- 更新日 : 2026年2月19日
給与計算の代行には資格が必要?依頼できる業務内容や費用相場を解説
給与計算は資格がなくても代行可能ですが、業務範囲により有資格者の関与が必要です。
- 給与計算自体は資格不要
- 税務は税理士、労務手続きは社労士
- 複雑なケースは専門家に依頼するほうが安全
無資格の業者でも給与額の算出は可能ですが、年末調整や社会保険手続きなどは税理士・社労士の独占業務です。法令遵守の観点からも専門家の関与が推奨されます。
給与計算は毎月必ず発生し、法改正や労務・税務の知識が求められる複雑な業務です。担当者にとって負担となりやすく、ミスが許されないため、正確性と効率が両立できる体制づくりが重要です。
近年では、専門の外部業者に業務を委託する「給与計算代行サービス」が注目されています。本記事では、給与計算に資格は必要かという基本から、代行サービスの内容、依頼先ごとの特徴、メリット・注意点、費用相場を解説します。
目次
給与計算を行うのに資格は必要?
給与計算は企業活動に欠かせない業務ですが、「担当するために資格が必要なのか」という点は多くの方が疑問に感じやすい部分です。結論から言えば、給与計算そのものに必須の資格はありません。ただし、法律や制度への理解が欠かせず、知識量によって業務の正確性や負担感に差が生じます。
給与計算は資格なしでも対応できる業務
給与計算は法律上、特定の資格を持つ人だけが行える独占業務ではなく、一般業務として位置づけられています。そのため、企業の人事・総務・経理担当者が社内で対応することも可能です。実際、多くの企業では給与計算ソフトや勤怠管理システムを活用し、資格を持たない担当者が業務を担っています。正しい計算ルールを理解し、最新の制度に基づいて運用できていれば、資格がなくても給与計算を行うことは十分可能です。
また、業務負担やリスクを軽減する目的で、税理士事務所や社会保険労務士事務所、給与計算代行サービスなど外部に委託する選択肢も一般的に利用されています。
正確な給与計算には幅広い専門知識が求められる
資格は不要である一方、給与計算には高度で幅広い専門知識が必要です。残業代や割増賃金の計算には労働基準法の理解が欠かせず、控除額の算出には所得税法・住民税法、健康保険や厚生年金など社会保険制度の知識が求められます。これらの制度は毎年のように改正され、税率や保険料率も定期的に見直されるため、担当者は常に最新情報を把握し続ける必要があります。こうした実務能力を客観的に示す指標として、国家資格ではありませんが「給与計算実務能力検定」のような民間資格も存在し、労務・税務の知識や実務対応力を測る目安として活用されています。
この記事をお読みの方におすすめのガイド4選
続いてこちらのセクションでは、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを簡単に紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。
※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。
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給与計算の確認作業をゼロにすることはできませんが、いくつかの工夫により効率化は可能です。
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給与計算代行サービスとは?資格は必要?
給与計算代行サービスは、企業が自社で対応している給与計算業務を外部の専門業者に委託できる仕組みです。人事・労務担当者の負担を軽減し、業務の正確性を高める手段として多くの企業で利用されています。
給与計算代行サービスとは外部に給与計算業務を委託する仕組み
給与計算代行サービスとは、企業が毎月行う給与計算を専門の外部業者に任せるアウトソーシングサービスです。企業は勤怠データや従業員情報、給与規程などを委託先に共有し、その内容をもとに支給額や控除額の計算、給与明細の作成などを行ってもらいます。業者によっては、振込用データの作成やWeb給与明細への対応まで含まれる場合もあり、給与支給に関わる実務を省力化できます。主な提供者には、給与計算専門のアウトソーシング会社のほか、社会保険労務士事務所や税理士事務所があります。
給与計算代行サービスの提供自体に資格は必須ではない
給与計算代行は、法律上、特定の資格がなければ提供できない業務ではありません。そのため、資格を持たない民間のアウトソーシング会社でも、給与計算業務を請け負うことは可能です。ただし、業務内容には注意が必要で、社会保険の手続き代行や税務書類の作成など、一部の業務は法律により有資格者でなければ対応できません。代行サービスの範囲が給与計算のみに限られるのか、関連手続きまで含むのかによって、資格の有無が判断材料になります。
資格保有者に依頼することで正確性と安全性が高まる
給与計算代行を安心して任せたい場合は、社会保険労務士や税理士といった有資格者が関与している業者を選ぶことが有効です。これらの資格者は、労働法・社会保険制度・税法などに精通しており、法改正への対応や複雑なケースにも適切に対応できます。また、資格者には法律上の守秘義務が課されているため、給与情報や個人情報の管理体制においても一定の信頼性があります。ただし、資格の有無だけで判断するのではなく、実務経験や情報セキュリティ体制、過去の実績なども含めて総合的に判断することが重要です。
給与計算代行サービスに依頼できる業務内容は?
