• 更新日 : 2026年9月17日

テレワークに必要なものとは?企業と働く人の準備を初心者向けに解説

Pointテレワークに必要なものは、企業と働く人で何が違う?

パソコンと社内システムは企業が用意し、働く人は自宅の作業環境を整えます。

  • 業務用パソコンは会社の貸与があるか先に確かめる
  • 机と椅子は長時間座れる高さか見直す
  • 質問先と返信の目安はルールで決めておく

機器だけそろえても、聞きたいことを聞ける場がないと手が止まります。費用の負担先も先に決めておくと、あとでもめません。

テレワークに必要なものは、企業が用意するパソコンや接続の仕組みと、働く人が整える通信環境や作業スペースに分かれます。どちらかが欠けたまま在宅勤務を始めると、社内システムにつながらない、聞きたいことが聞けないといった詰まりが起こります。この記事では、テレワークを初めて導入する企業の担当者と、これから自宅で働く人に向けて、準備するものと順番を整理しました。

テレワークに必要なものとは?企業と働く人が最初に確認すること

テレワークの準備は、会社が整える仕組みと、働く人が手元に置くものに分かれます。接続の手段を用意しても落ち着いて働ける場所がなければ長続きせず、機器がそろっても社内のファイルが開けなければ仕事は始まりません。

準備するものは企業と働く人で分かれる

企業は業務用パソコンと社内システムへの接続手段、働く人は自宅の通信環境と作業スペースを受け持つのが基本の形です。

この境界があいまいなまま始めると、「回線は誰が契約するのか」「モニター代は経費で落ちるのか」といった問い合わせが担当者に集中します。下の一覧を先に配れば、初日の混乱が減ります。

線引きは会社の規模や職種で変わるため、自社向けに書き換えてください。

分類 企業が用意するもの 働く人が用意するもの
端末 業務用パソコン、業務用スマートフォン 貸与がない場合のパソコン
通信 社内システムへの接続手段(VPNなど) インターネット回線、ルーター、LANケーブル
会議・連絡 Web会議ツール、チャットツール イヤホン、ヘッドセット、Webカメラ
業務管理 勤怠管理システム、タスク管理ツール 日報や進捗を書き込む時間
作業環境 在宅勤務手当、備品の貸出制度 仕事に使える机と椅子、モニター、照明
セキュリティ ウイルス対策ソフト、データの暗号化 のぞき見防止シート、書類の保管場所
ルール 就業規則、費用負担と情報管理の規定 ルールの確認と家族への共有

そろえる順番は、つながる環境から働く環境、運用の仕組みへ

通信と端末を先に確保し、次に机まわり、最後に報告や相談の仕組みを整えると手戻りが起きにくくなります。

順番を逆にすると、モニターを買いそろえたのに社内システムにつながらない、という事態が起こります。

まず業務用のパソコンと回線を用意し、社内のファイルが開けるところまで確かめます。そのうえで作業する場所を整え、最後に勤怠や進捗の共有方法を決めます。

テレワークで働く人が用意するものは?

働く人が整えるのは、自宅の通信環境と作業まわりです。買いに走る前に、会社の支給範囲を確かめておくと無駄がありません。

貸与がない場合は自前のパソコンを会社の基準に合わせる

新しく買うときも手持ちのパソコンを使うときも、スペックとセキュリティの条件を先に確かめます。

私物をそのまま業務に使うと、家族との共用や個人のソフトが漏えいの入り口になりかねません。

  • OSのバージョンとメモリ8GB以上、カメラとマイクの有無を確かめる
  • OSとソフトを最新に更新し、ウイルス対策ソフトを入れる
  • 画面ロックとログインパスワードを設定する
  • 家族と共用しているなら業務用のユーザーアカウントを分ける
  • BitLockerやFileVaultでディスクを暗号化しておく

業務ファイルの保存先も最初に決めておくと、あとから探さずに済みます。購入費やソフト代の補助が出るかも、会社に確かめておきたい点です。

インターネット回線は光回線を軸に選ぶ

自宅で長時間働くなら光回線、外出先での作業が多いならモバイルWi-Fiという分け方になります。

Web会議で画面を共有すると通信量が増えるため、動画視聴では足りていた回線でも音声が途切れることがあります。ルーターから離れた部屋なら、LANケーブルか中継機で安定感が変わります。

カフェなどの無料Wi-Fiは通信内容を見られるおそれがあるので、業務では使いません。

イヤホンやヘッドセットで会議の音声を安定させる

パソコン内蔵のマイクは周囲の音を拾いやすく、会議にはマイク付きのイヤホンかヘッドセットが向きます。

声が二重に聞こえる、家族の話し声が入るといったトラブルは、内蔵マイクが原因のことが目立ちます。数千円のものでも音の明瞭さは変わり、聞き返しが減るぶん会議も短く済みます。

にぎやかな場所ならノイズキャンセル機能付きが向きます。

机と椅子は長時間の作業に耐えるか見直す

自宅にある机と椅子で1日働けるかを確かめ、合わない部分だけを補うのが現実的です。

ダイニングテーブルでも、高さが合っていれば日々の作業はこなせます。

肩や腰に痛みが出るなら、机は高さ70cm前後、椅子は足の裏が床につく高さという目安から外れているのかもしれません。クッションやフットレストで姿勢が変わることも多く、買い替えは最後の手段です。

企業がテレワークで用意するものは?

