• 作成日 : 2025年8月8日

コンカフェ開業ガイド!資金や年収の目安、資格、手続きまとめ

コンカフェ(コンセプトカフェ)を開業したいと考えたとき、何から始めればよいのか、どれだけお金が必要なのか、不安になる人は多いです。この記事では、開業資金や資格、年収の目安、手続きの流れなど、コンカフェを開業するために押さえるべき基本情報をまとめました。開業するために必要なポイントをわかりやすく紹介します。

コンカフェとは?

コンカフェとは、特定のテーマや世界観に基づいた演出・接客・空間づくりを行うカフェ業態のことです。メイドカフェや執事カフェ、アニメ・ゲームをモチーフにした店舗などが代表例です。

コンカフェは、飲食だけでなく、衣装、接客、空間演出を含めた“体験”を提供する点が特徴で、お客様は非日常的な空間や体験を求めて来店し、店舗独自の雰囲気を楽しむことが目的となります。

コンカフェは、コンセプトを通じてキャストや世界観のファン(リピーター)を育てることで、安定した経営を目指せるビジネスモデルです。しかし、競争が激しい業界であるため、リピーターの獲得は、継続的なイベント企画やSNSでの発信、キャストの育成といった地道な努力が求められます。

コンカフェを開業するメリット

コンカフェは小規模でも運営しやすく、内装や接客で強い差別化が図れます。飲食業にありがちな原価リスクを抑えつつ、イベントや物販による追加収益も見込めます。少人数で回せるため人件費を調整しやすく、副業や個人事業として始める人も多くなっています。

コンカフェの開業にかかる資金

コンカフェの開業資金は店舗の規模や立地、コンセプトによって大きく変わります。日本政策金融公庫の調査では、飲食店全体の開業資金の平均値は1,000万円です。

コンカフェの場合、内装や衣装への投資額で大きく変動しますが、小規模な居抜き物件で数百万円から、都心部のスケルトン物件で1,500万円以上まで、幅広い資金計画が考えられます。

テナントを借りて10坪〜20坪程度のコンカフェを始める場合、最低でも300万円〜1,000万円程度の初期費用がかかることが一般的です。この中には、内装工事費、厨房設備費、物件取得費(保証金・礼金など)、備品・家具、衣装代、広告宣伝費などが含まれます。

さらに、開業後すぐに黒字化できるとは限らないため、運転資金として3〜6ヶ月分の人件費や仕入費を別に確保しておく必要があります。全体で500万円〜21,500万円が目安です。

一方、小規模な間借り店舗や、既存の居抜き物件を最大限に活用する場合は、200万円〜500万円前後で始められるケースもあります。

開業のための費用

コンカフェを開業する際の費用の目安は200万円〜1,500万円です。

主に以下の費目で構成されます。

項目金額目安(15坪の場合)解説
物件取得費50万〜300万円賃貸であれば家賃の6〜10ヶ月分相当が相場。敷金・礼金込み。都心部や繁華街は高額になりがち。
内装・工事費100万〜800万円以上坪単価10万〜50万円。コンセプトを具現化する内装や照明、音響設備により変動。
備品・什器費30万〜100万円テーブル、椅子、コンセプトに合わせた装飾品、カトラリー、食器など。
衣装・小物費10万〜50万円コンセプトに合わせたスタッフ衣装、小道具など。人数やデザインにより変動。
広告・採用費30万〜100万円開業前後の集客・スタッフ準備に必要。SNS広告や求人広告など。
合計200万〜1,500万円程度コンセプトの作り込み具合や、音響・照明設備、独自のシステム導入などで費用は大きく変動します。

節約する手段として、居抜き物件や中古設備の活用も選択肢になります。ただし、設備の老朽化による修繕費や、店舗の印象が変えづらいなどのデメリットもあるため、短期的な節約と長期的な運営コストのバランスを見極めることが大切です。

運営費用

コンカフェ開業後は、毎月の固定支出=運営費用が継続的に発生します。代表的な項目と目安は以下の通りです。

項目売上に対する割合目安
人件費(キャスト給与含む)30%〜50%
ドリンク・フード原価10%〜20%
家賃10%〜15%
光熱費5%
広告宣伝費・イベント費5%〜10%
その他雑費(消耗品、衣装補修費など)5%〜10%
合計約70%〜90%

コンカフェは一般的な飲食店と比較して、キャストへの給与を重視するため、人件費の割合は30%〜50%と高くなる傾向があります。一方で、フード・ドリンク原価は10%〜20%に抑えるのが一般的です。