給与計算代行サービスでは、給与額を算出するだけでなく、税金や社会保険料の控除計算、給与明細の発行、年末調整、さらには社会保険関連の各種手続きまで幅広く対応できます。依頼先が社労士や税理士である場合は、法的に定められた独占業務まで任せられる点が特徴です。
毎月の給与・賞与計算と明細発行
給与計算代行の中心となるのが、毎月の給与と賞与の計算業務です。企業は勤怠データや社員ごとの支給条件を業者に提供し、そこから基本給、時間外手当、各種手当を含めた総支給額を算出してもらいます。そこから、健康保険・厚生年金・雇用保険などの社会保険料や所得税・住民税を正確に控除し、最終的な支給額が決定されます。
その結果に基づき、従業員一人ひとりに対して給与明細が作成されます。代行業者によってはWeb給与明細サービスに対応しており、紙の配布業務も不要となります。これらの一連の流れをすべて外部に任せることで、社内の作業負担が大幅に削減されることになります。
税金・社会保険料の控除計算や年末調整
給与から天引きされる源泉所得税や住民税、健康保険料・厚生年金・雇用保険料といった各種控除の計算も、代行サービスの標準業務に含まれています。税額表や保険料率をもとに、従業員の区分ごとに適切な控除額を算出する必要があるため、正確性と制度理解が求められる部分です。
また、多くの代行業者では年末調整にも対応しています。年末調整では、従業員から提出された扶養控除申告書などの情報をもとに、源泉徴収額の過不足を計算し、還付または追徴額を算出します。加えて、源泉徴収票や法定調書の作成・提出も行います。
ただし、年末調整業務は税務に該当するため、税理士の資格を持つ業者でなければ対応できない点に注意が必要です。社労士や無資格の業者に依頼する場合、この部分は別途税理士へ依頼する必要があります。
社会保険・労働保険の各種手続きは社労士に依頼できる
給与計算に関連する労務手続きも、社会保険労務士(社労士)であれば包括的に代行可能です。たとえば、従業員の入社・退社に伴う健康保険や厚生年金の資格取得・喪失手続き、育児休業給付金の申請、毎年行う労働保険の年度更新、社会保険の算定基礎届や月額変更届などが対象となります。
社労士はこれらの届出業務を法律に基づいて企業に代わって行える唯一の資格者であり、行政機関への書類提出を含めたフルサポートが可能です。これにより、企業は煩雑な書類作成や期日管理から解放され、労務リスクの軽減にもつながります。
給与計算代行の依頼先と得意分野は?
給与計算代行は多くの事業者が提供しており、主な依頼先には社会保険労務士事務所(社労士)、税理士事務所、給与計算代行専門業者の3つがあります。いずれも給与計算を担える点は共通ですが、対応可能な業務や得意分野には明確な違いがあります。
【社会保険労務士事務所】労務・社会保険手続きに強い
社労士は、労働・社会保険分野の専門資格を持つ国家資格者です。入退社に伴う社会保険や労働保険の各種手続き、育児休業給付の申請、算定基礎届や月額変更届の提出といった、労務手続きの代行が法的に可能です。
給与計算とあわせて、社会保険関連の業務もまとめて任せたい企業には、社労士事務所が最適です。法改正への対応力やコンプライアンス面でも安心感がありますが、年末調整などの税務業務は別途税理士への依頼が必要になります。
【税理士事務所】年末調整や税務処理が専門領域
税理士は、源泉徴収税額の計算や年末調整、法定調書の作成・提出といった、税務業務を独占的に行える専門家です。給与計算における所得税・住民税の処理や、年末に必要な税務書類の対応を一括して任せたい場合に適しています。
ただし、社会保険や労働保険の手続きなど、労務関係の代行は行えないため、必要に応じて社労士と連携する体制が求められます。給与計算と税務対応をセットで依頼したい中小企業にとっては、税理士事務所は有力な選択肢です。
【給与計算代行専門業者】低コストで基本業務をカバー
民間の給与計算代行業者は、資格を持たずとも対応可能な日常的な給与計算業務に特化しています。毎月の勤怠データをもとにした給与額の算出や、給与明細の発行、振込データの作成など、標準的な業務を手軽に外注できるのが特徴です。
多くの業者はクラウド型の給与システムを活用しており、コストを抑えて導入できます。一方で、社労士や税理士でなければ扱えない業務には非対応なことが多く、別途専門家との契約が必要になるケースもあります。小規模企業やコスト重視の事業者に向いています。
給与計算代行サービスを利用するメリットは?