企業が用意するのは、業務用の端末と、社外から安全に働ける仕組みです。ツールを選ぶ前に社内システムへのつなぎ方を決めると、そのあとの選択肢が絞り込めます。

業務用パソコンは会社から貸与する

テレワークで使うパソコンは、セキュリティソフトの導入と設定まで済ませたうえで会社から貸し出すのが基本です。

貸与であれば、OSの更新やウイルス対策ソフトの管理を会社側でまとめて見られ、退職時の返却でデータも回収できます。Web会議の多い職種にはカメラとマイクを備えた機種を選びます。

社内システムへの接続方式を先に決める

接続方式によって初期費用も情報漏えいのリスクも変わるので、ツール選びより先に決めます。

端末にデータを残さない方式ほど紛失時の被害は小さくなる一方、準備の手間や費用は増えます。

接続方式 特徴 向いているケース
リモートデスクトップ オフィスのパソコンを手元の端末から操作する。データは会社側に残り、導入費用も抑えやすい 今の業務をそのまま自宅で続けたい
仮想デスクトップ サーバー上の仮想環境にログインして使う。初期費用はかかるが安全性は高い 全社規模で情報管理を強めたい
クラウド型アプリ ブラウザからクラウド上のアプリを使う。設備投資がほとんど要らない 少人数ですぐに始めたい
会社パソコンの持ち帰り 業務用パソコンを持ち出し、VPN経由で社内につなぐ。紛失時のリスクが大きい オフラインでの作業が多い

勤怠管理システムで打刻と労働時間を記録する

出退勤の時刻を客観的に残す仕組みは、労働時間の管理を求める法令の面からも欠かせません。

自己申告のメールや表計算ソフトでも記録は残せますが、集計に手間がかかり、修正の履歴も追えません。パソコンやスマートフォンから打刻できるシステムなら、残業申請や休暇届も同じ画面で完結します。

中抜けを認めるなら、中断と再開の打刻ができるかも見ておきます。

連絡と進捗の共有はツールごとに役割を分ける

短い連絡はチャット、認識を合わせたい話はWeb会議、仕事の状態はタスク管理ツールと、担当を分けて使います。

メールだけで運用すると、宛先を選ぶ手間とあいさつ文で、ひとことの確認にも数分かかります。

ツール 担う役割 使う場面
チャット 短い連絡と質問 日々のやり取り、経緯を全員で追いたいとき
Web会議 認識合わせと相談 資料を見ながら話したいとき、定例や1on1
タスク管理ツール 仕事の状態の共有 担当と期限が決まった作業を追うとき

タスク管理ツールでは、未着手、進行中、確認待ち、完了といった状態で並べると、状況を説明するやり取りが要らなくなります。担当者と期限を必ず入れれば、宙に浮いた仕事も見つかります。

セキュリティ対策は端末・通信・保管をまとめて備える

ウイルス対策ソフト、通信の暗号化、書類の保管場所まで含めて対策を組み合わせます。

端末ごとの設定を個人任せにすると抜けが出るため、OSの更新やディスクの暗号化は会社側で統一して管理します。通信面はVPNで経路を守ります。

テレワークで働きぶりが見えない不安はどう解消する?

「本当に働いているのか」という不安は、監視ではなく記録の共有で薄れていきます。勤怠、タスク、報告に役目を持たせると、見えなかった部分が埋まります。

勤怠と進捗は別の仕組みで、全員が見える形にする

働いた時間は勤怠管理システム、仕事の中身はタスク管理ツールで見て、どちらもチーム全員が確認できる状態にします。

打刻の記録ばかり見ていると、長く働いた人が評価されるという誤った基準になりかねません。反対にタスクの完了数だけで判断すると、時間外労働が見えなくなります。

時間と成果は別の画面で確認します。

上司だけが見る管理表にすると、転記の作業が増えるうえ情報も古くなります。全員が直接書き込む一覧なら、手が空いた人が滞っている仕事に気づけます。

日報や朝夕の短い共有で仕事の流れをつかむ

朝に今日やること、夕方にできたことと詰まったことを共有すると、途中経過が見えるようになります。

長い日報は書く側の負担が大きく、次第に形だけのものになります。3行程度に絞り、詰まっている点を必ず1行入れると、読む側も助けを出しやすくなります。

監視色の強いツールは信頼を損ねやすい

画面を定期的に撮影するような仕組みは、不安を解消するより先に働く人の意欲を下げてしまいます。

見張られていると感じると、成果よりも「動いて見えること」を優先する行動が増えます。導入するなら、取得する情報の範囲と使い道を先に説明し、同意を得てから始めます。

実際には、打刻とタスクの共有だけでも不安は和らぎます。

テレワーク中の疑問や相談をすぐ拾うには何が必要?