FLコスト(原価+人件費)の合計が飲食店の平均より高くなるケースも多く、客単価を上げる工夫が不可欠です。

ドリンクやフードの原価率を抑えつつ、提供する体験価値で客単価を上げる戦略が重要です。また、イベント開催やSNSを活用した集客で、客数を安定させることも求められます。

例として、月商150万円の店舗で考えると、 → 人件費・原価で90万円、家賃・光熱費などで40万円、合計130万円が支出。 → 残り20万円が利益または予備資金になります。 開業初期は売上が安定しないため、運転資金として3〜6ヶ月分の運営費を確保しておくのが現実的です。

コンカフェの資金の調達方法

開業資金の準備には、自己資金だけでなく、外部からの資金調達も視野に入れる必要があります。主な方法は以下の通りです。

  • 日本政策金融公庫(JFC):新規創業者への融資を積極的に行っており、事業計画をしっかり作り込むことで、無担保・無保証人で融資を利用できる可能性もある。飲食店の利用実績が豊富。
  • 信用金庫や地方銀行:地域密着型で柔軟に相談しやすい。融資審査では自己資金の割合が重要視される。
  • 親族・知人からの借入:契約書を交わしてトラブルを避ける工夫が必要。
  • クラウドファンディング:開業前からファンを作る手段にもなりうる。

金融機関によっては、事業計画書の内容次第で融資条件が大きく変わるため、しっかりとした事業計画の作成が不可欠です。特にコンカフェは、コンセプトや収益モデルが一般的な飲食店と異なるため、具体的な収益化への道筋を明確に提示することが必要になります。

コンカフェの開業スタイル

コンカフェを開業する方法には、店舗型や間借り、フランチャイズなどいくつかのスタイルがあります。それぞれ初期費用や運営方法、営業の自由度が異なるため、目的や経験、資金に合った形を選びましょう。

店舗型のコンカフェ

最もオーソドックスなのが、テナントを借りて営業する店舗型です。都市部や繁華街、アニメ・サブカルチャーの聖地などに店舗を構え、独自のコンセプトに基づいたサービスを提供します。店内の内装や演出に徹底的にこだわり、ブランドや世界観を作り込みやすい点が強みです。

ランチやディナーだけでなく、イベント開催やグッズ販売などで収益の幅も広がり、常連客がつけば安定した経営も見込めます。一方、初期費用や毎月の固定費が大きいため、資金計画と経営管理が欠かせません。

間借りでスタートするスタイル

他店の営業時間外や空きスペースを活用する間借り型の開業もあります。既存のカフェやバーの厨房・客席を使い、ランチタイムや特定の曜日・時間帯だけコンカフェとして営業する形が主流です。

初期費用は100万円台からで済むことも多く、テスト出店や副業としての運営にも向いています。独自のコンセプトの検証や、顧客の反応を見ながら徐々に規模を拡大したい場合に有効です。ただし、営業時間の制限や厨房設備の使い方にはルールがあるため、契約前に確認が必要です。

フランチャイズ加盟で始めるスタイル

仕入れルートやメニュー、運営ノウハウがパッケージ化されているフランチャイズは、ブランドの看板や運営ノウハウ、仕入れルートが整っているため、開業後の立ち上げがスムーズに進む点がメリットです。特にコンカフェ運営のノウハウがない場合や、特定の人気ブランドの傘下に入りたい場合に検討価値があります。

一方で、初期費用とは別にロイヤリティの支払いが必要となり、価格設定やメニュー構成、イベント内容の自由度も制限されます。自由な店づくりを望む場合は、慎重に検討する必要があります。

コンカフェを開業するまでの流れ

コンカフェを開業するには、コンセプト設計から事業計画、物件選定、行政手続き、スタッフ採用まで、段階的に準備を進める必要があります。準備不足やスケジュールの遅れは、開業の延期やコスト増につながります。

1. コンセプト設計と事業計画書の作成

コンカフェの開業準備の第一歩は、世界観の明確化です。

「どのような客層に、どんな体験を提供するのか」を具体化し、制服・接客・内装・メニューなどが一貫するように設計します。

これに基づき、必要資金、月次収支、物販やイベントの収益見込みを含んだ事業計画書を作成します。日本政策金融公庫などから融資を受ける場合も、この書類の完成度が審査のポイントになります。

