• 更新日 : 2026年1月20日

国民年金保険料控除証明書を出さないとどうなる?税金への影響と対処法を解説

年末調整確定申告の時期になると、手元にあるはずの書類が見当たらないことはよくある話です。特に「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」は、ハガキで届くため紛失しやすく、提出を忘れてしまうケースも少なくありません。

この国民年金保険料控除証明書を出さないと「社会保険料控除」が適用されず、結果として支払う税金が増えてしまいます。数万円単位で損をするケースもあるため、確実に申告をしましょう。

本記事では、国民年金控除証明書を出し忘れた場合にどうなるのか、手取りへの影響や、紛失、期限切れ時の対処法について、わかりやすく解説します。

目次

国民年金保険料控除証明書を出さないとどうなる?

国民年金保険料の控除証明書を提出しなかった場合、所得税と住民税の計算において、本来受けられるはずの税制優遇が受けられなくなります。

ここでは、その仕組みと影響について詳しく解説します。

【社会保険料(国民年金保険料)控除証明書イメージ図】

社会保険料(国民年金保険料)控除証明書イメージ図

参照:社会保険料(国民年金保険料)控除証明書|日本年金機構

社会保険料控除が適用されず所得税・住民税が増える

支払った国民年金保険料の全額が所得から差し引かれなくなるため、課税所得が増えて税負担が重くなります。

国民年金保険料は、支払った全額が「社会保険料控除」の対象です。この控除を適用することで、税率がかけられる「課税所得」を減らし、税金を安くする効果があります。つまり、控除額が大きければ大きいほど、課税される所得が減り、税金が安くなる仕組みです。

もし証明書を出さないと、年末調整や確定申告の際に国民年金の保険料を支払ったことを税計算に反映できません。その結果、本来払わなくて済んだはずの税金を納めることになります。

  • 所得税への影響: 課税所得が増えるため、その分にかかる所得税額が増加します。所得税率は所得に応じて5%から45%まで段階的に上がります。
  • 住民税への影響: 住民税は課税所得の約10%です。控除が減った分だけ、翌年の6月から天引きされる(または納付する)住民税が高くなります。

参照:社会保険料控除|国税庁

国民健康保険料の算定にも影響が出る

自営業や個人事業主の場合、確定申告で控除を申告しないと、翌年の国民健康保険料まで高くなるおそれがあります。

会社員と異なり、個人事業主やフリーランスにとって痛手なのがこのポイントです。翌年の国民健康保険料は、前年の収入によって行う確定申告の所得をもとに決定されます。

国民年金保険料の控除を計上し忘れると、課税所得が高く計算されてしまうため、連動して国民健康保険料も値上がりしてしまう可能性があります。税金だけでなく社会保険料の負担まで増える「二重払い」のような状態になってしまいます。

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国民年金の控除証明書はいつ届く?

「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」は通常、毎年10月下旬から11月上旬にかけて日本年金機構からハガキで発送されます(1月〜9月に納付した場合)。

なお、10月以降に初めて納付した場合は翌年2月上旬に届きます。

また、ハガキだけでなく電子データ(XMLファイル)での受け取りも可能になっています。電子データの送付対象の方には書面の郵送は行いません。

この時期を過ぎても手元にない場合は紛失の可能性が高いため、後述する再発行手続きが必要です。

参照:令和7年分社会保険料(国民年金保険料)控除証明書の発行について|日本年金機構

会社員でも国民年金の控除証明書は届く?

会社員だから厚生年金に入っているし、関係ないと思われがちですが、実は、会社員であっても国民年金の控除証明書が届き、申告が必要になるケースがあります。

年の途中で入社した場合や過去の未納分を払った場合

その年に1ヶ月でも国民年金を支払っていれば、会社員であっても控除証明書が届きます。

  • 就職・転職の空白期間: 年の途中で入社し、それ以前の期間に国民年金を払っていた。
  • 過去分の納付: 学生時代の猶予分や、過去の未納分を今年支払った。
  • 家族分の負担: 配偶者や子どもの国民年金を代わりに支払った。

企業の担当者はどう対応すべきか

従業員から「このハガキはどうすればいいですか?」と質問された場合、会社側は以下の対応を行います。

  1. 年末調整の時期:給与所得者の保険料控除申告書」の「社会保険料控除」欄に金額(納付済額または見込額)を記入させ、証明書を添付して提出してもらいます。
  2. 時期が過ぎている場合: 会社の処理が既に終わっている場合は、従業員自身で確定申告(還付申告)を行うよう案内します。

国民年金の控除証明書を出し忘れたときの手取り額への影響は?

