• 更新日 : 2026年3月10日

役員登記の必要書類は?変更手続きや自分で行う場合を解説

Point役員変更登記とは?

役員の就任・退任から2週間以内に申請が必要な法的義務です。

  • 必須3点セット:申請書、株主総会議事録、株主リスト
  • 新任時の証明書取締役会非設置会社では実印と印鑑証明書が必須
  • 重任時の特例:再任(重任)なら本人確認書類や印鑑証明を省略可能

代表取締役が交代する場合は、取締役会の有無で決議機関が異なります。取締役会設置会社では、出席取締役全員の実印と印鑑証明書が原則必要になります。

役員登記の必要書類は、会社の取締役会の有無や変更内容によって異なります。

書類の準備不足は登記申請の却下や遅延につながるため、事前にパターンごとの要件を把握しておきましょう。特に中小企業の経営者や総務担当者にとって、株主総会議事録や株主リストの作成、印鑑証明書の有効期限管理は、日常業務の中で負担になりがちな作業ではないでしょうか。

本記事では、役員変更登記に必要な書類をケース別に整理し、2026年時点での最新の実務手順をふまえてわかりやすく解説します。

役員登記とはどのような手続きか?

役員登記とは、株式会社の登記事項証明書(登記簿)に記載されている役員情報に変更が生じた際に行う手続きのことです。

会社法において、登記事項に変更が生じた場合、原則として変更が生じた日から2週間以内に本店の所在地において変更登記を申請しなければなりません。これを怠ると「選任懈怠(せんにんけたい)」や「登記懈怠(とうきけたい)」となり、過料の制裁を受ける場合があります。

登記における「役員」とは?

登記における「役員」とは、取締役、監査役、会計参与などを指します。

すべての株式会社は、設立時に役員を登記しており、その後も任期満了や辞任、解任、死亡、新たな就任など、人の入れ替わりがあるたびに変更登記が必要です。

また、役員の氏名や住所が変わった場合も変更登記の対象となります。

執行役員は会社法上の「役員」には含まれないため、原則として登記の対象外ですが、指名委員会等設置会社における執行役は登記が必要です。

参照:商業・法人登記Q&A|法務省

登記が必要になる主なタイミング

役員変更登記が必要になるのは、役員の就任や退任、重任(再任)、住所や氏名変更時のタイミングです。

  1. 就任: 新しい役員が選任されたとき。
  2. 退任: 任期満了、辞任、解任、死亡などで役員が退いたとき。
  3. 重任(再任): 任期満了と同時に再選されたとき(手続き上は退任と就任を同時に行う扱いですが、実務上は「重任」として登記します)。
  4. 住所・氏名変更: 結婚や転居などで登記簿上の記載と実態が異なるとき。

特に3月決算の企業では、5月〜6月の定時株主総会後に役員の改選が行われることが多く、この時期に手続きが集中する傾向があります。

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役員変更登記に必要な書類とは?

役員変更登記に必要な書類は、すべてのケースに共通して「変更登記申請書」「株主総会議事録」「株主リスト」が必要です。

その他の添付書類は会社が取締役会非設置会社か、取締役会設置会社によって異なります。

  • 取締役会非設置会社:取締役が1名以上で、重要な決定を「株主総会」で行う会社。オーナー企業に多い形態です。
  • 取締役会設置会社: 取締役3名以上+監査役1名以上で、重要な決定を「取締役会」で行う会社。

共通で必要となる書類

原則として以下の書類は作成・準備する必要があります。

書類名 概要
変更登記申請書 法務局提出用。会社情報や変更内容を記載。
株主総会議事録 役員の選任・解任を決議した会議記録。変更の法的根拠。
株主リスト 議決権上位10名等の氏名・住所・議決権数を記載(H28年より義務化)。
委任状 司法書士や社員など、代理人が申請する場合に必要。

新任(就任)の場合

新しく役員が就任する場合、選任の事実と本人の承諾を証明する書類が必要です。

株主総会で選任決議を行い、被選任者が就任を承諾することで効力が発生します。

【新任取締役の必要書類リスト】

書類名 取締役会設置会社 取締役会非設置会社 備考
株主総会議事録 必須 必須 選任決議を行った証拠。
株主リスト 必須 必須 議決権上位10名のリスト。
就任承諾書 必須 必須 実印の押印が必要な場合あり。
印鑑証明書 原則不要※ 必須 ※代表取締役以外の場合。
本人確認証明書 必須 不要 印鑑証明書を添付しない場合。
就任承諾書と本人確認書類の違い
  • 取締役会設置会社の平取締役(代表権を持たない取締役)の場合、就任承諾書への押印は認印でも手続き可能ですが、その代わりとして住民票の写しや運転免許証のコピー(裏表、本人が原本証明したもの)などの「本人確認証明書」の添付が義務付けられています。一方、取締役会非設置会社の場合は、原則として実印を押印し、印鑑証明書を添付します。