2. 資金調達と物件選定

コンカフェの事業計画が整ったら、自己資金と借入などの外部資金を組み合わせて資金調達します。

同時に物件も探し始めますが、コンカフェに適した立地は「駅近」「繁華街」「サブカルエリア」が多く、ターゲット層との接点がある場所を選びます。テナント契約から開業までは平均3ヶ月~半年程度を見込むことが多いですが、これもあくまで目安のため、余裕を持ったスケジュールを組むことが重要です。

3. 内装・厨房工事と人材採用

物件が決まったら、テーマに合った内装デザインと照明、音響などの設備工事を進めます。

同時に、キャスト(接客スタッフ)やキッチンスタッフの採用・研修も行います。キャストは世界観の表現者でもあるため、外見や接客スキルだけでなく、雰囲気づくりや演出力も重視しましょう。採用活動は開業の2〜3ヶ月前から動くのが理想です。

4. 行政手続きと許可の取得(届出先一覧)

コンカフェ開業には複数の行政手続きが必要です。特に「飲食店営業許可」と「深夜酒類提供届出」は開業前に必須です。

コンカフェ開業にかかる手続きと届出先一覧

手続き名届出先提出期限
開業届・青色申告申請税務署開業後1ヶ月以内/2ヶ月以内
給与支払事務所設置届税務署従業員雇用時
食品衛生責任者の登録保健所営業許可申請前
飲食店営業許可保健所営業開始の10日前まで
火気使用・防火届出消防署使用開始の7日前まで
防火管理者選任届消防署収容人数30人以上
深夜酒類提供届出警察署深夜営業をして酒類を提供する場合、営業開始の10日前まで
社会保険雇用保険適用手続き年金事務所・ハローワーク従業員雇用時
労災保険手続き労働基準監督署従業員雇用から10日以内

5. プレオープンと最終調整

オープン直前にはプレオープンを行い、運営体制の最終確認をします。

特に、キャストの接客スキル、コンセプト演出、イベントの流れなど、実際の現場で想定通りに機能するかをテストします。小さなトラブルや抜け漏れはこの時点で潰しておくことで、本開業の安心感が増します。

コンカフェ開業後の年収の目安

コンカフェの開業後、年収は月商と固定費・運営コストのバランスによって大きく変わります。立地・コンセプト・接客の完成度によっても収益差が出やすい業態です。

15坪前後の店舗で月商200万円を達成した場合の収益モデルを考えてみましょう。

例えば、FLRコスト(食材費+人件費+家賃)を70%(140万円)、光熱費・その他経費を15%(30万円)と仮定します。

この場合、月の営業利益は30万円(利益率15%)となり、年間の利益(オーナー年収)は約360万円と想定されます。

ただし、これはコンスタントな集客があってこそ成り立つ数字です。知名度やリピーターが育っていない開業初年度は、赤字または年収ゼロの可能性も十分考えられます。そのため、開業直後は特に、SNS発信やイベント開催などを活用した集客・認知活動が不可欠です。

継続的な来店促進と、客単価を上げる施策(限定メニュー、物販、チェキ撮影、ポイントカード制度など)を組み合わせることで、人気店となり年収800万円以上を達成するケースもあります

コンカフェの開業に必要な資格

コンカフェを開業するには、法律で定められた資格や各種届出が必要です。申請から許可までの期間や届出の期限は管轄の行政機関や申請内容によって変動するため、内装工事や人材採用と並行して、必ず事前に担当窓口に確認しながら準備を進めましょう。

保健所関連

  • 食品衛生責任者の資格取得
    飲食店には1名の設置が義務。栄養士・調理師などの資格を持っていない場合は、各自治体で実施される1日講習(座学)で取得可能。責任者資格を持つ者に対し、東京都の場合は証明のための食品衛生責任者手帳が付与される。(地域により異なる可能性あり)
    →営業許可申請時に保健所に手帳の提示が必要。
  • 飲食店営業許可の申請
    厨房や衛生設備が基準を満たしているか保健所の現地検査で確認される。申請から許可証の交付までは通常2〜3週間。厨房設計の段階から保健所に相談しておくとスムーズ。
    → 提出先:保健所/タイミング:営業開始の10日前までに申請。

消防署関連(火を使用する設備がある場合)

