- 更新日 : 2026年9月17日
テレワークのマネジメントはどうする?評価とコミュニケーションの進め方
姿が見えない前提で、任せ方・評価・会話の仕組みを作り直します。
- 仕事の区切りと期限を先に決める
- 成果に至る過程を記録に残して評価する
- 雑談の場を業務連絡と同じ場所に置く
稼働の監視を強めるほど、部下からの信頼は下がりやすくなります。
テレワークのマネジメントは、働く姿が見えない前提で、任せ方と評価、会話のルールを組み直す作業です。出社していたころのやり方をそのまま持ち込むと、進捗が見えない、評価がぶれる、会話が減るというつまずきが起きます。この記事では、在宅勤務の従業員に対する管理の進め方から、評価基準の見直し方、コミュニケーションの設計まで順に説明します。
テレワークのマネジメントは出社時と何が違う?
大きく変わるのは、部下の様子を目で確かめられなくなる点です。表情や手の止まり方から察していた情報が入らなくなるため、確認の仕方そのものを組み替えることになります。
部下の働く様子が見えない前提で組み立てる
テレワークでは「見ていればわかる」が成り立たないため、必要な情報は本人から出してもらう形に変えます。
オフィスでは、席にいるか、誰かと話し込んでいるか、資料を広げて悩んでいるかが視界に入っていました。在宅勤務ではその手がかりが消えるので、困っているかどうかも本人が声を上げない限り伝わりません。管理する側は「察する」から「聞き出す」へ、役割が入れ替わります。
声をかけるきっかけをあらかじめ日程として決めておくと、部下の側からも相談を出しやすくなります。
経過ではなく区切りごとの確認に切り替わる
常時見守ることができない以上、成果物や中間地点で確かめる形が現実的です。
出社していれば、作りかけの資料を横から見て方向のずれに気づけました。テレワークでは、着手前の認識合わせ、途中での一度の確認、提出時のレビューという区切りを作っておくと、手戻りを小さく抑えられます。
方向性を大きく左右する作業なら、全体の2〜3割まで進んだ段階で一度見せてもらうと安心できます。
伝わったかどうかを毎回確かめる必要がある
文字のやり取りは受け取り方の幅が広く、指示の解釈がずれたまま作業が進むことがあります。
対面なら、相手が首をかしげた時点で言い直せました。チャットではその反応が見えないため、送った側は伝わったつもりのまま、受け取った側は自分の解釈で手を動かします。依頼のあとに「どう進めるつもりか」を一言返してもらうだけで、方向のずれは早い段階で見つかります。
テレワークのマネジメントで管理職がつまずくのはどこ?
つまずきは、情報が届かないことから連鎖して起きます。よくある行き詰まりを順に見ていきます。
進捗が見えず、達成度の判断が遅れる
各メンバーがどこまで進んだか把握できないと、チーム全体の遅れに気づくのが締め切り直前になります。
パーソル総合研究所の調査では、テレワーク中の部下を持つ上司の不安として最も多かったのが業務の進捗のわかりにくさで、46.3%にのぼりました。
個々の作業が止まっていても表面化しないまま日数が過ぎ、締め切り前に一気に問題が噴き出す流れになりがちです。遅れを早く拾える置き場を用意しない限り、この構図は変わりません。
出典:パーソル総合研究所「テレワークにおける不安感・孤独感に関する定量調査」
会話量が減り、認識のずれに気づけない
雑談や立ち話がなくなると業務連絡だけが残り、細かな食い違いを埋める機会が失われます。
「ちょっといいですか」の一言で解決していた疑問が、チャットに書くほどでもないと判断されて放置されます。小さな疑問がたまると、完成間際になって前提の違いが表面化します。
従業員の側にも「さぼっていると思われていないか」という不安があり、余計な相談を控える動きにつながっているものです。
過程が見えないため成果だけの評価に偏る
どう進めたかが見えないと、出てきた結果だけで判断せざるを得なくなります。
難しい案件を粘り強く進めた人と、条件に恵まれて数字が伸びた人が同じ評価になれば、納得感は下がります。評価する側も判断材料が乏しいまま点をつけることになり、評価者ごとのばらつきが大きくなります。
テレワークを前提にしていない評価制度をそのまま使っていることが、ずれの土台になっている場合も少なくありません。
勤務時間の実態がつかめず長時間労働を見逃す
始業と終業の境目が曖昧になり、申告されない残業が積み上がることがあります。
通勤という区切りがなくなると、夕食後に作業を再開したり、休日にメールを処理したりする働き方が定着しやすくなります。
本人が自覚しないまま総労働時間が伸び、体調に響いてから発覚する流れも起きます。打刻の記録だけを眺めていても、この動きは捉えられません。
テレワークの従業員はどうマネジメントする?
