- 更新日 : 2025年2月3日
電子請求書とは?電子帳簿保存法改正による変更点も解説
電子請求書とは、電子データ化された請求書のことです。電子請求書を利用することで得られるメリットや注意点、適用される法律などについてまとめました。また、電子帳簿保存法の改正に対して、どのような対応が必要かについても解説します。
目次
電子請求書とは
電子請求書とは、電子データ化され、オンラインでやり取りできる請求書のことです。従来、請求書は紙面で作成し、郵送あるいは手渡しで請求する相手に届けていました。
しかし電子請求書はオンラインで送付できるため、作成から受け取りまでに時間がかかりません。また紛失することがなく、再送付も簡単にできるため、請求書関連のトラブルを回避しやすくなるでしょう。
電子請求書の特徴
電子請求書の特徴として、印鑑が要らないことが挙げられます。日本では従来、重要性の高い書類には印鑑を押印することが習慣とされてきました。しかし、電子請求書は印鑑不要で作成・送付できるため、押印の手間と時間を省略することができます。
電子請求書に関連する法律
電子請求書が電子書類として効力を発揮するために関係する法律としては、電子帳簿保存法とe-文書法があります。どちらも特定の条件下で書類の電子化を認める法律ですが、適用文書の範囲が異なります。
2022年の電子帳簿保存法改正で何が変わる?
2022年1月1日に電子帳簿保存法の改正法が施行されました。この改正により、電子で受け取った注文書や領収書を印刷して紙書類として保管することが原則として廃止されました。
また、これまで税務署への事前申請が必要だった部分が廃止になったり、タイムスタンプ要件が緩和されたりするなど、いままでよりも電子化を進めやすくなっています。さらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
電子帳簿保存法についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
電子請求書の作成方法
まず紙の請求書と同じように、WordやExcelなどで請求書を作成します。これをPDFに変換すれば完成です。もちろん最初からPDFを作成・編集できるソフト、Acrobatなどを使って作成するのもよいでしょう。
送付方法は、メールに電子契約書を添付して送信する方法のほか、DropBoxなどのファイル交換クラウドサービスでの送付する方法、電子契約システムを使って送付する方法などがあります。
電子請求書を導入するメリット
電子請求書を利用すると、次のようなメリットがあります。
請求書の作成が簡単になる
紙の請求書を作成するときは、書き損じや入力ミスなどが起こりがちです。一方、電子請求書であれば、販売管理システムからデータを転載することで、ミスなく作成できます。
送付コストがかからない
また、オンラインで送付することで、送料がかからない点も電子請求書のメリットです。郵送で対応している場合、1通1通の送料は安くても、毎月何社にも送付していると高額になります。電子請求書に変えることで、コスト削減を実現できるでしょう。
保管場所をとらない
保管場所をとらないところも、電子請求書の優れた点です。紙の請求書は7年間の保管義務があるためすべてファイリングして残しておく必要があり、請求書だけでなく領収書や注文書などのさまざまな書類をすべて残しているとかなりのスペースを使います。しかし、電子請求書であればパソコン内やクラウド上に保管できるため、どんなに増えてもオフィスの空間は狭くなりません。
過去のデータを検索できる
過去のデータを検索できるのも、電子請求書のメリットです。例えば、取引先から商品の単価が間違っていたなどの指摘を受けた場合、紙の書類として保管していたならば、過去の取引関連の文書をすべて広げてどの部分に間違いが生じたのか調べなくてはいけません。しかし電子請求書であれば、検索ワードを入れて簡単に関連データを表示させることができます。書類探しの手間も大幅に削減できるでしょう。
電子請求書を導入するデメリット・注意点
電子請求書はメリットが多い一方、デメリットもあります。
電子請求書を発行するシステムの導入コストがかかる