テレワークで手が止まる原因の多くは、聞きたいことを聞けないまま時間が過ぎる点です。質問の置き場所と返事のタイミングを決めれば、疑問は早く拾えます。

質問はオープンな場所でやり取りする

個別のダイレクトメッセージではなく、チーム全員が見えるチャンネルに質問と回答を残します。

個別のやり取りは、同じ疑問を持つ人に届かないうえ、答えた内容もあとから探せません。公開の場なら、手が空いている人が先に答えられ、回答も繰り返し使えます。

質問専用のチャンネルを作り、初歩的な内容でも遠慮なく書いてよいと伝えておきます。

返信までの目安をあらかじめ決めておく

チャットは何分以内、メールは何時間以内といった目安を共有すると、待つ側の不安が消えます。

相手の状況が見えないぶん、返事がないと無視されたのか席を外しているのか判断できません。

急ぎは電話、当日中でよいものはチャットと決めておけば、催促の連絡も減ります。会議中や集中したい時間帯はステータス表示で示します。

短い定例と雑談の場を予定に入れる

毎朝15分の集まりと月1回の1on1を固定し、雑談の場も別に用意します。

朝の集まりでは、その日の予定と困りごとだけを話します。1on1ではチャットに書きにくい人間関係や評価の悩みを扱うと、相談のきっかけを待たずに済みます。

雑談は場がないと生まれません。専用チャンネルを作る、会議の冒頭に数分だけ近況を話すなど、負担にならない仕掛けが要ります。

参加は強制せず、出入りは自由にします。

テレワークのルールで決めておくものは?

テレワークに必要なものには、機器やツールだけでなく運用のルールも含まれます。あいまいなままだと、働く人も管理する側も判断に迷います。

就業時間と中抜けの扱いを明文化する

始業と終業の時刻、休憩の取り方、通院や送迎で席を外す場合の手続きを文書にします。

中抜けを認めるのか、認めるなら申請が要るのかが決まっていないと、部署ごとにばらばらの運用になります。勤務時間の途中に私用を挟める柔軟さは、テレワークの利点でもあります。

就業規則や労使協定に落とし込むところまで進めておきます。

通信費や備品代の負担先を決める

回線費用や電気代、備品の購入費について、会社が持つ範囲を先に示します。

在宅勤務手当そのものは、法律で支給が義務づけられているわけではありません。

ただし通信費や電気代を従業員に負担させるなら、就業規則に定めを置く必要があります。実費が出ているのに何も決めない状態が、いちばん揉めるもとです。

進め方 内容 向いているケース
定額の在宅勤務手当 月あたり一定額を支給する 計算の手間を減らしたい
実費精算 領収書をもとに使った分を払う 公平さを重視したい
会社が契約・貸与 回線や備品を会社名義でそろえる 台数が多く管理をまとめたい

私物のパソコンを使ってもらう場合の扱いも、あわせて決めます。

情報の持ち出しと保管の範囲を線引きする

社外に持ち出してよいデータや書類の範囲、保管の方法、廃棄の仕方まで取り決めます。

自宅のプリンターで印刷した資料をそのままゴミ箱に捨てる、といった行動は無意識に起こります。持ち帰ってよい書類を限り、印刷後の扱いまで示しておけば防げます。

人目のある場所では機密情報を開かない、という約束も共有しておきます。

テレワークに必要なものは、企業と働く人の両方でそろえよう

テレワークに必要なものは、企業が用意する業務用パソコンや接続の仕組みと、働く人が整える通信環境や作業スペースに分かれます。どちらが何を持つのかを最初に表で共有し、つながる環境、働く環境、運用の仕組みという順にそろえていけば、途中でつまずきにくくなります。

そして在宅勤務を続けるうえで効いてくるのが、疑問をすぐ拾える仕組みです。質問を公開の場に置き、返信の目安を決め、短い定例で顔を合わせる。

この形が整っていれば、離れて働いていても仕事は止まりません。機器の準備と同じ熱量で、コミュニケーションの設計にも時間をかけてください。

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