進め方の軸になるのは、任せる範囲と確認の頻度をあらかじめ決めておくことです。日々の運用に落とし込む手順を見ていきます。
仕事を「完了の形」まで具体化して渡す
依頼するときは、何がそろえば終わりなのかを言葉にして共有します。
「資料をまとめておいて」では、分量も想定読者も相手の想像に委ねられます。誰が読むのか、どのくらいの分量か、どの数字を入れるのか、いつまでにどこへ置くのかまで示すと、作り直しはほとんど起きません。口頭で伝えた依頼も、チャットに一行残しておくとあとから参照できます。
タスクと期限を全員が見える場所に置く
誰が何をいつまでに担当しているかを、一覧で開ける状態にします。
表計算ソフトの共有ファイルでも、タスク管理ツールでもかまいません。大事なのは、聞かなくても状況がわかることです。
担当・作業内容・期限・現在の状態が並んでいれば、上司は確認のための連絡を減らせますし、メンバー同士も手が空いたときに助け合えます。更新の手間が大きいと形だけのものになるので、入力項目は絞っておきます。
週次と日次で確認の粒度を分ける
毎日の短い共有と、週に一度のまとまった振り返りを使い分けます。
朝の10分ほどで当日の予定と詰まっている点だけを出し合い、週の終わりに成果と翌週の重点を確認する形が回しやすいところです。
毎日長い会議を開くと作業時間を圧迫し、逆に週一度だけだと遅れの発見が遅くなります。日次は短く、週次は深くと役割を分けておくと、どちらも続きます。
体調や気分の変化は1on1で拾う
数字に出ない変化は、定期的な一対一の面談で確かめるのが確実です。
進捗確認と混ぜてしまうと、詰められる時間だと受け取られて本音が出にくくなります。仕事の話は別の場で済ませ、面談では困っていること、働き方の希望、体調の変化などに時間を使います。隔週で30分ほどでも、変化に気づく感度は大きく変わってきます。
テレワークでの評価はどう見直す?
評価の納得感は、何を見て点をつけるのかを先に決められているかどうかで決まります。制度そのものに手を入れる場面も出てきます。
成果と時間の関係を評価の軸として決めておく
長く働いた人が高く評価される仕組みのままでは、テレワークとかみ合いません。
労働時間を加点材料にすると、育児や介護で時短勤務を選ぶ人は同じ成果を出しても評価が下がります。テレワーク支援を手がける企業のなかには、成果を投入した時間で割って捉える考え方を採るところもあります。
限られた時間で結果を出した働き方が正しく評価される形にしておくと、短い時間で効率よく進める動機も生まれます。
過程は記録の残る形に置き換えて見る
目で見られない過程は、日報やタスクの更新履歴といった記録で代わりにします。
商談の記録、レビューのやり取り、タスクの完了日時などは、あとから追える情報です。どこで工夫し、どこでつまずいたかが残っていれば、結果だけでは見えない働きぶりを評価に反映できます。
ただし、評価のためだけに記録を増やすと本業を削るので、日常業務で自然にたまるものを使うのが現実的です。
評価基準を評価者の間で言葉にそろえる
同じ行動を見ても評価者によって点が変わるようでは、制度への信頼は続きません。
「主体性がある」「連携が取れている」といった表現は、人によって思い浮かべる場面が違います。どんな行動が当てはまるのかを具体例で示し、評価者どうしですり合わせの場を持つと、ばらつきは小さくなります。
評価を伝えるときも、どの行動を見てその判断になったのかを添えると、本人が次に何をすべきかが見えてきます。
評価面談の頻度を出社時より上げる
半年に一度だけの面談では、テレワーク下での認識のずれを直しきれません。
日常的な会話が少ない分、評価の場が数少ないすり合わせの機会になります。四半期ごとに中間の確認を挟むと、期末に「そんな評価だとは思わなかった」という反応が起きにくくなります。
短い面談でも、目標の進み具合と期待している点を伝えるだけで受け止め方は変わってきます。
テレワークのコミュニケーションはどう設計する?