参照:役員の変更の登記|法務局

退任(辞任・任期満了・死亡)の場合

退任の理由によって、添付すべき書類が異なります。

【退任事由別 必要書類一覧】

退任事由 必要な書類 解説
任期満了 特になし 定款規定や前回選任時期から明白なため不要(議事録等の日付から判断)。
辞任 辞任届 印鑑届が出ている役員の場合は、原則実印(または会社届出印)を押印し、印鑑証明書を添付。虚偽登記防止のため。
死亡 死亡証明書 死亡記載のある戸籍謄本や死亡診断書などのほか、親族が作成した死亡通知書など 。
解任 議事録・株主リスト 正当理由のない解任は損害賠償リスクがあるため、議事録記載は慎重に。

再任・重任の場合

任期満了と同時に同じ人が再選されるケースです。

新任と似ていますが、すでに法務局に個人の情報が登録されているため、「印鑑証明書」や「本人確認証明書」は原則として省略可能です。「株主総会議事録」「株主リスト」「就任承諾書」のみで足ります。

代表取締役が変わる場合

代表取締役の選定手続きは、取締役会の有無によって必要書類が変わります。

【代表取締役選定の書類比較】

区分 取締役会設置会社 取締役会非設置会社
決議機関 取締役会 株主総会(または取締役の互選)
必要な議事録 取締役会議事録 株主総会議事録(または互選書)
出席者の印鑑 出席取締役・監査役の実印 議長・出席取締役の実印
印鑑証明書 出席者のものを添付※ 出席者のものを添付
その他 就任承諾書 定款(互選規定がある場合)

※取締役会設置会社で、前任の代表取締役が会社届出印を取締役会議事録に押印している場合は、他の取締役の実印および印鑑証明書を省略できるケースがあります。しかし、変更後の代表取締役が変更前の代表取締役と異なる場合など、条件により異なるため、原則として全員の実印と印鑑証明書を用意するほうが確実です。

監査役が変わる場合

監査役の変更手続きは、基本的に取締役の変更手続きに準じます。

選任には株主総会の決議が必要であり、書類としては「株主総会議事録」「株主リスト」「就任承諾書」「本人確認証明書(または印鑑証明書)」が求められます。

監査役は取締役会設置会社であっても、取締役会の一員ではないため、取締役会の決議には参加しませんが、選任に関する株主総会には関与します。

役員登記の手順と申請の流れ

書類が揃ってから慌てないよう、会議の開催から登記完了までの全体フローを理解しましょう。

STEP 1:定款と現状の確認

まず、自社の定款を確認し、役員の任期、定員、選任方法を把握します。

特に「任期」は会社によって異なり(原則2年、非公開会社は最長10年)、現在の役員がいつ選任されたかを履歴事項全部証明書で確認する必要があります。

STEP 2:株主総会・取締役会の開催と決議

必要な決議を行います。

  • 株主総会: 取締役・監査役の選任、解任。
  • 取締役会: 代表取締役の選定(設置会社の場合)。

この際、後日の登記申請に使用するため、法律の要件を満たした「議事録」を必ず作成します。議事録には、開催日時、場所、出席者、決議内容などを正確に記載し、押印します。

STEP 3:必要書類の収集と作成

前述したリストに基づき、就任承諾書や印鑑証明書などを集めます。

特に印鑑証明書は「発行から3ヶ月以内」のものが必要ですので、取得時期に注意が必要です。株主リストには、議決権数の上位10名、または議決権割合が2/3に達するまでの株主の氏名・住所・議決権数などを記載します。

STEP 4:法務局への申請と登録免許税の納付

すべての書類が揃ったら、管轄の法務局へ申請します。

申請方法は、窓口持参、郵送、オンライン申請のいずれかです。申請時には登録免許税の納付が必要です。

  • 資本金1億円以下の会社: 1万円(変更区分ごと)
  • 資本金1億円超の会社: 3万円(変更区分ごと)

原則として「役員変更」という1つの区分で課税されますが、支店の設置など他の登記と同時に行う場合は別途税金がかかります。

参照:No.7191 登録免許税の税額表|国税庁登記・供託オンライン申請システム|法務省

STEP5:登記完了の確認

申請書を提出してから、通常1週間から10日程度で登記が完了します。

補正(修正)の連絡がなければ、無事に手続き終了です。登記完了後は、必ず「登記事項証明書(履歴事項全部証明書)」を取得して内容を確認しましょう。役員の氏名や就任日が正しく反映されているかチェックします。また、原本還付を希望した書類がある場合は、その回収も忘れずに行います。

