• 作成日 : 2026年5月7日

特地勤務手当とは?支給対象・計算方法・支給期間を解説

Point特地勤務手当は何を基準に支給されるのでしょうか?

特地勤務手当は、離島など生活条件が不便な特地官署で働く職員に支給される手当です。

  • 対象は特地官署勤務
  • 金額は俸給等×支給率
  • 準ずる手当は異動起点

地域手当は賃金水準、特地勤務手当は勤務地の不便さを調整します。

特地勤務手当は、離島や山間部など生活条件が不便な勤務地で働く職員に支給される手当です。ただ、特地官署とは何か、誰が対象になるのか、どのように計算するのか、特地勤務手当に準ずる手当と何が違うのかまでは分かりにくいと感じやすい制度でもあります。

この記事では、特地勤務手当の意味、支給対象、算出方法や支給期間などを解説します。

目次

特地勤務手当とは?

特地勤務手当は、離島など生活条件が不便な地域にある官署で勤務する職員に支給される手当です。着目点は地域の賃金水準ではなく、勤務地の不便さにあります。そのため、民間賃金との均衡を図る地域手当とは制度目的が異なります。

参考:人事院規則九―四九(地域手当)|e-Gov 法令検索

特地勤務手当は勤務地の不便さを補うための手当

特地勤務手当は、離島その他の生活の著しく不便な地に所在する官署で勤務する場合に支給される手当です。いわば「働く場所の条件」を補正する仕組みであり、同じ勤務地関連の手当でも、地域手当のように物価や賃金水準を調整するものではありません。

参考:特地勤務手当等の運用について|人事院

対象は特地官署と準特地官署

対象になるのは、制度上「特地官署」として定められた官署です。判断は都道府県単位ではなく、勤務する官署が指定されているかどうかで行われます。そのため、同じ県内でも対象となる官署とならない官署があります。実務では、具体の官署名は別表などで確認する形になります。

「特地勤務手当に準ずる手当」は異動と住居移転を前提にした別の仕組み

特地勤務手当が特地官署に勤務していることを軸にするのに対し、特地勤務手当に準ずる手当は、官署を異にする異動や官署の移転に伴って住居を移した場合に支給されます。つまり、前者は特地官署で働く間の調整、後者は異動で生活基盤が変わることへの一定期間の調整という違いがあります。

民間企業の特地手当とは制度の成り立ちが異なる

民間企業でも、離島勤務や山間部勤務に対して特地手当に近い手当を設ける例はあります。ただし、民間には全国共通の統一ルールはありません。公務の特地勤務手当は、対象官署や算定の考え方が制度として明文化されている点に違いがあります。

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特地勤務手当の目的は?

特地勤務手当の目的は、生活上の不便さが大きい勤務地で働く職員の負担を給与面で調整することです。地域ごとの賃金水準に合わせる地域手当とは異なり、離島やへき地など「生活の著しく不便な地」に勤務すること自体に着目した制度です。

生活条件の不利を給与で調整するため

特地勤務手当は、生活条件が不便な勤務地で働くことによる不均衡を是正するための手当です。制度上、特地官署は「離島その他の生活の著しく不便な地に所在する官署」とされており、支給理由が民間賃金の高低ではなく、生活のしにくさに置かれている点に特徴があります。つまり、勤務地の条件差を放置せず、給与面で一定の調整を行うことで、勤務環境の不利をならす役割を持っています。

準ずる手当の目的は異動に伴う生活基盤の切替負担を補うこと

特地勤務手当に準ずる手当があるのは、異動や官署の移転によって住居を移す負担が一時的ではあっても無視できないためです。特地官署やこれに準ずる官署へ移る際、住居移転を伴えば、新しい生活基盤を整える負担が発生します。そのため、勤務地で働いている間の不便さを補う特地勤務手当とは別に、異動後の一定期間に限って支給する枠組みが置かれています。支給割合が経過に応じて下がる設計も、この手当が恒常的な補填ではなく、移行期の負担調整を目的にしていることを示しています。

特地勤務手当の支給対象はどのように決まる?