会話は自然発生に任せず、どの手段をいつ使うのかを決めておきます。ツールを導入するだけでは会話は増えません。
同期と非同期の使い分けを先に決める
すぐ返事が要る話は通話、残しておきたい話はチャットと、手段を用件で分けます。
基準を決めずにいると、急ぎでない用件で通話が飛んできて作業が細切れになったり、逆に急ぎの用件がチャットに埋もれたりします。次のような目安をチームで共有しておくと、迷いが減ります。
| 手段 | 向いている用件 | 使いどころ |
|---|---|---|
| Web会議・電話 | 判断が割れている議題、認識合わせ、感情が絡む話 | その場で終わらせたいとき |
| チャット | 決定事項の共有、資料や作業の依頼、日々の相談 | あとから検索したいとき |
| メール | 社外とのやり取り、正式な通知 | 記録を正式に残したいとき |
返信を待つ時間の目安を共有する
どのくらいで返事が来るかがわかっていれば、待つ側の不安が減ります。
チャットは半日以内、メンション付きは2時間以内、急ぎは電話といった目安を決めておきます。あわせて、集中したい時間帯を各自が表示できるようにしておくと、すぐ返せないことへの後ろめたさもなくなります。
反応が遅い人を責める運用にすると、常にチャットを見張る状態になり、かえって生産性を落とします。
雑談を業務連絡と同じ場所に置く
雑談専用の場をわざわざ別に作るより、普段の会話の流れに混ざるほうが続きます。
「雑談しよう」と別の場所へ移動する動きは、オフィスでは起きていませんでした。業務のやり取りの合間に日常の話題が入ることで、相手の人となりが伝わり、相談することへの心理的な負担も下がります。
オンラインの朝礼で話題をひとつ決めて一言ずつ話す、といった軽い仕掛けから始めるのも手です。
文字だけで伝わりにくい話は音声に切り替える
やり取りが3往復を超えたら、通話に切り替えたほうが早く片づきます。
認識がずれたまま文字で説明を重ねると、双方の疲労だけが増えていきます。5分の通話で終わる内容に、チャットで30分かけている場面は珍しくありません。
「少し電話してもいいですか」と気軽に言える空気があるかどうかが、この切り替えを左右します。
テレワークのマネジメントで避けたい進め方は?
よかれと思って導入した仕組みが、逆に生産性を下げてしまうこともあります。つまずきやすい進め方を確認しておきます。
稼働の監視を強めるほど信頼が落ちる
画面の撮影や操作の記録で在席を確かめる方法は、成果よりも不信感を生みます。
見張られていると感じた従業員は、評価されるための動きを優先し、自発的な工夫をしなくなります。管理する側も監視結果の確認に時間を取られ、本来の仕事が圧迫されます。
自由にしすぎればさぼりや働きすぎを招くのも事実なので、緩やかな枠を決めたうえで、その中は本人に任せる形が落としどころになります。
報告のための作業が増えて本業を圧迫する
日報・週報・進捗会議が重なると、報告そのものが仕事の中心になってしまいます。
不安を埋めようとして確認の場を足していくと、部下の一日が報告作業で埋まります。同じ情報を複数の場所に書かせていないか、その報告を実際に読んで何かに使っているかを見直すと、削れるものが見つかります。
報告を減らすかわりに、タスクの一覧を常に最新に保つ運用へ寄せる方法もあります。
出社組と在宅組で情報量に差が出る
オフィスで決まった話が在宅の人に届かないと、参加している実感が薄れていきます。
立ち話で方向が決まり、共有されないまま進むと、在宅のメンバーはあとから結果だけを知らされます。会議は全員がオンラインでつなぐ、決定事項は必ず文字で残すといったルールを設けると、差は縮まります。
昇進や重要な案件の割り当てに偏りが出ていないかも、定期的に見ておきたい点です。
ルールを決めただけで運用を見直さない
導入時に作った決まりは、実態に合わなくなっても残り続けます。
全員が在宅だったころのルールを、出社が混ざる今の体制にそのまま当てはめていないでしょうか。半年に一度は、使われていない仕組みや負担ばかり大きい手順をメンバーに聞いて整理します。
現場から出た不満を拾って直していく動き自体が、制度への信頼を支えることになります。
テレワークのマネジメントは仕組みづくりから始まる
テレワークのマネジメントで成果を左右するのは、個々の管理職の頑張りではなく、任せ方・評価・会話をどこまで仕組みに落とし込めているかです。仕事の完了条件を具体的に伝えて渡し、タスクと期限を全員が見える場所に置き、日次と週次で確認の粒度を分ければ、進捗が見えない不安は小さくなります。