国民年金保険料控除証明書を出さないと損をすると言っても、具体的にいくら変わるのかイメージしにくいかもしれません。

例として、以下の条件でシミュレーションを行います。

※あくまで概算であり、扶養家族の有無や他の控除によって金額は変動します。
※保険料は令和7年度(2025年度)月額で12ヶ月支払ったと仮定します。

ケース1:年収400万円・独身(会社員・フリーランス)

年収400万円の方が、1年間(12ヶ月)国民年金を支払い、証明書を出し忘れた場合の損失額です。

  • 国民年金支払額: 年間210,120円(17,510円×12ヶ月)
  • 所得税への影響(税率5%で計算): 約10,500円 税金が増える
  • 住民税への影響(税率10%で計算): 約21,000円 税金が増える
  • 手取りへの影響額: 合計 約31,500円のマイナス

※所得税率は課税される所得金額によって計算されるため、実際の金額とは異なることがあります

約3万円も手取りが減ってしまう計算になります。

ケース2:所得600万円・既婚(自営業で夫婦分を納付)

自営業者で所得が高く、配偶者(第1号被保険者)の保険料も世帯主がまとめて支払っている場合の損失額です。所得税率が上がるため、影響はさらに大きくなります。

  • 国民年金支払額: 年間420,240円(夫婦2人分)
  • 所得税への影響(税率20%で計算): 約84,000円 税金が増える
  • 住民税への影響(税率10%で計算): 約42,000円 税金が増える
  • 手取りへの影響額: 合計 約126,000円のマイナス

※所得税率は課税される所得金額によって計算されるため、実際の金額とは異なることがあります

所得が高く支払額が大きい人ほど、影響が大きくなる可能性があります。

追納や前納で多額を支払った場合はさらに注意

過去の未納分(追納)や、2年分の前納制度を利用して、1年間に40万円以上を支払ったケースでも、その全額が控除対象となります。もし数十万円分の支払いを申告し忘れると、上記のケース2同様、あるいはそれ以上の金額を損することになります。支払額が大きい年ほど、証明書の提出漏れがないよう入念に確認してください。

年末調整で国民年金控除証明書を出し忘れた場合の対処法

年末調整の期限(通常は11月〜12月上旬)に間に合わなかったとしても、会社の再年末調整(修正)のタイミングや、確定申告で還付申告を行うことにより控除を受けられます。

会社の「再年末調整」に間に合うか確認する

1月下旬までであれば、会社によっては年末調整のやり直し(再年調)に応じてくれる場合があります。

源泉徴収票がまだ社員に配布されていない、または会社が税務署や市町村へ法定調書を提出する前(通常1月31日まで)であれば、経理担当者がデータを修正できるケースがあります。

ただし、これはあくまで会社の対応や事務処理の状況によります。一度社内の担当者に「国民年金の証明書を出し忘れたのですが、今からでも間に合いますか?」と相談してみるのも一つの方法です。

翌年の確定申告で「還付申告」を行う

年末調整に間に合わなかった分は、翌年の2月16日から3月15日の間に自分で確定申告を行えば保険料の控除を受けられます。

会社員であっても、年末調整で処理しきれなかった控除がある場合は、自分で税務署に申告できます。払いすぎた税金の還付を受けるために確定申告をするのを「還付申告」と呼びます。

  1. 必要なもの:
    • 会社から発行された「源泉徴収票」(原本)
    • 出し忘れた「国民年金控除証明書」
    • マイナンバーカード(または通知カードと身分証)
    • 還付金を受け取る銀行口座の情報
  2. 手順:
    • 国税庁の「確定申告書等作成コーナー」にアクセスする。
    • 源泉徴収票の内容を入力し、追加で「社会保険料控除」の欄に国民年金の支払額を入力する。
    • 計算された還付金額を確認し、データを送信(e-Tax)または印刷して郵送する。

この手続きを行うことで、払いすぎた所得税が後日(1ヶ月〜1ヶ月半後)指定口座に振り込まれます。また、住民税についても自動的に自治体に通知され、翌年の税額が正しく計算されます。

参照:還付申告|国税庁

確定申告の期限が過ぎてしまった場合は?

還付申告は、一般的な確定申告期間(通常翌年の2月16日から3月15日の間)とは関係なく、対象となる年の翌年1月1日から5年間行えます。還付申告をすれば税金が戻ってきます。

「確定申告の時期(2月〜3月)も忙しくて過ぎてしまった」という場合でも安心してください。税金を戻してもらうための「還付申告」には、5年間の猶予期間があります。

例えば、令和7年(2025年)分の控除を忘れた場合、令和8年(2026年)1月1日から令和12年(2030年)12月31日まで申告が可能です。数年前の控除証明書が出てきた場合でも、遡って申告すれば税金が戻ってくるため、一度確認してみることをおすすめします。

また、自営業者が確定申告で社会保険料控除を忘れた場合や、給与所得で医療費控除や寄付金控除などにより既に確定申告を行っている場合、確定申告の期限後に計算間違いや申告内容の間違いに気づくこともあるでしょう。この場合、確定申告のやり直し(更正の請求)が認められれば、税金が戻ってきます。更正の請求ができるのは、原則として法定申告期限から5年以内、つまり、令和7年(2025年)分の申告のやり直しは、令和13年(2031年)3月15日までとなります。