自分で役員登記を申請するポイント

司法書士に依頼せず自分で申請すれば、数万円の手数料を節約できます。法務局に相談できサポートも手厚くなっているため、手順に沿って進めれば決して難しくありません。

  • 法務局の相談予約を活用する
    初めて申請する場合は、事前に管轄の法務局へ登記相談の予約を入れるのが確実です。作成した書類に不備がないか、提出前に専門官のチェックを受けることができます。
  • 雛形(テンプレート)を使う
    法務局のホームページには、ケース別の申請書様式や記載例が公開されています。これらをダウンロードし、自社の情報に書き換えるのが最もミスが少ない方法です。
  • 時間に余裕を持つ
    万が一「補正(修正)」が必要になった場合、法務局へ出向く手間が発生します。期限ギリギリではなく、余裕を持って申請しましょう。

役員変更登記の書類作成時に発生しやすいミスと対策

役員変更登記において、法務局から補正(修正)を求められることがあります。

書類の不備は手続きの遅延に直結するため、以下のポイントは提出前に必ずダブルチェックを行いましょう。

1. 議事録と定款の整合性不備

定款で定めた「員数(人数)」を超えて役員を選任してしまうケースや、任期計算を間違えて選任時期がずれているケースがあります。

例えば、定款で「取締役は3名以内」としているのに、定款変更せずに4人目を選任しようとすると登記できません。この場合、まず定款変更の決議を行う必要があります。

2. ハンコの押し間違い

押印ミスは不備として審査されるため、適切な種類のハンコを使い、鮮明に押しましょう。

  • 実印が必要な箇所に認印を押している:
    特に就任承諾書や取締役会議事録で頻発します。
  • 印影が不鮮明・欠けている:
    法務局は印鑑照合を厳密に行います。鮮明に押印し、失敗した場合は二重線と訂正印で修正するか、押し直すほうが無難です。
  • 捨印がない:
    軽微な記載ミスがあった場合、捨印があれば法務局の窓口で訂正できることがありますが、捨印がないと書類の差し替えや再押印が必要になり、手間が増えます。

3. 株主リストの記載漏れ

株主リストは比較的新しい添付書類(平成28年より義務化)であるため、過去の慣例で手続きをしていると忘れがちです。

株主の住所や氏名は、株主名簿と一致している必要があります。「1丁目2番3号」を「1-2-3」と書いたり、省略された漢字を使用するなどはありがちなミスです。

また、法人株主の場合は、代表者の氏名ではなく「法人名」「法人番号(または代表者の資格・氏名)」等の正確な記載が求められます。

役員登記は電子申請(オンライン申請)がスムーズ

2026年現在、商業登記の電子申請はかなり普及しており、書面申請よりも手続きがスムーズになる傾向があります。

オンライン申請の活用

「登記・供託オンライン申請システム」を利用することで、オフィスにいながら申請が可能です。

オンライン申請の場合、添付書類(議事録や就任承諾書など)をPDF化し、電子署名を付与して送信する方法と、申請情報のみオンラインで送り、添付書類は別途郵送する「特例方式」があります。

マイナンバーカードと商業登記電子証明書

代表取締役等の住所変更や就任承諾において、マイナンバーカードの電子証明書を活用するケースも増えています。

電子署名を用いることで、物理的な押印や印鑑証明書の取得・添付を省略できる場合があります。特に、取締役会非設置会社における取締役の就任承諾書などは、電子署名付きのPDFファイルでの提出が認められています。

参照:商業・法人登記のオンライン申請について|法務省

役員登記の必要書類はケース別におさえよう

役員変更登記は、会社の信用を維持し、法的な義務を果たすための基本的な手続きです。必要書類は「誰が」「どのように」変わるかによって細かく異なりますが、基本を押さえれば過度に恐れる必要はありません。

  • 基本セット: 「変更登記申請書」「株主総会議事録」「株主リスト」はほぼ必須です。
  • 新任役員: 「就任承諾書」に加え、ケースに応じて「本人確認証明書」または「印鑑証明書」が必要です。
  • 代表取締役: 取締役会の有無で必要書類(議事録の種類、印鑑証明書の範囲)が大きく変わるため、機関設計をまず確認しましょう。
  • 期限: 変更から2週間以内の登記申請が必要です。遅れると過料のリスクがあります。

書類作成に不安がある場合や、株主構成が複雑な場合は、司法書士などの専門家に依頼することも一つの手段です。正確な書類準備を行い、滞りなく手続きを完了させましょう。


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