評価は、労働時間の長さではなく限られた時間で出した結果を見る形に組み替え、判断の根拠になる記録が日常業務のなかで残るようにします。会話は、同期と非同期の使い分けや返信の目安を決めておくと、在宅勤務でも認識のずれが起きにくくなります。
監視を強める方向ではなく、緩やかな枠のなかで任せる設計を選び、半年ごとに運用を見直していきましょう。
この記事をお読みの方におすすめのガイド5選【部署別紹介】
最後に、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
経理担当者向け
①Excel関数集 32選まとめブック
経理担当者の方をはじめ、ビジネスパーソンが知っておきたい便利なExcel関数集を初級~上級までギュッと網羅。新人社員の研修用などにもお使いいただけます。Google スプレッドシートならではの関数もご紹介しています。
②勘定科目・仕訳辞典(税理士監修)
勘定科目・仕訳に関する基本知識、および各勘定科目の仕訳例を具体的かつ網羅的にまとめた、50ページを超えるガイドを無料で提供しております。お手元における保存版としてでだけでなく、従業員への印刷・配布用としてもぜひご活用ください。
人事労務担当者向け
①入社・退職・異動の手続きガイドブック
書類の回収・作成・提出など手間のかかる入社・退職・異動(昇給・昇格、転勤)の手続き。
最新の制度をもとに、よくある質問やチェックポイントを交えながら、各手続きに必要な情報をまとめた人気のガイドですす。
②社会保険・労働保険の手続きガイド
企業において社会保険および労働保険の加入・喪失手続きは必ず発生し、手続きを誤れば保険事故が発生した際に従業員が不利益を被る可能性があります。
各保険の基本的な手続き方法を入社・退職・異動のシーン別にギュッとまとめた分かりやすいガイドです。
総務・法務担当者向け
契約書ひな形まとめ30選
業務委託契約書や工事請負契約書…など各種契約書や、誓約書、念書・覚書、承諾書・通知書…など、使用頻度の高い30個のテンプレートをまとめた、無料で使えるひな形パックです。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
-
# 業務効率化の基本
飲食店のQSCとは?向上させる5つのステップとチェックシート、企業事例を紹介
QSCとは、マクドナルドを世界的チェーンに育て上げたレイ・クロックが生み出した飲食店経営を成功に導くための行動指標です。QSCは「Q=Quality」「S=Service」「C=C…
詳しくみる -
# 業務効率化の基本
Teamsの文字起こしで会議業務を効率化するには?使い方を解説
Teamsの文字起こしとは? Teamsの文字起こしは、会議中の発言を話者名・タイムスタンプ付きでリアルタイムにテキスト化できる機能です。 議事録作成・聞き漏れ防止に役立つ 精度は…
詳しくみる -
# 業務効率化の基本
バックオフィスDXでどう変わる?各部門の進め方や連携に強いツールを紹介
バックオフィス業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)は、企業の生産性向上と業務効率化に直結する重要な取り組みです。この記事では、バックオフィスDXの概要から進め方、メリット…
詳しくみる -
# 業務効率化の基本
AXをビジネスコンサルティングに活用するには?アイデアや具体例を解説
企業がAX(AIトランスフォーメーション)を進める際、外部の専門知識を持つコンサルティングを活用することも一つの手です。AIを導入しても活用しきれないという企業の課題に対し、外部の…
詳しくみる -
# 業務効率化の基本
議事録は意味ない?役割と必要性を見極める書き方や効率化のコツ
議事録は本当に意味ないのか? 議事録が意味ないと感じる原因は、目的の不明確さと運用の仕組み不足にあります。 会議の目的を絞り役割を整理する 議事録の担当者を明確に決める 音声やAI…
詳しくみる -
# 業務効率化の基本
ルーティンとは?意味や使い方、続けるコツ、ビジネスに重要な理由を解説
ルーティンとは、決められた動作を繰り返すことを意味する言葉です。ビジネスにルーティンを取り入れると、業務効率化やミスの削減などさまざまな効果が期待できます。本記事では、ルーティンの…
詳しくみる