支給対象は、勤務先が特地官署に当たるか、また異動や官署の移転に伴って住居移転があったかで整理されます。特地勤務手当は勤務実態が軸であり、特地勤務手当に準ずる手当は異動等と住居移転の組み合わせが軸です。

支給対象は特地官署での本務勤務を基準に決ま

特地勤務手当は、特地官署に勤務していることが支給判断の中心です。この「勤務する」は、本務として特地官署に勤務していることを基本に捉えます。併任がある場合でも、引き続き1か月以上にわたり専らその業務に従事する予定があるなど、実質的に特地官署での勤務が中心なら対象になり得ます。

所属辞令、実際の勤務状況、従事予定期間を組み合わせて支給・不支給を整理し、結果は人事異動通知書などで示す運用です。

準ずる手当は異動等と住居移転の両方で判断される

特地勤務手当に準ずる手当は、官署を異にする異動または官署の移転があり、それが原因で当該官署に勤務するため住居を移した場合に支給対象となります。通勤可能なのに便宜上引っ越した場合は要件に当たりません。また、すでに支給を受けている途中で新たな異動等が生じたときは、従前の事由による支給が終了し、新たな事由による支給が始まることになります。

官署によっては冬期のみ支給される場合がある

特地勤務手当は、常に通年で支給されるとは限りません。官署によっては、冬期以外は支給しない扱いがあります。冬期は毎年11月1日から翌年3月31日までとされており、同じ特地官署勤務でも、通年支給か冬期限定かで扱いが分かれます。そのため、支給対象を確認する際は、官署が指定されているかだけでなく、官署ごとの別表上の取扱いまで確認する必要があります。

特地勤務手当の支給額と算出方法は?

特地勤務手当も、特地勤務手当に準ずる手当も、基本は「俸給月額+扶養手当月額」に一定割合を掛けて計算します。固定額ではなく割合計算のため、基礎額や勤務地区分、異動後の経過期間によって支給額が変わります。

特地勤務手当は基礎額に級別区分ごとの割合を掛けて算出する

特地勤務手当の月額は、俸給と扶養手当の月額合計に、官署の級別区分に応じた支給割合を掛けて求めます。級地が高いほど割合も高く、6級地が最も高い設定です。たとえば俸給30万円、扶養手当2万円、3級地12%なら、32万円×12%で月額3万8,400円となります。

級別区分 支給割合
6級地 25%
5級地 20%
4級地 16%
3級地 12%
2級地 8%
1級地 4%

準ずる手当も割合計算だが上限がある

特地勤務手当に準ずる手当も、俸給と扶養手当の月額合計を基礎に計算します。ただし、算出額には上限があり、現に受ける俸給と扶養手当の月額合計に6%を掛けた額を超えない扱いです。

準ずる手当は異動後の経過期間で支給割合が下がる

準ずる手当は、異動や官署移転からの経過期間によって支給割合が変わります。開始直後ほど高く、年数が経つと下がる設計です。これは、異動に伴う生活基盤の切替負担を一定期間調整する考え方を反映しています。

期間等の区分 対象区分 支給割合
異動等の日から4年に達するまで 特地官署(6〜3級地) 6%
特地官署(2〜1級地) 5%
準特地官署 4%
4年経過後5年に達するまで 区分共通 4%
5年経過後 区分共通 2%

なお、月額に1円未満の端数が出た場合は切り捨てられます。

特地勤務手当の支給期間は?

特地勤務手当の支給期間は、特地官署に勤務している状態に連動して決まります。特地勤務手当に準ずる手当は、異動や官署の移転に伴って住居を移したことを起点として始まり、一定期間で終了する仕組みです

特地勤務手当は特地官署に在勤している間に支給され

特地勤務手当は、特地官署に勤務していることに連動して支給される手当です。したがって、支給期間は「特地官署に在勤している間」が基本になります。ただし、すべての官署で通年支給されるわけではなく、官署によっては冬期に限って支給される扱いがあります。この場合の冬期限定とは、年の一部の月だけ支給対象になるという意味です。同じ特地官署勤務でも、通年支給なのか冬期のみなのかで扱いが変わるため、官署ごとの区分確認が前提になります。