参照:No.2026 確定申告を間違えたとき|国税庁

国民年金の控除証明書を紛失した!再発行や電子データでの入手方法

手元に国民年金の控除証明書がない場合は、速やかに再発行を依頼しましょう。紛失した場合でも、日本年金機構のウェブサイトなどで再発行手続きが可能です。

最近では郵送を待たずに電子データで取得する方法も普及しています。

「ねんきんネット」で再発行申請をする

日本年金機構のウェブサービス「ねんきんネット」を使えば、再発行の申請が可能です。

インターネット上で再発行を依頼し、後日郵送で受け取る方法です。

再発行の申請は24時間いつでもできますが、手元に届くまで1週間程度かかるため、急ぎの場合は不向きとなります。

ねんきんネットを利用した再発行の手順
  1. 「ねんきんネット」にログインする(マイナポータル経由ならID不要でログイン可)。
  2. 「通知書等」のメニューから再発行申請を選択する。
  3. 登録住所へハガキが郵送されるのを待つ。

参照:「ねんきんネット」による通知書再交付申請|日本年金機構

マイナポータル連携で電子データを取得する(e-Tax用)

マイナポータルとねんきんネットを連携させれば、ハガキを待たずにXMLデータ(電子証明書)をダウンロードできます。

近年、最も推奨されているのがこの方法です。紙のハガキを待つ必要がなく、データで受け取ってそのままe-Tax(電子申告)に利用したり、会社の年末調整システムにアップロードしたりできます。

マイナポータルを利用した再発行の手順
  1. スマホでマイナポータルアプリを開き、ログインする。
  2. 「ねんきんネット」と連携する。
  3. 連携後、再交付申請する通知書を選択し、画面に沿って申請すると、マイナポータルの「お知らせ」等に控除証明書データ(XML形式)が届く。

注意点:

XMLデータはそのまま印刷しても証明書として使えません(QRコード付き証明書として印刷可能な形式に変換する必要があります)。基本的にはデータのまま提出する場合に便利です。

参照:マイナポータルと連携した年末調整手続|国税庁

急ぎなら年金事務所の窓口へ

年金事務所の窓口にマイナンバーカードや運転免許証などの本人確認書類や基礎年金番号がわかるものを持参すれば、その場で発行してもらえるケースがあります。

事前に電話で受付時間や持ち物を確認してから向かうのが確実です。

家族の国民年金を支払った場合も控除対象になる?

自営業や個人事業主の方にとって、家族分の保険料支払いは大きな節税ポイントです。これも立派な節税対策になります。

生計を一にする親族の分も全額控除できる

配偶者や20歳以上の子どもなど、生計を一にする親族の国民年金保険料をあなたが支払った場合、その全額を控除として申告できます。

国民年金には扶養の概念がなく、家族それぞれに支払い義務があります。しかし、税法上は「実際に支払った人」が控除を受けられます。たとえば、大学生の子どもの国民年金や、収入の少ない配偶者の国民年金を夫(または妻)の口座から支払っている場合、自分自身の保険料と合算して申告することが可能です。

口座振替やクレジットカード払いの名義に注意

家族の分を控除する場合、「誰が支払ったか」が重要です。子どもの国民年金を子ども自身の口座から引き落としている場合、親が控除を受けることは原則できません。

親が控除を受けたい場合は、親名義の口座やクレジットカードから支払う設定にするか、納付書を使って親が現金で支払う必要があります。

国民年金控除証明書に関するよくある疑問(Q&A)

実務でよく聞かれる細かい疑問点についてまとめました。

Q. 年の途中で就職し、厚生年金に切り替わった場合は?

A. 就職前に支払っていた国民年金分は、年末調整で控除できます。

会社で行う年末調整では、給与から天引きされた厚生年金保険料は自動計算されますが、入社前に自分で払った国民年金は会社は把握していません。必ず自分で控除証明書を会社に提出し、申告書に記入する必要があります。これを忘れると、就職前の期間分だけ損をすることになります。

Q. 10月以降に支払った分が証明書に載っていない場合は?

A. 「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」は通常10月下旬〜11月上旬に発送されます。

そのため、10月以降に支払った見込額が含まれていない、あるいは証明書発行後に支払った分がある場合は、手元にある「領収証書(納付書の半券)」が証明書として使えます。証明書と領収証書を合わせて申告しましょう。

Q. 紛失したが、金額だけわかれば申告できる?

A. 申告書への記入は可能ですが、後日必ず証明書の提出を求められます。

e-Taxで申告する場合、証明書の添付を省略できる規定(記載内容の入力と証明書の5年間保存が必要)がありますが、書面で提出する場合や年末調整では「原本の添付」が必須です。「とりあえず金額だけ書いて出す」ことは認められないか、後から不備として扱われるため、必ず再発行手続きを行ってください。

国民年金控除証明書を出し忘れても5年以内の還付申告で税金は戻る

国民年金の控除証明書を出し忘れると、所得税・住民税・国民健康保険料の負担が増します。

しかし、もし手元になくても再発行は可能ですし、提出期限を過ぎてしまっても「還付申告」などの救済措置があります。まずは手元の書類状況を確認し、5年以内に手続きを行って、払いすぎた税金を取り戻しましょう。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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