  • 火を使用する設備等の設置届
    ガスコンロやオーブンなど火気設備を設置する場合に必要。必要書類を提出するのみで、内容も比較的シンプル。
    → 提出先:消防署/タイミング:設置の7日前までに提出。
  • 防火対象設備使用開始届
    防火対象物や防火対象物の一部を新たに使用する場合に原則として届け出が必要。図面などの準備は必要だが、提出自体は短時間で済む。
    → 提出先:消防署/タイミング:使用開始の7日前までに提出。
  • 防火管理者選任届(収容人数30人以上の場合)
    大型店舗では防火管理者の選任が義務付けられる。講習(約2日)を受けて資格を取得し、その後に届出。
    → 提出先:消防署/タイミング:責任者の選任後遅滞なく。

警察署関連(深夜営業を行う場合)

  • 深夜酒類提供飲食店営業開始届出
    深夜0時から朝6時までの間に酒類を提供する場合に必要。図面や住民票など複数の書類準備が必要で、要件も細かいため事前の確認が必須。準備に1〜2週間は見込む。
    → 提出先:警察署/タイミング:営業開始の10日前までに提出。

風営法関連(接待行為がある場合)

  • 風俗営業許可(1号)
    キャストが客の隣に座る、ドリンク提供を受ける、密接な会話をするなど「接待」に該当する営業を行う場合は、風俗営業の許可が必要です。申請から許可までは2〜3ヶ月かかり、設備や照度、内装にも厳しい基準があります。営業形態が該当するか不明な場合は、警察署の生活安全課に事前相談を行いましょう。
    → 提出先:警察署(生活安全課)/タイミング:開業の3ヶ月前までに準備開始が目安

コンカフェの開業後に差がつく5つのコツ

競争の激しい飲食業界でコンカフェを長く続けるには、コンセプトの魅力やキャストの質だけでなく、戦略的な運営と日々の工夫が必要です。ここでは、開業後に差がつく5つのポイントを紹介します。

事業計画とコンセプトを練り込む

開業時に作成する事業計画書は、融資申請のためだけでなく、経営判断の基盤にもなります。売上予測や原価、人件費、イベントや物販による収益も含めて具体的に設計しましょう。

「誰に・何を・いくらで・どんな体験を届けるか」を言語化し、ターゲットに合う演出やメニューを設計することが大切です。例えば、特定のファン層向けイベントやオリジナルグッズの展開など、多角的な収益化を前提に考えると安定しやすくなります。

立地と競合を正しく見極める

立地は売上に直結します。コンカフェは特に、若者や観光客が集まりやすいエリアが向いており、サブカルチャーの発信地やアニメ系のショップが集まる繁華街などが候補です。

周辺にある同業他店の価格帯やコンセプトを調査し、競合と同じ土俵に立つのではなく、「キャストの魅力」「イベントのユニークさ」「SNS発信力」など、自分たちだけの強みを明確に伝える工夫が必要です。

人材の確保と育成を先手で行う

キャストはコンカフェにとって最大の魅力です。オープン前から採用活動を始め、雰囲気や接客スタイルがコンセプトに合う人材を選定しましょう。未経験者も採用するなら、研修プログラムを早めに整えておくことが効果的です。

また、キャストの定着には、給与体系の工夫やイベントを通じたやりがいづくりや、働きやすい環境が欠かせません。スタッフがモチベーション高く働けることが、お客様の満足度とリピート率を高めます。

SNS・キャンペーンを活用した集客

SNSは、コンカフェにとって最も効果的な集客ツールのひとつです。X(旧Twitter)やInstagram、TikTokなどで、店舗の雰囲気やキャストの紹介、イベント告知などを発信しましょう。

SNSでの露出が増えると認知度が高まり、来店動機につながります。さらに、テーマイベントや限定メニュー、割引企画などを組み合わせて話題を作ると、新規来店とリピーターの両方に効果があります。

専門家を味方にする

開業前後は、資金調達・届出・税務処理などやるべきことが山積みになります。税理士や認定支援機関などの専門家に相談することで、事務作業の負担を減らし、経営判断の精度も高まります。

特に、日本政策金融公庫の融資を受ける場合は、事業計画の完成度が審査に直結します。開業後も定期的に相談できる体制を作っておくと、トラブルの回避にも役立ちます。

コンカフェ開業はコンセプトとSNSが決め手

コンカフェを開業するには、明確なコンセプト設計、資金計画、資格や届出の確認、そして継続的な集客施策が必要です。初期費用や運営の工夫次第で、小規模でも十分に開業できます。

人気店に育てるには、SNS活用やキャスト育成、顧客体験の充実が欠かせません。この記事を参考に、現実的で戦略的な準備を進めてください。


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