給与計算代行サービスの導入には、業務効率化やコスト最適化、正確性の向上といった多くの利点があります。人事・労務担当者の負担を軽減し、企業全体の生産性向上に寄与する仕組みとして、中小企業を中心に導入が進んでいます。
定型業務を手放すことで、本来の業務に専念できる
給与計算は毎月発生する定型業務で、時間と労力を必要とする作業です。代行サービスに委託すれば、勤怠データや従業員情報の提供のみで済むため、担当者は制度設計や人材育成など、より戦略的な業務に集中できます。これにより残業時間の削減や業務負荷の平準化が可能となり、組織全体の生産性も高まります。
法改正への対応や計算ミスを専門家が防いでくれる
給与計算は、社会保険料率や税制など頻繁な法改正に左右される業務です。社労士や税理士などの専門家が在籍する代行業者であれば、常に最新の情報をもとに計算・処理を行うため、ミスのリスクを大きく減らせます。専門的なチェック体制も整っていることが多く、コンプライアンス遵守の面でも安心です。
社内コストの削減とコスト管理のしやすさが得られる
自社内で給与計算を行う場合、担当者の人件費やソフト導入費用、更新・保守費などのコストが発生します。代行サービスを活用すれば、これらの固定費を抑え、業務量に応じた変動費として扱えるため、コスト管理が容易になります。中小企業においては、社内に専任者を置くより外注の方が経済的というケースも多く見られます。
給与計算代行サービス利用時の注意点は?
給与計算代行サービスは非常に便利な仕組みですが、安心して利用するためにはいくつかの注意点があります。すべてを丸投げできるわけではなく、委託範囲の明確化や社内での対応体制も必要です。
個人情報の保護とセキュリティ対策が必須
給与計算には、氏名・住所・給与額・マイナンバーなど機密性の高い個人情報が関わります。外部業者に委託する以上、情報漏えいのリスクを完全になくすことはできません。そのため、守秘義務契約(NDA)の締結はもちろん、データの暗号化やアクセス制御など、具体的なセキュリティ対策が整っている業者を選ぶことが重要です。マイナンバーの取り扱い方法やシステム上の保護体制について説明を受け、安心して情報を預けられるかを見極める必要があります。
委託範囲と契約内容を事前に明確化する
代行サービスとひとくちに言っても、対応できる業務範囲は業者によって異なります。給与計算のみを依頼するのか、賞与・年末調整・社会保険の手続きまで含めるのかによって、必要な専門資格(税理士・社労士)や費用も変わってきます。対応範囲の食い違いによるトラブルを防ぐためにも、契約時には業務内容・成果物・納期・ミス対応などを明確に取り決めることが不可欠です。特に税務や社会保険の手続きは資格者の独占業務にあたるため、委託先が対応可能かをしっかり確認しましょう。
社内連携とノウハウの維持を怠らない
外注化しても、毎月の勤怠データの提出や人事異動の情報提供といった社内対応は継続して必要です。スムーズな業務運用のためには、社内で窓口担当を決め、委託先との定期的な連携を行う体制を整えておく必要があります。また、長期にわたって業務を完全外注すると、社内に給与計算のノウハウが蓄積されにくくなるリスクもあります。将来的に内製化を検討する場合に備え、業務フローの共有や知識の引き継ぎ体制もあわせて構築しておくことが望ましいです。
従業員数別に見る給与計算代行サービスの費用相場は?
給与計算代行サービスの費用は、基本料金+従業員数に応じた単価+オプション費という形で構成されるのが一般的です。実際の金額は依頼する業務範囲や業者の種類(社労士事務所・代行専門会社など)によって異なりますが、以下におおよその相場感をまとめました。
基本料金と従業員単価の目安
- 基本料金:月額1万〜2万円
- 従業員単価:1人あたり500〜1000円
社会保険対応などを含む場合は、1500円程度になることもあります。 - 初期設定費用:1人あたり1000〜2000円(導入時のみ)
- オプション料金(任意)
- 賞与計算:1人あたり800〜1200円
- 年末調整:同上
- 勤怠集計や給与明細の郵送:別途費用
従業員数が多いほどコストは上がりますが、単価が割安になるケースもあります。料金は地域や業者の方針によって差があるため、複数社から見積もりを取ることが推奨されます。
業務範囲によって費用が変わる点に注意
費用は単純な従業員数だけでなく、「どの業務まで委託するか」によっても変動します。たとえば、年末調整や社会保険の資格取得手続きなどは税理士や社労士の資格が必要なため、専門家に依頼することで費用が高くなる傾向があります。反対に、給与計算だけに絞れば比較的安価に抑えることも可能です。
給与計算代行サービス導入で負担軽減と効率化を実現しよう
給与計算業務は法的に資格がなくても遂行可能ですが、正確な計算には高度な専門知識と最新法令への対応力が求められます。そこで、自社の給与計算をアウトソーシング(外注)することで、社労士や税理士といったプロの力を借りて負担軽減と業務効率化を図ることができます。給与計算代行サービスの活用により、担当者の残業が減り本来の業務に集中できるようになるほか、計算ミスや法令違反のリスクも低減し、結果的に企業全体の生産性向上につながります。適切なパートナーと契約することで、煩雑な給与計算から解放され、安心・正確な給与支払い体制を実現できるでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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