐらいが安全でしょう。インスタグラムのDMのような感覚で多用するのは避けるべきです。
長文や連続投稿を避ける
一つのメッセージで用件が完結するように、要点をまとめてから送るように心がけます。伝えたいことが複数ある場合は、箇条書きを活用すると読みやすくなります。
また、短い文章を連続で投稿する「連投」は、相手の通知を何度も鳴らしてしまうため、避けるべきマナー違反です。
「既読」を伝える方法
「既読」表示のないビジネスチャットでは、メッセージを確認したことを相手に伝えないと、「読んでいないのでは」といった不安や誤解を招くおそれがあります。
特に社外とのやり取りでは、メッセージを確認したことを、文章や絵文字などで適切に伝えましょう。
たとえば、「拝見しました」「確認のうえ、後ほどご連絡いたします」といった短いメッセージを添えるだけでも、相手に安心感を与えることができます。
普段からやり取りのある相手であれば、✅や👀などのリアクション機能を使って「読んだ」ことを示すのも効果的です。
また、すぐに返答ができない場合でも、「本日中にお返事いたします」「明日までにご連絡いたします」といった返信予定を伝えておくことで、誠実な印象を与えることができます。
ビジネスチャット導入で注意すべきポイント
ビジネスチャットは便利な反面、いくつかのデメリットもあります。導入前にこれらの点を理解し、対策を講じることで、トラブルを未然に防ぎ、スムーズな運用が可能になります。
コミュニケーションが過剰になる
手軽さゆえに、必要以上のコミュニケーションが発生し、かえって業務の集中を妨げることがあります。次々と届く通知に気を取られ、本来の業務が進まないという事態は避けなければなりません。通知設定を個別に最適化する、集中したい時間帯は通知をオフにするなどの自己管理が求められます。
情報が埋もれやすくなる
会話がスピーディーに進むため、重要な情報が次々と流れてしまい、後から見返すのが難しくなることがあります。大切な決定事項や依頼内容は、チャットで合意形成した後、タスク管理機能や情報ストックツール(Wikiなど)に別途記録するルールを設けることが有効です。
非公式なやり取りが増える
チャットの気軽さが、公私の区別を曖昧にしてしまう危険性があります。業務に関係のない雑談が長引いたり、過度に砕けた言葉遣いが定着したりすると、職場の規律が緩む原因になりかねません。ツールの利用目的を明確にし、あくまでも業務のためのコミュニケーションであることを全員で認識する必要があります。
セキュリティリスクを管理する
クラウドベースのサービスが多いため、不正アクセスや情報漏えいのリスクは常にあります。特に、個人所有のスマートフォンからアクセスを許可する場合は注意が必要です。二要素認証の設定を必須にする、アクセスできるIPアドレスを制限するなど、企業のセキュリティポリシーに準拠したツールを選定し、適切な設定を行うことが不可欠です。
ビジネスチャットのメリットを活かし、組織の成長を加速させよう
ビジネスチャットは、企業のコミュニケーションを変革し、生産性を大きく向上させる力を持っています。業務効率の向上だけでなく、従業員のエンゲージメント強化や、迅速な意思決定による事業機会の創出にもつながります。
導入を成功させるには、ツールの機能面だけでなく、デメリットや利用マナーの理解も欠かせません。導入目的を全社で共有し、利用ルールの整備や研修を丁寧に行うことが定着の鍵です。
一部部署からスモールスタートで始め、効果を検証しながら全社展開する方法も有効です。
メールとチャットの特性を理解し、適切に使い分けることで、コミュニケーションの質はさらに高まります。
本記事で紹介したポイントを参考に、自社に合った活用方法を見つけ、ビジネスチャットのメリットを最大限に引き出しましょう。
この記事をお読みの方におすすめのガイド5選【部署別紹介】
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