準ずる手当は住居移転を伴う異動等を起点に一定期間支給される

特地勤務手当に準ずる手当は、官署を異にする異動や官署の移転があり、その結果として住居を移した日から支給が始まります。単に異動があっただけでは足りず、当該官署に勤務するための住居移転が支給開始の条件です。終期は、異動等の日から起算して一定年数に達する日をもって迎える構造で、途中で特地官署等に該当しなくなるなどの事情があれば、その時点で前倒しに終了します。

つまり、準ずる手当は恒常的な支給ではなく、異動後の生活基盤の切替期間を対象にした期間限定の手当です。

異動が重なった場合は従前の支給を終えて新たな支給に切り替える

準ずる手当は、一度支給が始まったあとでも、再び住居移転を伴う異動等があれば、従前の事由による支給を終了し、新たな事由による支給に切り替える扱いになります。そのため、異動の多い職員では、最初の支給をそのまま延長して考えるのではなく、どの異動を起点にしているかを都度整理する必要があります。

特地勤務手当と類似手当の違いは?

特地勤務手当は、生活条件が不便な勤務地で働くことを理由に支給される手当です。似た名称や似た場面で語られる手当はありますが、それぞれ何を調整する制度なのかが異なります。

【地域手当との違い】勤務地に着目する点は同じでも調整の根拠が異な

地域手当は、主に民間賃金の高い地域に勤務する職員に支給される手当です。これに対して特地勤務手当は、離島など生活の著しく不便な地に勤務することを理由に支給されます。どちらも地域差を反映する手当ではありますが、地域手当は賃金水準の差を調整する制度であり、特地勤務手当は生活のしにくさを調整する制度です。そのため、都市部で地域手当が支給される場合と、離島などで特地勤務手当が支給される場合とでは、同じ「勤務地に関する手当」であっても説明の組み立て方が変わります。

【寒冷地手当との違い】冬期支給の有無ではなく負担の内容で区別する

寒冷地手当は、寒冷地に勤務する職員に対して、寒さによる負担を補うために支給される手当です。支給時期が11月から翌年3月までとされる形で整理されるため、冬期に支給される点だけを見ると特地勤務手当と混同しやすい面があります。ただし、特地勤務手当の一部官署で冬期限定の扱いがあるのは、あくまで特地官署としての取扱いの一部です。寒冷地手当は寒冷という自然条件に基づく手当であり、特地勤務手当は生活条件の不便さに基づく手当という違いがあります。

参考:国家公務員の寒冷地手当に関する法律|e-Gov 法令検索

【特殊勤務手当との違い】勤務地ではなく職務内容を基準に区別する

特殊勤務手当は、著しく危険、不快、困難など特殊な勤務に従事する職員に支給される手当です。ここでの基準は勤務地ではなく、実際に行う職務内容や作業条件にあります。これに対し、特地勤務手当は、どのような仕事をしているかよりも、どこで勤務しているかが支給の出発点です。つまり、特殊勤務手当は仕事の中身に対する補償であり、特地勤務手当は勤務地の条件差に対する補償という違いがあります。

参考:人事院規則九―三〇(特殊勤務手当)|e-Gov 法令検索

【単身赴任手当との違い】異動後の生活形態を調整する点で異なる

単身赴任手当は、採用や異動に伴って住居を移し、やむを得ない事情で配偶者と別居しながら単身で生活する場合に関係する手当です。異動や住居移転が関わる点では、特地勤務手当に準ずる手当と似て見えることがありますが、調整の対象は別です。準ずる手当は、特地官署やこれに準ずる官署への異動に伴う生活基盤の切替を補う制度であり、単身赴任手当は単身生活そのものの負担を補う制度です。特地官署であること自体は、単身赴任手当の前提ではありません。

参考:人事院規則九―八九(単身赴任手当)|e-Gov 法令検索

特地勤務手当の全体像を押さえよう

特地勤務手当は、離島など生活条件が不便な勤務地で働く職員の負担を、給与面で調整するための手当です。支給対象は、特地官署に勤務しているかどうかに加え、異動や住居移転の有無によっても分かれます。支給額は俸給と扶養手当を基礎に割合で計算され、準ずる手当は経過期間に応じて段階的に下がる仕組みです。勤務地の指定、異動の経緯、住居移転の事実、支給期間、類似手当との違いを分けて整理すると、制度説明を進めやすくなります。


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