ワンストップで請求書作成から発送までの処理を行うサービスを導入する場合、サービス利用のコストがかかってきます。請求書を郵送する場合の郵送費・人件費などを合わせたコストと、サービスを利用する場合のコストを比較し、自社にあったサービスを検討する必要があります。また、取引先が電子請求書に対応していない可能性があることも、導入前に検討しておきましょう。
電子請求書に対する社内ルールを構築する必要がある
電子請求書システムを導入すると、社内のすべての請求書が電子化されます。しかし、請求書発行を担当する社員の中には、パソコンが不得手で、操作できるのか不安を感じている方もいるかもしれません。
請求業務に関わるすべての従業員がスムーズに電子請求書を発行・送付するために、電子請求書に対するルールを統一しておくことが必要です。また、管理時のルールも構築し、関わるすべての従業員に周知しておきましょう。
電子帳簿保存法の要件を満たす必要がある
取引先から電子請求書を受け取った場合は、電子帳簿保存法などの規定に従い、保存しなくてはなりません。もちろんこれに対応する社内体制の構築も必要となります。また、取引先に対して電子請求書で送付したいと考えても、取引先から紙で送ってほしいと言われる場合もあるでしょう。そのため、すべての取引先に対して電子請求書に切り替えることは困難かもしれません。
電子請求書導入のメリットや注意点に関しては、以下の記事で詳しく解説しています。
電子請求書は請求書を電子化したもの
電子請求書は、これまで紙の書類で授受していた請求書を電子ファイルでやり取りすることをいいます。電子請求書に変えることでさまざまなメリットがある一方、手間が増える部分もあります。電子帳簿保存法が改正され、税務署での事前承認申請が不要になったことで、より一層、電子請求書などの電子書類を利用する企業は増えると予想されます。スムーズに取引先に書類発行・送付を行うためにも、電子書類作成システムの導入を検討することが求められるでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
契約の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
契約書レビューの乗り換えはあり?メリット・デメリットを解説
契約書はビジネスの根幹をなす重要な文書です。そのレビューを外部に委託している企業も多いでしょう。しかし、「コストが高い」「レビューの質にばらつきがある」「対応が遅い」といった不満から、現在の委託先の変更、つまり「乗り換え」を検討するケースも…
詳しくみる草案とは?契約書における草案の作り方や類語を解説
契約はビジネスの根幹であり、その品質は法的安定性や紛争リスクを左右します。契約内容のたたき台となる「草案」の作成は、単なる「下書き」ではなく、交渉の主導権を握り、自社に有利な条件を戦略的に組み込み、潜在リスクを未然に防ぐ能動的な行為です。 …
詳しくみる委託契約と請負契約の違いとは?各契約の特徴や注意点をわかりやすく解説
「委託契約(業務委託契約)」は委託者が雇用関係にない受託者に対して業務を委託する契約で、「請負契約」は注文者が仕事の完成と引き換えに請負人へ報酬を支払う契約です。 委託契約と請負契約では、対象となる業務(仕事)の内容や性質に違いがあります。…
詳しくみる解約通知書・退去届とは?提出期限や賃貸の解約方法と流れをご紹介
アパートなどの賃貸物件から引っ越す際に提出する解約通知書(退去届)。提出するタイミングや提出期限についてお悩みの方もいるのではないでしょうか。ここでは解約通知書とは何か、テンプレートを示してその書き方を説明するとともに、解約に関する各種手続…
詳しくみる質権設定契約書とは?ひな形をもとに文例や作成時の注意点を解説
質権設定契約書とは、債務の履行を担保するために設定する質権についてのルールをまとめた文書のことです。 どのような契約なのか、何をルールとして定める必要があるのかを説明し、当記事では契約書の文例も用いて具体的な記載事項、作成のポイントなどを紹…
詳しくみる出向契約書とは?ひな形をもとに書き方や事業者向けの注意点を解説
出向契約書とは、従業員を出向させるときに作成する書類の一つです。出向契約書には出向後の働き方に関わる事柄を明記し、事業者・従業員ともに認識の齟齬がないように備えなくてはいけません。出向契約書に含める事項や作成のポイント、ひな形を紹介するので…
詳しくみる